大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・36『相次ぐ訓告処分など』

2018-01-26 07:16:06 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・36
『相次ぐ訓告処分など』



 台風が近づいてるせいか、メッチャうっとうしい気分です。

☆校長先生が文書訓告される

 今日の昼に知ったニュースですけど、うちの校長先生が、先月のうちらの全学ストの責任を取らされて府教委から文書訓告の処分を受けはりました。
 長曾我部先輩が、ほかの三年生と話してるとこにうちの九鬼あやめが聞き耳頭巾になって聞いてきたんで知りました。

 そんでおかしい思たんです。学校を混乱させて、生徒に授業ボイコットさせるような混乱をもたらしたいうことで責任を問われたんです。授業ボイコットが悪いんやったら、処分されるのはうちら生徒の方です。

 もう一歩掘り進んで考えたら、うちら生徒に授業ボイコットさせた先生らが悪いんです。

 もともとは、うちら演劇部が役作りのために自衛隊に体験入隊したことに原因があります。職員会議で、このことを問題にした先生がいてました。理屈は、合宿計画書の提出期限を過ぎてから、合宿をやった、それを認めたいうことで問題にされました。
 理屈としては巧妙です。自衛隊の自の字も出てきません。単なる内規違反(合宿の申し込みは7月20日までに提出)ということです。一時は演劇部の部活停止まで言われ、同調した他のクラブやら生徒会が演劇部支援委員会を作って、先生らと対決しました。
 先生らは、あくまでも手続き論で責めてきました。ほんまは自衛隊の体験入隊いう、今までうちの生徒がしたことないことをやったのが気に入らんのです。先生らも、うちらが授業ボイコットまでやるとは思てなかったみたいで、慌てて教職員内部の問題いうことで処理されてしまいました。顧問の淀先生が顛末書を書き、校長先生が先生らに陳謝。その校長先生が府から訓告。

 なんか間違うてると思います。

 放課後に、主だった生徒らで校長先生に謝りにいきました。校長先生は、かえって労いの言葉をくださいました。その言葉の中身は詳しくは書けません。けど、校長先生と顧問の先生は信頼してます。
 ちなみに、うちの校長先生は、いわゆる民間校長です。とかく他校では問題が多い民間校長さんらですけど、うちの校長先生は偉い人やと思いました。

 訓告は戒告と違うて、履歴には残りません。府教委も形をつけて幕引かんとあかんので、こないしたんやと思います。しかし、大人の世界いうのは釈然しません。


☆劇団兼職の先生らの事情聴取始まる

 浪速高等学校演劇連盟加盟校の顧問の先生の中で、何人かプロ劇団と認知されてる劇団に入ってる人がいてます。前から、いろんなとこで問題になってましたけど、今月に入って府教委が動き始めました。
 きっかけは、連盟の総会の日に欠席してた運営委員の先生らが自分の劇団の公演に出てたいうことを、SNSで書きこんだ生徒がいてたからです。ネットとは恐ろしいもんで、5月に書き込んだもんが回りまわって、今頃問題になってきました。

 わたしは、これがきっかけで健全なアマチュアとして演劇活動やってる先生らが委縮したり、同じ目で見られることを心配します。

 ほんなら、プロとアマの違いは何か? 簡単です、本人がプロやと思てたらプロです。

 プロの役者が食べられへんでバイトやるのは問題ありません。
 プロの教師が、プロまがいに芝居したらあかんと思います。校務員は兼職禁止になってるからです。せめてSNSの職業欄に劇団名書くのは止めたほうがええと思います。

 

 このブログはしばらく休みます、演劇部を始めとする読者のみなさん、ありがとうございました。



   文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)


※ これは小説です。いかなる実在の組織や個人とも無関係です。

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・35『参加申し込み』

2018-01-25 06:20:14 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・35
『コンクールの参加申し込みをしました』



☆ありがたい混乱

 専業部員は3人だけですが、先日の演劇部をめぐる校内紛争の結果、軽音とダンス部が兼業部員として加わってくれたので123人という大所帯になりました。
 台本は『すみれの花さくころ』で、キャストは3人だけです。この本はフレキシブルで、演出のやりかたでどないでもなります。

 原作では、すみれの独白から始まりますけど、テキストレジーして、冒頭を学校の全校集会の設定にしました。ド迫力やと思います。幕が開いたら100人からの生徒がならんで、校歌を歌ってます。そんで……なんやかんやあって(企業秘密)すみれ一人になります。
 途中で6曲入ります。これを仮設の張り出し舞台の上の80人近い軽音で伴奏してもらいます。で、曲のほとんどに、ダンス部がバックで入ったり絡んだり。もう一大スペクタルです。

 正直、ダンス部、軽音に負けてます。パフォーマンスとしての圧が違います。ブッチャケ食われてしまいます。

 正直うちらは、小規模演劇部として小さくなりすぎてました。一大ミュージカルになる芝居に、顧問の淀先生も張りきったり、顎が出そうになったり。

☆一度戻ってきた参加申し込み

 今朝、添付書類で送ってもろたんですけど、「参加生徒数間違ってませんか?」と連盟から問い合わせがありました。「ほんまに123人なんです」言うたら、担当の先生がびっくりしてはったそうです。


☆移動手段

 123人いうても、人間だけやったら電車で行けます。団体割引ができるんで、ええなあと思てました。
 問題は軽音の機材です。アンプとパーカッションがはんぱやないんです。どないしてもトラックが必要なんで、悩みの種です。学校の援助は見込めません。バックナンバー読んでもろたら分かると思います。


☆合同練習のむつかしさ

 これだけの所帯になったんで、時間的にも場所的にも、なかなかむつかしいです。なんとか本番前日は体育館まる借りできますけど、ほかが目途がたちません。全体のバランスとるためと、いろんな意味で色をそろえる必要があります。過去に似たようなことを近畿総合文化祭で、10校ぐらいが集まってやったそうですけど、沈没したみたいです。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・34『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』

