daichanの小部屋

ある平凡な将棋指しの日常

指導将棋より

2010-07-26 09:05:27 | 将棋
久々に図面。
ちなみに自分自身は、ここ数日かなり将棋に触れたり観たり指したりしたおかげで、だいぶ感触が戻ってきました。


飛車落ち。
いま7五の桂馬を食いちぎって△7六桂と王手して、△7八と、と銀を取ったところ。ここは勝ちになったと思ったのですが。

図以下▲6三金△8二玉▲7三金!△同桂▲8三香成△同玉▲7四銀△9二玉▲7三馬△8一香▲8四桂△9三玉▲2一と!まで下手勝ち(次の図)。


あまりにもぴったりで感動しました。


こちらは二枚落ち。これも上手勝ちそうかと思っていたのですが。


この△5五香を手抜いて▲6二歩!△5七香成▲6一歩成!△4七成香▲6二と△8一玉▲6三金△同銀▲同と△3八成香▲同銀△3九銀▲1七玉まで。

上手は飛車を取らずに受けに回るべきだった可能性が高いですが、こんなに全部手抜きで寄せられるとは思いませんでした。

お二人は会社内でも一番若手の二人で、終盤の伸びがいい感じです。上手としては、こんなに嬉しいことはありません。


今日はブログ研です。ふと思ったのですが、金曜日からプロ、アマ、アマ、プロ、という流れですね。(明日はオフの予定)

指し初め・打ち初め

2010-01-05 08:00:41 | 将棋
昨日に続き、2日の新年会の話題。囲碁棋士どうしの将棋で面白い場面があって、周りにいた同世代の棋士から「ブログ行きだ」「小部屋行きだ」の声があったため、期待に応えて(?)載せます。


白熱の終盤戦。いま竜で4一の金を切って落とし、△同銀まで。いわゆる「詰むや詰まざるや」の場面と言って良いでしょう。答えを見る前に考えたい人は、スクロールせずにどうぞ。






実戦は▲3二銀△同銀▲4二金△3四玉▲3五香△同玉▲2六金△2四玉と進みました。周りは固唾を飲んで見守るばかり(笑)
ほどなくして▲3五金打△1四玉▲1五金!と正解を発見。会場の大方の期待(先手は美人女流棋士、後手は男性棋士でした)に応える結果となったため(?)この昼一番の大きな拍手が

しかし、▲3五香に対して△2四玉と逃げていると?
以下は▲3四金△1四玉▲1五金!と追えば大差ないように見えますが、△同玉▲1六歩△1四玉(これが好手)▲1五歩△2五玉▲2六歩△同玉▲2七銀△2五玉と逃げて・・・(下図)

▲2六歩は打ち歩詰め。▲1六銀や▲3六銀は再度△2六玉で、やっぱり▲2七歩は打てないし、▲2七銀は王手の千日手。ということで、不思議なことに詰まないのです

では最初の図では詰みがなかったのか?と言うとそうではなく、▲3四銀!(金でも可)△同玉▲3五香!という順番で捨てれば、詰んでいました。以下は考えてみて下さい。

ちなみに先手が詰ましに行く直前の手は△4五桂打(駒を渡さないように詰めろをかけた)だったのですが、ここでは△3七歩成▲同銀△3六桂▲3九玉△3八銀!という順で逆に先手玉に詰みがありました。ハラハラドキドキですね。

これを観ていて、将棋の終盤というのは本当に難しいなあ、と思ったしだいです。こんなちょっとしたところでも、これだけの変化があるという。
その深さと面白さを、今年も週刊将棋などで、お伝えしていきたいと思っています。

お二人の将棋を拝見して、いいところに手が行くので感心しました。少なくとも、この直前に行われていた僕の囲碁とはエライ違い(笑)
囲碁も将棋と一緒で、簡単に取れそうなものが取れなかったり、思いもよらない石を取られたりするんですよね。似たゲームのプロとして、もうすこしトン死は減らしたいなあと思いました。こちらは専門分野ではないので図面はありません。

以上、碁打ちの指し初め(たぶん)と、将棋指しの打ち初めのお話でした。
今日は将棋連盟の指し初めの日ですが、碁のほうにもこういう行事はあるんでしょうか?聞きそびれてしまいました。

