大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・167『本当なら……』

2014-03-31 17:19:19 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト・167
『本当なら……』
       


 本当なら、今日が定年の日であった。

 理由を言えばいろいろあるが、要は根性無しで五年前に早期退職してしまった。
 中途退学した生徒が「ホンマやったら、今日卒業式やなあ」というのに似ているかもしれない。
 根性無しなので、言い訳をする。

 退職の三年前に発症した鬱病が治らず、ベテランカウンセラーの先生と家内に相談して退職を決めた。
 鬱病は、未だに治らず、月に一回日赤の精神科に通っている。

 日頃鬱の自覚はない。

 しかし、一カ月でも平気で家に居られたり、逆に外泊を伴う外出が出来ないこと。眠剤がないと、ほとんど寝られないこと。絶えず理由のない不安感があること。習慣化したブログの作成以外、進んで何もやらないこと……並べてみれば、やっぱし治ってはいないのだろう。

 思いつくままに書く。

 早期退職だったので、退職金は一割り増しだった。しかし、府の財政難で、その年は退職金は、軒並み一割減にされた。
 辞めた当初は、住み慣れた陸地から小舟に乗せられ、海図もなしに大海原に放り出された気分。
 海図の代わりに、B5の書類が四月一日に来た。

 願により職を免ず。

 たった八文字の文章で、わたしの教師生活は終わった。長いアルバイトが終わったような感じ。
 
 この五年で、両親が逝った。鬱の始まりは、両親の介護からだった。七十代の半ばで母が脳内出血から認知症になり、大正十四年生まれの父は、先の大戦でも招集されなかったほど虚弱だったので、老いた母の介護などできなかった。
 度重なる入退院、リハビリの付き添い通院などで、延べ九ヶ月の介護休暇を取った。いずれも担任の、それも一年生の五月から介護休暇に入ったので、職場には迷惑をかけた。

 しかし、多少の想いがある。母の体調不良はハナから分かっていたので、介護を理由に担任になることは固辞した。しかし、学校は、なんの斟酌もなく、わたしを担任に指名した。
「どうしても、あかんかったら、職員会議で動議出してください」
 管理職から、そう言われ、職員会議で理由を述べて「今年は勘弁してください」と頼んだ。
「今の大橋先生の動議にご意見……ありませんか……では、採決します」
 あっさり採決され、担任をやらざるを得なくなった。

 予想どおり、母が五月末に大腿骨折。認知症なのでベタな付き添いが必要で、介護休暇をとった。

 介護休暇をとって復職したとき、廊下で、ある分掌長が、採点ミスを詫びるように、笑いながら言った。
「オオハッサン、あんた、ほんまに大変やってんなあ」

 そして、一年おいて、また一年の担任に指名された。同じように職員会議にかけられ採決された。
 そして、前回同様五月に母が倒れて介護休暇。クラスが気になるので、介護休暇の延長はしないで、職場に復帰。その秋に鬱病を発症した。

 なんだかグチになってきた。

 同じような条件で仕事を続けておられる方は、何人もおられる。やはり、根性無しの言い訳だろう。

 わたしは、三つ上の姉と二人姉弟である。本当は四人姉弟である。長兄は、七カ月の早産で、三十分しか、この世に生存しなかった。死産ではないので、出生届と死亡届を同時に出して葬式をしてやらなければならないのだが、貧しい両親に、そんな余裕はなく。産婆さんが死産として届けた。
 兄は、ミカン箱の棺にいれられリヤカーの霊柩車で、アパートの人たちに付き添われ、神崎川の河川敷に犬の子のように葬られた。赤ん坊の頭ほどの石を置いて墓標としたが、その年のジェーン台風が墓石ごと兄の骸を流してしまった。
 あの戦争で兵役にも取られず、女子挺身隊で失敗ばかりしていた父と母の心の重しになった。

 明くる年に姉が生まれ、三年後にわたしが生まれた。

 姉は、死産と思われたが、産婆さんの懸命な蘇生措置で命をつないだ。
 わたしだけが、まともに生まれた。

 わたしの三つ下に妹がいる……はずであった。
 貧しい両親に三人目の子どもを育てる余裕が無く、この子は三か月で堕ろされた。
 女の子であったらしい。
 この妹のことは、長年秘密であった。
 わたしが高校二年の三月、学年で、たった一人落第したとき、あまりの不甲斐なさに父が言いかけてやめた。
 そして、三年の秋に担任から「卒業が危ない」と言われた時に、父は、この秘密をわたしに言った。
「本当なら、お前の三つ下に妹がおった……」

 生きていれば、三つ下の高校一年生。姉に似た小柄な女子高生の姿で、わたしの頭にインプットされてしまった。       

 わたしの作品には、十六七の女の子がよく出てくる。

 どうやら、わたしの頭か心の中に住み着いてしまったようだ。

 パソコンから、ふと顔を上げると、座卓の向こうに、時々妹が座っている。
「また、あたしのこと書いてる」
 モニターの向こうに気配がしはじめたので、ここでエンターキーを押す。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評『“第三の銃弾”以降』

2014-03-29 06:41:27 | 読書感想
タキさんの押しつけ書評
『“第三の銃弾”以降』



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している書評ですが、もったいないので転載したものです。


本来、スティーブン・ハンターの未読本が6冊もある事が判ったので、早速それらを読みたい所ですが、それ以上に“第三の銃弾”に関わるボブ・リー・スワガー主人公の過去作を読み返す事に気持ちが引っ張られました。

“極大射程”“狩りのとき”“ブラックライト”と読み返しました。後、“ブラックライト”と直接関わる“ダーティーホワイトボーイ”に明日からかかるつもりです。
 前にも書きましたが、スティーブン・ハンターの小説の登場人物群の中で一番異彩を放つのは銃と銃弾です。ハンターに関して こんな論評が有ります 「ハンターはトム・クランシーが原子力潜水艦を使ってやった事(レッドオクトーバーを追え)を、ライフルを使って表現した」……う~ん、言い得て妙であります。ただ、忘れてはならないのが ハンターは銃を前面に置きながらも、そこに“人間”が屹立している姿をはっきり書き記していると言うことです。
 しかも、作中でボブがこだわり続け、会話するのは……既に死んでいる父/アール・スワガーであり、ベトナムでスボッターを勤め、除隊を目前に倒れたダニー・フェン(しかもボブの妻はダニーの元妻)です。
 もう何十年も前に死んだ人々の死の真相に迫って行く、それは在るか無きかの……しかし、注意深く見れば明白な過去の事実を丁寧にたどる旅であり、現代のオデュッセウス ある種の冥界巡りとも言えるでしょう。
 この物語の中で人間も、さらに自身を取り巻く環境も大きく変化していくが、武器の本質は変わらない。ハンターは乾いた無機物に過ぎない武器が、それを手にする人間の心の有り様によって千変万化する様を追う事で人間心理の奥深くに切り込んで行く。一時期、大藪春彦にはまって 恐らく全著作を読んでいるが、ハンターを知った後では正直色褪せる。なんぞと書いてしまうと、あの世の大藪さんに狙撃されそうではあるが、やはり人物の厚みが違う。
 得意の銃にしても解説の深さが違う……これは酷ってもんですねぇ、所詮 日本にいたんじゃ解らない事の方が多いですからね。私の武器への興味、なかんずく銃に対するこだわりは大藪作品を通して培われていますから、悪口はいけませんや。
 ハンターの描く“スワガーサーガ”には通底する哲学が有ります、世界観と言い換えても良いのですが、評論家の関口さんが的確に書いています。「ヘラクレイトスは“戦争は万物の父である”と説き、ホッブズは これを人間行動に当てはめて“自然状態においては万人は相互に敵同士である”と結論。サルトルは更に進めて“二人の人間があいまみえるとき、必然的に戦闘状態が生じる。そこでは互いに相手の主体性を奪い取ろうとする。地獄、それは他人である。”と断じた。 これを世界の状況に俯瞰するには政治・経済的レトリックを重ねてみればよい。共産圏においては弁証法的唯物論/階級闘争であり、資本主義においては競争神話/個々人の私利追求の総和がいつの間にか公益になると言う幻想である。
 サーガの登場人物群は、まさにこの原則上に生きていて、この時間軸上で古いアメリカ人と新しいアメリカ人が対峙する。 この新旧の対話の中で、新しいアメリカ人は自分が何者であるかを考え、古いアメリカ人は自らのアイデンティティを示す。