2018-01-24 06:56:15 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・34『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』

☆『人間万事塞翁が丙午(ひのえうま)』

 このタイトルの小説知ってる人は、かなり斜めの文学通です。

 青島 幸男(放送作家・元東京都知事)の小説で東京日本橋の仕出し弁当屋を舞台にした作品で青島さん自身の体験記みたいな小説です。
 元の言葉は『人間万事塞翁が馬』いう故事です。人間なにが幸いになるか分からへんいう意味です。これが丙午になると、やったことが裏目に出て、いっそう悪なる。そやけど笑い飛ばして生きて行こう言う人間賛歌です。
 せやけど、うちらは賛歌とは縁遠い……言うたらバチ当たりますけど。

☆演劇部闘争の余波

 前のブログでも書いた通り、うちらの闘争は学校のその場しのぎのスルーで幕を下ろしました。
 うちら生徒はおとがめなしで、顧問の淀先生に顛末書書かせて、学校側は紙屑みたいな勝利を得て面目を保ったつもり。そんで全生徒の学校への幻滅という前世期と同じ、踏んではならない轍を踏みました。
 もう、その影響は授業にも現れてます。先週までは一応の規律が学校にはありました。スマホを授業中に触る生徒なんかいてませんでしたけど、今日は机の下に隠して触ってる子がいてました。大半の先生が見て見いひんようにしてます。一人だけ注意した先生がいてました。規定通り、こない言わはりました。

「授業中のスマホは禁止。預かるから出せ!」

 先週やったら素直に出した思います。その子は、こない言いました。
「ボクがスマホ触ってたて証拠あるんですか?」
「ゴチャゴチャぬかすな! わしは、ちゃんと見てたんや!」
 そない先生が言うと、別の子が言いました。
「その言い方は恫喝や、パワハラみたいに聞こえますけど」
「なんやと……」
 で、そこらへんの生徒と言いあいしてるうちに、スマホの子は履歴を消しました。その上で、こう言いました。
「分かりましたよ。履歴見てください、なんにもあれへんから」
 スマホ見た先生は、言いようのない顔になりました。スマホは取り上げられませんでした。信頼関係築くのは大変やけど、崩すのは一瞬です。一部の先生除いて、先生とは呼べません。呼ばれへん自分らも悲しいです。分かるかなあ、この気持ち……。痛い心に麻酔打ったみたいです。

 授業は静かでしたけど、みんなスルーしました。他の授業もスルーです。べつに反抗やないんです。学校に対しては、そんな気力も残ってません。

「愛の反対は憎しみではありません。無関心なんですよ」

 闘争委員長が最後に先生らの背中に投げたマザーテレサの言葉が浮かびます。

 昼休みに、軽音とダンス部の部長が来ました。

「あの『すみれの花さくころ』て、歌とダンスが入るねんね。あたしらもよせてくれへん?」

 びっくりしました。あの芝居は三人だけの芝居です。せやけど、何べんも改訂されて上演されてるうちにミュージカルになったりして、歌とダンスが増えました。音大の学生さんらが演ったときは完全なレビューみたいになってしまいました。うちらも、ささやかに歌って踊ります。伴奏は長曾我部先輩がアコステでやってくれはることになってます。
「あたしらYouTubeで観たんやけど、あれ、演奏もダンスも人数増やしたら、めっちゃデラックスになるで。コンクールの締切24日やろ、間に合うやんか、軽音とダンス部の選抜入れたら100人近いよ。なあ、列組もうや!」
 まあ、よかったらYouTubeで『すみれの花さくころ』で検索してください。ラストのレビューは感動的です。

 というわけで、正規部員3人兼業部員1人の演劇部が一気に100人を超えることになりました。嬉しいような怖いような。

 放課後、顧問の淀先生に報告にいきました(相談やのうて報告です)先生の目が引きつってました。

「あんたらね、コンクールは8000円の参加料の他に部員数だけのパンフ買わならあかんのよ。なんぼになると思てる?」

 パンフは一部500円……それに100人以上を掛けると……答えは考えんことにしました。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・33『学校は死んだ。演劇部闘争の果て』

2018-01-23 06:30:59 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・33
『学校は死んだ。演劇部闘争の果て』



☆本日の抗議行動

 昨夜原稿を闘争委員長の生徒会長にメールの添付書類で送りまし。

 委員長はさらに添付書類のビラ原稿を執行部と有志に転送。それぞれが50枚ずつコピーして、しめて1200枚のビラを7:50分から正門と通用門に分かれて撒きました。別にポケティッシュが付いてるわけでもないのに、ほとんどの生徒が受け取ってくれました。

 ひやひやもんやったけど、先生らからの制止や妨害はありませんでした。これは校外の人にもめてるとこを見られたないからやと思います。
 一限終了後、闘争委員長といっしょに教頭先生に確認にいきました。

「臨時職員会議は開かない。学校は平常通り授業を行う。教室にいない者はエスケープとして指導する」

 学校はあくまでも強い姿勢です。あたしらは自分らで禁じていたので闘争委員以外の生徒にはスマホで連絡を取ったり、一般生徒を煽ることは自重しました。一部の闘争委員が授業開始後も連絡のためスマホを操作してたら「授業中スマホを触るのは違反や」と先生ともめました。しかし、この程度の引っかけは想定内なんで、素直にスマホを先生に渡して平穏に3限まで終わりました。

 休み時間に、あらかじめ決めていたとおり、廊下を闘争委員が手分けして、生徒会のハンドマイクやらメガホンで緊急の生徒総会の出席参加を叫んで回りました。
 4限が始まって5分もすると523人(闘争委員会調べ)の生徒が体育館に集まってくれました。総合学習の授業ができたクラスは一つもありませんでした。