囲碁の先生方でここを見ている人はあまりいないとは思いますが、初めてお会いしたにも関わらず気さくにいろいろと教えていただき感謝、感謝です。この場にてお礼申し上げます。

クリスマス

2009-12-24 08:57:35 | 将棋
らしいですね。でもそんなの関係ねえ!とばかりに図面ペタペタ。
今日は大人の指導将棋より。


二枚落ち。
ここから▲4五銀!△5九角成▲3四銀△4二歩と進んだ局面、この手合いで寄せきるのは容易でないと見ていましたが、▲2四歩!△同歩▲8五銀!△4八飛▲5二金とうまく寄せました。
二枚落ちは非常に優秀な定跡があり、誰しも一度は勉強してほしいと思っていますが、矢倉・四間飛車など平手と同じ戦法も非常に有力です。


飛香落ち。図より前に飛車の活用を逃し、もう▲1八飛は△1七歩で無効。
実戦は▲7三金と王手。通常こういう手はあまり良くないのですが。


これがありました。一歩千金というやつですね。頻出ではないですが、覚えておいて損のない筋です。

昨日は午前中棋譜を並べて、午後からはずっと原稿書いたりでPCの前にいました。その話はまた明日。

今日明日は朝日杯の中継があります。見ての通りの好カードぞろい。
一般人の皆様は予定を優先しつつ(笑)ご覧いただければと思います。

デビュー

2009-12-22 08:30:39 | 将棋
昨日は弟弟子の対局ということで、NHK杯で解説者デビューさせていただきました。カメラの前で話すのは非常に苦手ですが、まあまあうまくできたかなと思います。本当は対局者でも出たいところですが、まあそれはそれとして(^^;ぜひご覧ください。
放映は1月24日の予定です。広島での視聴率が倍増したりとか、しませんかね。


今日の図面は先週の合宿より。
図は飛香落ちで、例によって飛車を成りこんでからが難しい。
ここから▲5九銀打?△同金▲同銀△3四角▲6八銀打△6五歩▲8八玉△5五銀▲7七銀?△7八銀と進んで逆転。あまり受けすぎは良くないのです。図では▲1二竜ぐらいなら楽勝だったでしょう。


これは3面指しながら本気モードの角落ち。簡単に5筋を受けてないのが上手の工夫。
ここから△5四銀▲6八銀△5三銀▲5七銀?△6五銀▲7五歩?△7四歩と進んで上手ペース。以下は右玉にすれば手厚い形です。
下手は▲6六歩~▲6七銀の要領で中央を押し上げていくほうが良かったでしょうか。
全般的に、ドラの子にはすこし厳しめに指したかもしれません。かなり強かったですが、師範の木村さんによればもっと強い子もいるそうで、小島さんの熱心な指導ぶりがうかがえます。


最後は栃木の高校生との平手戦。角交換振飛車、「2五桂ポン」もいまや普通の戦術です。
ここから▲8九飛!△8五歩▲8三角が感心した手順。この自陣飛車は、あまり見ない手筋と思います。
結果は惜敗でしたが、こうやって自分でいろいろな手を考えていれば、まだまだ伸びることでしょう。


今日は午前中ちょっとした打ち合わせで、夕方から小学校です。個人的には、今日で一応の仕事納めです。

<追記>
今日は棋王戦挑決の中継がありますね。
棋王戦は「敗者復活」のある独特のトーナメント戦を採用しており、決勝は変則二番勝負となっています。

昨日の将棋より

2009-12-18 08:20:07 | 将棋
飛香落ちを2局。

うまく飛車を切って敵陣を突破した図。しかしここから▲5五桂△7二玉▲6三角と王手で追ったのが悪手。
ここでは平凡に▲3三馬と取れば、次に▲4五角(△5四銀はそこで▲5五桂、△6二玉は▲5一馬)の寄せがあり勝っていたでしょう。王手で追いかけて持駒を使いきるのは悪いパターンです。