 読者は読み進めて行くうちに自身のアイデンティティあるいはレーゾンデートルに思い至る。単なるアクションサスペンスでは有り得ない。



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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ローンサバイバー/ウォルト・ディズニーの約束』

2014-03-22 07:04:25 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ローンサバイバー/ウォルト・ディズニーの約束』


これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に、身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


ローンサバイバー

“ブラックホーク・ダウン”と同じく、実話です。
タリバンの指導者を狩る作戦で、米軍SEALの偵察隊4名が、現場で出会った村人を解放した為、タリバンに通報されて囲まれる。激戦の中、3名死亡、救出に来たヘリも一機撃墜され、たった一人残った兵士を救ったのは ある村のアフガン人だった。
 何故、アフガンに米軍がいるのか……タリバンがアメリカを憎むのは何故か……この戦争に大義名分はあるのか……ets これらに触れずに本作を語れない。

 しかし、止めます。

 私が「宗教原理主義」を憎悪している事も、アメリカの強引な論理を認めない事も……一切排除して、不屈の男達の物語として語りたい。
 ハリウッドの論理に嵌ったと言われても仕方ないでしょう。確かに、アメリカ人のヤンキー魂に火をつけるストーリー(実話ではあるが、あくまで劇映画)だし、SEALの宣伝と言っても良い……しかし、男達の比類無き勇気と友情に溢れている作品であり、そこに感動が生まれる。
“ブラックホーク・ダウン”では、敵のアフリカ人は単なる野蛮人でしかなかったが、本作ではそのようには描いていない。マーカス・ラトレル兵長を助けてくれるアフガン人がいたと言う事情もある。ハリウッドが表現の論法を変えた(現在、状況を相対的に捉えない作品は陳腐化される)とも言える。
 しかし、作品の裏側にある あらゆる事情を乗り越えて、感動を見る者に伝えてくる。
 本作を見て、嫌悪感しか覚えない人は大勢おられるだろうが、敢えて言いたいのです。これまでの映画では、米軍のSEALといえばスーパーマンの集まりってな風に描かれ、彼らに不可能な作戦は有り得ないように語られる事が多かった。この映画では、確かに筋肉アーマードではあるが、ごく普通の人間として描かれる。
 タイトルロールに重ねて、本物のSEALの選抜シーンが流れる……訓練なんてな範疇には無い、下手をすればどころか殺すつもりの選抜、これを乗り越えるだけで互いに尊敬しあい、絶対の友情が生まれる。そんな男達だから、絶望的な戦況にあっても戦う事を止めない。そんな事が可能なのかと思えるような行動を躊躇なく取る。実話の重みもあって、戦闘する人間の究極の姿がスクリーンに映し出されている。そんな彼らが一皮剥けば 当たり前の人間なんだと言うところに感動がある。
 批判的に見れば“否定”する以外に無い作品ながら(日本人とすれば……本作の意味を問うのはアメリカ人に任せる)ただただ 戦う男達の姿に敬意を覚える。マッチョイズムだとの批判は甘んじて受け入れます。
 しかし、戦う者に敬意を表し、物語を与える(アメリカの国策ですが……)この国が羨ましくもあるのです。ベトナムの反省(帰還兵士を狂人扱いした)も有るのでしょうが、国の為に戦った人間を顕彰するのは至極当たり前な行為であると考えます。


ウォルト・ディズニーの約束

 いやいや、あの“メリー・ポピンズ”にこんなインサイドストーリーがあったとは……確かに、単に楽しいだけのファンタジーじゃないとは思ってはおりました。
 しかし、全く違う解釈をしていました。えっ? どんな解釈かって? ご勘弁を、こんな仕事を始める前の、ほんのガキの感想ですけぇ。
 なる程ねぇ、原作者にはこんな悲しい歴史が有った訳ですか、「ハリー・ポッター」のサーリングが シングルマザーで金も無く、カフェの片隅で粘りながら執筆していたとか、「指輪物語」のトールキンは本気で神話を作るつもりだったとか……こいつは知らなきゃ思い至らない話です。
 原作者のトラバース夫人は、ウルトラ気難しい女性。なんせ、あのディズニーが20
年に渡って映画化権交渉しながらも口説き落とせない相手! 一体どんな人なのかと見ていたら……こらぁ あきまへんわ、アタクシでしたら出逢ったその日に匙投げてます。
 しかし、ディズニーが20年かけても映画にしたかった物語、担当者だって真剣にならざるえない。 「メリー・ポピンズ」の脚本担当だったドン・ダグラティはまだ生きていて、ミズ・トラバースとの間に良い思い出がある訳もなく……彼は本作を見て号泣したそうです。
 これからご覧になる方々の感動の邪魔になっちゃいけないんですが、ミズ・トラバースにとって「メリー・ポピンズ」は単なる物語ではなく、子供の時の大切な……美しくも楽しくもあり、かつ悲しい思い出……しかも未だに自分の人生を縛っている出来事が下敷きになっていて、彼女にしてみれば人生そのもの、けっして妥協なんぞ……冗談じゃない。
 話はディズニーがミズ・トラバースの過去を探った所から回り始める。これ以上書くのは愚の骨頂ってもんで、この先は劇場で確かめて下さい。きっと、もう一度「メリー・ポピンズ」を見たくなります。
 エンドロールに実際のミズ・トラバースの声が出てきます。エマ・トンプソンの声かと思いましたわ。名優と言われる人は本間になりきります。私らみたいな付け焼き刃役者には想像もできん世界です。

 てな訳で、本日は実話2連発でした。

 どちらも感動作かつ、どちらも今年のアカデミーノミネート、しかも両方無冠です。 そらそうやろね、ノミネートまではええけんど、この両作品に賞を与えるのは考えもんでしょ。片や、9.11はあったものの大儀に?マーク付きの作品。片や、感動ストーリーながら、本の当事者が社長だった会社の作品……“コマーシャルじゃん”といわれたら否定のしようがない。
 しかし、そんな事情は一切捨てた所から見てみたい作品達でありました。



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高校ライトノベル・永遠女子高生《Etenal feemel highschool student》

2014-03-19 10:56:35 | 時かける少女
永遠女子高生
《Etenal feemel highschool student》    


 あたしは、悔しくて心配だった。

 死の淵に立った人間には、相応しくないほど生々しく強い感情だった。
 あたしは、十七歳の若さで死んでいこうとしている。枕許には、両親と弟、そして、親友の三人がいる。
「あと、三日で誕生日だ、がんばれよ、結(ゆい)!」
 お父さんが言った。そう、あたしは、三月三日生まれ、まもなく十八になれる。
「明日は卒業式なんだよ。がんばって、四人で卒業しようよ」
 久美が言う。そう、明日は我が乃木坂学院の卒業式……せめて卒業証書を手にして死にたい。
「姉ちゃん、来月はプレステ2の発売だよ。いっしょにやるって言ったじゃないか……」
 ベソをかきながら弟が言う。そう、ファイナルファンタジー・Ⅹをやるのが楽しみだった。
「そうよ、四日には先行予約したのが届くから、お母さんといっしょに……」
 年甲斐もなくゲーマーのお母さんが、あたしの未練を刺激する。一月二十九日の発表には驚いた。きれいなグラフィック、シリーズ初めてのフルボイス。デモビデオのユウナが「できた……!」と言って気を失いかけ、階段を転げ落ちそうになったとき、ティーダが助けようとして、ガーディアンのキマリが抱き留める。あの時のユウナの顔は最高にいい。
 あたしは、まだ人生で、あんな達成感に満ちた気持ちを味わったことがない。あたしもゲーマーだけど、それを超えて女の子として、あの達成感には羨望だ。

