大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

RE・かの世界この世界:204『鬼ノ城・6』

2023-08-31 14:27:25 | 時かける少女

RE・

204『鬼ノ城・6』テル 

 

 

 おててつないでみな帰ろぉ~ からすといっしょに帰りましょ~

 

 不朽の名曲に詠われているように、夕焼けの空には人や家やふるさとを想うなにかがあるんだろう。

ケイト:「他のみんなは、どうしてるんだろう……」

桃太郎二号:「え?」

 ケイトの呟きに桃太郎二号はキョトンとする。

ケイト:「あ、なんでもないよ」

桃太郎二号:「なんでもなくないだろ、おめえ、涙ぐんでるじゃねえか」

ケイト:「なんでもないよ」

桃太郎二号:「言えよ、水くせえなあ」

ケイト:「うるさいなあ」

桃太郎二号:「そっぽ向くこたぁねえだろ!」

わたし:「じつはなぁ……」

 わたしは、そっと二人の間に入ってやった。

わたし:「イザナギさん以外は、みんな別の世界からとばされてきたんだ」

桃太郎二号:「別の世界?」

わたし:「ああ、みんなで……その…………鬼退治みたいなことをやって旅をしていたんだ」

 すこし言葉に迷ったけど、鬼退治という言葉がしっくりきた。

桃太郎二号:「お、おまえらも鬼退治してたのか」

わたし:「うん、他にも、みなしごやら人身御供をあやうく免れた者やら、小さな妖怪みたいなのが人になったのやらな」

ケイト:「みなしごはロキっていうんだ、ヤンチャな奴で、なんか桃太郎二号に似てるかもね」

桃太郎二号:「そうか、きっといい奴なんだな(^_^;)」

ケイト:「うん、いい奴だ」

桃太郎二号:「そ、そうか……って、ここは『んなことあるかあ』って突っ込むところだろが!」

みんな:「あははははは……」

ヒルデ:「人身御供の方はユーリアって云ってな、とびきりの美少女だ。まあ、わたしの次くらいにな」

桃太郎二号:「そ、そりゃすげえ」

ヒルデ:「あはは、そこは『んなことあるかあ』だろ!」

桃太郎二号:「え、あ、あ、そうだった(;'∀')」

みんな:「あははははは……」

桃太郎二号:「で、でぇ、妖怪が人になったてのはなんだ?」

ケイト:「ロキってのが孤児院に居たころから世話してやってたんだけどな、ちょっとしたことで、みんなとケンカして、戻ってきたらだんだん人間みたいになってきたんだ」

桃太郎二号:「なんか眉唾」

雪舟ねずみ:「いや、わたしだって、もとは雪舟さんが涙で描いただけのねずみでしたからね」

わたし:「そうだ、和尚さんにこっぴどく叱られて柱に括り付けられたあとにリアルになったんだったな」

雪舟ねずみ:「はい、あの時、和尚さんがこっぴどく叱らなければ、わたしは生まれていないところでした(^_^;)」

桃太郎二号:「そうかそうか、やっぱ、たまには揉めなきゃ人も妖怪も進歩しねえんだな。一号も退治した後は鬼ともうまくやったって話だったからな」

 カサカサカサ

桃太郎二号:「前から聞こうって思ってたんだけど、タングが背負ってるのは何だ、時どきカサカサ音がして、タングねえちゃん、なにかボソボソ言ってるだろ?」

タングニョースト:「わたしの戦友だ」

桃太郎二号:「あ、ひょっとしてお骨か!?」

タングニョースト:「そうだ、だがな、こうやって背負っているとな、いつか必ず蘇るんだ」

桃太郎二号:「そ、そうなのか?」

 ガサガサ

 違うところで音がしたかと思うと、与一さんが草むらから出てきて済まなさそうな顔で立っている。

イザナギ:「与一さん……」

 

与一:「申しわけない、やはり手紙では意を尽くせんのです。わたしも黄泉の国に行って、直接父上と話してみたいと思います」

 

 黄泉平坂への旅の仲間が一人増えた。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎 雪舟ねずみ

 

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くノ一その一今のうち・73『謁見』

2023-08-31 10:25:45 | 小説3

くノ一その一今のうち

73『謁見』そのいち 

 

 

「今から国王に会ってもらう」

 

 車寄せでバスを降りると、トヨタを下りた王女が待ち構えて告げる。

 遠足で目的地に着いて、先生が、取りあえずの注意をしている感じでおかしい。

「謁見の形式なので、身なりには気を付けてもらう。特段に着替える必要はないが、ネクタイはまっすぐ、ボタンは上まで止めて、上着のボタンも締めて欲しい。基本的に、聞かれたことのみ応えて、発問は控えてもらう。その後は王妃と会食。二時間ほどはかかる。途中トイレにはいけないから、10分間のトイレ休憩にする」

 ほんとうに引率の先生だ(^_^;)

 トイレ休憩が終わって、いよいよ謁見。帝国ホテルの結婚式場か(行ったことないけど)と思うくらいに高級感漂う広さと豪華さ。

 二段高くなった、その上にクッションで脇と背中をサポートされた玉座に王様が座っている。脇に控えているのは、おそらくはドクターだろう。

「父上、日本より『バトル オブ ハイランド』の撮影隊の方々が来られましたので、お連れいたしました」

「うん、ごくろう。みなさん、はるばる日本からお越しいただき、まことにありがとう。国王のアデノシン・サンリンサンです。高原の国を代表して歓迎いたします」

 王女の目配せを受けて、まず徳川社長が挨拶し、みながそれに倣ってまあやの番になる。

「鈴木まあやです、縁あって、今回主演を務めさせていただきます」

「鈴木とは……」

「あ、はい、日本で一番ありふれた苗字です(^_^;)」

「……苗字はそうでしょうが、身にまとわれた雰囲気は尋常なものではない。まあやさん、今少し顔を上げて目を合わせてはくださらんか」

「は、はひ(#'∀'#)」

 アセアセで顔を上げたまあやに王様は目を丸くされた。

「おお、似ている。若いころの母にそっくりだ、今少し近くでお顔を見せて下さらんか」

「は、はい……」

 三歩ほど前に出ると、控えのドクターが――そこまで――という目配せをして、まあやは足を止めた。

「アデリア」

「はい」

「まあやさんの横に並んでみなさい」

「はい」

「……ここには、撮影隊の方々の他にはドクターのホイヘンスしかおらん。ホイヘンスはおまえの侍医でもある、サングラスをとりなさい」

「はい……」

 ゆっくりとサングラスを外す王女。

「わたしの顔だけを見てどうする、みなさんにも顔を見ていただきなさい」

「そ、それは……」

「王命である」

「はい!」

 わ!?

 おずおずと振り向いた顔に息を呑んだ!

 

 め、めちゃめちゃ可愛い!!

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女

 

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RE・トモコパラドクス・3『あの日の秘密』

2023-08-31 06:59:15 | 小説7

RE・友子パラドクス

3『あの日の秘密』  

 

 

 

 あらかわ遊園から帰った夜、一郎は夢を見た。

 

 あの日の夢だった。

 事実、あの日のことは一カ月前までは夢だと思っていた……三十年も前から時おり見る夢。

 首都高某所で事故が起こった。夜の九時頃だ。

 

「いっちゃんは、おばちゃんちで待ってな!」

 

 騒ぎに気付いて向かいのおばちゃんが言ってくれた。でも、無理を言って両親に挟まれる形でパトカーに乗り込んだ。代々木に出たところまでは覚えていたが、そのあと意識がもどったのは、病院の待ち合いのようなところだった。父と母はソファーに座って眠ったままだ。

「ああ、目が覚めたのか……」

 通りかかった白衣のお医者さんのような人が言った。子供心にも「まずかったかな」という気持ちになった。

「この子は、あの子の弟だ、多少、同じ素因をもっているんだろう」

「かもな、我々を見てしまったのなら、見せておくべきかも知れない」

 その時代には存在していないスマホのようなもので、そのお医者さんのような人は連絡をとった。

「……分かりました。連れていきます。あれ飲ませといて」

 もう一人の若そうなお医者さんみたいな人に指示して行ってしまった。

 その時飲まされたジュースのようなもののせいかもしれないが、一郎は、すごく落ち着いた気持ちでエレベーターにのせられ、地下何階かで降りて長い廊下を歩いた。

 

 扉が二重になった部屋は、機材の少ない実験室のようだった。

 

 そして正面のガラスの向こうに、姉が裸で横たわっていた。

「おねえちゃん……」

 声をかけてみたが、姉の姿に命を感じなかった。

 姉の手術台が百八十度回って、見えた姉の左半身は、焼けただれていた。

「え……おねえちゃん、死んじゃったの?」

「それを今から説明するの」

 いつのまにか、白衣の女の人が立っていた。とてもきれいな人だったけど、地球の人ではないような気がした。

「お姉さんは、首都高を車に乗せられてすごいスピードで走っていたの」

「……誘拐されたの?」

「その逆。誘拐されかけたのを仲間が助けたの。でも間に合わなくて、車ごと吹き飛ばされた」

 女の人が、リモコンみたいなのを押すと、逃げ回る車を追いかけているローターの無いヘリコプターみたいなのが三つ見えた。

 それがSF映画のように逃げる車を追いかけ回し、目には見えない弾のような物を撃っていた。弾はステルスだけど、その周辺の空間が歪むので弾なんだと分かる。路面に落ちたそれは、微かに光って消えてしまうが、巻き添えを食った他の車に当たると、ハンドルを切り損ねたようにスピンしたり、ひっくり返ったりして、他の車や側壁に当たって、事故のようになる。

