daichanの小部屋

ある平凡な将棋指しの日常

順位戦

2007-02-07 23:26:38 | 将棋
今日はもう更新はしないつもりだったのですが、渡辺竜王遠山四段が昨日の将棋に触れてくれているのを知り、書くことにしました。
今日明日はアクセス数の増大が予想されます。二人にはまた、大盤解説会が近づいたら宣伝にも協力してもらえると嬉しいです。どうぞよろしく(笑)


昨日の将棋は、竜王戦に続いて後手番での角換わり腰掛銀。予定通り、研究通りの形になりました。そしてそれは、向こうにとっても同じだったことでしょう。
中盤は順位戦らしい押し引きが続いていましたが、途中▲56金と出た手が好手でした。△47銀・△35歩といった手を与えるので指せないかと思いましたが、いずれも▲64歩から攻め合いになって負けます。この手が利いてこちらの構想が破綻しました。
時に夜中の8時~9時ぐらい。対して僕は△63歩と辛抱。見た目は悪いですが、読んでみて最善手という確信が持てたので、意を決して打ちました。控室では渡辺君が「△47銀のような手は片上君は読まない」といち早く断言していたとか。さすがですね。
以下は結局お互い決め手がつかめず、終盤戦に入ることなく千日手。しかし、内容的には十分見ごたえのある戦いだったと思います。

順位戦での千日手は、12月の西尾戦に続いて2回目。それまではなかったのですが、続くときは続くものですね。11時半から指し直し。前回は0時開始・2時半終局でしたが、今回は両者1分将棋までいったので、終局は3時半になりました。中には終わるまで順位戦中継で見てくれていた人もいたようです。感謝。
指し直しは矢倉になり、自分としては考えられないほどの大作戦勝ち。しかし時間が時間だけに、ミスが出るのも仕方ありません。2,3回決め手を逃し、難解な終盤になりました。
疲れた頭で調べた結果、一瞬だけ向こうに勝ちがあったようです。その場面はおそらく週刊将棋で取り上げられると思うので、そちらをご覧下さい。
「どんなに苦しい将棋でも、最善を尽くしていれば一度はチャンスが来るものだ」ということがよく言われますが、向こうにとってはまさにそういう将棋でした。また「指し直しに名局なし」というのも将棋界に伝わる言葉ですが、この将棋は名局かどうかはともかく、力のこもった熱戦だったと思います。

ライバルを叩いて自力昇級を守りました。自分にとってこれほど負けられないと思った一番は初めてかもしれません。この充実感で燃え尽きてしまわないように、ラスト1局、全力を尽くしたいと思います。
今期の感じだと、負けると届かないでしょう。頑張ります。

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5 コメント

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深夜戦の弊害? (alex)
2007-02-08 00:38:07
深夜戦になるとやはり脳の疲労でミスが多くなってしまうんですね。
前から感じていたのですけど、順位戦は持ち時間が長すぎて、棋士や観戦する人の負担が大きくなってしまうように思います。
今より持ち時間を1時間ぐらい減らして、開始時間を
30分くらい早めたらどうでしょう?
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Unknown (通りすがり)
2007-02-08 04:17:33
渡辺竜王のblogにこちらの紹介があり、拝見させて頂きました。
順位戦は朝方まで見ていました。盤面がなかなか更新されずにウトウトしかけましたが、、、
千日手になった局の△6三歩には驚きましたが、たくさん勝つ人はこう指すものかと肝に銘じます。
あと一勝、あと一勝。
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気合い (小松)
2007-02-08 10:13:28
プロの勝負はボクシングでも何でもそうですが、実力が同じ物同士が対決した場合、気力が強い方、勝ちたいという気持ちが、より勝った方が勝つと思います。これからもその気持ちだけは磨いていってほしいです。私はただの将棋好きの45歳です。お会いした事もないし、先輩でもありません。よろしくおねがいします。





























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Unknown (daichan)
2007-02-08 10:25:06
持ち時間の短縮については、以前から棋士の間でも議論になることはあります。深夜に及ぶ戦いは見るほうも大変だ、という声もよく耳にします。
それはそれで一つの見方だと思いますが、個人的には、あまり時間を短くしてほしくはないです。もちろん長いほうが疲れますし大変なのですが、それでも僕は、棋士がひがな一日死力を尽くして戦う姿に、惹かれるからでしょう。
朝まで見てくださる方には本当に感謝です。そのあいだ中ハラハラしてもらえるよう頑張るのが、我々の務めです。
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好きな仕事 (ジャコビニ)
2007-02-09 16:35:04
片上先生、こんにちは。私は「ジャコビニ流星群」という読書ブログを細々と綴っている将棋ファンです。
こちらには渡辺竜王、遠山4段のブログを経由してたどり着きました。
先生は以前NHKラジオで、「好きなことを仕事としてやっているので嫌だと思ったことは一度もありません。」と清清しく語っておられたのが印象に残っています。
今回のブログで順位戦の凄まじさを拝見して、その言葉を思い出しました。
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