 闘争委員長の経過報告のあと、あたしが話しました。

「うちら演劇部は、なんにも悪いことしてません。演技の訓練のため自衛隊の体験入隊をやったんです。ちゃんと活動計画書出して学校長の許可ももらいました。それが二学期になって……」
 あとは泣いてしもて喋れませんでした。みんなが「がんばれ!」言うてくれましたけど、ますます喋れんようになります。闘争委員長が代わりに喋ってくれました。最後に「これで間違いないね?」言われて、あたしはコクコクと頷くことしかできませんでした。

 要求通り臨時職員会議が開かれるまでは、全学ストに入ることが満場の拍手で決まりました。48年ぶりの全学ストです。一線を踏み越えたいう気持ちと、何か熱いものを取り戻した感激で胸が一杯になりました。

 そんで、学校は5・6限の授業をカットして臨時職員会議を開くことを、やっと約束してくれました。勝った思たけど、闘争委員長が言いました。

「これはストの実績を残させへんための学校の手ぇや。問題は、臨時職員会議の結果や!」

 単細胞のうちと違うて、さすがは生徒会長。見通してます。
「臨時職員会議が終わるまで学校に残ってくれるように、呼びかけならあかん!」
 そう、みんなが帰ってしもたら、うちらの手に最終的な勝利は残りません。生活指導の先生らが「今から臨時職員会議やる、生徒の管理がでけへんから帰るように。これは妨害とは違う、学校としての管理責任の問題や!」と言うてきました。上手い誘導と闘争つぶしです。そんでも先生の誘いにのらんで、半分以上の生徒が残ってくれました。

☆学校側の回答

 今回のことは、教職員の手続きの齟齬の問題で生徒には責任がないことを確認。つまり反省文は書かんでもええいうことで、一見うちらの要求が通ったような気がしました。

「騙されたらあかん」闘争委員長が手ぇ挙げました。
「ほんなら、責任は教師がとるいうことでお茶濁すんですか。顛末書を淀先生が書くいうことは……まさか顧問に責任押し付けて幕引いたんちゃうやろな!」

 一瞬先生らが静かになりました。ほんで、顧問の淀先生が前に出てきて蒼白な顔で言いました。

「わたしの認識不足。わたしの手続きミス。それが全てです。顛末書を提出しました」
 顛末書の意味が分かりません。
「先生らは学校を死なせた!」闘争委員長の顔が赤なりました。
「いや、始末書やないんや。顛末書いうのは、ことの成り行きを書いただけのもので、始末書にある過失に対する陳謝の意味はないんや」
 教頭先生がにこやかに言わはりました。
「そんな問題やない! 学校は僕ら生徒の怒りをスルーしたんや! 分かってるんでしょ。生徒におとがめなし。顧問に顛末書書かせる。ほんで幕引き。僕らの怒りの矛先を無くしたんや! 前代未聞の日和見や。四十何年前もそないやった。僕らは学習したんです、先輩らの闘争を。同じ幕の引き方や……ほんで残ったんは無気力・無責任・無関心の三無主義やったんや。その結果学校は管理主義のドグマに落ちたんや。先生らが、こないに忙しなったんは、そのせいなんですよ。自分で自分の首絞めてるのん分かりませんか!?」
「とにかく、これですべて解決した。すみやかに解散しなさい」
 そない言うて、先生らは背中を向け始めました。
「先生、逃げるな。これだけは聞いて欲しい!」
 それでも足を止めへん先生らの背中に、闘争委員長は言いました。

愛の反対は憎しみではない。無関心なのですよ……マザーテレサの言葉を送ります」

 数名の先生がギクリと足を止めたけど、先生らは背を向けたまま行ってしまいました。学校は死んだと思いました。

「自分、どこの学校や?」
 
 一人の他校生が体育館の入り口に立ってました。

☆敗北の後

「あんた○○高校の某さんやんか!」

 その子は、みんなの視線を浴びて固まってました。
「なんで来たん?」
「……他人事やないような気がして、つい来てしまいました。ごめんなさい」
 ポニーテールぶん回して頭下げました。うちらは彼女を前に呼びました。で、うちが説明しました。
「この子は、○○高校の演劇部の生徒さんです。連盟(浪速高等学校演劇連盟)のコンクールに審査基準がないんで審査基準持ってくれ言うた人です。連盟は協議することは約束しましたけど、半年たっても回答がありません。連盟は学校と同じスルーしたんです。この子はうちらと同じスルーされた高校生です」

「も、もうええんです。ここに来て、あたしは一人やないいうことが分かったんで、それでええんです」

 拍手がおこりました。でも、それ以上は迷惑になりそうなんで止めました。そやけど、その子も含めてうちらには、今まで無かった連帯感が生まれてました。
「このまま解散するのは惜しいな。負けたけど、この繋がり……どないしょ」
「委員長、みんなで歌おうや!」
 軽音の部長が言いました。軽音の何人かはギター持ってました。そのギターがあの旋律を弾いて、自然に歌になりました。

 『翼をください』の大合唱になりました。

 歌うと、ますます高揚してきます。続いて『今日の日はさようなら』になりました。みんなエヴァンゲリオンは好きみたいです。最後は、なんでか『恋するフォーチュンクッキー』と『心のプラカード』で盛り上がりました。
「で、演劇部はなんの芝居やんのん?」
 ダンス部の部長が言うたのにはカックンでした。

『すみれの花さくころ』です!」

 後輩が言いました。みんなポカーンです。
「あ、歌が入るんです。先輩一曲いきましょ!」
 みんなに拍手されてやらんとあかんはめになって。ラストの曲を歌いました。

『お別れだけどさよならじゃない』YouTubeに出てます。音大のミュージカル科の学生さんです。よかったら観てください。

 負けたけど、大事な仲間がいっぱい増えました。今は、それでええです……ええんです。あたしらは、また歩きはじめますよってに!

