daichanの小部屋

ある平凡な将棋指しの日常

第3局、勝ち。と、コメントについて。

2014-03-30 09:59:17 | 日記・雑談
この1週間ほど、久々にコメント欄が荒れてしまっていて、頭を悩ませています。
承認制にしてからも、あからさまに汚い罵り言葉だけで構成されたものと僕以外の方への誹謗中傷以外は、すべてそのまま承認していたのですが、ちょっと方針を変えようかなと思っています。

誰しも言いたいことがあるからコメントを書くわけで、それに対してフィルターをかけることもないかなとこれまで思ってやってきたのですが、「連盟の理事だから答えなくてはいけない」という意見がけっこう多いのですね。
また、自分への誹謗中傷は過去何度か経験があり、それはスルーすればいいやと思っていたのですが、理事となるとそういうわけにもいかない、のかどうか。
悩んでいるのですが、まだ答えは出ていません。

これまでも、コメントはすべて目を通しています。
見ていないのではと思われるのは本意でないので、↑↑のような方針でなるべくオープンにしてきました。
ただ申し訳ないですが、こちらから見えない多数からのご意見にひとつひとつお答えするのは、僕には無理です。
答えたいものだけ答える、というのも誠実でないなと思っているうちに、最近はあまりレスはしなくなってしまいました。

僕はtwitterもFBも(mixiも)比較的初期の頃からやってきて、それに比べてブログは比較的きちんと意見なりを発信することが多かったのですが、いまやブログに顕名でコメントをいただく方は少数派ですし、他のツールで実名の度合いは逆に高まっているので、その点も考え直す必要があるのかもしれません。
このブログももう7年以上やっていて、個人として、棋士(プレイヤー)として、連盟の一員として、など自分なりに使い分けて発信してきたつもりではあるのですが、今後も悩みは尽きなさそうです。
知人や、長年コメントを下さっているファンの方からのコメントが埋もれてしまっていることには(しかもレスしてないので)とても申し訳なく思っています。

僕が理事をやっていることで、不愉快な思いをしたり、反感を持ったりという人もたくさんいると思うのですが、自分としては精いっぱい務めていますし、また今後もそうするほかありません。
電王戦は本当に多くの方から注目されるので、ちょっとした挨拶だけでもいつも緊張して臨んでいます。
もちろん仕事はそれ以外にもたくさんあって、わずか1年足らずの間に本当にいろいろな経験をさせてもらえて、自分としては理事をやらせてもらって良かったなと思っているところです。
これからも一生懸命頑張りますので、応援していただければ幸いです。


さて、昨日の第3局は豊島君の勝ちでした。
おそらく「△6二玉というコンピュータのスキを突いて勝った」と見られるのだろうと思うのですが、それはプロ棋士としてはすこし残念なところです。
最近は公式戦でも100手前後まで想定内の進行というケースもあり、それでいてそこからまた大変な勝負、ということがよくあります。
結局は中終盤のねじり合い、腕力の勝負になるわけで、昨日の将棋も、そうなることを覚悟しての踏み込みだったはずです。
具体的には▲2一角に△4四角や、その後の△4四角で△4五桂など、本譜より良かったと思われる対応がいくつかありました。
対応にミスがあったために、結果的に一気に差がついてしまったという印象です。

これはコンピュータvs人間という戦いの性質ではなく、横歩取りという戦型の性質からくるもので、こういう将棋はちょっとした二択を間違うだけであっという間に取り返しのつかないことになっているケースがよくあります。
タイトル戦という最高峰の舞台でも、実際に何度も起きていることです。
ただ本局はその分かれ道を迎えるよりも手前で、いきなり人間がこれまで考えたことのなかった一手が出た、ということだと思います。

第4局を1-2で迎える展開は昨年同様です。
森下さんには本当に大きなプレッシャーがかかると思いますが、前3局以上の良い将棋と、良い結果を、期待しています。

年度末

2014-03-28 13:24:35 | 日記・雑談
天下分け目の王将戦第7局は、渡辺王将の防衛。
ゴキゲンで勝ったことが大きいと見る向きが多いと思いますが、相穴は彼の土俵、の感を強くする内容でもありました。

