大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・あたしのあした19『なんだ、さっさとしろ!』

2016-09-30 12:38:11 | 小説
高校ライトノベル
 あたしのあした19
 『なんだ、さっさとしろ!』
      


 プールの補講が一週間ぶりに再開された。

 みんな覚えてるかなあ、プールのポンプが故障して、水が流れ出てしまって使い物にならなくなったこと。
 一週間も空いたんで、ひょっとして補講は無くなるんじゃないかって……淡い期待は裏切られた。

 もう一つ、一週間も空いたんだから、水野先生やら学校は手配してくれて、どこかの女子大の温水プールくらい使えるようになったかな? と、期待した。

「あちこち手配して、なんとかプールを借りられることになった。放課後玄関前に集合、俺が引率していくから」

 朝、体育教官室前に呼ばれて宣告された時には淡い期待があった。
「水野先生、ニンマリ笑ってたわよね?」
 水着やタオルが入った袋を抱えてネッチがすり寄って来た。
「ひょっとしたらホテルの温水プールとか!?」
 ミャーが反対側からすり寄ってきた。
 うちの街は近隣に観光地が多いこともあって、街の規模の割には宿泊施設とかは整っている。だけど、ホテルの温水プールはありえないだろう。ミャーは楽観的すぎる。
「水野先生、温水プールのメンバーなんだよ!」
「え、うそ!?」
「うちのお母さん、ホテルのパートなんだけど、何度もプールで見かけたって」
 ただの楽観ではなさそう……ちょっと期待する。

 期待は現実になった!

 なんと、放課後玄関前で待っていたのは、ホテルの送迎バスだった!
「ウフフ」「アハハ」「ムフフ」「エヘヘ」「ニシシシ」と盛り上がった。
「ホテルの温水プールならさ、スク水って注目されちゃうわよね!?」
「外人のお客さんとかも多いらしいよ~」
「そそ、先月はハリウッドのスターとかも」
「あ、ケビン・ワイズナー! 彼って日本のアニメとかJKとか大好きなんだって!」
「こりゃ、もー、行くしかないっしょ!」
「そーだそーだ、オー!!」
 到着するころには、てっぺんまで盛り上がってしまった。

「「「「「「「「え、なにこれ!?」」」」」」」」

 そこの前について、補講女子たちはぶっ飛んでしまった。
「さ、バス下りたらさっさと、オレのあと付いてこい!」
 水野先生は、颯爽とマイクロバスを下りた。

 そこは、益荒男高校本校舎の玄関前であった。

「せ、先生」
「なんだ、さっさとしろ!」
「えと、マイクロバスはホテルのですよね?」
「ああ、無理言って借りてきたんだ。早くついて、その分しっかり補講ができるからなあ」

 あーー、マイクロバスだけかよ……

 早くも、十三人の補講女子に気が付いて、校舎や玄関の周囲から男子生徒の熱くもやらし~数百の視線が集まってきた。
 
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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・一週間物語・3〔水曜日はスイッチオン〕

2016-09-30 06:35:25 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト・一週間物語・3
〔水曜日はスイッチオン〕



 うちの犬は「ポチ」だ。

 ありふれているようで、めったにない名前。種類は雑種。お父さんが酔っぱらって帰ってきたときに連れて帰ってきたときは、まだほんの子犬だった。もう二歳になるんで思春期の高校生ぐらい。高校生って多感な年ごろ。自分でも自覚はある。

 自分で言うのもなんだけど、あたしは可愛くない。

 え、火曜日まででよくわかった? それは早とちり。あたしは間違っているとか、理由もなくエラソーにしてる奴は嫌い。先輩とか先生とか関係なし、小暮先生とのやりとりでも分かってもらえると思う。ダメな作品には、はっきりダメと言う。去年の東北大会でも、あの大震災の被災者の描き方にデリカシーがないので食いついた。
「どうして、姉を失った妹をグロテスクに描くんですか? それに交通事故で死んだ幽霊が「あたしたちも同じ幽霊だよ」で片付いちゃうんですか? あの震災での死は交通事故とは基本的に違います。イージーなカタルシスに持っていくのは、被災された方への冒涜です!」
 と、手厳しい。で、大会での幕間討論は「互いに認め合う精神を大事にして発言しましょう」の、注意事項を枕詞で言うようになった。やれやれ……。

 でも、そうではない局面。相手が失敗しても真剣にやっていたりすると、すごく言葉やリアクションに気を遣う。できるだけ優しく、可愛く対応しようと、時に相手を面食らわせてしまう。

 それが、今日あるんだよ~。

 一年の時から同じクラスの相原雄介があたしにコクってきた。

「話があるんだ、ちょっといいかな」
 と、緊張しながらも、手順を踏んで真剣に、小さな声で、昼休みの中庭という人がたくさんいて目立たない状況の中で手短に言った。
 演劇部の問題があったので、あたしの脳みそのキャパを超えてしまうので「ごめん、来週の水曜日。もっときちんと話そうよ」ということで、今日の放課後、いったん家に帰って私服に着替えてから話し合うことになっている。制服で話したら、うちの学校の生徒だって直ぐに分かってしまう。制服は学校の看板だ。最終的に個人として傷つくことがあっても、学校の看板は傷つけられない。

 媚があっても、だらしなくてもいけない。チノパンにブルゾンといういでたちにした。あとは心をシャキッとしてスイッチオン。

 場所は、学校の一駅向こうのカラオケ屋。ロケーションとして完全とはいえないけど、互いのプライベートは確保できる。一応カラオケ屋なんで、景気づけの意味もあって、4曲ほど歌う。3曲はAKPの曲になってしまった。雄介も不器用ながら付き合ってくれて、一曲はソロで歌った。
「さあ、本題にはいろうか」
「え、あ、うん……」
 場所がカラオケなんで、あたしはカラッと事務的に切り出した。
「雄介が言う『付き合う』ってのは、どーゆー感じなの?」
「えと……好きだって気持ちで、お互いピュアに高め合えたらなって、そういう感じ」
「回りくどい言い方やだから、単刀直入に聞くね。あたしのこと独占したいわけなの?」
「独占てのは……ちょっと違う」
「分かんないなあ。あたしのこと好きになってくれたわけでしょ。そういう気持ちって独占欲なんじゃないかなあ。悪い意味じゃないよ。当然な気持ちだと思う」
「じゃ、じゃあ、そうかな……で、妙子はどうなの」
「一年のときからいっしょだし、いいやつだと思ってる。いいやつの内容が自分でも分からないけど。突然の告白にたじろいでる」
「だろうな……」
「進路目指して、いっしょに励まし合ってなんてきれいごとじゃなくて確認しておきたいの」
「なにを?」
「好きだって気持ちの種類とレベルを」
「あ、どうやって?」
「キスしてみよう。ドキドキ感で、ある程度分かるような気がするの」
「キ、キスか!?」
「うん、ほんの軽いの。フレンチキスはだめだよ。ま、勢いで胸が触れ合うくらいは許容範囲」

 で、5秒ほどキスした。

「雄介のドキドキってか、あたしへの気持ちは分かった。ありがと」
「で、妙子は?」
「言っとくけど、今のファーストキスだからね。そのわりにはドキドキしない。とりあえず、お互いの心に住民登録はしておこうか。半端な答えはきらいだから、こんなのでいい?」
「う、うん、いいよ。予想より良い答えもらえてよかった。オレ、妙子のそういう正直なとこが好きなんだ」
「正直になろうとはしてるけど、あたし、まだまだだよ。住民登録はしたけど、あたし、しょっちゅう家あけてるからね。それから、今日のキスは、あくまで試験だから。飛躍した行動はとらないでね」