「結。ごめん……ごめん。だから死なないで!」
 ありがたいけど、瑠璃葉に言われたくはない。あたしが今、死にかけているのは、瑠璃葉に原因がある。

 前の年、夏休みに瑠璃葉の強引な計画と誘いで、湘南に四人で旅行に行った。
 発展家の瑠璃葉の計画なので、危ないなあという気持ちはあった。
 初日は、湘南の海で、他の海水浴客に混じって遊んでいるだけだったけど、二日目に飛躍した。
「ちょっと、離れたとこで泳いでみようよ!」
 瑠璃葉の言葉に乗って、遊泳禁止区域ギリギリのところで泳いでいた。

 そこに、あの男達が、カッコよくサーフボードを滑らせてやってきた。ヤバイと思ったけど、案外キチンとした話し方で、サーフボードの初歩を教えてくれたりした。
「どう、今夜ボクのコテージで焼き肉パーティーするんだけど、来ない?」
 の誘惑に乗ってしまった。
 コテージなどと言うよりは、立派な別荘だった。あたしたちも瑠璃葉の別荘に泊まっている。規模は同じぐらいだったけど、こちらの方が、趣味が良い。その雰囲気にも流されたのかも知れない。
 三杯目のドリンクからアルコールが入っていることに気づいた。
 あたしは気づかれないように、ソフトドリンクに替えた。だけど瑠璃葉、久美、美鈴の三人は知ってか知らでか、グラスを重ねた。
 十一時を回った頃、部屋の照明がFDして、なんだか雰囲気が変わってきた。あたしの肩に男の腕が絡んできた。
「あたし、そういうことはしないの」
 冷たく突っぱねて、庭に出た。本当は、そのまま帰ってしまいたかった。でも三人を残して帰るわけにもいかない。

 何分たっただろう、男が庭にやってきた。

「なあ、おれ達も……いいじゃないか」
「あの三人になにをしてるの!?」
「尖るなよ。みんな、あの通りさ」
 男が顎をしゃくった先のリビングは明かりが落ちて、二階の三つの部屋が薄明るくなっていた。
「リビングのソファーは、エキストラベッドにもなるんだ」
 酒臭い息と共に絡みついてきた手に爪を立ててひっかいた。
「イテテ、なにするんだよ!?」
 あたしは、フェンスを乗り越えて道に出た。男が欲望むき出しの荒い呼吸で追いかけてくる。で、海岸沿いの大通りまで飛び出した。

 で、あたしは車に跳ねられて、頭を打った。脳内出血だった。

 大手術で二か月入院した。瑠璃葉たちは乱暴され、男達は警察に捕まったが、瑠璃葉のお父さんが動いて、学校には知られずに済んだ。
 瑠璃葉たちは、心身共に傷ついたが、目に付いた怪我はしていない。ただ、女の子が女になっただけ。時間と共に傷は癒されていった。

 あたしは、そうはいかなかった。

 秋には一時回復して学校に戻れたが、年末に頭の別の血管が破れて再入院。そして、今に至っている。正月には、もう右手と、首から上しか動かなくなった。そして、今は喋るのがやっと。

「お願い……が……あるの」
 みんなの顔が寄ってきた。意識が切れかけているので、お医者さんが注射をしてくれた。僅かな時間だけど喋れるだろう。
「なんだい、結?」
「なんでも言って、ユイ!」
「……あたしのことで自分を責めたりしないでね……そして、みんな幸せになってね、亮介も」
 弟は、ケナゲにも歯を食いしばって泣くまいとしている。
「お父さん、お母さん……なにも親孝行できなくて……ごめんなさい」
「結……!」
 お母さんが、気丈な声で、あたしの魂を引き留めている。お父さんは、もうグズグズだ。

「あたし、みんなが……幸せに……なるまで……天国に行かないから……」

 そこまで喋るのがやっとだった。

 一瞬みんなの顔が見えなくなると、明るい光に包まれた……明かりの向こうからきれいな女の人が現れた。
「お疲れ様でした結さん。これからの、貴女のことを説明しにきました」
「あ、あなたは……?」
「そう……大天使ガブリエルとでも思ってちょうだい。人によっては観音さまにも見えるけど。貴女の知識ではガブリエルの方が分かり易い」
「ガブリエルって、受胎告知の……」
「そう、通信や伝達が主な担当」
「あたし、これから、どこへ?」
「天国……と言ってあげたいけど、貴女は誓いをたててしまった」
「誓い……?」
「みんなが、幸せになれるまでは、天国には行かないって……」
「あ、あれは……」

 言葉の勢い……とは言えなかった。

「人間死ぬ前はピュアになって、クールな言葉を言いがち。そこらへんは、あたしたちも分かっている。だから、いちいち末期の言葉を証文のようにはしないわ」
「だったら……」
「日が悪かったわね、2000年2月29日。400年に一度のミレニアムの閏年。この日にたてた誓いは絶対なのよ」
「じゃあ……」
「みんなの幸せを見届け……言葉は正確に言いましょう。幸せになる手伝いをしてあげてください」
「死んじゃったのに?」
「その時、その時代に見合った体をレンタルします……あ、貴女って、まだ卒業証書もらってないんだ」
「あ、多分卒業式で名前呼んでもらえると思います」
「そういう演出じゃダメ。実質が伴わないとね……結さん。貴女にはEtenal feemel highschool studentになってもらいます」
「え、エターナル……?」
あたしは舌を噛みそうになった。

「永遠の女子高生っていう意味。せめてカッコヨク言わなきゃ。まあ、魂の修行だと思ってがんばって。わたしも力になりますから!」

 そう言うと、ガブリエルは光に溶け込んでしまい、あたしは永遠の女子高生になってしまった。

 ああ、Etenal feemel highschool student! 



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高校ライトノベル・新 時かける少女・12〈柏木薫〉

2014-03-17 10:58:15 | 時かける少女
新 時かける少女・12
〈柏木薫〉



 わたしは、助けてはいけない女の子を溺死寸前に助け、代わりに命を失った。そのために記憶を失い、時空を彷徨って、いろんな人生を生きなければならなくなってしまった。

 自分は大正十三年四月四日の生まれである。

 柏木という華族の三男として生を受けた。名を薫という。日本古典文学の半可通であった父が、源氏物語にこと寄せて付けた名である。母が三宮の出身であることに引っかけたようであるが、源氏に出てくる薫は父の源氏とは縁が薄い。そこまでは知らなかった……あるいは、後妻である母への複雑な思いや、配慮があったのかもしれない。
 しかし、昭和の御代にあっては、この男とも女ともつかない名前に、自分自身は苦労した。学習院の初等科に入学したとき、あてがわれた席は笠松潤子の後ろ。すなわち担任が、名前を見ただけでの誤解であった。あとは推して知るべしの混乱が、この二十二年の生涯に幾たびかあった。

 一度だけ、自己確認のために記す。

 自分は、身体は男子なれど、心は女であった。もとより、それは隠しおおせてきたが、苦しいものであった。意識的に銃剣道に打ち込み、毛ほどにも女の心を持っていることは、悟られなかった。また、男仲間の中にいることは、自分の密かな喜びでもあった。海軍航空隊の士官となったのも、その延長線の上にあるのかもしれない。しかし、この乖離を解消するために、明日、自分は人生を終わる。むろん、この悪化する戦況において、日本人が日本人であることを後世に残し、再建される日本の心。そのささやかな柱石になれればという心があることも事実である。
 この世に完全などは存在しない。自分の心も、かくのごとくの混乱である。しかし、無理な心の整理などはしない。混乱、不純のまま自分は自裁する。

 一気に書き上げ、一読。納得した。エンカンに入れ燃やしてしまうと迷いも未練も無くなった。混乱、矛盾こそが、自分のありようなのだ。そう確認できただけでいい。

「下瀬さん。あなたの炸薬を試してみますよ」
 そう言うと、下瀬少佐は驚いた顔をした。
「柏木さん……しかし、終戦の詔勅から、もう十日にもなりますよ」
「だからこそ、米軍にも隙がある。今夜にも決行します。明日になれば、残存機のペラはみんな外されて飛べなくなってしまいますからね。整備は、間島整備長に頼んでおきました」