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32『職会の決定と演劇部の見解と』

2018-01-22 06:47:38 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・32
『職会の決定と演劇部の見解と』



☆職員会議の決定

 演劇部が(いわゆる明文化されていない)内規に反して夏休みに合宿(自衛隊体験入隊)を認めた校長先生が改めて陳謝。しかし職会は収まらず、部顧問(淀先生)の始末書とあたしら演劇部の反省文を要求してきました。
 職会としては演劇部ブログの反響や、部長会議全体の演劇部支援決議に脅威を感じ早期の収束を図ろうとしての「歩み寄り」のつもりのようです。

☆演劇部の見解

 この「歩み寄り」は、あくまで演劇部に非があり、それを認めさせた上での「穏便な解決」を図ったものであると思てます。職会は何も理解していません。たとえいかなる「穏便」であろうと、あたしら演劇部が非を認める形での解決は断固容認できません。
 18:30分まで職会は続きました。結論を聞くために、各クラブ代表、生徒会執行部、一部有志の生徒が40名ほど残ってくれました。そして、あたしら演劇部の見解を視聴覚教室で全面的に支持してくれました。そして、全クラブと生徒会、有志生徒のみんなで「演劇部闘争支援委員会」の発足が議決されました。
 これは、50年近い昔、あたしらの先輩がとった共闘の形式を踏襲しています。あたしらは、首(こうべ)を挙げて勝利を勝ち取るまで戦います。生徒会長は執行部と演劇部闘争支援委員会の名前で、待機していた生徒会顧問を通じ職会議長に手渡しました。制度上の責任者は学校長ですけど、実質は職会で、演劇部の自衛隊への体験入隊を良しとしない先生たちです。
 あたしらは、明日の回答を要求しましたが、明日は時間的にも臨時職員会議を開く余裕が無く連休明けまで回答を延ばして欲しいといわれましたが、三日もスパンを置くと、個別のクラブや個人の切り崩しにかかられる恐れが高いので断固明日の回答を要求です。実際運動部では顧問による切り崩しが始まっています。演劇部闘争支援委員会では、個々の説得や切り崩しには乗らないように決議はしましたが、三日のスパンは大きく危険です。ここまで共闘してくれる生徒のみなさんに心から「ありがとうございます」です。

☆当面の活動

 明日、登校時に正門と通用門でビラ配りをやります。スマホやラインでのアオリは絶対やりません。アナログこそが力やと思てます。一限終了後の休み時間までに臨時職員会議開催の告知がない場合は4限の「総合学習」の時間をボイコット、緊急生徒総会を開きます。正直、今夜が心配です。心配の内容を書くと、弱点を見つけられそうなんで書きません。
 生徒総会が成立することを願ってます(登校している生徒の半数以上の出席で成立します)総会の議決は直ちに学校側に伝えられます。それでも臨時職員会議が開催されない場合は、真田山学院48年ぶりの全学ストに突入します。

☆大学からの支援申し込み

 二つの大学の組織から支援の申し込みがありましたが、断りました。中には本気でシンパシーを持ってくれてはる学生さんもいるんでしょうけど、あたしらは、あくまでも学内で解決していきます。

☆演劇部闘争支援委員会の歌

 会議の最後に提起されました。連帯を確認し紐帯を確かなものにするために、折に触れて歌う歌を軽音が提案してくれました。

「翼をください」

 古い歌ですけど、エヴァンゲリオンでも使われた曲でもあり、意外と知ってる者も多いので決まりました。今日も最後に、みんなで歌いました。涙が止まりませんでした。今も泣きながらキーを打ってます。

 いま わたしの願い事が叶うならば……。   かなわへんかもしれんこど、でも、そやけど頑張ります。

 

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

 ※ これは小説です

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・31『私達の行動』

2018-01-21 06:28:56 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・31
『部活停止に対する私達の行動』


☆現状認識

 あたしらが夏休みに『すみれの花さくころ』を上演するにあたって、演技力向上=役の肉体化(煩雑になるため意味は略)のために自衛隊に体験入隊したことが二学期になって問題化。学校側は「体験入隊そのものが問題なのではなく、合宿に関する内規違反」を理由に挙げ、演劇部の部活動を無期限に休止。あたしらは学校の横暴な決定に対し、処分の取り消し、演劇部の部活の早急な再開に向けての闘争を開始しました。

☆問題点

 内規には7月末日までに合宿の計画を提出し、職員会議の議決を経て学校長が許可するとなってる……そうですが、明文化はされておらず、慣習的内規であるとの学校側の説明です。あたしらは、そんなことなんにも知りませんでした。また、関係方面に確認したところ明文化していない内規は、あんこの入ってないアンパンをアンパンと表示するくらいにナンセンスなものだそうです。

 あたしらで過去の合宿を調べたところ、他の運動部で、事後承諾で行ったクラブがありました。今回演劇部にだけ適応するのは、指導の公平性、一貫性という学校が踏み外してはいけない教育の基本から目をそらしています。

 反対された本当の理由は自衛隊への体験入隊にあったと承知しています。職員室の前を通ったときに、複数の先生が喋っていたのを耳にしました。

 形式的には、顧問の淀先生の部活指導の過誤で、あくまで職員の問題であり、あたしら生徒は、この問題には関われないという説明。直接影響を受けるのはあたしら生徒やのに、ものすごい矛盾がある。

☆ここまでのあたしらの行動

 生徒会の文化部長を通し文化部全てから、部活停止決定の解除を求める署名を集めました。そして昨日は臨時クラブ部長会議を開いてもらい、その場で、同署名を運動部まで広げ、クラブ部長会議の決定とし、生徒会顧問を通じ学校側に申し入れ可及的速やかに職員会議にかける返答を生徒会顧問からは得ました。直近の職員会議は今週の木曜(9月11日)です。これに並行して全生徒への呼びかけのため、登校時にビラまきをするつもりでしたが、必ず直近の職員会議にかけるとの生徒会顧問の返答を了として、職員会議の決定が出るまでは、自粛することになりました。