 やがて、トンネルに入る寸前で車に命中し、車は三回スピンしてトンネルの入り口に激突。ボンネットから火が噴き出し、またたくうちに、車は火に包まれた。なんだか外国語で命ずるような声がして、カメラは路面に降り立ち、他のヘリからもまわりの空間が歪むことで、それと知れるステルス人間達が降りてきた。

 やがて、車から、煙を立てながら男がおねえちゃんをだっこして出てきた。一瞬身構える男。見えない弾丸が空間を歪ませながら飛んでいく。身軽に男は、それを躱すが、おねえちゃんを庇って背中に二発命中した。男は再び燃え上がり、おねえちゃんは路面に投げ出された。

 その直後、敵の男達が、どこからか飛んでくる弾に当たって、次々と倒れ、画面も横倒しになって消えてしまった。

「これ、オバサンたちが助けたんだね……」

「そう、理解が早いわね。このあとお姉さんだけを救助して、ここに運んだ」

「……男の人は、おねえちゃんを庇って死んだんだね」

「……そしてお姉さんも、さっき息を引き取ったの」

「じゃ……」

 映画の出来事のように冷静に喋れるのは、さっき飲んだジュースのせいだろう。

「でもね、こっちを見て……」

 ガラスの向こうでカーテンが開き、金属で出来た骸骨の標本みたいなものが現れた。よく見ると、そいつの骨の間には、部品のようなものが入っていて、見ようによっては作りかけのサイボーグのようにも見えた。

「作りかけのロボット。お姉さんの記憶は、脳が死ぬ前に、こっちのロボットのここに入力した」

 女の人は、自分の頭を指差した。

「じゃ、おねえちゃんは!?」

 初めて感情のこもった声が出た。

「死んじゃいないわ。体が変わっただけ」

「おねーちゃーん!」

 一郎は、ガラスを叩いた。

「ぼく、ガラスを叩いちゃ……」

「いいわよ。感情を抑制しすぎると精神に影響するわ」

「おねえちゃん……生き返るの……?」

 一郎は、聞いてはいけないクイズの、最後の答を催促するようにオズオズと聞いた。

「動力炉、それと生体組織がなんとかなればね」

「なに、それ……?」

「エンジンと、ボディー。エンジン無しじゃ車は走れない。ロボットもね。それにスケルトンのままじゃ外に出せないでしょう。わたしは、これの専門家じゃないから、そこまでは手が回らないの。お姉ちゃんはもどってくるわ。それが、明日になるか十年後になるかは分からないけどね。時間軸の座標を合わせるのは、少し難しいの。それに、この世界では違法なことだしね」

 両親には、娘は事故死したと伝えられ、焼けただれた右半身を隠した遺体を見せられた。両親は娘は死んだことで納得した。

 晩婚だった両親の悲しみは深く、葬儀のあと、二人とも急に老け込んだ。それでも幼い一郎のためにがんばり、父は去年亡くなり、認知症の母は介護付き老人ホームに入っている。

 事故そのものは、首都高の大事故として処理され、そして、三十年の歳月が流れた。

 

『明日、10時、代々木の○○交差点でお待ちしています』

 

 そのメールがやって来たのが一カ月前だった。

 そして、三十年ぶりに会った姉は、当時の十五歳の姿のまま羊水の中でまどろんでいた。

「ここまで、歳が離れちゃお姉ちゃんというわけにはいかないなあ」

 当時若かった初老の医者が、そう言って腕を組んだ。

「大伯父の孫娘、親が亡くなって見寄なし……という線でいきましょう。書類やアリバイ工作に時間がかかるから、一カ月後ということにしましょうか」

 女の人は、ひとりだけ、三十年前の若さで言った。

 

 そこで目が覚めた。

 

 血圧の低い春奈は、まだ眠っている。

「おーい、友子、もう起きろよ……」

 すると、後ろで声がした。

「どう、さっき来たの。乃木坂学院の制服。似合うでしょ!」

 制服を着て、スピンした女子高生の姿は、とても姉とは思えない可憐さであった。

「二十八歳年下の姉ちゃんか」

 振り返った友子が、スリッパを投げてきた。

 

 パコン

 

 見事一郎の頭に命中し、いかにも軽い音がした……。

 

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巡(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記・050『酒屋にお使いに行く』

2023-08-30 08:58:52 | 小説

(めぐり)・型落ち魔法少女の通学日記

050『酒屋にお使いに行く   

 

 

 大きなネコでしたねえ!

 

 ロコが感心して、佳奈子と真知子は「「え?」」という顔をしている。

 耳もとをピシュって音をたてて何かが過って、いっしゅん安倍さんが暗殺されたときのことがよぎった。

 そして、その直後、プラグスーツみたいなのを着たアイさんがコンマ5秒ほど見えた。手にぶっそうなものを持って駆けて行くところが!

 あ、アイさんっていうのは、滝さんのお店の常連のOLさんで、じつは猫又さん。

 ほとんど一瞬なので、見えたのはロコとわたしだけ。

「マリーアントワネットが飼っていた猫に似ていました。メインクーンという種類で子どもぐらいの大きさがあるんです!」

 1970年にメインクーンが日本にいたかどうかは知らないけど、ネコに見えていたのならドンマイ。

 

「メグリ、あんた撃たれたんだよ!」

 

 家に帰って、ピシュって音と、アイさんを見かけたって話をすると「ちょっと調べてくる」といって出て行ったお祖母ちゃんが、30秒後に帰って来て、開口一番言った。

 たった30秒というのは、魔法少女の技で1970年に戻って、たった今帰ってきたから。

 顔やら出した腕が赤く日焼けしてる。こっちでは30秒だけど、向こうでは丸一日以上は居たんだ(^_^;)。

「これが、メグリを撃った弾だよ」

 コロリと無造作に置かれた弾は、ドングリほどの大きさ。

「9ミリ、M9の弾だよ」

「M9て?」

「アメリカとかの軍用拳銃」

「ええ、アメリカに撃たれたの!?」

「違うね、メグリは暗殺されかかったんだ。暗殺者はすぐに足の付くような拳銃は使わない……」

「それよりも、なんでわたしが狙われるわけ!?」

「万博に行って、何かなかったい?」

「ええ……ふつうだった……と思うよ(^_^;)」

「なにか目撃したとか、なにか拾ったとか?」

「ええ……なにも思い浮かばないよぉ(;'∀')」

「旅行に持っていったもの、ぜんぶ持っておいで」

「ええ、全部?」

「全部!」

 

 着替えとかは全部洗濯してるし、意味ないと思うんだけど、カバンをひっくり返してシワクチャになったレシートとかまで持ってきた。

 

「ううん……特にっていうのは無いねえ」

「でしょ」

「もうちょっと調べてみるかぁ……あ、夕べの浴衣はどうした?」

「洗い方分からないから、部屋に吊ってある」

「後で洗っとくわ、わたしも昭和から帰ってきたところだから……あ、ビール無い」

「え、先週いっぱいあったのに」

「飲んじゃった、メグリ買って来てぇ(^▽^;)」

「ええ、未成年に買いに行かせるぅ?」

「池田酒店ならお使いでいったことあるだろぅ」

「まだ、朝なんですけど」

「向こうじゃ、夕方まで駆けずり回ってたのよ、ほらあ」

 日焼けした腕を突き出されては文句も言えない。

「へいへい」

 

 お代をもらって自転車に跨る。

 

 池田酒店は川沿いを下って横っちょに入ったところ。言うのは簡単だけど、距離にして800メートルはある。

 行きは微妙な下り坂で、ほとんど漕がなくてもいけるけど、帰りはビールをのっけて漕がなきゃならない。

 まあ、これも親の代わりの親孝行。

 分かるわよね、うちのお母さんはMSAT(Mars stay acclimatization training=火星順応滞在訓練)というので、四年間の疑似火星環境のドーム暮らしで、わたしが高校を卒業するまで出てこれない。

 坂の途中で高校生たちが下校してくるのとすれ違う。

 そうか、令和の時代は24日ごろから二学期が始まってる。昭和の学校は8月はまるまる休みだからねえ。それに70年の9月1日は土曜だからすぐ日曜だしねえ(^▽^)/

 ちょっとした優越感を糧に池田酒店に到着。

「あ、お祖母ちゃんから電話あったよ」

 店主のおっちゃんは、すでに用意の6本入りを四つ箱に入れて待ってくれていた。

「ゲ、四つも!?」

「悪いねぇ、配達してたら夕方になっちゃうから(^_^;)」

 そうだろうねえ、パートのおばちゃんも辞めて、配達はまとめてってことになってるらしいし。

「おつまみ、サービスで入れといたから(^_^;)」

「あ、どうもすみません」

 サービスはわたしにしてよ……思いながら800メートルの帰り道。

 

 帰り道、半分まで戻って来るとスマホのアラーム。

 なんだろうと開いて見ると警察のアラーム。凶悪犯罪とか起こったのかなあ!?

 タッチすると、不発弾処理が、無事に終わったというお知らせ。

 そうだ、先月の末から、ずっと不発弾処理をやってたんだった。

 うちは、道一つ避難地域から外れていたので関係なかった。避難地域の人たちは、何時間か避難してたんだろうね。

 見に行こうか……いっしゅん思ったけど、めちゃくちゃ暑くなってきたし。大人しく自転車を漕ぐ。

 

「メグリ、これだよ、これ!」

 

 今度は家に不発弾?

「ちがうよ、バッチバッチ!」

「え?」

 お祖母ちゃんが、ググっと差し出したのは帯締めに使っていたガガーリンのバッチ!

「ICが入ってる、1970年の技術じゃないよ、これ発信機だよ」

 

 え、ええ!?