 下瀬少佐が作った炸薬はピカほどの力はないが、並の炸薬の十数倍の威力がある。二十五番(二百五十キロ爆弾)に詰めれば、大和の主砲弾並の力がある。当たり所によれば、一発で戦艦を沈めることもできる。

 機体はグラマンに外形が似ている雷電を使う。

「では、行ってきます」
「あくまで、柏木少佐が機体を強奪したということにしますので」
 整備長が、ニッコリ笑った。自分は、こういう男らしい笑みに弱い。思わず抱きしめたが、整備長は、男の感が極まった行為と受け止め、ハッシと抱きかえしてきた。
「では、行ってらっしゃい。残った者は殴り方用意……始め」

 男達が殴り合って居る間に、自分は発進した。これで、自分が機体を強奪した言い訳にはなるだろう。

 いったん箱根の山の間を抜けて、相模湾に出て、米軍機の巡航速度で巡幸高度をとった。そしてあらかじめ調べておいた、米軍機のコードで無線連絡し、遭難機を装った。子どもの頃アメリカで暮らしていた英語が役に立った。ヨークタウンから着艦許可が出た。

 近づいて、シメタと思った。三百メートルほどのところに、ミズーリとおぼしき戦艦が停泊している。
「ラダー故障、着艦をやり直す」
 そう電信を打つと、左にコースをそらせ、そのままミズーリのど真ん中に突っこんだ。

 一瞬目の前が真っ赤になって、意識が途絶えた。

 刹那、兄のひ孫の想念が飛び込んできた。

――ミズーリ爆沈、乗員全員死亡。ヨークタウン中破、死者、負傷者多数――

 ミズーリにはマッカーサーが乗っており、ヨークタウンでは、ジョージ・ブッシュという若いパイロットが巻き添えをくって死んでいた。

 自分の、いや、わたしの時空を超えた漂流は、まだまだ続きそうだった……。



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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ROBOCOP /アナと雪の女王』

2014-03-17 07:26:51 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ROBOCOP /アナと雪の女王』



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


ROBOCOP

これだけ映画のSFXが進化して 様々なSF作品がリブート(再起動…リメイクとは意味が異なる)される中 「まだやらんのかい!」とイライラしながらまっていたのが、まさしくこれでした。

 まず、映像から言うと若干の不満はあるものの、この先シリーズ化されるとして(アメリカでは今一の成績、今後 世界でどれだけ稼ぐかにかかっていますが)その前提で考えると ギリギリ合格点を付けて良い出来上がりになっています。         
 当然の事ながら87年のヴァーホーベン版の どこか漫画チックな画面とは一線を画し、まさに“生きたロボコップ(?)”が暴れまわっています。
 監督のジョゼ・パジーリャ(ブラジル人/主にドキュメンタリー監督「バス174」/ドラマ「エリート・スクワッド」)は87年版とは違うロボコップを作ったが、前作へのリスペクトは全編に溢れている。
 細かい描写はこれから見る人の邪魔になるので割愛しますが、設定に穴が少々……幾つか有りますが、主にロボコップの生体部分維持(前作では ワザと無視してあった)へのこだわりと、そうした場合のメンテナンス費用 及び ラストシーン以降 誰が負担するのか……話がドキュメントタッチに進行する為、かえって気になってしまいます。
 前作ではオムニ社副社長が悪党で、ラスト 社長が副社長に馘首宣言する事に拠ってロボコップの禁忌コードが外れ、会社としてはプロジェクト続行となる。
 今作ではロボットプロジェクトはオムニの一部で、更に本社が存在する(いきなりラストでアナウンスされる)らしく、まぁ その辺は続編に出てくるんでありましょう。
 さて、87年版は 結構政治的な作品でした。アメリカがオイルショック以降 構造不況に陥る中、レーガノミクスが打ち出した新自由主義経済は「公共から民営化」の波を作り出し始めていました。
こういう状況下、「もし、警察までが民営化されたら?」という設定で作られたのが前作でした。 ヴァーホーベンのアメリカに遠慮の無い語り口と、過剰過ぎる残酷描写は そのディストピアを描き出し、これは まさに現在の世界の先取りでした。
 今作ではブラジル人監督(ヴァーホーベンはオランダ人)が現在のアメリカが既にディストピアの入り口に在るとして製作しています。
 アメリカは兵士の死に耐えられずイラクから撤兵しましたが、これがロボット兵士なら? 映画では2018年にいたるも駐留を続けている事になっています。国内には警察にすらロボットの導入を禁ずる法律が存在するのに……政治経済の微妙な違いを映画は見事に吸収して作られています。
 内容に少し触れますが、前作のロボコップは“人間としてのマーフィー”のアイデンティティを奪われた存在として登場、彼がいかにして人間に再生していくかが重要なテーマでした。 今作でのマーフィーは人間としての記憶を持ったままサイボーグ化され、それでは都合が悪くなり感情を奪われる。それをどう取り戻すのか、家族との関わりを絡ませながら描いて行く。  どうしてもストーリーに触れますなぁ。正直、小理屈こねないと半端に感じる部分があるので どうしてもそっちに行っちまいます。これはねじ伏せて続編以降をまちましょう。
 SFアクションとしては基準を満たしています。


アナと雪の女王

 現在までに作られたCGファンタジーの極北です。身体ごと鷲掴みにされるような物語をクリエイトできる能力は悪魔的ですらあります。これでも褒め言葉なんですよ、もう絶賛する言葉がありませんわ。
「また ディズニーが童話をねじ曲げた」だの「キリスト教の臭いがキツい」だの「アメリカの論理」だのと……散々ハリウッド映画に噛みついてきた私が言います。この作品にそんなイチャモンつける奴は絶対許さん! のめり込みすぎですかねぇ~ なんせ、まるっきり始めのシーンから 余りの美しさ、あまりの躍動感に思わずウルッときちゃいました。エルサが氷の宮殿で歌う“Let It Go”なんて震えました。吹き替えを見ないで良かったと今日ほど思ったことはありませんわ。エルサの吹き替えは松たか子で……最近松たか子を見直したばかりですが、この歌で同等以上の感動を伝えられるとは思えない(ちなみにアナは神田沙也加)
「真実の愛」が魔法を破るというキモ以外はアンデルセン童話とは何の繋がりもありません。100%ディズニーオリジナルの物語。 ピクサーCGとは一味違う、本来のディズニーアニメの歴史線上にある まことに素晴らしい作品です。これは見るというより体験する以外にありません。どうか映画館に足を運んで下さい。
 老婆心ながら、小さい子供連れでなければ 是非とも字幕版をご覧になって下さい。絶対に!!


『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評『スティーブン・ハンター“第三の銃弾”』

2014-03-16 09:58:57 | 読書感想
・タキさんの押しつけ書評
『スティーブン・ハンター“第三の銃弾”』



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に流している書評ですが、もったいないので転載したものです。



ハンターの“スワガー・サーガ”最新刊にして最上級ミステリーです。

 スティーブン・ハンターはアメリカ地方紙の映画評論をスタートにガンアクションスリラーの書き手として、頂点に君臨しています。代表作“極大射程”はマーク・ウォールバーグ主演で映画化(面白かったけど原作に比べると数段落ちる)されています。
 当初は大規模軍事作戦物を書いていましたが、ベトナムでの天才スナイパー(狙撃手)ボブ・リー・スワガーを主人公とするシリーズで一気にこのジャンルのトップに躍り出ました。シリーズはボブの父親アール・スワガー、ボブの息子クルーズを主人公とするものもあり、親子三代の“スワガー・サーガ”になっています。
 ハンターには独特の語り口があり、かつ 銃に関する膨大な知識が解説され、またそれがストーリーの重要部分になりますから、銃に関心のない方には少々辛いかもしれません。