今年度のタイトル戦は7つのうち6つまでが防衛だったらしいですね。
えらくいろいろなことがあったような気がして、ちょっと意外でした。
それだけ、竜王位の移動が大きなインパクトだったということかもしれません。

年度内の対局は残すところあとわずかですが、明日は電王戦第3局。
豊島君は誰もが認める次代のエースですから、その内容に注目度は高いと思います。
大阪対局なので会長の登場もあり、私はお休みして自宅観戦することに決めました。
考えてみると現場にはいても、番組のほうをずっと観ているということはこれまでなかったので、どんな感じなのかそれはそれで楽しみです。

明日とその翌週の第4局は、若手棋士が中心になって、東京で解説会を行います。
第3局
第4局
また第5局は、西遊棋のほうでイベントがあると聞いています。
お時間の許す方はぜひ、こちらのほうにもいらしてください。

オールイン

2014-03-26 10:57:15 | 日記・雑談
後輩の天野君の著書が、1週間ほど前に連盟販売部にも届きましたので、さっそく買って読んでみました。
同じ時代、同じ境遇を過ごした人間として、彼の独白は胸に痛く、またそのすべてが真実で本心だということが、よくわかります。
振り返ってみて思うことは、ありのままの事実がやはり普通の人から見れば驚きの連続で、よくも悪くも、特殊で純粋な世界だということです。

彼とは何局も将棋を指していますが、その中で本当に印象深く、いつも思い出す将棋があります。
たしか以前書いたな、と思って検索してみるとやっぱりありました。ブログは記憶の助けになりますね。
108ページに出てくるくだりの、彼がなんとか5勝して降段点を免れた、というその最後の1勝がこの将棋です。

ちなみにこの将棋ですが、ブログエントリからさらに3年半後、対局当時からだと7年後の第23期竜王戦第3局で、同じ形が現れます。
突然この形がプロ間で流行したので、当時非常に驚いた記憶があります。

その将棋は37手目▲7五歩で、他の実戦例もすべて同じように進んでいますが、当時の天野君の指し手は▲2五飛。
以下△6四歩▲7五飛△6五歩▲同歩△8八角成▲同銀△6六角と進んで、▲6三角の妙手が出ます。
とにかく才能豊かな将棋でした。
18で東京に出てくるまで、すごい才能に出会ったことはなかった(と思っていた)自分にとって、たくさんの才能豊かな後輩に出会い、その波に飲み込まれないようにと必死で戦った数年間は、本当にかけがえのない貴重な時期でした。

今日・明日は王将戦第7局。まさに天下分け目の一戦です。
またマイナビ五番勝負も開幕を迎えました。
この2局がどちらもゴキゲン中飛車。そしてモバイル中継の2局は先手中飛車ということで、今日は中飛車祭りですね。

電王戦第2局、負け

2014-03-23 17:35:36 | 日記・雑談
残念、無念の一言です。

途中は佐藤紳哉さんのほうがはっきり優勢でした。
そのまま勝ち切ってほしい内容の将棋でしたが、夕休前後でミスが出てしまいました。
人間にとって本当に大事なのはミスが出た後のことですが、紳哉さんはうまく持ちこたえ、その結果として見応えのある熱戦になりました。
私は担当理事、運営の立場ですから、本当は気持ちを押さえて冷静でいなくてはいけないのですが、昨日の最後の場面は観ていて苦しくなってしまいました。


子どものときからずっと、自分が勝ちたい、強くなりたい一心で将棋に取り組んできて、他人が将棋を指すのを応援する、ということはほとんどなかったように思います。
たまたまだと思いますが30を過ぎたあたりから、そういうことがすこしづつ増えてきました。
そうすることの楽しさ、嬉しさ、喜び、その逆に苦しさ、悲しさ、つらさ、いろんな感情を持ち、受け止められるようになってきました。
そうして感じたことは、感情移入するほどに応援してくれる将棋ファンの、ありがたみ、でした。
応援するというのも、それはそれでなかなかに大変なことなのだと思うからです。