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 時司 巡(ときつかさ めぐり)   高校一年生
  • 時司 応(こたえ)         巡の祖母 定年退職後の再任用も終わった魔法少女
  • 滝川                志忠屋のマスター
  • ペコさん              志忠屋のバイト
  • 猫又たち              アイ(MS銀行) マイ(つくも屋) ミー(寿書房)
  • 宮田 博子(ロコ)         1年5組 クラスメート
  • 辻本 たみ子            1年5組 副委員長
  • 高峰 秀夫             1年5組 委員長
  • 吉本 佳奈子            1年5組 保健委員 バレー部
  • 横田 真知子            1年5組 リベラル系女子
  • 加藤 高明(10円男)       留年してる同級生
  • 藤田 勲              1年5組の担任
  • 先生たち              花園先生:4組担任 グラマー:妹尾 現国:杉野 若杉:生指部長 体育:伊藤 水泳:宇賀
  • 須之内直美             証明写真を撮ってもらった写真館のおねえさん。

   

 

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RE・トモコパラドクス・2『あらかわ遊園』

2023-08-30 07:22:34 | 小説7

RE・友子パラドクス

2『あらかわ遊園』   

 

 

「残念ねぇ、明日だったら『川の手荒川まつり』があったのに」

 

 友子が「チッ」と舌を鳴らした。ナリは高校生だが、小学生が背伸びしたようなリアクションが微笑ましい。

 結成四日目の家族は、連休の二日目を「あらかわ遊園」で過ごしている。

 他に有りそうなもんだと一郎は思ったが、妻の春奈と娘の友子の意見が一致したのだからしかたがない。

 

「荒川の名産品なんかが見られるんだって」

「荒川の名産見てもなぁ……」

「荒川周辺て、再開発が進んで人口も増えてるから、マーケティングの値打ちあるかもよ」

「ブーー、仕事の話はよそうぜ、休みなんだから」

「新製品開発のプロジェクトチームなんだから、アンテナ張ってなきゃダメじゃん」

「ま、いずれにしろ、『川の手荒川まつり』は明日なんだから、仕方ないだろ」

「そういう態度がねぇ……」

 

 と、夫婦ゲンカになりそうなところに、友子が戻ってきた。

 

「明日は、お墓参りだもんね。はい」

 友子は器用に持ったソフトクリームを配給した。とりあえずバニラ味の冷たさでヒートアップは収まった。

「ね、あっち、ついたちに生まれたばっかりのヤギの赤ちゃんがいるよ!」

「走ったら、アイスおちるぞ!」

「そんなドジしませ~ん」

 どうぶつ広場にいくと、親のヤギに混じって、生まれて間もない三匹の子ヤギがのんびりしていた。ここに来るのは、小さな子連れの親子が多く、鈴木一家は浮いて見えないこともないが、雰囲気は十分周りに馴染んでいる。 

「ディズニーランドや、スカイツリーじゃ味わえないもんねぇ(^▽^)」

 子ヤギが、なにか楽しいのだろう、ピョンピョン跳ね出した。

「チャンス!」

 友子も、まねしてピョンピョン跳ねる。

「ねえ、レンシャ! レンシャして!」

「レンシャ?」

「おっけー!」

 パシャパシャパシャパシャ

 一郎は分からなかったが、春奈がすぐに反応した。スマホを連写モードにしたのだ。

「アハ、これかわいい( ˶´⚰︎`˵ )!」

「どれどれぇ( ◜ᴗ◝)」

「おお( °o°)」

 子ヤギと友子が、同時に空中浮遊しているように見える写真が二枚あった。

「あ~、これいいけど、おパンツ見えかけぇ」

「いいわよこれくらい。健康的なお色気。ウフフ」

 それを聞きつけた女の子たちが遠慮無く覗きに来て「わたしもやる~!」ということで、あちこちで、おパンツ丸出しジャンプ大会になった。

「あはは、いいぞいいぞ! みんな、もっと飛んでぇฅ(^ω^ฅ)!」

 無邪気に笑っている友子は、AKBとかにいてもおかしくないほど明るい少女だ。

 

「おお、スカイツリーがよく見えるんだ!」

 

 観覧車に乗ったとき、めずらしく一郎が反応した。

「ね、穴場でしょーが」

 友子が得意そう。

「ちょっとあなた、手を出して」

「え……」

「はやく、もうちょっと下!」

「ああ、こうね」

 友子の方が理解が早く、いい写真が撮れた。まるで、一郎の手の上に載っているようにスカイツリーが写っている。

 

「荒川って、銭湯の数が日本一多いんだよぉ」

 スカイサイクルに乗っているときには友子が指を立てる。スマホで検索している様子も無いのに興味も話題も的確だ。

「フフ、大きい湯舟って魅力よね」

「お母さん、入ったことあるんだ!」

「小っちゃいころ、保育所で連れてってもらった」

「こんど行こうよ、ねえ、お父さんも」

「ええ、風呂はいっしょに入れないだろ」

「スーパー銭湯なら水着で入れるとこもあるわよ、ねえ、ともちゃん」

「わたし的には町の銭湯がいいかなぁ、赤い手拭いマフラーにしてぇ、洗い髪が芯まで冷えるのはごめんだけどぉ」

「ちょっと懐メロすぎねえかあ(^_^;)」

「荒川の子って、そういうところで青春してるんだぁ……ちょっとオシャレって思う心が大事だと生意気を言う友子!」

 そう言って、さっさと背中を向けると、友子はアリスの広場に向かった。

 

 ヘックション!

 

 今の友子の言葉に仕事のアイデアとして閃くものがあったが、お日さまのまぶしさでクシャミをしたら、吹っ飛んでしまった。

 まあ、一郎の職業意識というのは、この程度のもの。

 春奈は同じ美生堂(みしょうどう)の社員としても、夫としても不足に感じるところではあった。

「ここ、こっちに来て!」

 セミロングの髪を川風にそよがせながら友子が手を振る。

「どうしてここなの?」

 春奈が、ランチボックスを広げながら聞く。

「ここはね、まどかと忠友クンが運命のデートをするとこなの」

「なんだい、それ?」

「これよ」

 友子が、リュックから青雲書房のラノベを出した。

「『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』……これ、トモちゃんが行く学校じゃない!?」

「うん、ドジでマヌケだけど、わたし、話も登場人物も好き。こんな青春が送れたらいいなって思っちゃった。ね、ここ、なんでアリスの広場っていうか知ってる? 知ってる人ぉ!」

 友子が自分で言って、自分一人が手をあげた。

「あのね。荒川リバーサイドの頭文字。ね、A・R・Sでアリス」

「ハハ、オヤジギャグ」

「オヤジの感覚って、捨てたもんじゃないと思うよ。その『まどか』の作者も六十歳だけど、青春を見つめる目は、いけてるわよ。忠友クンが、キスのフライングゲットしようとしたとき、そのアリスの広場のギャグが出てくんのよ」

「ラノベか……」

 そう呟きながら、一郎はサンドイッチをつまんで『まどか』を読み始めた。春奈は、ぼんやりと川面のゆりかもめを眺めている。

 意外にも、のめり込んで一章の終わり頃までくると寝息が聞こえた。

 友子が、ベンチで丸くなって居眠っている。

 一郎は、初めて友子に会った時のことを思い出した。

 

 羊水の中で丸まった友子は天使のようで、とても三十年ぶりの再会とは思えなかったことを……。
 

 

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RE・かの世界この世界:203『鬼ノ城・5』

2023-08-29 14:48:20 | 時かける少女

RE・

203『鬼ノ城・5』テル 

 

 

 雪舟ねずみなので、本格的なお茶かと思ったら、ヤカンに湯を沸かして急須で淹れるという簡便なお茶だ。

 

 一方、タングニョーストの炉はブタの丸焼きができそうなくらい堅牢でごっついものになった。

雪舟ねずみ:「ハハ、わたしの茶には舞台が大きすぎるようです(^_^;)」

タングニョースト:「すまん、戦場では、いつもこれくらいの炉を構えていたのでなあ」

ヒルデ:「いや、わたしも違和感が無かったぞ」

 ヒルデもいっしょに頭を掻いている。

イザナギ:「それなら、いっそ食事にしましょう」

テル:「しかし、イザナギさん食事の準備はなにも……」

イザナギ:「これでも神です、イザナミほど器用にはできませんが、食べたことがあるものなら再現できます」

桃太郎二号:「あ、きび団子なら、ちょっと飽きたかもなぁ(^〇^;)」

ケイト:「桃太郎が言うな」

 ポコ

桃太郎二号:「どつくこたぁねえだろ、ケイト!」

イザナギ:「きび団子ではありません、うどんとたこ焼きです。どちらも作るところを見ていましたからね」

ケイト・桃太郎二号:「「食いたい食いたい!」」

 二人の食欲につられて思いついた。

テル:「材料は、いっしょだからお好み焼きも作ろう!」

 

 お好み焼きぃ??