 カラオケ屋は別々に出た。誰の目があるか分からないものね。

 帰りは二駅歩いた。学校の誰かに見られたくないのと、考えをまとめるため。
 学校関係者には会わなかったけど、考えもまとまらなかった。結論は出たけど、出し方は、あれでよかったのかと思った。
 きちんとやっても、気持ちのままやっても、スッキリはしない。

 明日から週も後半、波乱の予感。あたしは秘密の多い妙子です。つるべ落としの夕陽がシュートを間違えたスポットライトのようだった。

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高校ライトノベル・希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場⑦一掛け二掛け三掛けて……①

2016-09-30 06:25:45 | 青春高校
希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場⑦
一掛け二掛け三掛けて……①



 一かけ 二かけて 三かけて
 四かけ 五かけて 六かけて
 橋の欄干(らんかん) 腰かけて
 遥か向うを 眺むれば
 十七八の 小娘(こむすめ)が
 片手に花持ち 線香(せんこ) 持ち
お前はどこかと 問うたれば
わたしゃ九州 鹿児島の
 西郷の娘に ございます
 明治十年 戦争に
 討死なされた 西郷さん
お墓参りも せにゃならぬ



 このわらべ歌ご存じでしょうか。ご存じで「セッセーノヨイヨイヨイ」の掛け声で手遊びができる人は、まあ、還暦を超えた……そう、関東、山陰、南九州あたりでしょうか。

 あたしは、これが出来ます。102歳になるひい祖母ちゃんに教えてもらった……というより、お相手をさせられているうちに覚えてしまったようなわけです。

 むろん子どもの頃です。

 手遊びなんて、今の子どもはしないでしょう。子どもの手遊び……スマホかゲームを連想するのが並の神経なんでしょうね。

 でも、あたしは好きなんです。

 演劇部なんてオタク部活に入った最大の理由は、演劇部のみんなができたからです。実に変なクラブです。
 どこから話そう……あたし西郷さんが好きなんです。西郷さんて写真が一枚もないんです。みんな上野の山の銅像を西郷さんと思っているようですが、除幕式の時、奥さんが言いました。

「宿んしはこげんなお人じゃなかったこてえ」

 でも、上野の西郷さんは、あそこに百年以上も立っているんです。あたしの西郷さんは、あの西郷さんです。
 右足がわずかに短いので、五ミリほどの銅版をかましてあります。それから連れている犬の名前は「ツン」と言います。薩摩犬はもっと小さいのですが、少し大きめに作ってあります。表情、体格、ちょっと右足を踏み出したところなど、絶妙なフォルムです。

 役者で、このフォルムがとれる人はいません。姿勢がとても自然で、演劇のことばでは「ぶら上がった姿」と言います。平たく言えば、その人が一番その人らしく力を抜いて立ち上がった姿とでもいいましょうか。
 ぶら上がっているのに山のように静かで大きな人格を感じさせます。

 みなさん西郷さんの名前は「隆盛」だと思っていますよね。本当は「隆永」っていうんです。
 明治になって国民全員の戸籍を作ることになったとき、西郷さんは無頓着な人で「おはん、ついでにおいのもやってたもんせ」ということで代理に友人をたてました。
「西郷様の忌み名は、なんと申される」
 江戸出身の役人が聞きます。西郷さんは日常は「吉之助」で、周囲からは「せごどん」や「吉之助さー」と呼ばれていました。
 で、友だちは忌み名が思い出せず、とっさに出たのが「隆盛」でした。

「そりゃあ、おはんジ様(祖父)ん忌み名じゃが。ガハハハハ」

 で、特に訂正もせずに通してしまいました。
 弟さんを西郷従道といいますが、これも間違いです。ほんとうは「隆道」と言います。ところが薩摩弁は江戸の人間には分かりにくく、何度も聞きなおされ、音読みで「リュウドウじゃ!」と言いました。江戸の役人は「ああ、ジュウドウでござるな。ならば従道でしょう」と一人合点に決めてしまいました。いいかげんくたびれた友人は訂正もせずに西郷兄弟のところにもどってきました。

 あたしは、こういう薩摩人が好きです。また、こういう西郷さんのような人物を演じられる役者がいないことが残念です。

 ほんとは、この手遊び歌について語りたかったんですが、長くなるので次にします。


                  演技組  筧 十世(かけい とよ) 

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高校ライトノベル・まどか乃木坂学院高校演劇部物語・14『第三章・3』

2016-09-30 06:19:51 | 小説7
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・14   

 
『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』姉妹版


 この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。


『第三章 痛恨のコンチクショウ・3』


「やられたな……」
 フェリペ坂を下りながら、峰岸先輩が言った。


「え!?」
「声がでかい」
「すみません」
「まどか、いま考え事してただろう?」
「いいえ、べつに……」
「彼氏のこととか……」
「ほんと?」
 夏鈴、おまえは入ってくんなよな!
「いま、目が逃げただろう。図星の証拠」
 そう、わたしはヤツのことを考えていた。ここは、リハの日、ちょうどコスモスをアクシデントとは言え、手折ったところ。で、幕間交流のとき見かけた姿……昼間なら赤く染まった頬を見られたところだろ。ダメダメ、表情に出ちゃう。わたしはサリゲに話題をもどした。
「で、なにをやられたんですか?」
「サリゲに話題替えたな」
「そんなことないです!」
「ハハ……あの高橋って審査員は食わせ物だよ」
「え?」
 柚木先生はじめ、周りにいたものが声をあげた。
「あの審査基準も、お茶でムセたのも、あの人の手さ」
「どういうこと、峰岸くん?」
 柚木先生が聞いた。
「審査基準は、一見論理的な目くらましです。講評も……」
「熱心で丁寧だったじゃない」
「演技ですよ。アドリブだったから、ときどき目が逃げてました」
「そっかな……審査基準のとこなんか、わたしたちのことしっかり見てましたよ。わたし目があっちゃったもん」
 夏鈴が口をとがらせた。
「そこが役者、見せ場はちゃんと心得ているよ。あの、お茶でムセたのも演出。あれでいっぺんに空気が和んじゃった」
「そうなの……あ、マリ先生に結果伝えてない」
 柚木先生が携帯を出した。
「あ、まだだったんですか!?」
「ええ、ついフェリペの先生と話し込んじゃって」
「じゃ、ぼくが伝えます。今の話聞いちゃったら話に色がついちゃいますから」
「そうね……わたし怒っちゃってるもんね」
「じゃ、先に行ってください。みんなの声入らない方がいいですから」
「お願いね、改札の前で待ってるわね」
 わたしたちは先輩を残して坂を下り始めた。街灯に照らされて、わたしたちの影が長く伸びていく。夏鈴がつまらなさそうに賞状の入った筒を放り上げた。
「夏鈴、賞状で遊ぶんじゃないわよ!」
 聞こえないふりをして、夏鈴がさらに高く筒を放り上げた。
 賞状の筒は、三日月の欠けたところを補うようにくるりと夜空に回転した。そんなことをしたら三日月が満月になっちゃって、まどかはオオカミ女になっちゃうぞ。

 嗚呼(ああ)痛恨の……コンチクショウ!

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高校ライトノベル・『メタモルフォーゼ・18』

2016-09-30 06:14:01 | 小説・2
高校ライトノベル
『メタモルフォーゼ・18』
        


 カオルさんのお葬式の帰り、思い出してしまった!