 問題は明後日の職員会議しだいです。

 ブログに書くことを止めるよう「お願い」として言われました(主語は師弟の信頼関係上書きません)しかし、事実に反しない限りは生徒にも表現の自由があります。ブログはやめません。ただし扇情的になるのでSNSやラインを使った情宣はやらないことを約束しました。古典的ではありますけど、はるか昔の先輩の皆さんがやってこられたメソードに準じて戦いを進めていきます。

☆ぶっちゃけて

 うちらは稽古がしたいだけなんです。

 スマホを使ってのエアー稽古は続けてますけど、正直ストレスは溜まる一方です。隠れ部活やと思われるのも業腹やし、因縁つけられるのもかなんさかい、カラオケも自粛してます。
 将来の演劇部員のために著作権の切れた戯曲を高校生でもやれるように、手を加え始めてます。どんな作品かは内緒です。真似されてうちらよりええ作品書かれたらかないませんよってにね。

 ここまでお父さんに読んでもろたら、ヘタクソなアジびらや言われました。そら17やそこらで、学校むこうに回してビビりながらやってるんです。兄貴は府教委に言えて言いますけど、うちは道から外れてるように思います……というか、なんでもかんでも府教委。モンスターピアレントとはちゃうんです。あくまで校内問題です。基本の基本では真田山の先生らを信頼してるんです。○○先生、ここのとこ汲み取ってくださいませ。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30『モノ言えば……秋の風』

2018-01-20 06:13:35 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・30
『モノ言えば……秋の風』


☆ご無沙汰いたしておりました

 先月の21日から、16日ぶりの公式ブログです。ちょっと校内でもめ事があって、事実上演劇部は休部状態でした。本当は公式ブログを書くことも差しさわりがあるのですが。わたしは憲法で保障された「表現の自由」で書いてます。校内事情を書くわけですから、月曜日には、なにがおこるか分かりません。それでも、あたしは書きます。

☆自衛隊への体験入隊

 これが問題になりました。基本的にはクラブ合宿の手続きで行きました。演劇部と、その顧問で行くんやから、クラブ合宿のカテゴリーしかないと思たからです。

 そやけど、ここで足をすくわれました。

 合宿は、一学期の7月末日までに顧問が合宿計画を校長に提出し、職員会議にあげられ、そこの承認を得た上で決定になります。しかし、これは校内の内規、あるいは慣例であって、基本は学校長の許可で専決事項になります。内規は、あたしら生徒には見られませんですけど、淀先生の言葉では明文化されてはいないそうです。淀先生も、その点をついて職員会議で説明してもらいました。せやけど多勢に無勢やったようです。むろん職員会議の中身は淀先生も言うてくれはりません。演劇部の無期限休部の結論から導き出したあたしの推論です。

 たとえ内規に明文化されてなくても、長年慣習化してきてるんで、内規同然。いや、慣習内規やいう理屈やと思てます。

 法律には、実定法と慣習法があります。商法なんかで慣習法が一部あります……むつかしいですね。日の丸と君が代が長い間慣習法でした。法律のどこにも日の丸=国旗、君が代=国歌とは書いてありませんでした。多くの国民にとっては、ごく当たり前のことやったんで、あえて法律にしてなかったんです。せやけど、これを楯にとって「法律にもなってないこと守る必要はない」いう理屈で、多くの先生が長い年月国旗・国家をないがしろにするタネになってました。そやから学校では長いこと日の丸と君が代については不毛な論戦がありました。賛成派の先生は「反動」とか呼ばれたらしいです。
 そやけど、あれだけ(消極的とはいえ)日の丸、君が代に反対してた先生らが、今は、当たり前みたいに起立して歌うてはります。「信念やったら、貫けや!」いうのがあたしの感想です。大阪では3人ほど卒業式で歌えへんかった先生がいてはったそうですけど、見上げたもんやと思います。せやけど、ほんまに歌いたくないんやったら卒業式休んだらええと思うんですけど、なんや、授業の前に、言われても起立礼せえへん生徒といっしょやと思うんですけど……話が横っちょいってしまいました。

 話題を戻します。

 合宿が慣習内規や言うて、それを守らへんかったことで、演劇部を休部処分にするのは、先生ら自己矛盾してないかいうことです。国旗・国家では実定法やない言うてサボタージュして、うちらの体験入隊を内規違反いうのは矛盾してます。
 これも推測ですけど、ほんまは自衛隊への体験入隊を問題にされたんやと思います。うちの先生の中にも「憲法をまともに読んだら、自衛隊は違憲や」いう骨董品みたいな先生がいてはります。集団的自衛権が閣議決定されたころには授業で演説めいたことも言うていかはりました。
 うちらは、いま集団的自衛権の行使に向けて運動中です。文化部の賛同署名は集めました。いま部員が手分けして運動部に働きかけてます。来週には文化部長から生徒会にあげてもろて、臨時生徒総会にもっていこと思てます。
 手の内ばらして「アホか」と思う人がいてるかもしれませんけど、これも作戦です。まず外堀から埋めよです。この公式ブログはゲリラブログです。これをもって、うちらのこと処分しよいうんやったら受けて立ちます。

 ここまで決心して、ブログに書くのに二週間かかりました。正直ビビってます。せやけど表現の自由を守るためにがんばります。

☆休部期間中の稽古

 部活が禁止されたんで、淀先生に迷惑かけんために完全に自粛してます。せやけど、部活は禁止されてますけど、スマホの使用が禁止されたわけではありません。部員同士でラインで稽古してます。スマホに台詞打ち込んで、台詞の稽古だけはしてます。喋る速度で打たならあかんので、部員は、みんな親指姫になった気持ちです。
 不思議なもんで、スマホでやってると変な現実感があります。案外練習法としては新発見かもしれません。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・29『スランプです』

2018-01-19 06:03:16 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・29
『生意気ですがスランプです』
   