▲4三金と銀を取った場面で、△同桂は▲9一竜で寄り。下手楽勝に見えますが、ここから△1四角!▲2五歩△4一歩▲3二金△7五歩と進んでもう大変。
▲2五歩は一見普通の手に見えますが、▲5二銀か▲5三金と攻めるべきでした。左美濃は△5八と~△6九と、とされても詰まないのが特長です。△4一歩で竜が止まっては難しい。平手でも応用の利く粘りでしょう。


▲6六桂と打たれてトン死。気づいていればいくらでも避けられたのですが・・プロでもこういうことがあります(笑)
このほかに平手でもう1局、完敗した将棋がありました。


最近よく思うのですが、将棋が強くなる方法はすごく単純で、それは「バカになる」のひと言に尽きます。バカになるとは何事か、と思われるかもしれませんが、これを一般的な言葉で言うと、夢中になるということです。難しい言葉で言うと「無心」です。

昨日も25局指しました。今週は夢の100局ペースです。
指導将棋も得るものが多く、なかなか面白いです。

おめでとう

2009-12-07 09:43:55 | 将棋
昨日はめでたすぎて飲みすぎました。これからも、お互い頑張りましょう。


図面は最近見た将棋から。いい勝負ですが、先手陣にはちょっとおかしなところがあります。分かりますか?


今日は今年最後の連盟書道部です。若手棋士の皆様をお待ちしています。

良い形、悪い形

2009-11-24 08:26:36 | 将棋
昨日書いた栃木での仕事ではここ数年、終わりの挨拶に代えて(堅苦しい挨拶は苦手なので)その日の将棋を観戦していて感じたことを、ワンポイントアドバイスという感じでお話することにしています。

今年は「強い人の将棋は形が良い(きれい)」という話をしました。ということで、その例をご紹介。





どこをどう直せば「良い形」になるか分かりますか?

「ちょっと直せば、すごく強くなる部分」を探し出すのは、自分の指導の上でのテーマの一つです。プロレベルになるとそういう画期的な処方箋はないでしょうけど、初段を目指す子たちなら、(それぞれに合わせて、ですが)きっと良い方法があるはず、と思うのですね。

こちらは感心した一局。
矢倉で▲3三歩と攻めた場面。ここから△同桂(▲同桂成△同金)▲3五角と進むのが一般的な手順。

厳密にはこの攻めは無理なのですが、この局面で△2四銀!▲3二歩成△同飛と受けたのには感心しました。頭が柔らかいですね。


今後も機会があれば、こうやって観戦して感じたことを記しておこうと思います。

最近「カテゴリ」という機能はすっかり忘れていましたが、久々に「将棋」というカテゴリで投稿してみました。

衝撃

2008-08-20 10:55:29 | 将棋
この驚きをどう表現して良いものか・・中継を見ていてあんなにびっくりしたのは初めてです。

羽生ー丸山戦は角換わりの定跡形で、アマチュアの方にはあまりなじみがないと思いますが自分には大いに関心があり、興味深く見ていました。難しい終盤が続くのでただ見ているというわけにもいかずあれこれ読みながらの観戦です。おかげで他の仕事はいまいちはかどりません(笑)

延々と分からない局面が続き、ようやくはっきりしたかなと思ったその矢先。突然丸山投了と出て、本当に画面の前で絶叫してしまいました。
記事によれば前局の深浦戦も大逆転ということでしたが、あのときは見ていてそれほどのインパクトは受けませんでした。でも昨日は本当に本当にびっくりしました。神懸かっているとしか思えません。

内容的にも本当に見ごたえ十分の一局でしたが、この結末は・・。観戦している自分の考えがどの程度正しかったか、後日記事で検証してみようと思います。


A級の深浦ー谷川戦も終盤の詰む・詰まないが難しく面白かったですね。こういうのを観戦する場合は、アマチュアのほうが強いんだろうなあとしみじみ。僕は詰将棋のソフトを入れてないので(笑)

それにしても、羽生玉と谷川玉の詰み筋を同時に家で考えているとは、何とぜいたくな過ごし方なんでしょう。便利な世の中になったものですね。

C2は全体的に、ベテラン健在を思わせる結果でしたね。若手の厳しい表情が多い一日でした。やっぱりプロの世界は簡単にはいきません。


中継は楽しいです。画面から刺激と衝撃を受けて、今日も一日しっかり勉強します。