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『アンティキテラ:古代ギリシアのコンピュータ』

ジョー・マーチャント、2009、『アンティキテラ:古代ギリシアのコンピュータ』、文藝春秋

1901年、ギリシャのアンティキテラ島で海綿取りのダイバーが発見したブロンズ像や大理石像にまじって、木枠に入った歯車の組合わさった機械のようなものが見つかった。ギリシャのアテネ国立博物館に収蔵されたこの発掘品が、現在に至るまで、様々な論争を呼んだ。科学史家や考古学者、天文史学者、博物館学芸員、さらには、海洋学者らを巻き込み、ヘレニズムの時代から現在に至る西欧自然科学の謎が一歩一歩明かされていく。そうした、渦中に自らも飛び込んだジャーナリストがその解明の過程を記したのが本書である。
本書で解き明かされたのは、ヘレニズム時代における天動説に基づき天体の「食」の時期を示す機械ということなのだが、大航海時代以降の地理上の発見に結びついたクロノグラフなどの精密時計とは、1000年以上の時間差があった。しかし、その謎は、レバノンで発見されたミッシングリングの発見で、古代ギリシャの伝統はイスラム世界に引き継がれ、十字軍をへて西欧に伝えられた。たくさんの歯車を組み合わせて、太陽や月、地球を含む惑星の運動を表示するというのは、アナログ・コンピュータとも言うべきものであるだろう。しかし、完全な形で保存されていたのではなく、欠損している部分も多く、イスラム世界における類似品の発見、あるいは、地中海世界での第二第三の発見で、さらに明らかにされていくだろう。
考古学遺物や文献を用いて、仮説と検証という自然科学史的な解明の過程は、まだまだつづくはずである。更なるミッシングリングの発見で、その謎解きはまだまだつづくのだろう。謎解きのプロセスは面白く、一気に読み進むことができた。

アンティキテラ古代ギリシアのコンピュータ
ジョー・マーチャント
文藝春秋

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2009-06-21 16:33:25 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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