☆どうしても入ってこないかおるという役

 いったんは完成しました『すみれの花さくころ』。大女優佐藤恵さんや、先輩の坂東はるかさんに言われて、あと一歩のところがつまっていないことを気にかけて、自衛隊の体験入隊までやってきました。
 それで気が付いたのは、思っていたより遠いかおるとの距離でした。

 自衛隊の体験入隊で感じたんですが、カタチからして、全然あたしはできてへんいうことです。自衛隊の身のこなしには旧軍のものが、そのまま受け継がれているものもあります。それがあたしにはできませんでした。動画サイトで、女学生の勤労動員の様子なんかも調べました。これは、この作品に取り掛かったころにも見たんですけど。そのときは、こんなもんチョロこいと思てました。
 せやけど、稽古が進んで、自衛隊の体験入隊もやって見直してみると、全然違うんです。

 どない言うたら分かってもらえるでしょう……。

 4月の終わりごろに、学校で仲間の生徒を見ると、ああ、この子は一年、この人は三年となんとなくわかります。制服の新しい、古いもあるんですけど、発してるオーラが違うんです。ちょっと分かってもらえます? この感覚は学年が上がるほどよう分かります。つまり、高校生活を続けてるうちに分かるようになるもんなんです。

 わたしのかおるは、まだ一年生です。言い方悪いかもしれませんけど、勉強できて態度がええ子でも、やっぱり一年は一年のオーラです。以前、コンクールに出たら、地区大会優勝ぐらいはいけてるなんて生意気いいましたけど、全然自信がありません。

 坂東先輩にメールしたら、「役者は誰でも通る道。苦しめ苦しめ!」いう、ドSなメールが返ってきました。根拠のない自信が、あたしの取り柄やったんですけど、完全に自信喪失。もう逃げ出したいくらいです。

☆○○高校さんの芝居を観て。

 ご招待の案内がきたんで観に行きました。学校名も、どんな評も書いてええいわれたんですけど、やっぱり○○とさせてもらいます。

 戦争ものやいうことだけ書いときます。

 正直、頭の中でこさえた戦争やと思いました。

 全編通して真面目で悲惨なんです。

 あたしも戦時中のかおるという役をやるんで、調べたり、お話を聞いたりしました。言い方難しいんですけど、朝礼、訓示を受ける時、天皇陛下の言葉が出た時ぐらいは瞬間ビシっとします。
 せやけど、作業を含め日常は「ああ、お腹すいた」いう気持ちで、淡々と作業やってました。映像で残ってるようなもんは、カメラで撮ることを意識してるんで、どえらい力がこもってますけど、お年寄りに聞いたら、程よいペースでやってたようです。緊張してばっかりやったら、長時間の勤労には耐えられません。また怪我やらの事故もあります。せやから○○さんのは、高校演劇としては、そこそこのできでしたけど、似たような芝居やってると、違ういう意識が強くなりました。

 ただ、うちと違うて、臨時のスタッフ入れて10人以上でやってはるのは、羨ましくもあり、○○さんの日ごろの努力の結果やと思いました。そこは正直脱帽です。

☆しんどいクラブを見せてもらいます

 111校ある加盟校でうまいこといってるのは一握りのクラブです。大方は、うちみたいに兼業部員入れても5人以下いうとこばっかりです。そういうとこと連帯していきたいと思います。連帯てな大げさなこと言いましたけど、みんなが、それで元気で立派なクラブになるとは思てません。ただ、そいうクラブがあるいうことを、みなさんに知ってもらいたいんです。立派な演劇部ばっかりやないいうことを。小烏高校さんは、盛んにブログ出してはります。読ませてもろたら、勇気もため息も湧いてきます。世の中には、こんな演劇部もあるのかということも勉強になります。うちらは、そこからこぼれてる高校に(こんな言い方失礼かなあ)焦点をあてていきたいと思います。

☆文化祭の取り組み

 コンクールとは別のことします。『すみれ』は、ええ本ですけど、文化祭みたいなお祭り行事には向いてません。で、5分ぐらで楽しいことをやってみよ思います。いまアイデアを出し合うてるとこですけど、4人おったら、みんな意見がちゃいます。
 まあ、まとまったらご報告します。


 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・28『自衛隊体験入隊! その2』

2018-01-18 05:59:12 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・28
『ああ、自衛隊体験入隊! その2』
    


☆体験ピックアップ その二

 昼からは「障害走路」

 隊旗を持ったあたしを先頭に、あやめ、はるな、長曾我部先輩、淀先生と続いて「エッチ、エッチ、エッチネ、ソーレ!」と掛け声も勇ましく、500メートルほど駆け足。なんか藪の入口みたいなとこに着いた。

「ただいまより障害走を実施する。障害走とは……(あとは言葉が難しいんで、よう分からへん)……以上。かかれ!」

 指導教官の説明のあと、返事だけはかっこよく、障害走にかかる。説明は、よう分からへんけど、見たら一目瞭然。簡単に言うたら『サスケ』の予選みたいなもん。メニューは以下の通り。

1 :飛び越え障害(これは簡単、20センチほどの柵越え)
2 :ロープ(4メ-ターほどのロープを登って降りる)
3 :丸太橋(8メーターほどの丸太の上を駆け足)
4 :囲壁(2メーターほどの壁を勢いつけて乗り越える)
5 :柵(50センチほどの木の柵を5つほど乗り越える)
6 :壕(要は小さな堀に飛び込んで出てくる)
7 :跨ぎ障害(40センチほどの鉄の柵を、いくつも跨いで走る)
8 :高鉄条網(高い鉄条網を、40度ぐらいの勾配でかけられた板に載って乗り越え)
9 :水平棒(ようは雲梯の親分)
10:壕飛越(6でやったような壕を飛び越える)
11:低鉄条網(やっとくぐれるぐらいに張った鉄条網を這いながらくぐる)


 要は障害物競走。

 ただ、これを全行程走って5分以内に終わらんとあきません。一発でクリアしたんは予備自衛官の淀先生だけ。あやめがドンケツで7分30秒。全員が時間以内にできるまでやります。
 何回やったかは内緒ですけど、5時になるとラッパが鳴って国歌君が代が流れます。ほんなら本職さんと淀先生は不動の姿勢になり、微かに見える日の丸が下ろされるのを、なんちゅうかキリっと見つめます。
 これは強制されませんでした。
 せやけど、本職さんらがやってると、長曾我部先輩が、これに倣い、気いついたらみんなでやってました。

 宿舎に帰ってびっくり。

 朝、きちんとメイキングしたベッドがメチャクチャ。シーツも枕もめくられ放られ。
「やりなおし、かかれ!」
 で、もっかいやり直し。理由はシーツが2センチずれてたから。厳しい~!