 年末には、お父さんと、お兄ちゃんが帰ってくる。あたしが女子になったこと、まだ知らない。
 あたしは、もう99%美優になってしまっていて、バカみたいだけどメタモルフォーゼしてから、ちっとも思い至らなかった。

「どうしよう、お母さん。年末には、お父さんも、お兄ちゃんも帰ってくるよ」
「そうよ、近頃は盆と正月だけになっちゃったもんね、楽しみね。でも男なんか三日でヤになっちゃうだろうな」
「いや、だから……」
「いまや、美優もKGR46のメンバーなんだからさ。胸張ってりゃいいのよ」
「だって、お母さん……進二は?」
「進二……だれ、それ?」
「あ、あの……」
 あたしは一人称として「ぼく」とは言えなくなってしまっていたので、自分の顔を指した。
「美優……知ってたの。あなたが男の子だったら、その名前になってたこと。うちは女が三人続いたから、最後は男で締めくくろうって思ってたんだけどね。麗美は小さくて分かってなかったけど、留美と美麗は『おちんちんが無いよ!』ってむくれてたわよ」
「あたし、最初っから美優……」
「そうよ、それよりゴマメ炒るの手伝って。お母さんお煮染めしなきゃなんないから」
「ダメよ、紅白の練習とかあるし」
「え、美優、紅白出るの!?」
 仕事納めから帰ってきた留美ネエが、耳ざとく玄関で叫んだ。
「うん、三列目だけど……あ、もう行かなくっちゃ!」

 深夜にレッスンから帰ってきて、自分の持ち物を探してみた。

 そこには進二であったころの痕跡は、一つも無かった。CDに収まっているはずの進二時代の写真も無かった。
「どういうこと、これ……」
「そういうこと……」
 レミネエが寝言とオナラを同時にカマした。

 二十九日からは、それどころじゃ無くなってきた。レコ大(レコード大賞)と紅白への追い込みが激烈になってきた。
 レコ大は大賞こそAKBに持って行かれたけど、KGRも「最優秀歌唱賞」を獲得。その晩タクシーで家に帰ると……。
「美優、おめでとう! しばらく見ないうちに、ほんとにアイドルらしくなったなあ!」
 お父さんが、赤い顔でハグしてきた。お酒臭さがたまんなかったけど……。
「ごめん、あした紅白。ちょっと寝かせて……」
「おお、そーしろそーしろ」
 進一兄ちゃんが、これまた酒臭い顔で寄ってくる。
「悪いけど、お風呂まで付いてこないでくれる!」
「明日起きたら、サインとかしてくれる?」
 あたしは無言でお風呂に入り、鼻の下までお湯に漬かって考えた。

 いや、考えるのを止めた。

 どうやら、あたしを取り巻く環境ごとメタモルフォーゼしてしまったようだ……。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・48『藁の盾/アイアンマン3』

2016-09-30 06:09:20 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評・48
『藁の盾/アイアンマン3』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


これは悪友の映画評論家・滝川浩一が身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです


☆藁の盾

 とりあえず褒めておきます。 

 三池崇史にしては抑制の効いた画面です。程ほどにサスペンスも利いています……まぁ こんな所。

 細かい指摘ですが、三池崇史は殴る蹴る刃物を振り回す……までの監督やね、作品にチャカ持ち込むなら、銃器専門の監督(出来りゃアメリカ人の)を雇った方が宜しいようで……。
 まず、ピストル訓練で 大沢たかおが照準を定めるのに片目を瞑っている……有り得ない、最近 漸くライフル照準で スコープに目をくっつけるのが無くなってきたのに…信じられん。松嶋菜々子は両目開いているが上体が後ろに傾き過ぎ、それと発射後の反動が嘘っぱち、通常スピードならまだしも わざわざスローモーションにするから…あ~~あ チョンバレ。
 前からフルスロットルで突っ込んで来るタンクローリーに9ミリ弾で何をしたい訳? ケツが滑り落ちそうでしたわいな。タンクの中身がニトログリセリンって……ほんであの程度の爆発ですか…ホ~〓〓  犯人護送中に邪魔される話は色々ありまっさかい まぁ パクリやとは申しませんが、原作は読んで無いんで置いとくとして、映画を見る限り“S,W,A,T,”と“ガントレット”をミックスして 日本的ネットリ感でまとめた作品です。
 それでもええんですが、5人の護衛警官の描き方が表面的過ぎる、犯人/藤原もコントラストが効いていないし、賞金をかける山崎も薄っぺらい。この部分が本作の肝! ここの手抜きは致命的、嗚呼。
 三池崇史の「これまで日本に無かった映画を~」って意気込みは理解するが、アメリカ映画の形だけを真似てもアキマヘン。
 まず、作品から銃器を除きましょう、殴る蹴る斬るが三池崇史の限界だと、まず本人が自覚していただきたい……ナンマンダブ~〓

☆アイアンマン3

 アイアンマンシリーズの中ではダントツの面白さと規模、相変わらずストーリーが破綻してるのは……なんせ原作が古いアメコミですから見過ごしてあげましょう。そこんとこ御納得いただければ、あとはジェットコースタームービーに成っとります。まぁ、ストーリーを追っかけても仕方ないので……ああっと、本編が終わっても席を立たずに最後まで座ってて下さい、ボーナス有りです(ちょっと微妙ですがね)
 それにしても、日本配給元がまたまた騙しをやっとりまんなぁ、なぁにが「さらば アイアンマン」なんですかねぇ、来年か再来年にアベンジャーズ2が決まっとりますし、本作が大コケせんかぎりアイアンマン4どころか5だって有り得ます。マーベル(て事は ディズニーですが)は次のアベンジャーズに向け 本作に続いてマイティ・ソー/キャプテンアメリカの続編、新しいヒーロー(といっても昔のマーベルヒーローですがね)物をガンガン作るようで……いつか来た道でんなぁ。
 それより 今回気になったのは、クリストファー・ノーラン(インセプション/バットマンのリ・ブート/古くはメメントの監督)の“MAN OF STEAL”あのスーパーマンのリ・ブートです。予告編を見ているだけで雰囲気有ります。
 もう一つ、ジョニー・デップの“ローン・レンジャー”が少しずつ顔を見せ始めてます。ジョニーはレンジャーじゃなく、インディアンのトント役…なぁんていって 判って貰えるのは60代以上のジェネレーションだぜ キモサベ〓 こいつも面白そう ハオ インディアン嘘つかない

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高校ライトノベル・あたしのあした18『トンボが二匹よぎって』

2016-09-29 12:20:40 | 小説
高校ライトノベル
 あたしのあした18
 『トンボが二匹よぎって』
      


 学校の東に西川という一級河川がある。

 東なのに西川、入学当時は変だと思ったけど、変だと思うのは学校を中心に考えるからだ。
 グーグルの地図を大きくしてみればすぐに合点がいく。

 このあたりは旧城下町を中心に発展してきた。

 城下町の西を流れる川だから西川。で、学校は西川のさらに西にあるから西川は学校の東側になる。
 要は、うちの学校は、まだ新しい。だから学校の設置が決まった時は、こんな街の西のはずれにしか建てられなかった。
 新しいと言っても、やっと十六年のあたしたちの人生の倍以上の歴史はある。