 

 説明してやると、みんな目を輝かせたり涎を垂らしたり。期待値マックスの中でお好み焼きに挑戦。

 

タングニョースト:「これは、こちらの世界に来た時に匂いだけが残っていた……」

ヒルデ:「ああ、タングニョーストは柄杓の水を飲んだだけで蘇ってしまったんだった」

イザナギ:「ああ、あの水にはミネラルもカロリーも十分入っていましたから、満ち足りてしまったんですねえ。よかったら、そっちの方でも……」

みんな:「「「「「食べたい!」」」」」

 声が揃って、鬼ノ城はこなもん大会になった。途中、雪舟ねずみが「与一さんにも」とお好み焼きとたこ焼きを持って行ってやる。

雪舟ねずみ:「一心不乱に書いておられましたよ、思いが溢れてこられるようです」

イザナギ:「そうでしょうねえ、与一さんはとびきり優しい人ですからね……」

 わたしは「そうですねえ」と辛うじて返事をしたが、みんな食べることに一生懸命だ。

 

 パクパク、ガツガツ、パクパク、ガツガツ…………

 

 パクパク、ガツガツと食べているうちに、いつしか鬼ノ城は泣き出してしまいそうなくらいの懐かし色に染まる。

 カラスやトンビもねぐらに帰り、遠くお寺の鐘もゴーーンと鳴って、宵の明星さえ月と並んで輝きだした……。

 

 

☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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鳴かぬなら 信長転生記 140『信長版西遊記・砂丘を回り込む』

2023-08-29 10:54:10 | ノベル2

ら 信長転生記

140『信長版西遊記・砂丘を回り込む信長 

 

 

 三蔵法師はただのオブジェだ。

 

 二宮忠八が工夫を重ね努力の末に作りだしたハイパー紙飛行機を馬に変えた、その余りで造ったオブジェ。多少のギミックはあるが、せいぜいゲームのNPC。盗まれて惜しいものではないが、オブジェであるとバレるのはまずい。

 三国志の中原に出て、魏王曹操を倒すまでは西遊記を続けなければならない。

「なかなか追いつかないブヒ、敵はもうじき砂丘の陰に隠れるブヒ」

「八戒、おまえが載っているからだウキ」

「これは変装ブヒ、体重は本性の市のままだブヒブヒ!」

「いや、八戒は大きいから風の抵抗が大きいッパ。少し前かがみになって風の抵抗を減らすッパ」

「了解ブヒ!」

 ムギューー

「こ、こら押すな!」

 八戒が真ん中なものだから、後の沙悟浄は平気だが、前の俺は馬の首と八戒の腹に挟まれて潰されそうだ。

「だ、だってぇ、ねえ、さっきみたいに空飛んで追いかけられないのブヒ!?」

『無茶いうな』

「なんか言った、ブヒ?」

「いや、緊箍児(きんこじ)だ、俺の頭の金輪だウキ!」

「あ、これって一言主だっけブヒ?」

『わしはコスプレの神じゃ、多少のギミックやエフェクトは付けてやるが、のべつ幕なしというわけにはいかん』

「だったら、どうするブヒ!?」

『知らん』

「俺が、下りて走るウキ!」

「「あ、そう!?」」

「素に戻って声をそろえるな! 俺は砂丘の向こう側に周る。上手くいけば挟み撃ちだウキ!」

「「じゃ、がんばって!」」

「こ、こら、放り出すなぁ!」

 

 ズサ、ゴロゴロゴロ……

 

 砂の上をしばらく転がると、きな粉餅のようになって走り出す。

 さすがは孫悟空、けっこう速い。そして、きつい(;'∀')。

 なんだか草履とりをしていたころのサルを思い出す。

 サルは、俺の行くところには必ず付き添って走らせた。いつもニコニコ俺の後ろを走っておったが、あいつもけっこうきつかったんだな。

「一言主、俺は孫悟空だ。筋斗雲とかは使えんのかウキ?」

 ………………

 そうか、一言主はコスプレ神、その名も一言、多くは喋らんというわけか。

 仕方がない、金ヶ崎の退き戦を思えば砂丘一つ回り込むのは知れたこと。

 ダダダダダダダダダダダダダ

 濛々と砂煙を上げて砂丘を回り込む。

 

「敵は!?」

 

 回り込んで鉢合わせした八戒・沙悟浄に叫ぶようにして聞く。

「砂煙が激しくてわからんブヒ!」

「足跡はハッキリしている、遠くではないッパ!」

 追うぞ!…………叫ぼうとしたら、にわかに自分たちのところだけが、薄暗くなる。

「散れ!」

 叫びながら振り返ると、山のような化物牛が飛び降りてくるところだ!

 やられた(;゚Д゚;)!

 こいつ、我々の目を賊に釘付けさせ、砂丘の上で待ち構えていたんだ!

 

 グモオオオオオオオオオオオ!!

 

 いかん、今度こそ押し潰されるぞ!

 

 

☆彡 主な登場人物

  • 織田 信長       本能寺の変で討ち取られて転生  ニイ(三国志での偽名)
  • 熱田 敦子(熱田大神) あっちゃん 信長担当の尾張の神さま
  • 織田 市        信長の妹  シイ(三国志での偽名)
  • 平手 美姫       信長のクラス担任
  • 武田 信玄       同級生
  • 上杉 謙信       同級生
  • 古田 織部       茶華道部の眼鏡っ子  越後屋(三国志での偽名)
  • 宮本 武蔵       孤高の剣聖
  • 二宮 忠八       市の友だち 紙飛行機の神さま
  • 雑賀 孫一       クラスメート
  • 松平 元康       クラスメート 後の徳川家康
  • リュドミラ       旧ソ連の女狙撃手 リュドミラ・ミハイロヴナ・パヴリィチェンコ  劉度(三国志での偽名)
  • 今川 義元       学院生徒会長
  • 坂本 乙女       学園生徒会長
  • 曹茶姫         魏の女将軍 部下(備忘録 検品長) 曹操・曹素の妹
  • 諸葛茶孔明       漢の軍師兼丞相
  • 大橋紅茶妃       呉の孫策妃 コウちゃん
  • 孫権          呉王孫策の弟 大橋の義弟
  • 天照大神        御山の御祭神  弟に素戔嗚  部下に思金神(オモイカネノカミ) 一言主

 

 

 

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RE・トモコパラドクス・1『友子と一郎』

2023-08-29 06:59:47 | 小説7

RE・友子パラドクス

1『友子と一郎』   

 

 

「お父さん、切符……」
 
 二枚の切符を指に挟んでユラユラさせながら、父の後ろで友子が注意する。

「お、おう……」

 通せんぼした自動改札から戻りながら、父は不機嫌そうに頭を掻く。

「いけませんね」

「通勤はスイカなんでな」

「520円貸しね」

「もう電車来るぞ」

「まだ二つ前を出たとこォ」

 頭上の電光掲示を指さす友子。

「ああ?」

 数歩下がって確認する父。

 亀が首を伸ばしたみたいでみっともない、亀にはひげの剃り残しなんてないだろうし。

「こういうことは、すぐに精算しとかなきゃ、お父さん、すぐ忘れるんだもん」

「あいよ、20円……ないや。500円で辛抱しろ」

「50円玉あるじゃん。はい、おつり30円」

 こういうことには細かい奴である、友子という奴は。

「もう少し離れて立ってろよ」

「いいじゃん、親子なんだから」

 どうもしっくりいかない。制服姿の女子高生と並んで電車を待つなんて、ほとんど三十年ぶりの一郎である。

 

「落ちたらどうする?」

 

 電車が加速し終わると、手持ち無沙汰のように一郎が呟く。

「落ちないわ。賢いの、わたし」

「しかし、乃木坂って偏差値67もあるんだぞ」

「68よ。それから、乃木坂は都立、略称都乃木。わたしが受ける乃木坂は乃木坂学院よ。間違わないで」

 ギュィーン

「おっとっと……」

 車両がカーブを曲がったので、一郎は反対側のドアまでよろけてしまう。幸い土曜日で人が少なく、ぶつかって恥をかくようなことはなかった。

「運動不足だしぃ」

 友子は揺らぎもせずに、横を向いたままの姿勢でニクソげに言う。

「いつもの電車じゃないからな……」

「じゃ、歳のせいだ。わたしだって初めてよ」

「あのな……」

「さっき、カーブを曲がりますってアナウンスあったよ」

「うそ?」

「あった」

 傍らの席に座っているオバサンたちがクスクス笑っている。もう一言言おうと思ったが、友子がアサッテの方を向いてしまったので、やむなく一郎は口をつぐんだ。

 

「こっちこっち」

 

 改札を出ようとしたら、端っこの駅員が居る改札で友子が手を挙げている。

「あ、すんません(^_^;)」

 うしろで閊(つか)えた乗客に詫びて有人改札へ。ちょっと恥ずかしい。

「記念に取っときたいので、無効のハンコください」

 友子の申し出に「はい、どうぞ」と女性駅員がスタンプを押してくれる。

「預かるわ」

「いいよ、持ってるよ」

「だめ、お財布の中でクシャクシャにしてしまうんだから。パウチしてから返してあげるからね」

 一郎から切符を取り上げると、友子は京アニ作品の主人公のような足どりで階段を駆け上がっていく。ハルヒか平沢唯か……例えが古いな……苦笑しながら一郎は娘の後を追う。

 

「この成績なら問題ありません。転入合格です」

「ふぁい……どうもありがとうございました」

 転入試験のあと、控え室で居眠ってしまった一郎は、結果を知らせにきた教頭に、しまらない返事をしてしまった。友子に口元を指され慌ててハンカチで拭く一郎。

「どうもありがとうございました。これからは乃木坂学院の生徒として恥じない高校生になりたいと思います。未熟者ですが、よろしくお願い致します」

 年相応に頬を染め、でもハキハキとした返事をする友子。

「しっかりしたお嬢さんですね、期待していますよ。今日書いて頂く書類は、こちらになります。あとは初登校するときに、娘さんに持たせてください」

 

 コンコン

 