 晩御飯はフライの寄せ上げ、大盛りごはん、お味噌汁、サラダ。訓練はともかくご飯は美味しい。

 あくる日、起床にまつわるゴタゴタは省略。トラックに乗って別の演習場へ。途中一般道を法定速度を守って走るよって、車が何台も追い越していく。ガラの悪そうな兄ちゃんらが「おお、自衛隊にも可愛い子おるやんけ!」嬉しいような、腹立たしいような……。

 演習場に着くとエンピいう歩兵用の小さなシャベル渡されて、ひたすら壕掘り。一人一つずつ。どうやら、これがタコツボいうもんらしい。案外大変で、淀先生は30分ほどでやってしもたけど、全員が出来たんは、もうお昼前。

 で、昼食(なんや食べてばっかり)飯盒炊爨でカレーを作って食べる。本職さんらといっしょに喋りながら食べる。食事のときは指導教官の人らが付いてくれはって、最初はぎこちなかった会話も自然になってきた。戦時中の女学生やる言うたら、女性隊員の人で詳しい人が居てて、昔の軍事教練の基本姿勢なんか教えてくれはった。えらい詳しい思たら、夕べうちらの話を聞いて、資料室で調べてくれはったそうです。感謝!

 昼からは戦車に乗せてもろた!

 正式には戦車とちごて、歩兵支援戦闘車「ライトティーガー」いうらしいです。鉄の塊が、あんな速いとはびっくりでした。

 たった二日、それも、あたしの役作りのために、みんなもいっしょにやってくれて大感謝です。自分でも分かってきました。身のこなし方が、今までのはちゃういうことが。
 コンクールの日程言うたら、本職さんらが、観に来てくえはるそうで、ただでも少ないコンクールの観客動員に繋がると、嬉しなりました。


  文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27『ああ、自衛隊体験入隊!』

2018-01-17 06:15:24 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・27
『ああ、自衛隊体験入隊!』
       


☆しばらく死んでました

 大女優佐藤恵さんの勧めで、こないだ一泊二日で陸上自衛隊S駐屯地に体験入隊してきました。帰ってからすぐにブログ書かならあかんかったんですけど、体力・気力完全に絞り切って、ようやく今になりました。ほんま、死にそうでした。

☆体験入隊ピックアップ その一

 なんと、顧問の淀貴美先生は、予備自衛官でした!
 宿泊を伴う行事なんで、顧問の先生の活動計画と引率がないとできません。当たり前やったら夏休み前に職員会議で一括審議されて、許可がでるんですけど、今回は二日で許可がおりました。その理由の一つが淀先生が即応予備自衛官(なんかあったら、すぐに自衛隊員の代わりになれる元自衛官)やったからです。

 朝7:30にJR谷町駅で制服で集合。電車を三回乗り換えてS駐屯地へ。

 最初に親の承諾書と同意書(万一事故があっても自己責任。シャレちゃいます)ほんで簡単な健康診断。で、体験入隊用の事業服を貸してもろて、あやめとはるなで4人部屋へ。淀先生と長曾我部先輩は隣の部屋へ。
 すぐに女性自衛官の人が来て、事業服なんかの着方、ベッドメイキングを教えてもらいました。そのまま集合かと思たら、もっかい事業服を脱いで、ベッドも元にもどして、一から自分でやるように言われました。時間は5分。

「かかれ!」の号令で一斉に着替えて、30秒遅れで隊舎から営庭に行こ思たら、入り口に置いといた靴がどこにもありません。先生と先輩は、とうに営庭に行った気配。
「あ、うちらの靴!」
 はるなが、外に放り出された靴を発見。
「なんでえ」言いながら拾いに行くと、後ろで声。
「あなたたちが、きちんと脱がないからよ。規律と連帯責任、頭に叩き込む!」

 結局1分遅れで営庭へ。

「遅い! A班全員腕立て伏せ20回!」先任指導教官に怒られる。で20回腕立て伏せ。その間も「体を真っ直ぐに! 頭を下げない! 腕はキチンと曲げて!」と責め立てられ、終わったら、もう、それだけで汗みずく。先生と先輩は涼しい顔。
 そのあと、訓示があって、気を付け、右向け右、左向け左、回れ右、列の整頓、敬礼の練習。一発で合格したんは先生だけ。

 それから、ひたすら行進の練習。

 掛け声は「一、二、一、二」やけど、発音すると「エッチネ! エッチネ!」と聞こえるけど笑えません。笑うたら、恐怖の腕立て伏せが待ってます。
 駆け足のときは「エッチネ、ソーレ! エッチネ、ソーレ!」になります。列の先頭はあたし。最後尾が先生。その横を指導教官が付いて「声が小さい!」「間隔を広げるな!」と怒鳴られます。
 信じられへんことに角を曲がる時も直角。間違うと、その都度やり直し。

 もう、これだけで午前中が潰れ、顎の先からポタポタと汗。パンツもお漏らししたみたいにグチョグチョ。生まれて、ここまで汗かいたんは初めて。
 昼食前に事業服の上脱いで頭から水被って汗流して、タオル一枚だけで体拭いて、昼食。