 あたしたちって、時間的にも空間的にも世界が狭い。

 狭い自分の世界を基準に考えるから、学校の東側に西川があるのが釈然としないんだ。
 
 そう納得したのは、たった今、西川の土手で腰を下ろして説明してくれた智満子のお蔭。

 昨日の約束で、あたしと智満子は西川の土手で待ち合わせたんだ。

「智満子って、物知りなんだね」
「親が不動産関係の仕事してるからね」
「この土手って、お気に入りなんでしょ?」
「うん、ほんの小っちゃいころから、遊びに来てたから……あたしね、向こうの橋の下で拾われたんだ」
「え……?」
「手島さんのお母さんがお姉ちゃん連れて遊びに来てさ、橋の下で赤ちゃんの泣き声が聞こえるんで行ってみたら、バスケットに入れられたあたしが居たってお話し」
「ハハ、それって、子ども叱る時の定番でしょ『お前は橋の下で拾って来たんだ!』って」
「そだよ。でも、十歳くらいまではホントだって思ってた。だって、お姉ちゃんとあたしってすごく違うじゃない。血の繋がり無いって思う方が自然なくらい」
「でも、きのうお目にかかったら、姉妹だってピンときたわよ」
「あたしってピンが甘いのよ。甘いから、ねじ伏せるみたいにしてしか人間関係持てないのよね。ねじ伏せた人間関係って、いったん誰かにねじ伏せられたら全部失ってしまうもんなんだ……今度のことでよく分かった」
「でも、みんな、まだ友だちだとは思ってるわよ。そうでなきゃ、あんたが誘っても食堂に付いて来やしないわよ」
「それはね……でも、あたしってボス的な対応しかできないからさ……みんなボコボコにしちゃったし……ね、田中さんさ」
「恵でいいわよ、あたしも智満子って呼んでるし」

「じゃ……恵」

「うん?」
「あんたって男って感じがするよね……」
「え、そう?」
「あたし凹ませたときもだけど、対応の早さとかこだわりの無さとかさ。なんだか、よくできた管理職とか議員秘書とかって感じ。そんなに可愛いくせしてさ」
「ハハ、んなことないわよ。智満子こそ、自分で思ってるよりイカシてるよ。まだ、なんか迷いがあるみたいだけど、吹っ切れたら完璧になると思うわよ」

 智満子はくすぐったそうに小鼻の横にしわを寄せた。なんだか青春ドラマのヒロインみたい……それが通じたのか、両手で顔を洗うようにしてクシャクシャにした。
 土手道の上をトンボが二匹よぎって、秋が静かに下りてきたような気がした。

 だというのに、まだプールの補講が残ってる。
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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・2〔火曜日はカンカンカン〕

2016-09-29 07:05:42 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト
一週間物語・2〔火曜日はカンカンカン〕



 カンが当たったというほど大そうなものじゃない。

 顧問の小暮先生に、学校来るなり呼び出された。予想はしていたので、8時前には学校に着いていた。
「妙子、ほんとに主役降りるの!?」
 予想はしていたけど、ゲンナリくる。教師って、どうして、こう自分の思い込みで判断するんだろ。
「県大会で最優秀獲ったんだよ! 個人演技賞と創作戯曲賞も獲ったんだよ! それが地方大会前に辞めるか!?」
「そういう約束でしたから。先生もご承知してくださっていると承知していました」
 あたしは、頭に来ると言葉遣いは丁寧に、態度は冷静になってくる。これが教師のカンに障ることも知っている。でも、癖だから仕方ない。
「あんなの、だれも承知なんかしてないわよ! コンクールで最優秀獲って辞めるバカなんかいないわよ!」
「ちゃんと美優ちゃんにアンダスタディー(代役)やれるように仕込んであります」
「妙子が主役じゃないと務まんないの!」

 この間、小暮先生は、どんなにあたしの演技が素晴らしいか、台本が良く書けてるか(小暮先生の創作)を喋り倒した。
「失礼ですけど、あの作品には血が通っていません。行動原理も思考回路も人間離れしています」
 あたしは、説明を省略して、結論だけ言った。カンに障るだろうな……とは思ったけど、予冷が鳴っていたから仕方ない。

 二時間目の休み時間に美優に確認した。

「言ったっ通り、あたしは降りるから。代役は美優。承知してるよね?」
「はい……でも、小暮先生が……」
「小暮のオバハンなら、あたしがなんとかするから。よろしく頼んだよ!」

 四時間目が自習で、小暮先生は授業がなかったので「呼び出されるだろうな……」と予想。当たった。

「どこが血が通っていないのよ!? 行動原理、思考回路が人間離れしてんのよ!?」
「あれは、最後の和解のカタルシスのために用意した嘘ばかりだからです」
「ど、どこに嘘があるって言うの!?」
「バイトしてたことをネタに脅かします? それも、今時牛乳配達ですよ。それも母子家庭の経済的な理由がもとで。万一バレても、こんなので退学にするような学校ありません。なにかモチーフになるような事件があったんですか?」
「イジメの問題は、今の学校の病理なのよ。それをビビットに描くためには、あれくらいの条件設定が必要なの!」
「つまり、そこが嘘なんです。先生のお作は、その点で血が通っていません。あそこから自殺にもっていくには無理があります。イジメはたしかにあります(いま先生がやってることもイジメだけどね) もっと巧妙で陰湿です。で、99・999%の生徒は死なずに堪えています。高校生の死を問題にするなら、交通事故死です。検索すれば一発で分かります。なぜ取り上げないか。普通すぎてニュース性がないからです。高校生が交通事故で死んでも、新聞にも出ないのが実情です。イジメの自殺は珍しいからニュースになるんです。だから先生は飛びついた」
「でも、等身大の高校生と、教育現場の実情がよく描けてるって、審査員の先生もいってたでしょ?」
「え……先生、本気にしてるんですか? 審査員は学校に関しては素人ですよ。あたしたち生徒や先生が、学校に関してはプロです。ちがいますか? それが、あんな評もらって恐れ入っちゃうんですか? それは、先生が、賞を欲しいと思った気持ちが目をくらませたんだと思いますよ」
「あ、あのね……!?」
「死んだ幸の遺書に名前が書いてあったからって、狙い撃ちで呼び出したりしませんよ。百歩譲って幸が自殺したとしても、学校がまずやるのは全校集会とアンケート、保護者説明会です。それやってから、遺書に書いてあった子を他の生徒に混ぜて面談します。親への連絡はそれからです。ここの教師の思考回路と行動原理、人間じゃないですね。だいたい加害者と思われる生徒の親を一つの部屋に集めるなんてしません。で、加害者の子たちが一切登場しません。加害者の子たちの心に葛藤がなきゃドラマって言えないと思います」
「あのね……」
「二等賞の『三人姉妹』の方が、よくまとまっていたし、出来も良かったです。創作劇の甘やかしすぎです。滅びますね高校演劇」
「わ、分かったわよ。せっかくチャンスをあげようと思ったのに……あんたなんかクビよ!」
「間違わないでください。わたしが辞めたんです。辞めた者をクビにはできませんでしょう」

 まあ、大まかには、こういう話。あたしはちゃんと、その間にお弁当も食べた。むろん小暮先生におことわりはしたけど。

 案の定、放課後には、妙子の無礼者ということで学校中に評判がたった。勝手に弁当食べながら屁理屈を並べたということになっていた。

――演劇部辞めたってほんと? 俺、心配してるから!――

 もう一つウザイのからメールがきた。

 今日はカンカンカンの火曜日だから、こいつのことは明日以降。あああ、メンドイ!!

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高校ライトノベル・希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場⑥なんかね~梅雨が近いせいかなあ

2016-09-29 06:57:20 | 青春高校
 希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場⑥
なんかね~梅雨が近いせいかなあ 



 うちは公立なんで、決まりがうるさくって、ようやく昨日から冷房が入ったの。

 で、この生暖かいアンニュイは、どこかへ行くと思ってたのね。それが今日になっても生ぬるいまんまなのよ。
 教科書ひらいて、板書もちゃんととって、先生の説明ってか授業もちゃんと聞いてるんだけど、なんか古いフランスのからくり人形のオートマタにでもなった気分。
 オートマタ分かんない……等身大の人形でね、ネジ巻いとくと、人間みたいに本当にノートに字ぃ書くの。インクがかすれてきたら、ちゃんと自分でインク壺に羽根ペンつけて、インクの補充までやんの。教室見渡してると、このオートマタ以下ってのが何人かいる。教科や時間帯によっても違うんだけどね。シャーペン持ったまま寝てる子とか、大胆なやつは、机にしがみつくようにして寝てんだもんね。うちの学校は厳しいから寝てたら起こされるんだけど、5時間目とか体育のあとなんか最悪。先生は授業やってんだか起こしに回ってんだか分かんなくなる。オートマタならネジ巻きゃいいんだけど、人間のネジってどこにあるか分かんないもんね。

 シャレっぽく言ってるけど、オートマタ以下の人間てどーよ。

 でオートマタ以下の人間起こしまくってる先生って虚しいと思う

 正直、こんな学校だとは思わなかった。

 なんか希望ヶ丘青春高校って看板が空々しく思えてくる。

 これが、希望……? これが青春……?