 その時、ドアがノックされ、ヒッツメの女性が入ってきた。

「あ、こちらが担任の柚木です。あとの細かいところや、校内の案内をしてもらってください」

 そう言って教頭は部屋を出て行った。

「制服は9号の方がよくないかしら。まだまだ背は伸びるかもしれないから」

「いいんです。わたしは、これ以上は伸びません……ってか、このくらいが気に入ってるんです」

「そう、まあ、わたしも高一から身長は止まってしまいましたけどね」

「へえ、柚木先生もそうだったんですか!?」

 友子は、担任というより仲間を見つけたような気持ちで、明るく言ってしまった。

「でも、横にはねぇ……大人って大変ですよね、お父さん」

「いえいえ、先生みたいな方なら、うちの会社のモデルでも勤まりますよ」

 そう言いながら、一郎は頓挫しているプロジェクトのことが頭をかすめた。

「美生堂(みしょうどう)の化粧品なんて縁がないですよ」

「いやいや、ご謙遜を」

「よかったら、このタブレットでご確認ください。タッチしていただければ、この連休中にも、必要なものは揃いますわ」

「……はい、友子、これでいいな?」

「はい、もう確認したよ」

「じゃ、次は校内施設の確認を……」

 

「おかえり、どうだった、トモちゃん?」

 

 春奈が母親がましくエプロンで手を拭きながら玄関で出迎えてくれた。

 春奈は最後まで友子を引き取ることに反対した。

 いくら自分たちの子供を断念したとはいえ、いきなり15歳の女子高生の母親になることには抵抗があった。

 それが、コロっと気持ちが変わって引き取ることにしたのは、友子を引き取る条件が破格であったからである。

 養育費が月に20万円。それも一年分前払い。さらに一千万円ほど残っていた家のロ-ンを払ってくれるという好条件だった。

 三日前に現物の友子が現れてからは、さらに気持ちが変わった。

 裕福な両親を亡くしたとは言え、これだけの好条件で来るのだから、写真や経歴だけでは分からないむつかしさのある子だと覚悟していた。

 ところが、直に会ってみると春奈は一目で気に入った。

 会社でも営業部を代表して新入社員の面接をやってきている春奈には、とびきりの女の子に見えた。きちんと躾られた物腰。こちらの気分に合わせて呼吸するように距離を取れるセンス。また、家事もいっぺんで要領を覚え、明くる日には冷蔵庫と食器棚の整理を任せた。

「あの……呼んでもいいですか?」

「え、なに?」

「その……お母さん、て」

 夕べ、頬染め、おずおずと言われたときは、思わず涙が浮かび、春奈は友子と泣きながら不器用に抱き合っていた。ドライに振る舞おうとしたが、自分も情にもろいんだと思ってしまう春奈だった。

「お母さん、乃木坂って、とってもいい学校よ!」

「よかったあ!」

 帰宅後、開口一番に友子が頬を染めて報告した時は、まるで自分も女子高生に戻ったようにハグし合う。夕べの不器用さが嘘のようなスキンシップ。

 食後

「お母さん、お風呂いっしょに入ろっか?」と言われ、ガラにも無く「は、恥ずかしいわよ」「アハハ、じゃ、またいずれね」とじゃれ合って友子が一番風呂。

 浴室でくぐもる鼻歌に、もう友子とは生まれてからの親子のように胸が暖かくなる。

「あ~、いいお湯だった、お母さんどうぞ」
 
 春奈が風呂に入ると、リビングでくつろいでいた一郎の横に髪を乾かしながらドカッと友子が腰を落とす。

「一郎、今日のあんたの態度ね……」

 思いのほかのジト目。

 それは、もう可憐な女子高生のそれでは無かった……。
 

 

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せやさかい・430『詩ちゃんの写真と西京焼きと新聞記事』

2023-08-28 09:02:51 | ノベル

・430

『詩ちゃんの写真と西京焼きと新聞記事さくら   

 

 

 なんでか、出窓の観葉植物の横に置いたある。

 うちが買っておばちゃんに持って行ってもろた学校机セット。

 

「フフ、さくら、この鉢植えの花わかる?」

 留美ちゃんが鼻にしわを寄せる。わたしに分からんクイズを思いついた時の顔や。

 詩ちゃんが送ってきた画像を見て、ええなあとふたりで頬杖ついてる。

「うちの境内にあるのやったら分かるねんけどなあ」

 さっさと降参しとく。

「ブルーベルって言うんだよ。花をつけるとお辞儀したようになって、ほら鈴なりのベルみたいでしょ」

「ほんまや、花がみんな下向いてて、かいらしいねえ。この学校机1/12やさかいに、フィギュアに座らせたら、妖精の学校みたいやねえ。こんど見繕って送ったげようか」

「ううん、このままがいいんだよ」

「そう……そうか……休み時間に、ちょっと席外してます的な」

「そうだね、妖精学校は二時間目の休み時間です的な?」

「うん、そのキャプションええやんか!」

「写真に付けて送ろ!」

 カチャカチャとキーを叩いて写真を送信。

「「さて」」

 

 二人で声を揃えて、キッチンに行く。

 

 おばちゃんもヤマセンブルグに行ってるんで、ご飯の用意はうちらでやってます。『ご飯ぐらい作れるでえ』とお祖父ちゃんは言うけど、出来る時はうちらでやることにしてる。せめて残り少ない夏休みぐらいはね。

 お寺のキッチンは広い。

 法事やらの時は、大勢のお茶やら食事の用意とかせならあかんさかいね。

 下ごしらえしといた鮭の西京焼きを冷蔵庫から出して、あとは、卵焼きとお味噌汁とサラダの用意。

 ジュワァ

 お味噌の焼ける匂いが食欲をそそります。

 背後に人の気配、お祖父ちゃんが手伝いに来たのかと思たら、テイ兄ちゃん。

「自分ら、このニュース見たか?」

 テイ兄ちゃんが新聞をひらひらさせてる。

「え、なに?」「なんですか?」

 

 ガスを止めてリビングへ。

 

「これ、自分らの担任やった先生とちゃうかぁ」

 ――介護疲れか95歳の母親を殺害――

「え?」

「「ええ!?」」

 介護疲れのお年寄りが、親やら配偶者を殺してしまういう話は時々あるけど、自分の知ってる人が殺したり殺されたりいう話は初めてや。

 

―― 菅井敏行(62)は、要介護5の母親菅井美幸さん(95)を岸和田市内の老人介護施設から散歩に行くと言って連れ出し、岸壁から車いすごと海に突き落とし…… ――

「菅井先生だ!?」

「そんなアホな!?」

「やっぱり、自分らの担任やった先生やねんなあ……」

 菅ちゃん、菅井先生を最後に見たのはお祖父ちゃんに頼まれて天王寺のお寺にお使いにいった帰り(094:『海老煎餅買って意外な人を見かける』)マクドのオープンデッキでハンバーガー食べてて、妹さんと揉めてたとこ。

 話の内容から、親の介護のことで言い合いになってたんを思い出す。

 間もなく菅ちゃんは学校辞めてしもて、それからは知らんかったんやけど……

「先生、なんでまたぁ……」

 留美ちゃんは、自分の身内の事のように眉を顰め、涙まで浮かべてる。

 中一のころの留美ちゃんは、ちょっとコミュ障的なとこがあって、よう菅ちゃんに怒られてた。

 菅ちゃんも不器用な先生で、うちも何べんかカチンときて食って掛かった。

 一言でいうと嫌な先生。

 せやけど、なんか、むちゃくちゃ悔しい。

 菅ちゃんのやったことは同情の余地なんかカケラも有れへん。

 ボケてはったんかも分からへんけど、お母さん、岸壁で乗ってた車いすを押されて、海に落ちるまでの恐怖と絶望。

 押しながら、菅ちゃんは何を思たんやろか?

 

 気を取り戻してキッチンに戻ると、火は切ってたけど、フライパンの上で西京焼きが味噌漬けの干物みたいになってしもてた。

 

☆・・主な登場人物・・☆

  • 酒井 さくら      この物語の主人公  聖真理愛女学院高校二年生
  • 酒井 歌        さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
  • 酒井 諦観       さくらの祖父 如来寺の隠居
  • 酒井 諦念       さくらの伯父 諦一と詩の父
  • 酒井 諦一       さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
  • 酒井 詩(ことは)   さくらの従姉 聖真理愛学院大学三年生 ヤマセンブルグに留学中 妖精のバンシー、リャナンシーが友だち 愛称コットン
  • 酒井 美保       さくらの義理の伯母 諦一 詩の母 
  • 榊原 留美       さくらと同居 中一からの同級生 
  • 夕陽丘頼子       さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 愛称リッチ
  • ソフィー        ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍中尉
  • ソニー         ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
  • 月島さやか       中二~高一までさくらの担任の先生
  • 古閑 巡里(めぐり)  さくらと留美のクラスメート メグリン
  • 百武真鈴(田中真央)  高校生声優の生徒会長
  • 女王陛下        頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首
  • 江戸川アニメの関係者  宗武真(監督) 江原(作監) 武者走(脚本) 宮田(制作進行) 
  • 声優の人たち      花園あやめ 吉永百合子 小早川凜太郎  
  • さくらの周辺の人たち  ハンゼイのマスター(昴・あきら) 瑞穂(マスターの奥さん) 小鳥遊先生(2年3組の担任) 田中米子(米屋のお婆ちゃん) 瀬川(女性警官)
  •   

 

 

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RE・かの世界この世界:202『鬼ノ城・4』

2023-08-28 05:48:51 | 時かける少女

RE・

202『鬼ノ城・4』テル 

 


「与一殿、父上はご存命なのか?」

「いえ、父はわたしが生まれる前に他界いたしました」

「そうだろうなあ……」

 瞬間、イザナギさんと目を合わせて話を続けるヒルデ。

「実は、我々はイザナギ殿に付き従って黄泉の国に行くところなのだ」

「よ、黄泉の国!?」

「いやいや、死んで黄泉の国に行くわけではない。イザナギ殿の奥方が亡くなってなぁ」

「はい、まだまだ国造りの途中なので、迎えに行くところなんです」

「亡くなった奥方様を……?」

「我がままと思われるかもしれませんが、国生みや国造りを蔑ろにしては、この先、どんな災いが起こるかしれません。それで、ヒルデさんをはじめ、皆さん方にご一緒頂いて、黄泉の国に妻のイザナミを迎えに行くところなのです」