 しかし、本書は一読に値すると確信します。

 本書“第三の銃弾”とは1963年テキサス州ダラスにおいてJFケネディの頭蓋を砕いた三発目の弾の事です。
 JFK暗殺はテレビの初衛星中継の日に偶然合致、中継を見る為に多数の日本人がテレビの前に座っていた所に いきなりニュースとして流れました。 私は10歳でしたが 当時受けたショックは今でもはっきり覚えています。犯人は2時間後に捕まったリー・ハーベイ・オズワルド(以下LHO)。彼は共産主義者であり、一時期ソ連邦に亡命していた経歴があり ソ連情報局の暗躍が疑われましたが、翌日 移送されるLHOをジャック・ルビーというストリップクラブ経営者が射殺した為、暗殺の背景は解らなくなりました。 その後、アメリカは“ウォーレン委員会”を組織して事件の徹底究明を目指しましたが、発表された報告書(総てが公開された訳ではない)は不備な点が多々あり非難にさらされました。
 改訂版が確か3~4回出され、その都度 報告書は厚みを増しましたが、内容的には初版と大差ありませんでした。ずっと批判されているのは

①LHOの単独犯だと決めつけている
②銃・弾薬の分析に当たった人物が適任ではない
③事件の背後に対する考察が薄い…との3点がもっとも多いようです。

① LHOは元海兵隊狙撃手ではあるが、腕前は一級狙撃手(二級とする説もある)であって“特級”ではない。そのような程度の人間に かくも見事な狙撃が出来るのか? 観衆の証言によると、少なくとも三方向からの銃撃音が報告されている(但、当時のダラス/エルムストリートは地形/ビル・道路の位置から反響し易い条件下にあり、ダラス教科書倉庫からの銃撃音が反響したと考えるのが常識的) 反響を考慮するにせよ、教科書倉庫と隣り合ったビルからの狙撃も考えられるのではないか。② LHOが狙撃に使用したライフルは“カルカノ”という第二次大戦中イタリア軍の正式銃であるが、63年当時ですら欠陥品とされていた。しかも、LHOのキャリアは銃についている照門/照星を使ってのものであり、スコーブ使用によるキャリアはない(ソ連亡命中のキャリアも判明している) 押収されたカルカノにはスコーブが装着されていたが、至極安物であり(日本製) 4本のボルトで固定すべきなのに ボルトは2本しか締まっていなかった。 三発の銃撃があったが、命中したのは二撃・三撃目の二発。一発目はパレードカーの左後方の縁石に当たって数個に割れ 跳弾となって車のフロントグラスにぶつかり運転手の足元から発見された。二発目はJFKの背中から射入、骨を避けて首、胸、腰を傷つけた後 身体から飛び出して前席のシート越しに知事を襲い、病院で知事の服から発見された。(一発の弾が このような複雑な動きをするものか疑問視されたが、現在証明されている)

 問題の三発目、これはJFKの左耳横から右に向けて入り、彼の後頭頭蓋を脳漿と共に後方に吹き飛ばした。しかし、この弾丸は発見されていない。運転席から発見された破片がそれではないかと言われたが、如何なる人体の形跡も付着していなかった。
 このため、教科書倉庫からの(後方からの)銃撃ではなく、前方あるいは横からの第二第三の別人による狙撃が疑われたが 何ら証拠形跡が見つからず、JFKの頭蓋中で跳ね回った後外に飛び出したか 頭蓋中で爆発して粉々になったものと推定された。
 しかし、これはどちらも有り得ない現象で、LHOが使用した銃弾は非力な弾丸であり 頭蓋を貫通したならその時点で脳内に残留するしかない。また、そんなエネルギーがあるなら、第二射命中弾はJFKの骨を避けずある程度真っ直ぐに入って突き抜ける。 また、使用された弾丸は鉛の上に銅でコウティングされた徹甲弾であり、徹甲弾はパンクション(見かけ爆発…炸薬によらず、みずからのエネルギーで崩壊爆発する)を起こさない。
 これらの指摘は63年当時も常識的意見であったが、何故かウォーレン報告書には明確な説明がなされていない。③ JFKのダラス訪問は比較的急遽決定され、さらにパレードルートは2日前まで解らなかった。それをこのようにして用意待ち伏せできたのには相応の巨大なバックの思惑が動いたと考えるのが妥当だが、報告書は深くは突っ込んでいない。じつは この部分の調査報告が一番伏せられており、総て公開されたなら黒幕が現れると言われているが 現在は五里霧中である。

 このような経過から、すでに50年の時を経ながら未だに関係書籍の花盛りであり、中には単なる妄想の域を出ないものもある。
 しかし、LHOを殺したルビーも殺されており、その後15年程の間に暗殺捜査に関わった人間 または何らかの形で調査・陳述した人々の内30数名が自然死以外の死を遂げており、この事件の闇を更にひろげている。
さあて、本書はJFK暗殺時点ではまだ少年であったボブ・スワガーが、ちょうど30年後に狙撃事件に巻き込まれる(極大射程) 彼は雁字搦めの罠を噛み破り、途中から無理矢理見方につけたFBI捜査官ニック・メンフィスと共に逆襲に出る。最後に残った罠も仰天の機転(周到な準備というべきか)でひっくり返す。このラストのトリックは これ以降の多くの作品に影響を与えている。 それから20年、ボブの元にある女性から調査依頼が舞い込む。JFK暗殺にもしかしたら絡むかもしれないと思われたが、ボブをつき動かしたのは提示された証拠のコートに付着した小さなタイヤ痕だった。それは50年前の事件に留まらず、ボブ自身に降りかかった20年前の事件の亡霊をも呼び覚ました。
「極大射程」事件を絡ませつつ JFK暗殺の真相に迫っていく。勿論 小説であるからスワガー・サーガ世界のなかでのストーリーですが、JFK狙撃の第三の銃弾について これほど明解に喝破
した説を知りません。思わず息を呑みました。JFK暗殺にいたる背後事情やLHOの行動動機はサーガの中のフィクションですが、これも思わず唸る説得力です。
 銃/銃弾に興味のない向きにはまことに読み辛いかもしれませんが、ミステリーファンなら絶対読むべき一冊ですよ!



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

 青雲書房より発売中。大橋むつおの最新小説! 

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高校ライトノベル・ムッチャンイレギュラーマガジン《この春に……》

2014-03-14 23:28:08 | イレギュラーマガジン
ムッチャンイレギュラーマガジン
《この春に……》
        


 この春に本を二冊出します。

 一冊を『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』という、若者向けの小説です。
 もう一冊が『ノラ 大橋むつお第3戯曲集』といいます。

 今回は、この戯曲集の話をしたいと思います。

 僕が、今こうして劇作家や作家の真似事が出来ているのは、大阪の高校演劇のお陰です。
 僕は、勉強が出来ないので、高校を四年間いきました。二年生を二回やりました。

 普通、こういう生徒は、学校が因果を含めて自主退学させます。
「大橋、退学して、よその学校行くんやったら、単位認定して出したるわ」
 先生から、そう言われました。

 そんな僕が、辞めずに卒業し、後年高校の先生に成れたのは、演劇部があったからです。

 僭越ですが、恩返しがしたいと思っています。

 大阪の高校演劇は、やや異質で、コンクールの上演作品の90%以上が創作劇で占められています。
 基本的に創作劇には反対です。吹奏楽や、軽音が創作曲でコンクールに出ることは99%以上ありません。作曲の難しさと畏敬の念を持っているからです。

 それが、高校演劇では易々となされています。人生経験が浅い高校生が、まともな本を書くことは、まず無理です。また、顧問の先生が、自分のクラブに当て書きしたものは汎用性がなく、他の学校で上演することは、非常にむつかしく。実際よその学校の作品を他校が上演することは、まずありません。
 僕は、機会が有るたびに、大阪の先生方に「小規模な演劇部でも出来る本を書いてください」とお願いしています。で、残念ながら、この呼びかけには応じてもらえません。

 だから、微力ながら自分で出すことにしました。

 三冊目の個人戯曲集なので『第三戯曲集』と、芸のない、でも分かり易いタイトルにしました。
 2人~6人の芝居が5本載っています。いずれも上演実績があり、その度に手を加えたもので、三訂版になるものもあります。中には劇中劇を取り出せば、もう一本別の短編劇になる『ノラ』もあります。我ながら使いでのある本で、登場人物の大半が女子。男子の役でも、言葉遣いを変えれば女子だけでも演れる本ばかりです。
 いま一番求められているのは、女子2~3人の芝居です。