 で、考えてみた。というか三好部長の言う通り観察してみた。いろんな答えが頭に浮かんできたんだけど、全部書いてらんないから、一番と思われるの書きます。
 先生が、授業下手すぎ。生徒を観客に例えれば、先生は役者だよね。
 芝居って、厳密には劇場だけでやるもんじゃない。島田 正吾さんていう新国劇の名優さんは、晩年はマンションのリビングやお座敷で、「シラノ・ド・ベルジュラック」を翻案した「白根弁十郎」を演っていた。だから、先生は38人の観客相手に50分の芝居演ってるのと同じなんだと思う。

 スタニスラフスキーってモスクワ芸術座の偉い人が言ってた。

「つまらない役なんてないんだ。つまらない役者がいるだけ」だって。

 日本の大学の教員養成課程は昔よりはシビアになってきたらしいけど、決定的に欠けているのは人にどう伝えるかというスキルを教えないこと。欧米じゃディベートや演劇を教職課程の中に組み込んでる大学があるくらい。
 先生だけじゃないけど、人に伝えるスキルを日本人も学ばなきゃと思った。

 放課後の部活で、由利鎌之先輩に聞いた。由利先輩は二つ前のブログを書いてるから分かると思うんだけど、性別不明。うちはスカート穿いてるからと言って女子とは限らない学校なんだけど、由利さんは本当に分からない。

 あたしは中学でも演劇部だったから、男がどんなに女に化けても見破る自信あるんだけど。例えば足の組み方、女性は股関節が男と違うんで足を組んで、さらに足首でももっかい組める。由利さんは、これが出来る。でも受けるオーラは、時に男以上に男らしい。 

 その由利先輩に聞いたら、明るく笑われちゃった。

「授業がつまらないのは当たり前。先生が下手に思えるのも当たり前。なんでつまらないか分析しなくちゃ演劇部じゃない。つまらない授業の観察しっかりやって、再現できるとこまでやってごらん。甚八が先生の声色使って女の先生口説いたぐらいにね」

 我ながら、すごい演劇部に入ったもんだと思います。

 三好部長からは、真面目すぎてつまらないブログだと言われました。勉強します。

                   演技組  望月六女(もちづきろくな)

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高校ライトノベル・まどか乃木坂学院高校演劇部物語・13『第三章・2』

2016-09-29 06:51:00 | 小説7
まどか 乃木坂学院高校演劇部物語・13   


『はるか ワケあり転校生の7ヵ月』姉妹版


 この話に出てくる個人、法人、団体名は全てフィクションです。


『第三章 痛恨のコンチクショウ・2』


 あやうく握手会、サイン会になりそうになったところ三人の審査員の先生が入ってきた。

――ただ今より、講評と審査結果の発表を行います。みなさん、お席にお着きください。


 みんな慌ただしく席に戻った。
「審査員、表情が固い……」
 峰岸先輩がつぶやいた。
 三人の審査員の先生が、交代で講評していく。さすがに審査員、言葉も優しく、内容も必ず長所と短所が同じくらいに述べられる。配慮が行き届いていると感じた。単細胞の夏鈴はともかく柚木先生まで、「ほー、ほー」と感心していた。
 ただ、峰岸先輩だけが、乃木高の講評をやった高橋という専門家審査員の先生が「……と感じたしだいです」と締めくくったとき、再びつぶやいた。
「講評が……」
「なんですか?」
 思わず聞き返した。
「シ、これから審査発表だ」

 舞台美術賞、創作脚本賞から始まったが、乃木坂は入っていない。そして個人演技賞の発表。
「個人演技賞、乃木坂学院高校『イカス 嵐のかなたより』で、神崎真由役を演った仲まどかさん」
――え、わたし?
 みんなの拍手に押されて、わたしは舞台に上がった。
「おめでとう、よくがんばったね。大したアンダースタディーでした」
 と、高橋先生。
「どうも、ありがとうございます」
 カチコチのわたし。
 そして優秀賞、つまり二等賞の発表。最優秀を確信していたわたし達はリラックスしていた。
「優秀賞、乃木坂学院高校演劇部『イカス 嵐のかなたより』」
 一瞬、会場の空気がズッコケた。乃木坂のメンバーが集まった一角は……凍り付いた。少し間があって、ポーカーフェイスで峰岸先輩が賞状をもらいにいった。峰岸先輩が席に戻ってもざわめきは続いた。
「最優秀賞……」
 そのざわめきを静めるように、高橋先生が静かに、しかし凛とした声で言った。

「フェリペ学院高校演劇部『なよたけ』」

 一瞬間があって、フェリペの子たちの歓声があがった。フェリペの部長が、うれし涙に顔をクシャクシャにして賞状をもらった。
 高橋先生は、皆を静めるような仕草の後、静かに語りはじめた。
「今回の審査は、少し紛糾しました。みなさんご承知のとおり、高校演劇には審査基準がありません。この地区もそうです。勢い、審査は審査員の趣味や傾向に左右されます。われわれ三名は極力それを排するために、暫定的に審査基準を持ちました。①ドラマとして成立しているか。ドラマとは人間の行動や考えが人に影響を与え葛藤……イザコザですね。それを起こし人間が変化している物語を指します。②そして、それが観客の共感を得られたか。つまり感動させることができたか。③そのために的確な表現努力がなされたか。つまり、道具や照明、音響が作品にふさわしいかどうか。以上三点を十点満点で計算し、同点のものを話し合いました。ここまでよろしいですね」
 他の審査員の先生がうなづいた。
「結果的に、乃木坂とフェリペが同点になり、そこで話し合いになりました……」
 高橋先生は、ここでペットボトルのお茶を飲み……お茶が、横っちょに入って激しく咳き込んだ。
「ゲホ、ゲホ、ゲホ……!」
 マイクがモロにそれを拾って鳴り響いた。女の審査員の先生が背中をさすった。それが、なんかカイガイシく、緊張した会場は笑いにつつまれた。夏鈴なんか大爆笑。どうやら、苦しんでいる高橋先生とモロ目が合っちゃったみたい。
「失礼しました。えーと……どこまで話したっけ?」
 前列にいたK高校のポニーテールが答えた(この子、二章で出てきた子)
「同点になったとこです」
「で、話し合いになったんです」
 カチュ-シャが付け足した。
「ありがとう。で、論点はドラマ性です。乃木坂は迫力はありましたが、台詞が一人称で、役が絡んでこない。わたしの喉は……ゲホン。からんでしまいましたが」
 また、会場に笑いが満ちた。
「まどかさんはじめ、みなさん熱演でしたが……」

 という具合に、なごやかに審査発表の本編は終わった……。
 でも、わが城中地区の審査には別冊があるのよね。生徒の実行委員が独自に投票して決める賞があるの。
 その名も「地区賞」 これ、仮名で書いた方が感じ出るのよね。だって「チクショウ」
 その名のとおり、チクショウで、中央発表会(本選)には出られない。名誉だけの賞で、金、銀、銅に分かれてんの。
 で、一等賞が金地区賞。通称「コンチクショウ」と笑っちゃう。そう、このコンチクショウを、わが乃木坂は頂いたわけなのよね。

