Fsの独り言・つぶやき

1951年生。2012年3月定年、仕事を退く。俳句、写真、美術館巡り、クラシック音楽等自由気儘に綴る。労組退職者会役員。

ゴッホ展の感想〈3〉

2018年01月12日 13時24分29秒 | 芸術作品鑑賞・博物館・講座・音楽会等
 

「下草とキヅタのある木の幹」(1889年、ファン・ゴッホ美術館)ははじめ遠くから見て何が描いているのかわからなかったけれど、気になったので、人の間をすり抜けてようやく近くで作品の正面に立つことができた。
 描いているものの中心となる対象は何か初めはわからなかったが、ようやく木漏れ日の暖かみに気がついた。私の印象では、題名どおりに下草と木の幹に絡んだ蔦が主要なテーマと理解するには無理があるように思えた。
 遠景の広く日のあたる場所ではなく、近景の木漏れ日のチラチラする雰囲気は十分に伝わる。筆致が適しているのだなぁと感じた。同時に木漏れ日に着目してから木の幹を見ると幹と蔦の描写が丹念であることがやっとわかった。
 実は妻はこの絵が気に入っている。私は木漏れ日の描写と一番手前の樹の描写が気に入っている。このクローズアップがいいと思った。



 そんな気分で隣に掲げられている作品を見て、惹かれるものを感じた。この「下草とキヅタのある木の幹」(1890年、クレラー=ミュラー美術館)よりもこの「草むらの中の幹」はずっと明るい。その明るさよりも幹の描き方にどこかセザンヌ的な要素を感じた。
 ここでは樹木の蔭は強調されていないが、配色で工夫をしているのが感じられる。手前の二本の樹を大きくクローズアップしているのは確かに浮世絵の影響を受けたものなのであろう。しかしどぎつい強調の仕方ではなく、自然な描写に見える。
 浮世絵から得た構図上の影響を借り物・真似ではなく、身に着けたものなのかと感じた。


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