「そうだったんですか……いやはや、この世界そのものを背負っておられたんですねえ……那須の家ひとつに汲々しているのが申し訳ないようです」

「それでな、実は、岡山に着いた時に因幡の白ウサギに出会ってな。手紙を託されたんだ」

「白ウサギの手紙ですか?」

「いや、現世から黄泉の国に旅立った者に向けた手紙だ。妻や子や、血の繋がりは無くとも大切な者たちに。黄泉比良坂の前で手紙を焼くと、そういう大切な者たちに届くと言うんだ」

「そんなことができるんですか?」

「ああ、無き父君に、今の想いを届けてみてはどうか? たとえ答えが返ってこなくても、伝えさえすれば、少しは気も晴れるだろう」

「……そうですね」

「紙と筆を出してあげましょう、国生みの仕上げもできない神で、これくらいの手伝いしかできませんが……」

「拝借します。では、あちらで書いてまいります」

「ああ、ゆっくり書くがいい」

「ええと……車の中にお茶の道具があります、ちょっと休憩にしませんか」

 雪舟ねずみが気の利いたことを言う。

「ああ、それはいい。お前たちも手伝ってやれ」

「合点だ」「ラジャー('◇')ゞ」


 ポクポクとお茶の道具をとりに行く三人を見送ると、タングリスはベテランの下士官らしく枯れ枝などを集めて焚火の用意を始める。


 見上げた空は、楼門の向こうに日が傾き始めていた。

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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やくもあやかし物語・2・004『ルームメイトはネル』

2023-08-27 14:22:59 | カントリーロード

くもやかし物語・2

004『ルームメイトはネル』 

 

 

 二人部屋を一人で使ってる。

 

 わたしのクラスは女子が7人なので、ハミゴのわたしは一人なんだと思っていた。

 でもね、今日からは二人なんだ。

 

「家の都合で入学式に間に合わなかった子が一人いるんだけど、ヤクモと同室になります」

「あ、はい」

 キャリバーン教頭先生の話にこっくり頷く。

「OK?」

「イエス、マム」

「……あのねぇ」

「はい、何でしょうか、先生」

「これは決定事項ではあるんだけども、疑問とか不安があったら、ちゃんと聞いた方がいいわよ。ヤクモ」

「はい」

「二人部屋を一人で使っているのはあなただけだから、ヤクモに言ったんだけど『理由はそれだけですか?』とか『同室になるのはどんな子ですか?』とか、思うところがあれば聞いた方がいいわよ」

「あ、はい」

「えと…………じゃ、いいわね」

「はい」

 

 教頭先生は――やれやれ――という感じで職員室の方へ行ってしまった。

 ちなみに職員室には『スタッフルーム』と看板が出てる。なんか、ファミレスの休憩室みたいでおかしい。

 校長室は『プレジデント』だよ、プレジデントって大統領のことだよ。むろん、校長や生徒会長のこともプレジデントっていうんだけど。先生たちはただのスタッフ。スタッフとプレジデント。やくも的には変なんだけど、きっと変な子だと思われるから聞かない。

 

 トントン

 

 ドアがノックされて「はい、どうぞ」と返事する。

 ドアが開いて、なぜか講師のソフィア先生に引率されて制服姿の女子が立っている。

「教頭先生から聞いていると思うが、今日から同室になるコーネリアだ。コーネリア、ルームメイトのヤクモ・コイズミだ。ヤクモ、よろしくな」

「はい、ヒギンズ先生」

「ソフィアでいい。苗字で呼ばれると今の百倍は口うるさい教師になりそうだからな。じゃあな」

「はい、先生」

 

 コツコツコツ……

 軍人らしい足音をさせながらヒギンズ……ソフィア先生は行ってしまった。

 

「コーネリア・ナサニエルよ、あらためて、よろしく」

「ヤクモ・コイズミです、よろしく」

「ああ、言葉とかはフランクにいこうよ」

「え、あ、うん」

 握手した手に感動して、ちょっと上の空。

 きれいな手だけど大きい。大きいのは手だけじゃなくて、身長も180くらいありそうでプレッシャー。

 それにね、ロングのプラチナブロンドに青い瞳。鼻筋もピシッと通っていて、すごい美人さん。

 でもね、近ごろは、たとえ誉め言葉でも人の容姿にアレコレ言うのは反則っぽいから言わない。

「ソフィア先生、苗字で呼ばれるの微妙に嫌がってたでしょ、なんでか分かる?」

「あ、えと……(声を潜めて)マイフェアレディーだから?」

「フフ、分かってるじゃない。ヒギンズ教授なんて、ジェンダー的には敵みたいなもんだからね……ベッドは、こっち使っていいのかなあ?」

「あ、うん。机もクローゼットもそっちかな」

「うん、ありがとう……ああ、くったびれたぁ~!」

 バフ!

 すごい音をさせて仰向けに寝転がるコーネリア。

 胸、おっきい……。

「ごめんね、長旅だったし、いろいろあったんで……ちょっとグロッキー」

「あ、晩ご飯までは時間があるから寝てていいよ。起こしてあげるから」

「うん、そうさせてもらおうかなあ……えい!」

 ガバっと起き上がると……え、服を脱ぎだした!

 下着一枚になると旅行鞄からジャージを取り出して着替える。

 めちゃくちゃプロポーションがいい! 

「じゃ、ちょっと寝かせてもらうね」

「うん」

 

 あ……また触った。

 

 ドアが開いてから三回耳を触ってる。

 耳にかかる髪が気になるのかと思ったけど、ひょっとしたら耳たぶに怪我したのが治りかけとか……いろいろあったんで……ちょっとグロッキー……とか言ってたし。

 

 ……晩ご飯の時間が迫ってきた……まだ、よく眠ってる。

 

 形のいい胸が上下して、ちょっと触ってみたくなる。

 おっと、女子同士でもセクハラになるし……クークーと寝息を立てて、ジャージじゃなくて、ちゃんと相応しい服を着ていたら、白雪姫か眠れる森の美女か。

 あ、また耳触った。

 わたしも触ってみようかなぁ。

 

 誘惑に負けて手を伸ばしたところで、起きる気配。

 慌てて自分の場所に戻ったよ(^_^;)。

 

「ちょっと遅れてしまったけど、この夕食からみんなの仲間になります。コーネリア・ナサニエル、ネルって呼んでくれると嬉しいかな。好きなものは日本のアニメ。部屋はヤクモと同室。日本の子なんで、アニメの話とかしたかったんだけど、長旅ですぐ寝ちゃって、それにガツガツ聞いてドン引きされてもアレなんで、またよろしくね、ヤクモ。むろん、みんなもね!」

 パチパチパチパチパチパチ

 みんなに祝福されて席につくネル。

 ネルって、よく寝るからネルなのかもしれない。

 あ、また耳触った。

 

 さあ、晩ご飯。

 

 みんなでお祈りをして、ヨーイドンって感じで食事が始まる。

 隣の席、刺激物大好きのアーデルハイドが盛大にペッパーミルをゴリゴリ。

「やだ、詰まったのかなあ」

 拳でトントンやるものだから、蓋が取れちゃって、粒のやら粉になったのやらのコショウが飛び散る。

「ちょ、ハイジ!」「アーデルハイド!」「またかよ!」

「ハーーックション!!」

 ネルがたまらずにでっかいクシャミ!

 

 ポヨン

 

 ええ!?

 

 クシャミをした拍子に、ネルの耳は「呪縛を解かれた!」って感じで伸びてしまった。

 

「あ、ああ……ごめんなさい、言いそびれていたけど、ネルはエルフだったりします」

 

 いっしゅん凍り付いたようになったけど、すぐにネルがテヘペロ(ノ≧ڡ≦)をカマシて暖かい拍手が起こったよ(^_^;)。

 

 

☆彡主な登場人物 

  • やくも        斎藤やくも ヤマセンブルグ王立民俗学校一年生
  • ネル         コーネリア・ナサニエル やくものルームメイト エルフ
  • ヨリコ王女      ヤマセンブルグ王立民俗学学校総裁
  • ソフィー       ソフィア・ヒギンズ 魔法学講師
  • メグ・キャリバーン  教頭先生
  • カーナボン卿     校長先生
  • 酒井 詩       コトハ 聴講生
  • 同級生たち      アーデルハイド

 

 

 

 

 

 

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RE・かの世界この世界:201『鬼ノ城・3』

2023-08-27 05:50:28 | 時かける少女

RE・

201『鬼ノ城・3』テル 

 

 