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高校ライトノベル・『メタモルフォーゼ・17』

2016-09-29 06:42:14 | 小説・2
高校ライトノベル
『メタモルフォーゼ・17』
        


 片道一時間ちょっとかけてレッスンが始まった。

 学校が終わって、4:05分の大宮行きに乗って、東京で地下鉄に乗り換えて神楽坂で降りて5分。放課後は必死。掃除当番なんかにあたると、駅までダッシュ。
 ミキとは別々。下手に待ち合わせたら、いっしょに遅刻してしまうし、みんなの目もある。
 だから一本違う電車になることもあるし、同じ電車に乗っても並んで座ったりはしない。地下鉄に乗り換えても、気安く喋ったりしない。
 これは人の目じゃなくて、自分のため。行き帰りの二時間半は貴重だ。学校の予習、復讐、台本読んだり(演劇部は続いている)レッスンの曲を聞いて歌やフリの勉強もある。

 一カ月が、あっという間に過ぎてしまった。

「美優、明日からチームZね」
 突然プロディユーサーから言われた。普通研究生からチームに入るのには、最速でも三か月はかかる。
 ちなみに、神楽坂46は、チームKからZまである。K・G・Rがメインで、ユニット名もKGR46。Zは、いわば予備軍ってか、劇場中心の活動で、たまにテレビに出ても、ひな壇のバック専門。
 でも、チーム入りには違いない。「おめでとう」とミキが伏目がちに言ったのは戸惑った。
 そのミキも三週間後には、チームZに入った。ただ、あたしは入れ替わりにチームGのメンバーになり、ここでも差が付いた。

 そんな暮れも押し詰まったころ、ミキのお祖母ちゃんのカオルさんの具合が悪くなった。

「ありがとう、大変だったでしょ。二人揃ってスケジュール空けてもらうの」
「ううん、たまたまなの。わたしは完全オフだし、美優は夜の収録までないから」
「そう、よかった」
 カオルさんは、ベッドを起こして、窓からの光に照らされて、あまり病人らしく見えなかった。
「並んでみて、そう、光があたるところ」
「ミキ、こっち」
「う、うん」
「美優ちゃんは、自然と光の当たる場所に立てるのね……」
「たまたまです、たまたま」
「ううん。自然に見つけて、ミキを誘ってくれた。美優ちゃん、これからもミキのこと、よろしくね」
「よろしくって、そんな……」
「ううん、美優ちゃんには、華がある。不思議ね、こないだミキのタクラミでうちに来たときには、ここまでのオーラは無かったのにね。あ、看護婦さん」
「カオルさん、今は看護師さんて言うのよ」
「はい、なんですか、カオルさん」
 看護師さんは、気楽に応えてくれた。
「このスマホで、三人並んだとこ撮ってもらえませんか」
「いいですよ。じゃあ……」
 カオルさんを真ん中にして、三人で撮ってもらった。
「ほら、これでいいですか?」
「あら、看護婦さん、写真撮るのうまいわね」
「スマホですもん、誰が撮っても、きれいに写りますよ」
「いいえ、アングルとか、シャッターチャンスなんかは、スマホでも決まらないものよ」
「へへ、実は十年前まで、実家が写真屋やってたもんで」
「やっぱり……!」
 カオルさんは、勘が当たって嬉しそう。カオルさんが嬉しそうにするとまわりまで嬉しそうになる。さすが、元タカラジェンヌではある。それも、この感じはトップスターだ。
「ほら、見てご覧なさい。写真でも美優ちゃんは違うでしょ」
「確かに……」
 ミキは、わざと悔しそうに言った。
「アハハ、ミキ、その敵愾心が大事なのよ」
「あの、カオルさんの宝塚時代のこと見ていいですか?」
「え、どうやって?」
「あたしのスマホで」
 あたしはYou tubeで、秋園カオルを検索した。
「あら、美優ちゃんのスマホ凄いわね!」
「カオルさんのスマホでもできますよ」
「ほんと、全然知らなかった!」
「カオルさん、思いっきり昭和人間なんだもん」
 そうやって、カオルさんの全盛期の映像を見て、楽しい午後を過ごした。

 そして、その四日後に、カオルさんは神さまに召されました……。

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・47『リンカーン』

2016-09-29 06:35:09 | 映画評
タキさんの押しつけ映画評
『リンカーン』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ


この映画評は、悪友の映画評論家・滝川浩一が個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載しました



 いやはや、まず言うべきはD・D・リュイスの凄まじいまでのリンカーン像ですね。

 S・フィールドの妻役も迫力がありました。 自分も かつて下手ながら芝居をしていたので感覚的に判るのですが、役者は演じているキャラクターに引っ張られる傾向があります。D・D・リュイスはこれが極端に出る人で、一旦仕事に入ると24時間役柄のまんまに成る事で有名。奥さん……大変ですねぇ 耐えてますねぇ だって嫌でしょう 家にリンカーンが帰って来るんですよ! うっとおしいじゃありませんか ねぇ!
 
 さて、映画ですが 今年見た作品の中で一番難しい映画でした。ただの一瞬のシーンを見落としても、一言の台詞を聞き逃してもいけない、だからといって決して辛くはない 2時間半心地よい緊張が続く。  
 ただ、全編 「修正憲法13条」を巡る政治的駆け引きの1ヶ月のクローズアップ、ゲティスバーグ決戦もアトランタ炎上も有名な演説も一切出て来ない。政治の裏側に興味が無ければ全く面白くない……かも……。

 ただ、ここに一つの現実がある、本作は硬派テーマの作品ながら昨年11月全米公開以来、今年の2月まで13週間に渡ってボックス・オフィス10位以内に留まり(途中2週圏外)1億7千万$の興行収入を叩き出している。何より本作に対して「難解だ」という評価を聞いた事がない。あの「クラウド・アトラス」程度の映画を難解だとして敬遠するほどアメリカの観客の質は劣化してしまっている。そんな観客に本作の意味が浸透するのだろうか。詳しく書くとメモリーオーバーになるので ふ~ん位に読んでいただきたいが、まずリンカーンが攻撃したのは“南部の奴隷制”であって 当時北部にも黒人奴隷は存在していて、有名な奴隷解放宣言に彼らは含まれていない。つまり北部に奴隷は存在するが“奴隷制”すなわち奴隷は家畜と同じく所有者の財産である。つまり同じ人間ではないとする考え方は無かったものの、当時 女性に選挙権が無かったのと同じ偏見は有った。人間とは認めても対等の存在とは認めていなかったという事をまず知らなければならない。

 修正憲法13条が上院を通過し、下院の2/3の賛成を得れば成立するのだが、この段階では全米ではなく あくまで北部だけの決定である事。成立しても この後、南部を降伏させ この憲法を認めさせなければならない。アメリカが真っ二つに割れていた訳だが、北部も一枚岩だったのではない。民主党は13条成立によって黒人奴隷の人権が無制限に広がるとみて断固反対の立場(何故か 日本人はリンカーンが民主党大統領だと思っている人が多いが 彼は共和党、北部で黒人の人権を制限したがったのはリベラル民主党である) 共和党が優位ではあるが民主党を切り崩さないと必要票数に届かない。再度確認するが、黒人の人権を白人と同等に認める考えはない(リンカーン本人も)、この事に関しては政党間に亀裂が有り、同政党内にも温度差がある。