注目されるということは、それだけ肩にいろんなものを背負って戦うということです。
昨年最後の日、船江君のときにも言いましたが、注目される舞台で指せるのは、棋士としてうらやましいこと。
半面ひとりの人間としては、よくその舞台に立ったなあという気持ちもあります。
次の豊島君にも、いろんなものを肩に背負って、いろんな気持ちを胸に抱えて、頑張って戦ってほしいと思います。


話は変わりますが、今日は研修会で、またカロリーナが降級の危機をしのいだとの報告にホッと一息。
なかなか勝てないで苦戦しているみたいですが、勝負強さだけは発揮しているようです。
結局のところもっと強くならないとプロでは通用しないので、目先の白黒だけでなく、しっかり力をつけてもらいたいと願っています。

明日は女流名人の表彰式、その後月例報告会、役員会、書道部。
日常に戻って、長い一日になりそうです。

明日、電王戦第2局

2014-03-21 21:48:48 | 日記・雑談
戦場は、両国国技館。
いろいろありましたが、いまはとにかく素晴らしい将棋になることを願っています。

前のエントリで書きそびれましたが、棋王戦はストレート決着となりました。
そのためあさって予定されていた宇都宮対局はなくなり、私は明日も終日現地に詰める予定です。

将棋界は順位戦の最終局が終わると、各棋士やはりホッと一息の年度末になるのですが(僕自身も年度内の対局は終了しています)、今年はこれから、大きな勝負を見届けなくてはいけません。

あと、理事としては事業部のほうもお預かりしています。
棋士とは逆で、事務局というのは年度末は忙しくなるもののようで、どうも普段より遅くまで仕事している人が多い様子。
年度が替わると消費税UPがあり、半年ぐらい前から対応に頭を悩ませていたことがいよいよ起こるわけで、混乱がなくスムーズに行けばと思います。

電王戦

2014-03-16 08:21:37 | 日記・雑談
昨日が開幕、有明で第1局でした。
既報の通り、残念ながら菅井君は敗れてしまいました。
会見でも話しましたが内容的にもプロがミスをして、あるいは実力を出し切れずに負けたのではなく、この1局に関しては習甦の指し回しが素晴らしかったという印象です。
△5二歩と打った手のことを話しましたが、そのすこし前の△4二飛も、人間にはなかなか思いつかない好手でした。
開発者の竹内さんは本当に紳士で素晴らしい方なので、プロとしては残念でも竹内さんのこれまでの努力が報われたことは、良かったなと素直に思います。

ところで、菅井君の発言の中では「10年後は人間のほうが強いと思う」というのが繰り返しPVや記事で使われていることが多いように思うのですが、あれは「これから人間が(一生懸命努力すれば)いまよりもっと強くなるはず」という意味だと僕は解釈しています。
会見の場での受け答えからも、彼のそういった気持ちを強く感じました。
また、いままでのコンピュータ将棋は勝負には強くても、人間が強くなるために役に立つ感じではなかったのですが、今日の将棋を見ていて、今後はそういういい方向に進むかもしれないなと思いました。

その後の第2局のPV、やはり物議を醸しているようです。
私にとっても全く想定外の事態でしたので、驚き戸惑いながら対応しています。
とにかくできる限り誠実に、かつ正直に事に当たっているのですが、結果それがどのように受け止められるのか、まだ全く分かりません。

現時点で必要な情報はすべて出しましたので、より詳細な説明責任は対局が無事に始まって以降、果たすようにしたいと考えています。
人間ですから、こういう状況で盤上に集中することは非常に難しいと思うのですが、紳哉さんにはなんとかこの一週間は静かに対局の準備に専念してもらいたいと思うばかりです。

今日の中継は棋王戦第3局。
宇都宮の第4局があるかどうか、という意味でも気になる一戦です。

僕自身は、午後から後輩の結婚式。
月曜日はいつも通り役員会と、3か月の一度の理事会です。

大敗

2014-03-12 17:08:07 | 日記・雑談
大反省です。。。
出直します。

早い時間に対局を終えて理事室に戻ると、「電王手くん」のリリースが出ていました。
日経に特に大きく取り上げていただいています。
この話を聞いたときはびっくりしましたが、実はこの話を伝えたときに対局者の皆さんが抵抗感を全く示さなかったことにも、僕はちょっとびっくりしました。