 中に、中学生用に書いた『すみれの花さくころ』という本があります。
 皮肉なことに、中学での上演実績は2回しかありませんが、高校生や大人の劇団が取り上げてくださり、のべ20ステージほど演っていただきました。
 書いた僕自身の想いを超えたところで、僕には見えない作品の色や光を発見してくださり、名古屋では、オペラにまでしていただきました。

 なんだか自慢めいて聞こえますが、もう少し続けます。

 僕の作品は、記憶にあるだけで220ステージほどの上演実績があります。むろん書いた本が全て上演されているわけではありません。
 300に近い戯曲を書いて、一度でも上演されたものは、50ほどでしょうか。繰り返し上演されているのは20本ほどです。

 今回の『すみれの花さくころ』は、大阪のコンクールで「作品に血が通っていない、思考回路、行動原理が高校生のそれとは違う」と酷評された本です。でも20ステージで5000人ほどのお客さんが観てくださいました。
 どうも、僕自身が、よく分かっていないところで、この作品は愛されているようです。

 僕の演劇上の師匠は、劇団青年舞台の故久能先生、元四天王寺高校の故藤木邦夫先生、元千里高校の日比野諦観先生、そしてウィングフィールドの故中島陸郎さん、故原千代海先生、故栗原一登先生方だと、勝手に思っています。
 仰々しくお名前をあげたのは、この、ほとんど個人になられた人たちを記憶に止めていただきたいことと、人への影響の仕方です。

 共通していることは、この人たちは「ああしろ、こうしろ」とは言わなかったことです。
 良かったときには「良かったよ」「面白かった」と一言だけ。つまらないときは「やあ」でお終い。中島さんなど、つまらないときは、幕が下りると同時に席を立たれます。ものすごく良かったときと、非常に不満に思われたときは、他の観客が帰っても席に残っておられました。それが意思表示でした。
「この芝居、うちで演りませんか」
 と、一度おっしゃっていただけました。また、僕のいい加減な本も目を通していて下さって、歌舞伎役者の故嵐徳三郎さんの一人芝居の本を書かせていただいたりしました。
 寡黙な方でしたが、行政などに言うべきは、率先して言ってこられました。大阪市がフェスティバルゲートを作ろうとしたときは、ご自身音頭をとって反対されました。中島さんの予想通りフェスティバルゲートは破綻しました。
 もし、中島さんのプランが通っていたら、公設で、運営は大阪の若者が主体になった、小劇場二つと中ホールが一つ、そして附属の貸し稽古場などができ、大阪のパフォーマンスアートの一大拠点になっていました。

 僕には、中島さんほどの才覚も力もありません。

 ただ、本を書くことがなんとかできます。もう60歳なので、大したことはできません。少しでも本を書き残していければと願っています。

 そして、恨まれ役をやっていこうと思います。

 良いものは良い、悪いものは悪いと言い続けます。ただ、この姿勢は注目はされますが、あまり効果ががありません。先輩の先生から「いったい何人敵を増やしたら気が済むんだ」とも言われました。
 作品を書いていくことで、師匠であった方々の真似事。その百分の一でもできればと思います。

 お金がないので、本の挿絵や表紙絵まで描いています。
「オオハッサン(大橋さんが詰まると、こうなる)あんたの感覚、昭和やで」
 同年の本書き仲間に言われました。なんでも、最近はラノベ感覚のネーミング、表紙でなければお客さんは手にとって見ようともしないそうです。

 で、この歳でラノベの表紙を数百見て、数十枚模写し、鈍ったデッサンの感覚を取り戻すため、ヌードのクロッキーも何枚か描きました。

「ああ、やらし。あんた、なに描いてんのん!?」

 一番の無理解者はカミサンかもしれません……。


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高校ライトノベル・高安女子高生物語・36〈有馬離婚旅行随伴記・1〉

2014-03-14 16:58:34 | 小説・2
高安女子高生物語・36
〈有馬離婚旅行随伴記・1〉
        


「ちょっと冷えそうだな」

 明菜のお父さんは、ブルッと身震い一つし、ジャケットを掴んで助手席から車を降りた。
 仲居さんや番頭さんたちが、案内や荷物運びのために車の周りに集まった。
「あ、タバコ切らしたから買ってくるわ」
「タバコやったら、うちのフロントに言うてもろたら……」
「ありがとう。おれのは、特別の銘柄だから。なあに、店はとっくに調べてあるから。じゃ、ちょっと」
「すみませんね、お寒い中、お待たせしちゃって」
 お母さんが恐縮がる。
「お日さん出て温いよって、ちょっと庭とか見ててよろしい?」
「ええ、いいわよ。この玉美屋さんの庭はちょっと見物よ。そうだ、あたしもいっしょに行こう」
「ほなら、お荷物ロビーに運ばせてもろときます」
 仲居さん達は、甲斐甲斐しく荷物を運ぶだけとちごて、何人かは、お父さんと、あたしらを玄関前で待ってくれてる。客商売とは言え、なかなかの気配りや。
「やあ、ほんま、きれいなお庭」
「回遊式庭園じゃ、有馬で一番よ」

 梅が満開。寒椿なんかも咲いてて、ほんまにきれい。まだ春浅いのに庭の苔は青々としてた。
 ほんのりと温泉の匂い。
「そこの芝垣の向こうが露天風呂になってます」
「じゃ、そこの岩の上に上ったら覗けるかもね」
「ホホ、身長三メートルぐらいないと、岩に上っても見えしまへんやろな」
 と、お付きの仲居さん。
「見えそうで見えないところが、情緒あっていいのよね」
 明菜のお母さんは面白がっていた。

 その時、わりと近くで、車がパンクするような音がした……おかしい、三回も。こんな立て続けにパンクが起こる訳がない。

「えらいこっちゃ、人が撃たれた!」

 どこかのオッサンの声がして、あたしらも、声のする旅館前の道路に行ってみた。

「キャー! お、お父さん!」
 明菜が悲鳴をあげた。明菜のお父さんが胸を朱に染めて倒れていた。
「え、えらいこっちゃ。さ、殺人事件や。け、警察! 救急車!」
 旅館の人たちも出てきて大騒ぎになった。

「みなさん、落ち着いてください!」

 お母さんは、つかつかとお父さんに近寄ると、お父さんの横腹を蹴り上げた。
「痛いなあ、怪我するやろ」
 ぶつぶつ言いながら、血染めのお父さんが立ち上がった。

「え……」

 女子高生二人を含める周りの者が、あっけにとられた。
「こんな弾着の仕掛けで、あたしがおたつくとでも、思ったの。しかし、あなたもマメね。いまどき潤滑剤の付いてないコンドームなんて、なかなか手に入らないわよ」
 お母さんが、めくると、お父さんの上着の裏には、破裂したコンドームがジャケットを真っ赤にしてぶら下がっていた。
「おーい、失敗。カミサンに見抜かれてた」

 向こうの自販機の横から、いかにも業界人らしいオッサンがカメラを抱えて現れた。
「これ、年末のドッキリ失敗ビデオに使わせてもらえるかなあ」
「やっぱ、杉下さん。あなたの弾着って、クセがあるのよね」
「アキちゃんにかかっちゃ、かなわないなあ」

 そのときの、お母さんの横顔で思い出した。梅竹映画によう出てる稲垣明子や!