 もう一つに、当時 長引く南北戦争に嫌気しており、停戦交渉は別個に始まっていた。13条決議前に停戦してしまうと 南部の意向も考慮しなければならず、そうなると反対票が一気に増えて成立は絶望的になる……そういうギリギリのタイムラインに乗っていたと言うことも大きい。
 こういう捻れに捻れた状況下、強力なスタッフ 議員はいるものの心理的にリンカーンは殆ど孤軍奮闘しており、次男の従軍、妻との葛藤……バックアップするべき家族も彼の上に重くのしかかっている。  
 相対化するつもりは全く無いが、リンカーンにだって“光と闇”は当然有る。と しても、アメリカ最高のカリスマ英雄である、神聖とさえ言える。その絶対的英雄を崇拝すること無く、一定の距離を置いて その人生を深く掴もうとしたスピルバーグの姿勢はもっと絶賛されてよい。
 この繊細微妙かつ迫力有る作品がヒットした背景には、主人公がアメリカ最大の英雄である事と 大人の観客が戻ってきたという事実がある。

 とは言っても、この1ヶ月の政治駆け引き物語は極めて複雑である、相当に難しいと言える。これがアメリカ人に当然のごとく受け入れられるのは かれらが大部分を既に知っている以外に有り得ない。この事実を知っているだけで アメリカ人は日本人の百倍 政治的人間である。かつて フロリダに行った事があるが、その時痛感したのは「よくもこんな途轍もない国と戦争したなぁ~ 勝てる訳ゃぁ有り得へん!」という事。本作を見て思ったのが「こんな政治的人間と政策駆け引きなんかしても勝ち目は限り無く“0”じゃんかいさ」って事です。

 てな訳で、言いたい事は山程あるんですが 私がゴチャゴチャ書くほどに観客の足を引っ張るような気がしてきました。すべての人に とは言い切れませんが一人でも多くに見ていただきたい映画です。
 アメリカの黒人が 当たり前の人権を得るには リンカーンからさらに百年、公民権運動の成功を待たねば成りません。そして それが社会に根付くのにさらに数十年…ベトナムで死傷した兵士は圧倒的に黒人が多かった、歴史は這うようにしか進まない。しかし、進むべき方向を定めるべく社会構造を変革するイベントは急激に起こる。その起点がリンカーンである事に違いはなく、そのインサイドストーリーに触れるのは貴重な体験であります。
 ドキュメンタリー色が強い作品ですが、間違いなくドラマ。有名なシーンは一切ありませんが、リンカーンが通信士に語る ユークリッド幾何学に例えた人間存在の意味、議会で飛ばすヤジに籠められたユーモアとウィットにとんだ切り返し……一瞬の台詞も揺るがせに出来ないのは 解らなくなると言う以上に“勿体無い”からです。リンカーン家に勤める黒人女性の「私には自由の意味(アメリカに住む黒人が自由である事)など解りません。私達は自由になるため戦って来ました。そしてこれからも戦いは続きます」……この台詞が一番重く響いた。

 ご存知の通り、リンカーンは暗殺されて二期目早々に亡くなる。諸説あるが、誰がどのような意図で暗殺したのか未だに不明です。彼の運動は敵を新たに産む運動であり、殆ど自殺を目指したのと同じだというのは本人にも自覚が有った筈、命懸けで無ければ何事も成し得ない……見事な映画でした。
 本作が アカデミー作品賞を穫れなかったのは、アカデミー協会内で優勢とはいえ ジワジワ保守勢力の台頭を許しているリベラルの最後の抵抗だったと実感しました。作品賞は“アルゴ”への配慮から仕方が無いにせよ、本作を見た後では 監督賞はアン・リー(ライフ オブ パイ)ではなくスピルバーグでしょう。この決定に至る論評を知りたいものですが 英語力“0”の私には1年たたないと解らんのやと思います。 自分の不勉強を責めるしかございません……阿呆!

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高校ライトノベル・あたしのあした17『……あとで連絡する』

2016-09-28 11:00:14 | 小説
高校ライトノベル
 あたしのあした17
 『……あとで連絡する』
      

 そこが智満子の家だとは思わなかった。

「まるでホワイトハウスだ……」

 望月君のため息も大げさじゃない。
 冷静に見れば、白亜の三階建てということがホワイトハウスなんだけど、その規模は御本家の半分くらい。
 でも、周囲が二三十坪の家(それでも大したものなんだけど)ばかりなので、インパクトはまさにホワイトハウス。
「どうぞお上がりください」
 応対に出てきた女の人は、お手伝いさんと言うよりは女執事といった感じ。
 車寄せの付いた玄関に入ると六畳ほどのエントランス。で、その脇に大小二つの応接みたいなのがあって、小さい方に通された。
 小さいと言っても八畳以上あって、街中の小さな喫茶店くらいある。
「お掛けになってお待ちください。ほどなくお嬢様が来られます」
「「「は、はい!」」」
 望月君と福田君とあたしの声が揃う。

「あ、お嬢様、お出かけですか?」

 エントランスに出たばかりの女執事さんの声がして、あたしたちは注目した。
 女執事さんがドアを閉めてしまったので一瞬だったけど、パンツルックが良く似合った、どことなく智満子に似た女の人が見えた。
――アルバイトよ、手島さん。そこ、智満子のお友だち?――
――ええ、智満子お嬢様を励まそうと来てくださいました――
――そう、いいお友だちね。じゃ行ってきます――
――行ってらっしゃいませ――

 ドアが開閉する音がして、お嬢様と手島さんの気配が消えた。

「智満子のお姉さんみたいだな」
「智満子の三倍は美人だ!」
「そんなアケスケナこと言うもんじゃないわよ」
 そう言ってみたけど、たしかに凄そうなお姉さんだ。単にイカシタ美人と言うだけじゃなくて目の輝きが若いころのヒラリークリントン……みたいだと思ったのは、ここがホワイトハウスみたいだからかもしれない。

――待て、智満子!――
――放せ、瑠衣子!――


 その声がしたあと、ドタバタと騒がしくなって、そして応接のテラス側が開き、お姉さんに引っ張られて智満子が脱走を阻止された猫みたくなって入って来た。
「こんなことで逃げてたら、また中学の頃に戻ってしまうわよ。さ、お友だちに御挨拶!」
「……三人とも、わざわざありがとう」
「じゃ、みなさん。あとはよろしく」
 お姉さんはウインク一つして出て行った。

「あ、えと……まずは福田君から。ほれ」
 俯いている福田君の脇をつついた。
「あの……横田さんのことね……笑ったのベッキーじゃないんだ。えと……」
「福田の声色なんでしょ……ベッキーしばいた時のリアクションで分かったわよ」
「ご、ごめん、横田さん」
「ぼ、ぼくも分かってながら知らんふりしてた。ごめんなさい」
「あのう……だから、横田さん」
「悪いけど、今日は帰って。今日のあたしはいっぱいいっぱいなの……あとで連絡する。田中さんとは明日話すから」

 それだけ言うと、智満子は応接室を出て行ってしまったのだ。
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高校ライトノベル・ライトノベルセレクト・一週間物語・1〔ゲゲゲの月曜日〕

2016-09-28 06:37:58 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト
一週間物語・1〔ゲゲゲの月曜日〕



 月曜日は目が覚めるとゲゲゲだ。

 目はパチッとなんか覚めない。ボンヤリ濁った底から意識が浮かび上がって……朝かな、と微かに感じる。見ていた夢が、急速におぼろになって、記憶の底の底に沈んでいく。楽しい夢だったら、なんとか尻尾だけでも掴まえておこうと思う。悪い夢ならすぐに忘れる。