人間ではなくロボット(正確にはロボットアーム)を目の前に将棋盤をはさむのは、どんな気持ちなんでしょう?
僕にはちょっと想像がつきません。

対局者5人は将棋の技術はもちろんのこと、プロの矜持やここ一番の集中力という点でも全く不安のない方ばかりですから、きっと持てる実力を出し切ってくれるものと思います。

明日対局

2014-03-11 12:18:49 | 日記・雑談
新四段との対戦です。相手の石井君はデビューからまだ半年、公式戦数局ですから文字通りの新人です。
最近はこういうケースも徐々に増えてきましたが、初対戦というのはいつも心躍ります。
良い将棋が指せるよう、頑張ります。

昨日は議連総会が行われ、その後役員会でした。
来年度に向けてのいろいろな話が多いです。思えば本当に忙しかったですが、来年度もきっと同じペースでしょうね。
理事になってからもうすぐ暦が一周するわけで、そろそろ新人とも言っていられなくなってきますので、ミスがないよう気を引き締めていきたいと思います。

そのほか女性講習会のお知らせ、名人戦第1局のイベント情報が出るなど、相変わらずお知らせ多数です。
連盟HPでご確認ください。

最終日

2014-03-09 12:49:44 | 日記・雑談
金曜日の「将棋界の一番長い日」、僕は道場感謝デーの視察などで朝から出社。
そのまま夕方まで仕事、いつも通り大盤解説会が始まってしばらくしてから、帰宅しました。
今年は静岡で開催、しかも挑戦者が決まっている状況なので・・と心配していましたが、それでも多くの方が来場されたようです。
最後まで見届けられた方もけっこうおられたみたいで、どうもありがとうございました。
&お疲れ様でした。

最後に残った三浦ー久保戦はまさに死闘、観る人の胸を打つ名局でした。
僕は0時すぎぐらいに寝てしまったので、あとで知ってリアルタイムで見届けるべきだったとすこし後悔しました。
いつものネット中継や解説会以外にも、ニコ生の中継や囲碁将棋チャンネルの放映があり、リーグの展開もなんのその、大いに盛り上がった最終日でした。

翌日土曜日は三段リーグの最終日。
25歳の星野君、28歳の宮本君が四段昇段となりました。おめでとう。
自力で最終日を迎えた2人の昇段でしたが、スンナリという感じではなく、特に星野君は指し直しを制しての昇段だったようです。
2人とも昇段前に十分すぎる実績を引っさげてのプロデビューですから、実力に結果が追いつくようこれから借りを返していってほしいと思います。

今日の午前中は、NHK杯で解説をさせていただいておりました。
本来なら準決勝で登場するような格ではないわけですが、兄弟子につき、お許しください。
あまり前例のない将棋になって解説も難しく、おそらく対局者にとっても一手一手が難しい将棋だったと思います。
大石君にとっては残念な一局になってしまいましたが、今期は順位戦昇級など、目覚ましい活躍でした。
こちらの最終日、決勝戦は1週おいて23日の放映になります。
(来週は来期の女流出場者決定戦)

話題はぐっと軽くなって、今日はponanzaチャレンジの最終日。
まさか本当に全勝してしまうのでしょうか?たしかに強いのは知ってましたが、まさかこんなに誰も歯が立たないとは思いませんでした。
さすがに160連勝とか人間には無理です。(体力的な意味で)
コンピュータ将棋ならではの見せ方で、これを企画したドワンゴさんの目のつけどころ(賞金を提供した一成君の胆力も)はさすがですね。

最近ニコ生の放映が多く、担当理事としてやむをえずちょくちょく視聴しているのですが、これが面白くて、気が付くとけっこう時間がたってるんですよね。
日常生活に支障をきたさないよう、注意が必要です。
まあ将棋にこんなにどっぷりつかった人種がいまさら言っても遅いわけですが(笑)できるだけバランスよく、日々を送るようにはしたいものです。