「あ……いや……あなた方でしたか……」


 解れるように太刀先を下ろしたのは、ついさっきカーラジオで消息を聞いたばかりの屋島の英雄だ。

「与一さん、どうしてここに……」

「あ、いやはや、お恥ずかしい」

 あまりのことに、わたしの言葉に続く者はいない。イザナギさんでさえ、意外な再会に目を丸くしている。

「事情があるようだな。ここで会ったのもなにかの縁だ、よかったら聞かせてくれ」

 最初に口を開いたのはヒルデだ。

 自分自身ラグナロクに向けて悩み多いヴァルキリーの姫騎士、屋島の英雄に想いを重ねるところがあるんだろう。

「お恥ずかしい話ですが、壇ノ浦から逃げてきました」

「逃げてきただって!?」

「!?」

 子ども二人の目が三角になる。

 イザナギさんが二人の後ろにまわり、そっと抱き寄せた――こういう時は、そっと話を聞け――という姿勢だ。この神さまは、学校の先生に向いているのかもしれない。

「屋島でもお話しましたが、わたしには十人の兄が居ります」

 そうだ、与一という名前の由来は十一男という意味なんだ。

 落語風に言うと与太郎で、日本人にはこちらの方が通りがいいが、ひとかどの侍としては間が抜けすぎている。

 それで、ちょっと工夫して『与一』という、ちょっとカッコいい名乗りにしたんだ。

 おそらくは、那須の大田舎から出征するにあたり、母親がそう名乗るように言ったんだろう。

「兄たちは、ことごとく平家の郎党です。わたしのことなど眼中にない兄たちでしたが、その兄たちが、こぞって平家に与力するように言ってくるのです。一番上の兄などは、すでに平家の敗北を予見して『いざという時は、与一の才覚で一家の存続と繁栄を計れ』と申してきました」

「板挟みなのだな……」

「悪目立ちしすぎました。源氏の方でも――与一に一方の大将を任せてみては――という推挙の声も上がりました」

「うむ、それは頷ける。与一には人気と時の運がついている。それに、その謙虚な姿勢。武将として並みの力を持っていれば、壇ノ浦でも名前に相応しいだけの手柄は立てられるだろう」

「ご推挙の先頭に立っておられたのは梶原景時殿、景時殿は源氏の軍監です。梶原殿は鎌倉殿の軍監として義経様のお手柄を快く思ってはおられません」

「それで、逃げてきたっていうのかよ!」

「最後まで聞きなさい、桃太郎二号くん」

「御大将、義経様にも相談いたしましたが『与一君の良いようにしたらいい』とおっしゃいます」

「それは……与一がどちらに付こうと自分の勝利に変わりはない……義経の自信の現われだな?」

「義経様は『どちらに付こうと、与一君が扇の的を落として源氏の意気を高めてくれた手柄は古今無双だ。それだけで、那須の本領を安堵してお釣りが出る』とおっしゃいました」

「そうか」

「そして『与一、君は鎌倉で軍団を結成して以来一日も休暇を取っていないなあ、有給休暇溜まりまくってるから、ちょっと休暇をとればいいよ。去年の使い残しも含めて40日。それだけあれば、壇ノ浦なんて片付いてしまう。都の凱旋パレードには出て欲しいかなぁ。よし、たった今から与一は休暇だ!』と笑って送り出してくださいました」

「タイプは違いますが、トール元帥がおやりになりそうな気配りです」

「そうだな、爺の若いころはそんなだったかもしれんな……しかし、だったら、なんで、こんな鬼ノ城で身を隠しているんだ?」

「わたしのことを快く思わない者が、源平双方に居ります。先に陣を畳んで戻るのは、なにか企んでいるに違いないと邪推され、追手を差し向けられて……いやはや、これも与太郎の浅はかさ、考えの及ばぬところでした……しかし、まあ、良いのです。この身はどうなろうと、手柄は手柄、那須の領地と母の暮らしはなんとかなるでしょう」

 なんとか微笑もうとするが、目に光が灯らない。ちょっと痛々しい。

「なるほどなるほど……そういうことだったのか……」

 一通りの事情を聞くと、ヒルデは「うぅ~~~ん」とノビをして与一さんの方に顔を向けた。

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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銀河太平記・178『トラコン・2』

2023-08-26 10:43:19 | 小説4

・178

『トラコン・2』須磨宮心子内親王 

 

 

 お疲れさまでした  ごくろうさまです

 

 警察らしくない挨拶を交わすと『北町奉行』とロゴを変えてパトカーは行ってしまった。

 トラコンは北町奉行所と南町奉行所の共同警備地区になっている。

 トラコン二丁目のバザールは車が乗り入れられない。

 めちゃくちゃ人出が多いので昼間の車両の乗り入れは禁止。むろん緊急車両は例外なんだけど、一応トラコンの規則に倣って、バザールの入り口で南北奉行所の同心が入れ替わる。

 パトカーの北町は、グルッとトラコンを周って奉行所に帰っていく。その間、南町は徒歩でバザールを巡回。そうすることで、トラコンにはパトカーと徒歩の警察官が巡回していることになり、不測の事態が起こっても柔軟に対応できるようになっている。

 

「お、5000人超えてる」

 ヒコくんが掲示板を指さす。バザールの東西南北には掲示板があってバザールの込み具合を示している。バザールは観光スポットでもあるので観光客も多い。それで、混み具合を数字とドットで表示して、なるべく混雑を回避できるように誘導している。

「やっぱり人気高~い」

「南の1番2番が特に混んでるわね」

「行きますか!」

「はい!」

 掲示板はハンベにも連動していて、警察用のハンベにはドットごとの国籍も分かる。

 

『ちょっと、いいかげんにしなさいよ!』『そっちのほうこそ!』

 

 不穏な声が聞こえて、二人で急行する。

「どうかしましたか?」

「あ、お巡りさん!」「ちょっと聞いてよ南町!」「まあ、二人とも落ち着いて」「そうよ、頭冷やして」

 隣り合った出店同士で揉めて、周囲の出店やお客たちがなだめている。

「境界線守らないのよ、この小間物屋!」

「そっちこそ前に出過ぎだろ、アウトレット!」

 どうやら、店の境界で揉めている。

 バザールは設置された時からきちんと区画されている。しゃくし定規に取り締まっているわけじゃないけど、時どきもめる。

 シャーー

 アナログのメジャーを出して調べる。

「あ、小間物屋のおばさん、15センチ出てる(^_^;)」

 バザール内の道路幅は6mで、店の前1mまでの張り出しは認められている。15センチは、ちょっと出過ぎ。

「だって、アウトレットが寄せてくるから、前に出さなきゃやってらんないわよ!」

「なにさ、うちの方が前から店構えてんだ。後から店出してガタガタ言うんじゃないわよ!」

「後先なんて、関係ないだろ、決まりはみんな守らなきゃだめだろーがぁ!」

「なんだとぉ!」

「「「「「まあまあ」」」」」

 周囲の人といっしょに二人を止める。

「仲良くやってくださいよ」

「可愛い婦警さんだけど、これは譲れないわよ」

「いっそ、奉行所の方で裁定してやったら、どうだね」

 ケバブ屋さんが、こっちに振って来る。

「裁定しちゃうと、取りあえず二軒とも厳格に見なきゃならないから」

「いいわよ!」「厳格に見てよ!」

「う~ん、でも、お二人は先月も揉めてるから、今度は裁定出るまで、お店閉めなきゃならなくなりますよ(`•︵•´) 」

 最後のところだけキッパリ言い切るヒコ同心。

「あ、ああ……」「それは……」

 二人とも語尾はゴニョゴニョ。

 

 とにかくもケリをつけて先にいく。

 

 それから、バザールで三件もめ事を仲裁、一丁目でゴミの収集について指導、一丁目公園ではバレーボルと野球のイリーガル違反を注意。ペットのミニブタが逃げ出したのを捜索。

 最後のミニブタは、三丁目で食べられてしまっていて、ちょっと仲裁するのが大変だった(^_^;)。

 

 夕方、北町から引き継いだパトカーに乗って、やっと一息。

 

「バザール、変だとは思わなかった?」

「え、境界線のこと?」

「いや、掲示板の数字よりも微妙に人が多いような気がした……」

「え、それって?」

「あ、いや、気のせいかもしれない……」

「…………」

 珍しく表情の読めないヒコくんだった。

 

 

☆彡この章の主な登場人物

  • 大石 一 (おおいし いち)    扶桑第三高校二年、一をダッシュと呼ばれることが多い
  • 穴山 彦 (あなやま ひこ)    扶桑第三高校二年、 扶桑政府若年寄穴山新右衛門の息子
  • 緒方 未来(おがた みく)     扶桑第三高校二年、 一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中を務めていた
  • 平賀 照 (ひらが てる)     扶桑第三高校二年、 飛び級で高二になった十歳の天才少女
  • 加藤 恵              天狗党のメンバー  緒方未来に擬態して、もとに戻らない
  • 姉崎すみれ(あねざきすみれ)    扶桑第三高校の教師、四人の担任
  • 扶桑 道隆             扶桑幕府将軍
  • 本多 兵二(ほんだ へいじ)    将軍付小姓、彦と中学同窓
  • 胡蝶                小姓頭
  • 児玉元帥(児玉隆三)        地球に帰還してからは越萌マイ
  • 孫 悟兵(孫大人)         児玉元帥の友人         
  • 森ノ宮茂仁親王           心子内親王はシゲさんと呼ぶ
  • ヨイチ               児玉元帥の副官
  • マーク               ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
  • アルルカン             太陽系一の賞金首
  • 氷室(氷室 睦仁)         西ノ島  氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平)
  • 村長(マヌエリト)         西ノ島 ナバホ村村長
  • 主席(周 温雷)          西ノ島 フートンの代表者
  • 及川 軍平             西之島市市長
  • 須磨宮心子内親王(ココちゃん)   今上陛下の妹宮の娘
  • 劉 宏               漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官
  • 王 春華              漢明国大統領付き通訳兼秘書

 ※ 事項

  • 扶桑政府     火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
  • カサギ      扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
  • グノーシス侵略  百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
  • 扶桑通信     修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
  • 西ノ島      硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
  • パルス鉱     23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
  • 氷室神社     シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
  • ピタゴラス    月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス

 

 

 

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RE・かの世界この世界:200『鬼ノ城・2』

2023-08-26 06:28:09 | 時かける少女

RE・

200『鬼ノ城・2』テル 

 

 