 当惑を通り越して、憮然としてる明菜には悪いけど、うちはワクワクしてきた。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評『百田尚樹:ボックス!』

2014-03-06 07:44:32 | 読書感想
タキさんの押しつけ書評
『百田尚樹:ボックス!』



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している書評ですが、もったいないので転載いたしました。


BOX…「箱」を意味する名詞であるとともに、「ボクシングする」という動詞でもる。

 だから本作は「箱!」ではなく、(ボクシングで)戦え!の意味。プロボクシングで「ファイト!」と言うのと同じ意味です。
 百田さん、今回もジャンルが変わり 文体も変化している。高校ボクシング部が舞台で、天才的ボクサー/鏑矢とその友人/優希、副顧問の高田(20代女性)の三人が主人公。文体は三人称だが、優希と高田の視線から交互に語られ、鏑矢が自ら独白する事がない。この構成が面白い。

 これは「あしたのジョー」の学園青春物語です。我々の世代……百田氏は若干若いが……は ボクシングと言えば「あしたのジョー」を抜きには有り得ない。こいつはジョー、こっちが力石、段平のオッツァンもいる。漫画のドヤ街ほどではないが、舞台は西成の高校。荒川土手は淀川に代わって、舞台設定も見事にはま
り込む。
 基本的なボクシング知識とアマチュアボクシングについて、やけに詳しく説明してある。現実にボクシング部に取材もしているが、百田氏も高校生ボクサーだったらしい。ちょっとビックリいたしました。  これもホンマに上手い小説です。ボクシング題材の小説ってのは たくさん有りそうで 実は殆どありません。漫画なら絵で、映画なら映像で 戦いの迫力を表現できますが、これを「文字」でとなると難しい。本作では、まるで試合会場にいるかのごとくに感じますから これは尋常の表現力ではありまん。

 リング上でステップするキユッキユッって音、バンチが決まった時の内臓に響く音、ボクサーの息づかい飛び散る汗……目の前に浮かび上がっています。
 そして、サブキャラクター達も 実に見事に描き込まれ それぞれに重要な役割を担っている。何より みんな肉体を持って生きています。全員が「青春の懊悩」の真っ只中、悲劇のヒロイン(始めはとてもそうとは思えない)も登場する。
 単なる青春ストーリーではなく、人間の成長をボクシングを通して語る小説です。ラストが予定調和すぎて嫌なんですが……これが百田尚樹のハッピーエンド、認める事にいたします。

 ボクシングに関心無くとも また 女性の鑑賞にも耐える作品です。以前に 市原隼人主演で映画化されています。 百田氏に無関心だった頃の映画なので未見、こら探してこんといけません。 ただ、あんまり過度の期待は……やろなぁ〓



『まどか 乃木坂学院高校演劇部物語』        

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『アカデミー賞決定』

2014-03-05 07:49:58 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『アカデミー賞決定』



これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


実は少々「良かったね」ってのと「ええ~〓」ってのが混ざってます。

 今年はアカデミーに先立つ各賞決定の結果から“作品”“監督”以外は鉄板でしたから予想通りというより予定通りの顔ぶれです。あえて言えば“アメリカン・ハッスル”“それでも夜は明ける(コノ「ホウダイ」ドナイカシテクレ)”の助演女優賞の争い位ですか。

「風立ちぬ」が惜しかったなんぞと言う方がおられますが、これは相手になる訳が無いんです。駿さんはアメリカでも最高に尊敬される監督ですが、なにせ「アナと雪の女王」はアメリカ社会現象的ヒット、劇中の主題歌を知らない奴はアメリカンじゃないってぐらいです。これは素直に脱帽いたしましょう。
「ダラス・バイヤーズクラブ」はなんとか見に行って来ます。“12years a slave (それでも夜~)”は来月までおあづけで、今はなんともコメントできません。

 まあ、予想段階から“ウルフ オブ ウォールストリート”の無冠は判っていたのですが“アメリカン・ハッスル”の無冠は残念です。オスカーがゴールデングローブのようにドラマ/コメディに別れていれば……いやいや、繰り言であります。
 作品賞が最大10作品ノミネートに成っている事で良しとしましょう。これが5作品だけだと“グラビティ”は弾かれた可能性がありますからね。 まだ公開されていないからなんとも言えないのが“her”の脚本賞、コンピューターと恋に落ちる男の物語……こりゃあ公開が待ち遠しい。
 心からおめでとうと言いたい! マシュー・マコノヒーの主演男優賞、彼はまだまだ二枚目で通用するのに20キロ減量して末期エイズ患者を演じた。思えば'13年のキャリアはずっとインディーズ作品、大ヒットはないが限定公開から必ず拡大公開になった。“ダラス~”にずっと関わってメジャー作品に出る時間が無かったのかもしれない。兎に角努力が報われた、本当におめでとうございました。
 ウルフ オブ ウォールストリート/アメリカン・ハッスル/キャプテン・フィリップス/ネブラスカ/あなたを抱きしめる日まで/8月の家族たち……半分はまだ未公開ながら素晴らしい作品である事は間違いない。

 今年ほど未公開作品だらけで こんな原稿を書いた事はない。一つには試写会に行かないせいではあるが、少なくとも1/3以上はまだ試写会すら開いていないはず……もう言いませんが 何が言いたいかお分かりいただけると思います。 今年のアカデミーを見ていて、ショーアップが足りなかったのが少々不満です。本年のノミネート作品賞の内、なんと6作品が実話とあってイジリ難い部分があったんだとはおもいますが そこをなんとかするのがアメリカンのショウマンシップですよね。
 今年はユダヤも政治色も感じられず、その点スッキリしていたのですが……あんまり地味に過ぎると、いつぞやみたいに視聴者離れが起きます。
 とは言え、無事に86回も終わり、すでに87回に向けてのレースが始まっています。来年に向けては、もう一つのパターンが出ていて、それは宗教です。キリストの生涯/ノアの方舟が既にラインに入っています。

 来年は俄然きな臭くなるのかもしれませんねぇ。


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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ書評『真山仁:コラプティオ』

2014-03-04 06:46:14 | 読書感想
タキさんの押しつけ書評
『真山仁:コラプティオ』



 これは悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している書評ですが、もったいないので転載したものです。

corruptio:汚職・腐敗を指すラテン語

 単行本が出た時に読んでますが、文庫を間違って買ってしまいました。 改めて、初刊時より今の方が時代にマッチしていると思います。
 東北大震災に際して彗星のごとく現れた救世主にしてカリスマ的政治家・宮藤と若き政治学者にして宮藤の秘書官を勤める白石/大新聞の記者/神林。この三人を中心に政治の深層を探る。

 初刊 平成23年より今の方が時代に寄り添っているというのは、何も安倍政権を揶揄しているのではない。物語はもっと普遍的なテーマを追っている。初刊刊行時、多分に予言的な内容を持って本書は世に出た。
 未曽有の災害に当時の為政者の化けの皮が剥がれ落ち、日本人は強力なリーダーを求めていた。その風を背に受けて宮藤は首相に登りつめる。力強い言葉とカリスマ性を武器に その支持率は右肩上がりに上がっていく。 まぁ、あまりストーリーには触れない方がよろしい。ご想像通り、政権に疑惑の影がさす。果たして真相は? という疑問を追って物語は進行する。
 真山仁は、あの「ハゲタカ」の作者です。今回、経済ミステリーから「政治」に舞台を移しての作品。読み出すと止められなくなるのは「ハゲタカ」と全く同じです。「ハゲタカ」シリーズと同じく、状況の薄皮が一枚剥がれ落ちるたびに少しずつ違う風景が顔を出す。この状況変化をどう考えるか、どう対処するか……登場人物達の立場は微妙に変化し、心中は引き裂かれていく。この人間心理の移り変わりの筆致はさすがです。
「最良なるものの腐敗は最悪である」というラテン語成句がありますが、我々は「最良なるもの……と信じていたもの…」というように書き換えないでしょうか。 あまり違いは無さそうですが、書き換えた方には責任転嫁があります。「私は騙されていた」……どうでしょうか。
元の成句には「腐敗は避けられない、如何なるものにも」という意味が込められているのです。ラテン語成句じゃありませんが「騙すなら騙すで騙し通してくれ」ってのがありますが、その方が少なくとも心は平安だって事なんですね、その結果 奈落に落ちるとも……なんてな覚悟がある訳じゃありません。人間ってのは どこか他力本願で、ジッとしていれば誰かがどこかに運んでくれると幻想しがちです。
 その意味で、本作の主人公達は 自ら浄化の道を取ろうと……最善ではないにせよ……努力しています。とはいえ、最後の為政者の言葉を鵜呑みにはできないし、そこまで追い詰めた側も その後の進展に責任がとれるのか? 状況に関わり続けるのか?という疑問が残る。

 現実には有り得ない理想論を振り回すつもりはありませんが、本作がこれで完結するとするなら……私には「絶望」の二文字しか見えない。想像力の欠如?
「ハゲタカ」と同じく、本作の主人公達が、この後 如何なる地平を切り開くのか、是非とも続編が読みたいと思います。



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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・154(前しか向かねえ!)