 あたしは夢を覚えておくのが苦手だ。楽しかった、怖かったという思いだけが残って、肝心の夢の中身はドライアイスのケムみたく消えてしまう。
 で、次に「今日は月曜なんだ!」という厳然たる現実が暖かいお布団を突き抜けて、あたしの心臓に突き刺さる。

 小学校の頃から学校って嫌いだから、この「今日は月曜なんだ!」は切実。
 今日から、五日間も、あのしんどい学校に行かなければならないのかと思うと「ゲゲゲ!」になる。
 学校が嫌いな理由はいっぱいある。一口では言えないから、この一週間だけ付き合って。そしたら、なんでか分かるから。

 今日は、ゲゲゲのあとにニンマリしてしまった。今日は振替休日なんだ。だからお母さんの「妙子、もう7時よ!」の声もしなかった。

 でも、こういう時、若いって損だ。目が覚めてしまうと、もう寝られない。他の子は違うらしい。二度寝、三度寝というのができるらしい。あたしの、このクセっちゅうか体質は年寄りに近い。世間のお婆ちゃんは「目が覚めると、寝てられなくてね」と早起きする。うちのお祖母ちゃんは、この点少女だ。二度寝が、あの歳になってもできる。
 お祖母ちゃんとは、去年の春から同居している。61の時に三つ年上のお祖父ちゃんが亡くなった。で、一人暮らしになったお祖母ちゃんは、自分から言いだして同居しだした。今年で65になるけど、まだ仕事をしている。信じられないことに高校の再任用の先生。22の歳からやってるから、ええと……43年も先生。よくやると思う。あたしなんか小中と高校一年半だけで顎が出かけてる。

 おトイレ行って、部屋着用のジャージに着替える。寝てる時はバーゲンのジャージなんだけど、起きてる時は、あたしなりのブランドジャージ。むろん、この季節なんで下にはヒートテック。
「ポチ、お散歩」
 飼い犬(ペットなどという範疇のものでは無い)のポチが「あれ?」っという顔をしている。ポチの散歩は、お父さんが帰ってからの日課になっている。散歩というと夕方か、夜のものだと思い込んでいる。それにお嬢様のあたしが声をかけたんで二重のビックリ。

 朝なんで、ポチはオズオズと歩く。調子を出すためにリードを引っ張って駆けてみる。瞬間嫌がったけど、そこは犬の習性。ランナーズハイになって、どっちが引っ張られているのか分からなくなる。
 公園に差し掛かると、多分他の犬の匂いに触発されたんだろう、ウンコをしたがる。用意したウンコセットで、しっかりとってやる。思い付きの散歩だけど、このへんのヌカリはない。

あたしは、ヌカリのない女子高生。覚えた?

 30分ほど散歩して帰ると、予測通りお母さんとお祖母ちゃんが起きて朝ごはんを作ってくれている。

 お祖母ちゃんが同居するようになってから、朝食は和食が多くなった。インスタントだけどお味噌汁に玉子焼き。それに漬物が少々。どれもお母さんよりも上手い。
「珍しいわね、休みなのにポチ散歩に連れてってってくれたの?」
「休みなの忘れて目が覚めちゃったから」
 そう言いながら、心の屈託が、ポワポワと心に浮かんでいるのに気付く。そうなんだよね、今朝の早起きは、今週中に解決しなきゃならない幾つかの問題のせいでもあるんだ。

 歯を磨く前に、もよおしてくる。トイレに急ぐと、ちょうどお父さんがパジャマ姿でトイレから出てきたところだ。ちょっと怯んだけど、三つ数えただけでトイレに入る。脱臭はされているけど、そこはかとなくお父さんが用を足した臭いが残っている。ファブリーズして……便座に座る。早朝散歩のお蔭か、ゲゲゲと思うくらい、すっきりする。

 この一週間で、あたしの問題もすっきりすればと願って、一週間物語の始まりです。
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高校ライトノベル・希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場➄与話情浮名横棒

2016-09-28 06:26:45 | 青春高校
希望ヶ丘青春高校有頂天演劇部の鉄火場➄
与話情浮名横棒(よはなさけうきなのよこぼう)
 



 タイトルにルビを振るのは情けないが、読めなきゃ元も子もない。

 去年某地区予選で、いささか奇態な審査が行われたことは旧聞と言うには、釈然としない。
 しかし、このことは別の部員が触れているので、もう書かない。

 鬼は来年の事を言うと笑うらしいが、済んだ過去のことを言うとどんな顔をするんだろう?

 もう七十年も前の戦争のことを言いつのる国がある。天に唾するはなんとかと言うが、いずれおのが身に返ってくるのは世の習い……と、そこまで大きな話をするつもりはない。

 一昨年の巳地区の審査も奇態ではあった。

 世上に広まる噂では、審査に不審を持った出場校が「なぜ自分たちは、優秀賞と言う名の選外であったのか」を聞きただすために、審査員を呼んだということになっているが、実態は真逆のよう……と言ったら少しは鬼程度のリアクションはしてもらえるだろうか。

 実際は、呼びもしないのに、審査員が進んで弁明に向かったらしい。

 よほど自信のない審査をやったか、審査後の反応に困惑したかのいずれか、または、その両方であろう。
 おれは、いささか高校演劇の昔や裏の話には詳しいつもりだが、今さら言っても詮無いことが多いので、撫でる程度にしておこう。

 この学校の部員たちは、事の異常さに気づいた。でも相手は名こそ惜しけれの天下のプロ演劇人。粗略にも扱えず「お説ごもっとも」の微笑を絶やさなかったが、この某審査員が帰ったあとは「なんだと、コノヤローどの口が言ってやがんだ!」と容赦がない。
 俗に言う「憤懣やるかたなし」の心情である。

 忍ぶれど色に出にけりナントヤラ。回りまわっておれごとき者の耳にも入ってくる。

 生徒は、当然顧問には報告するし、愚痴にもなる。これはいかんと、大人が二人質問状を審査員に送った。
「子どもを間諜にして異を唱えるはなにごとか!」と曲解、この二人に原稿用紙にして四五十枚の〇〇書を送ってきた。仄聞ではあるけれど、あまりに大人げない所業にただ嘆息。

 弱い犬ほどよく吠えると、締めくくっておく。

 近頃演劇部のブログがちょっとしたブームだ。中には息切れし消えてなくなったものも多いが、コトリ高校は健闘中である。部長の三好は仲良しお人よし、あまり触れるところが無かったが。おれは言う。

 大本営発表みたいなことしか書かないなら止めておけ!

 太宰治の名言に、こんなのがある。
「明るさは滅びのしるしであろうか、人も家も暗いうちは滅びはせぬ」
 そんな明るさを彼らのブログから読み取ってしまうのは眇めであろうか。

 今年の連盟の講習会は東京や大阪の高校演劇同様七百人を超える盛況であったそうな。おれは、こう答えておこう。

 春はライオンのようにやってきて羊のように去っていく。竜頭蛇尾。鶏頭狗肉。

 いかん、またつまらないことを書いてしまった。書いたことは書きなおしてはいけないのが仁義。そのままとする。

 今日の昼休みは、ちょっといいことをやった。
 うちの学校にとても人柄のいい、そう若くもない先生がいる。この先生が、ある女の先生が好きなんだが、コクるなんてことはもちろん、本人の前では息もできないというくらいに惚れてしまい、先日は呼吸困難に陥り救急車を呼ぶ仕儀とあいなった。
 岡惚れで死なれちゃ後生が悪いので、今日は教官室で二人羽織。

 おれが、机の下で先生の声色。先生は大汗かいて口パク。とんだシラノ・ド・ベルジュラック。

 で、なんとかお付き合いまではこぎつけた。次回もよろしくと言われてるけど、あとは自分の甲斐性。

 グッドラックではあった。

                      根津甚八 

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