 楼門を潜った城の中は…………なにも無かった。


 なにも無いと言っても、次元の狭間というわけでもブラックホールというわけでもない。

 ちゃんと草が萌えて、木々が茂り草木の間には岩が覗いて小道が巡っている。

 しかし、その有りようは、楼門の外と変わるところが無い。

 頂上ではあるが、整備された山中のハイキングコースと変わるところが無い。

 城と呼ぶ限り、櫓や殿郭が朽ち果てても城の構えはうかがえるものだ。苔むした石垣であったり、基壇であったり堀の跡であったり。城としての構造を偲ばせるものがあるはずだが、それが、なにも無い。

 要するに、山の頂上を鉢巻きのように土塁で囲んで、その内側を城と呼んでいるだけのようなのだ。

「ちぇ、なんか詐欺みてーじゃねえか。ゲートと塀だけがあって入ったらなんにもねえ遊園地みてえだぞ、ケイト」

 桃太郎二号がくさる。

「おまえが言うな」

「ああん?」

「おまえだって」

「よせ、二人とも」

「これは避難用の城ですね」

「おまえも、そう思うか、タングニョースト」

「避難用の城?」

「ああ、桃太郎のように攻撃バ……ひと筋の者には分からんだろうが、世の中には攻められれば立て籠もって災いが過ぎるのを待つしかない者もいるんだ」

「そうなのか、ヒルデのねえちゃん?」

「ああ、そして、この地は豊かなんだろう。籠城のための食糧の備蓄も出来たろうし、援軍を呼ぶこともできたんだろう。ほんとうに貧しい者は、避難用の城など作らない」

「そうなのか……」

「ほんとうに弱い者、貧しい者は、ただ逃げるしかない。もっと弱い者は、ただ奪われて殺されるだけだ」

「えと……この奥に行くと、わずかですが井戸の跡や建物のあとがあります」

 雪舟ねずみが奥を指さす。

「よし、行ってみますか」

 イザナギさんが促して奥に進むと少し開けたところに出てきて、建物の礎石を示す表示がある。


 水場や井戸、鍛冶場の跡はうかがえるが、防備の備えを偲ばせるものは見当たらない。


「やはり、戦いの形跡はないなあ」

「見ただけで分かんのか?」

「ああ、いいことなんだぞ、避難場所に使用の形跡が無いのは」

「北欧にも、いくつかこういうところがあるが、どこも焼け跡があって、骨がごろごろ転がっている」

「「ゲゲ」」

「イザナギ殿、あなたは良い国を造られたようだ」

「思い至りました……これは七世紀、百済救援のため差し向けた日本の艦隊が白村江の戦いで大敗を喫し、その後、唐・新羅の反攻を恐れて造られた山城の一つなのでしょう。幸い、海の外から攻められることも無く、いつの間にか忘れ去られた城郭なのでしょう」

「結果的には無駄になったかもしれないが、恐れを知るということは悪いことではない」

「ヴァルキリーの姫騎士にご理解いただければ光栄です」

「いやはや、我が父にもイザナギ殿の半分の分別があればと思います」

「オーディン殿ですね」

「父は最終戦争までやらないと気が済まない男……」

「ヒルデさん?」

「誰かいるぞ!」

 ヒルデがイザナギさんを庇って飛び退る!

「なに奴!?」

 我々も反射的に剣を抜きながら飛びのくと、岩陰から殺気を発して飛び出してくる者があった!

 

 ☆ ステータス

 HP:20000 MP:400 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
 持ち物:ポーション・300 マップ:16 金の針:60 福袋 所持金:450000ギル(リポ払い残高0ギル)
 装備:剣士の装備レベル55(トールソード) 弓兵の装備レベル55(トールボウ)
 技: ブリュンヒルデ(ツイントルネード) ケイト(カイナティックアロー) テル(マジックサイト)
 白魔法: ケイト(ケアルラ) 空蝉の術 
 オーバードライブ: ブロンズスプラッシュ(テル) ブロンズヒール(ケイト) 思念爆弾

☆ 主な登場人物

―― かの世界 ――

  テル(寺井光子)    二年生 今度の世界では小早川照姫
 ケイト(小山内健人)  照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
 ブリュンヒルデ     主神オーディンの娘の姫騎士
 タングリス       トール元帥の副官 ブリの世話係
 タングニョースト    トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属 
 ロキ          ヴァイゼンハオスの孤児
 ポチ          シリンダーの幼体 82回目で1/12サイズの人形に擬態
 ペギー         異世界の万屋
 ユーリア        ヘルム島の少女
 その他         フギンとムニン(デミゴッドブルグのホテルのオーナー夫婦)
 日本神話の神と人物   イザナギ イザナミ 那須与一 桃太郎 因幡の白兎

 

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くノ一その一今のうち・72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』

2023-08-25 12:10:30 | 小説3

くノ一その一今のうち

72『アデリア王女に先導されて王都に向かう』そのいち 

 

 

 じっさいアデリア王女はレイバンのサングラスをしている。

 

 落ちこぼれJkのわたしにサングラスのブランドなんか分からないんだけど、『お、レイバン』『マッカーサーのといっしょだ』と、徳川社長と百地社長が闇語りで呟いたから分かった。

「王女殿下おん自らのお出迎えに感謝いたします。まず、撮影準備隊メンバーの紹介をいたします」

「うむ」

 桔梗さんのイントロディユースに合わせて、みんな一列に並び、わたしも最後尾に付く。桔梗さんが通訳しながら紹介していくようだ。

「徳川物産社長の徳川秀長です」

「ん、徳川なのに秀吉の秀の字が付くのか?」

「二代将軍秀忠の子孫ですので、代々秀の一字を戴いております」

「そうか、よろしくな」

「徳川グループ、百地産業社長の百地三太夫です」

「百地です」

「よろしくな」

「『バトル オブ ハイランド』の作者三村紘一先生です」

「よろしく」

「主演女優の鈴木まあやです」

「鈴木まあやです、お目にかかれて光栄です」

「……どことなく、先王后に似ている」

「あ、それは光栄です」

 パッと頬を染めるまあや。

「……よろしくな」

「まあやの後見職の風魔そのです」

「ほう、こんなに若いのに後見職か、よろしく」

「お目にかかれて光栄です」

 後見職にされてしまった(^_^;)

「主演の相手役をいたします、ミヒャエル・ミュンツァーです。ミッヒとお呼びください」

「よろしくな、ミッヒ」

「そして、わたくし、徳川物産の社長秘書兼通訳の桔梗と申します」

「うむ、よろしく頼むぞ」

 仏頂面のまま王女が締めくくると、空港の格納庫から年代物のボンネットバスが出てきて、我々ゲストはバスに、王女はトヨタに乗って高原の道に乗り出した。桔梗さんが「都のカワンバートルに向かいます」と教えてくれた。

 

 草原の国よりも緑が豊かだ、高原というからには標高が高いだろうに、どういうことだろう。

 

「先々代の国王が治山治水に熱心で、先代の国王は産業の振興に励まれました。日本流に言いますと美し国、そこを草原の国が狙っています」

「そうなんだ」

 バスの席が隣同士なので、桔梗さんは地声で話してくれる。

「それだけじゃありません、高原の国が手に入れば、その富と技術で中央アジアを手に入れられます。そうすれば、中国やロシアとも肩を並べられます。すでに、西部や北部では紛争が起こってPKOの部隊まで……日本は、もう引き揚げましたが。そして、木下が埋蔵金を資金にして乗り出し始めています。この国を木下が呑み込んでしまったら……」

「取り返しがつかなくなるのね」

「はい」

「でも、ちょっと大げさじゃない。社長が出てくるなんて初めてでしょ、それも二人も来て」

「それは……王宮に行けば分かるかと思います。王女さま次第ですが……」

 バスの前を行くトヨタに目を向ける桔梗さん。

 そう言えば、どうなんだろ……王女さま自ら来られた割には、貧相な出迎え。挨拶の間もサングラスを外さず、ちょっと違和感。

 王都カワンバートルが近くなるにつれ、整備途中の、おそらくはハイテク産業と思われる建物がチラホラ見えてきた。

「稼働中の企業もあったんですが、半分近くは閉じていますね」

「…………」

 

 JK忍者のわたしには、発展しかけか没落の始まりか分からない景色だ。

 

 バスは、工場よりビルが目立つ市街に入って行った。

 大通りに入ると、正面に金色の尖塔を従えた宮殿が見えてきた。

 

 あ!?

 

 あと2ブロックで王宮というところで、官公庁のようなビルの上1/3あまりが焼けただれているのが目に入った。

 

☆彡 主な登場人物

  • 風間 その        高校三年生 世襲名・そのいち
  • 風間 その子       風間そのの祖母(下忍)
  • 百地三太夫        百地芸能事務所社長(上忍) 社員=力持ち・嫁持ち・金持ち
  • 鈴木 まあや       アイドル女優 豊臣家の末裔鈴木家の姫
  • 忍冬堂          百地と関係の深い古本屋 おやじとおばちゃん
  • 徳川社長         徳川物産社長 等々力百人同心頭の末裔
  • 服部課長代理       服部半三(中忍) 脚本家・三村紘一
  • 十五代目猿飛佐助     もう一つの豊臣家末裔、木下家に仕える忍者
  • 多田さん         照明技師で猿飛佐助の手下
  • 杵間さん         帝国キネマ撮影所所長
  • えいちゃん        長瀬映子 帝国キネマでの付き人兼助手
  • 豊臣秀長         豊国神社に祀られている秀吉の弟
  • ミッヒ(ミヒャエル)   ドイツのランツクネヒト(傭兵)
  • アデリヤ         高原の国第一王女
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