2014-03-03 16:29:28 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト・154
しか向かねえ!)



「……前しか向かねえ!」

 如月(きさらぎ)先生は、そう言った。

 なんで、こんな時に思い出すんだ……。
 いや、これでいい。今は闘志を持った方が負ける。大久保准尉が……あの、いつも冷静な大久保准尉が闘志を漲らせ、窪地から飛び出した瞬間額を打ち抜かれ、事実上小隊が壊滅したときに、そう感じた。

 ヤツは、こちらの闘志を読んでいる。殺気と言ってもいい。自分達遊撃特化部隊は、その殺気を殺しながら敵に接近することは学んでいたが、攻撃の瞬間は殺気に満ちる。その一秒にも満たない時間でヤツは、こちらを補足し、照準を決め、決めた瞬間トリガーを引いている。もう六人がこれでやられている。

 小隊で生き残っているのは自分一人だ。

 当たり前なら、投降する。単位としての小隊が壊滅したのだから、たった一人生き残った自分が取るべき道は、これしかない。
 しかし、相手は投降など受け入れずに撃ち殺すだろう。奴らに軍事国際法や交戦規定は通用しない。

 それに相手もヤツラではなく、ヤツになっている。

 我々だって、無為に壊滅したわけじゃない。相手の小隊をほぼ壊滅させて、ヤツ一人になった。もう一対一。殺すか殺されるかしかない。

 自分達が、政府の決定を批判することは許されない。しかし、政府はこの期に及んで及び腰だった。

 島を占拠したのは、三個中隊に満たない。西南遊撃特化連隊の全力で攻撃していたら、ものの三十分で奪回できていただろう。
 政府は世論を気にして、一個中隊で攻めさせた。そしてその犠牲の上で敵の実勢力を知ってなを、政府は、同勢力の三個中隊の出撃しか認めなかった。トラップとスナイパーのために、三個中隊は全滅した。もっとも敵も一個小隊ほどに減ってはいた。連隊長は、これ以上の犠牲を出さないために連隊全ての出動を具申したが認められなかった。

 で、我々の一個小隊が、送り込まれた。三時間がたって、ヤツと自分の二人になった。

 で、如月先生の言葉が蘇った。
「……前しか向かない!」
 如月先生は、興奮すると、言葉の頭にくる「お」の音が消えてしまう。だから、正確には、こう言った。

「お前しか向かねえ!」

 自分が、まだ一人称を「あたし」と言っていた高校三年生。勉強ができないことと、家の貧しさから就職するしかなかった。「あたし」の取り柄は、皆勤であることと。頭は半人前だけど、体で覚えたことは忘れない。だから体育の成績だけは良かった。人付き合いも苦手で、高校の三年間BFはおろか、同性の友達も居なかった。こんな「あたし」が受けて通るような企業は無かった。

 で、最後に残ったのが自衛隊だった。

 むろん筆記試験もある。如月先生は二か月かけて、過去五年分の採用試験を繰り返し「あたし」にやらせた。幸いなことに、自衛隊は、その年から適性試験をやるようになっていた。体では負けない。そして合格し五年後の今、この南西諸島の小さな島の窪地……いや、いつの間にか薮に隠れていた。頬に冷たいものが触れた。小隊長のテッパチだ。テッパチの中は左半分が吹き飛ばされた小隊長の顔が入っている。

 その時、風の向きが変わった。こちらの臭いがヤツの方に流れていく。しばらくは小隊長の血の臭いに紛れるだろうが、時間の問題だ。

 考えなかった。訓練でやった様々な事が、組み合わされ、最後のピースがはまった。

 小隊長のテッパチに照明弾を挟み込み、点火と同時に進行方向に投げた。ヤツはイメージ通り、投げた逆の方向を掃射した。自分はテッパチの方角に進み、ヤツのシルエットに銃口を向けた。

 ヤツの正体が分かった。自分はわずかに急所を外してトリガーを引いた。5・5ミリだから貫通銃創だろう。

 舌を噛みきらないように、スカーフで猿ぐつわをし、敗血症にならないように、抗生物質の注射をしてやった。出血とショックで、ヤツは朦朧としていたが念のため手を縛着し、ズボンを足許まで引き下ろしておいた。

「A島攻略隊ブラボーワン。敵の殲滅を確認、腹部貫通銃創の捕虜一名を確保しあり。撤収支援を要請。オクレ」

 通信は、暗号に圧縮され、二十海里離れた護衛艦に届いた。自分はそれまでの三十分ほどを、敵の自分と対峙しながら、待った。

「……前しか向かねえ」

 弱った敵の自分は、怪訝な顔で自分を見ていた……。

 

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評『ホビット2スマウグの荒らし場』

2014-03-03 06:52:27 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『ホビット2スマウグの荒らし場』



 これは、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。



う~ん 納得 満腹です。

 前作「思いがけない冒険」から引き続き P・ジャクソン以下“トールキンオタク”による凄まじいファンタジー作品です。
 
 おさらいさせてもらうと、原作者トールキンはイギリスに神話が無い事を悲しんでいました。ブリテン島の歴史は日本と比べて遜色ありませんが、数度の侵略によって寸断されています。ヨーロッパの国々はいずこも似たような経験を持っていますが、自国の神話は征服者の神話と混淆され長く残っています。グリム・アンデルセンの説話のアンダーグラウンドに共通点が有るのはこの事によります。似たような経緯に有りながら何故かイギリスだけが独自の神話を持っていません。

 イングランドの原形は6世紀末の七王国時代からとされますが、その後 デーン人(バイキング)の侵入を受け、その血を引き継ぎながらイングランドとして安定するのは1100年代から、これ以前の神話は消えています。
 アーサー王伝承(アルフレッド大王/871年~ と北欧神話の混淆)以前のものは判然としません。
 大陸ヨーロッパ(主に東欧諸国とドイツ・オーストリア)の国々は“黒き森”の伝承を有しており、それと征服者の神話が融合しました。
 比べて ブリテン島には“黒き森”のイメージが無く、被征服以前の神話が弱かったんじゃないか……と考えています。第一次大戦後 言語学者であったトールキンは小説形態の神話構築を試みます。それが「指輪物語」なのですが、当初 余りの長部に出版してくれる会社が無く、プレ指輪物語として子供向け童話の形で「ホビットの冒険」を製作しました。
「指輪物語」の中でヴィルボ・バギンスが書いている「行きて還りし物語」がこれです。これが子供だけに止まらず大ヒットし「指輪物語」発刊の後おしになりました。「ホビットの冒険」は童話であると共に「指輪物語」のパイロット版でもあり、その内容は駆け足の「指輪物語」です。大人なら半日もあれば読み終える量しかありません。
 これを指輪シリーズと同じく一編3時間弱の三部作にする為に、映画独自のキャラクター(指輪に登場するエルフのレゴラス/オーランド・ブルーム/は原作には登場しません)を出したり、原作には描かれず謎に成っているシーンが挿入されています。これらはデタラメに作ってあるのではなく、「指輪物語追補篇」「シルマリルの物語」等 本編以外の膨大な周辺部資料をくまなく渉猟した上で製作されています。
 トールキンの残した本編未収録原稿は まさに膨大必ずしも本編に添っているとはいえませんが、これを「ホビットの冒険」に添わせ かつ「指輪物語」に繋がる 矛盾しないストーリーに組み上げてあります。
 ただ一言「見事!」……原作ファンが「こうであろう」と考え「これが見たかった」とつぶやく映像です。
 そこまでの拘って作りこんだ作品ですから、正直 「指輪物語」の世界をご存知無い方には前提となる部分が大きすぎて十全に楽しめないかもしれませんが、一切をそのまま受け入れれば、見事なノンストップアクションファンタジーです。まずは気楽にご覧ください。お気に召しましたら 前作および「指輪三部作」をご覧下さい。原作も読んでいただくと この作品が いかにエゲツナイまでの凄い映画であるか お分かり頂けると思いますです。


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