 お昼ご飯はカツ丼。もう丼からはみ出しそうなトンカツが載ってて、チョー山盛り。それにお味噌汁とサラダ。食べきれるか思たけど、完食。

 で、昼からは、もっとえげつないことが待ってた……。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・26『壁にぶつかりました』

2018-01-16 06:49:25 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・26
『壁にぶつかりました』 
 
        


☆生意気なようですが完成はしました

『すみれの花さくころ』歌も芝居もバッチリです。このまま予選に行っても一等賞はとれる出来になりました。課題は挿入曲の演奏が生やったらええなあと思って、軽音に入ってもらおうかということぐらいです。スニーカーエイジのメンバーから漏れた軽音の部員がいっぱいいてて、発散の場所がないんでウズウズしてます。乗せ方と話の持っていきようかなと思うてます。
 将来的な問題ですけど、もう演劇部が単独では成立せえへん時代が来ると思うてます。かたや軽音みたいに所帯が大きなりすぎて、動きがとりにくいクラブもあります。

 舞台芸術部……てなもんを妄想してます。発表の場が舞台にあるクラブからハミゴを集めたら面白いクラブになると……まだまだ夢物語ですが。

☆大ショック!

 坂東はるかさんが、うちの先輩やいう話は何回もしました。ご本人は一回だけ観に来てくれはりました。
 ところが、なんと今日は、東京の大劇団日本芸術座の佐藤恵さんが観にきはりました。もう80歳を超えた新劇界の重鎮です。
 なんで、こんなエライ人がきたかというと、テレビではるか先輩と共演しはったときに、うちの芝居が話題になって、大阪に仕事があるついでに観ていかはりました。
 緊張はしましたけど、自信はありました。プロに見られても恥ずかしない出来になったと思うてましたから。

「はるかちゃんのに比べたら数段落ちるわね」

 ガーン……空が落ちてきたみたいなショックです。
「どこが、あかんのでしょう……?」
 蚊の鳴くような声で聞いてみました。

「作品に血が通ってないのよ」

 ゲ、まさか、あのときの審査員と同じ評とは……。

 前の審査員は、そのあと具体性のある説明は一切してくれませんでしたけど、佐藤さんは具体的でした。
「役にはね、世代性と時代性がいるの。現代の女子高生のすみれと、70年前のかおるは女学生。そして、あなたたちも同じ年頃。世代性は出てるわ。笑ったり泣いたり喜んだり切ながったりは、いいと思うの。でもね、二人が同じ時代の人間に見えちゃう。これは主にすみれの三好さんの問題だけど」
「時代性と言いますと……?」
「立ち居振る舞いから、呼吸まで違うわ。だいいち三好さんからは戦争のニオイがしない。例えば教育勅語やってごらんなさい」

 で、あたしは、やりました。

「朕(ちん)惟(おも)フニ、我ガ皇祖(こうそ)皇宗(こうそう)、國ヲ肇(はじ)ムルコト宏遠(こうえん)ニ、徳ヲ樹(た)ツルコト深厚(しんこう)ナリ。我ガ臣民(しんみん)、克(よ)ク忠ニ克(よ)ク孝ニ、億兆(おくちょう)心ヲ一(いつ)ニシテ、世々(よよ)厥(そ)ノ美ヲ済(な)セルハ、此(こ)レ我ガ國体ノ精華(せいか)ニシテ、教育ノ淵源(えんげん)、亦(また)実ニ此(ここ)ニ存ス……」

 ここまでやって、佐藤さんの目力で止まってしまいました。佐藤さんは黙って舞台に上がり、最敬礼をされたかと思うと……。

「朕惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇ムルコト宏遠ニ ヲ樹ツルコト深厚ナリ我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ 世世厥ノ美ヲ濟セルハ 此レ我カ國體ノ精華ニシテ教育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス 爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ朋友相信シ 恭儉己レヲ持シ博愛衆ニ及ホシ……で、このあたりから鼻水がズズーになるわけ」

 これだけで違いが分かりました。背筋の伸び方の自然なこと。あたしは力みかえってるのが初めて分かりました。で、その真似をしても、あやめもはるなも笑うだけ。
「アハハ、先輩、全然ちゃいます」
「仕方ないわよ、あたしは現役の女学生で、ほんとにやってきたんだから。数をこなすことね。逆を考えてごらんなさいな。あたしは、あなたたちみたいにスマホをいじりながら歩けません。まあ、わたしに女子高生の役なんかくることはないけど、やるとしたらスマホの習得からやるかなあ……」

 あたしは悟りました。あのころの女学生の生活をしてみならあかんと。

「一度一日だけ自衛隊の体験入隊やってごらんなさいよ。知り合いの息子が、どこかの連隊長やってるから、頼んだげる」
 で、佐藤さんは、その場で電話しはって、このクソ暑い時期に自衛隊の体験入隊が決まりました。
「でも、不思議ね……はるかちゃんの『すみれ』は白羽君から借りて観たけど、あたしが観ても引っかからないくらい、自然な女学生が出来てた。教育勅語なんかチョロイもんだったけど、空襲の恐怖感が本物だったのにはびっくりした」

 これは分かってました。はるか先輩には見本になる人がいてたんです。信じられへんけど、人間やない見本が。
 その辺は、出始めた『はるか ワケあり転校生の7カ月』に詳しく出てます。

      

 とにかく役の肉体化いうのは、なかなか難しいもんです。全てのことに言えるんでしょうけど、物事に近道はありません。

 まだまだ道は遠いというのが実感でした。初心にもどってやり直します。


 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24『本になってます!』

2018-01-15 06:30:50 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・25
『真田山学院高校演劇部 本になってます!』 
           

☆『はるか ワケあり転校生の7カ月』発売

 ただいま『はるか 真田山学院高校演劇部物語』が連載中ですが、紙本でも発売中です!

 タイトルの通り我が先輩坂東はるかさんの時代。つまりうちらが、まだ中学やったころの伝説の話です。

 あのころも、今とあんまり違いがなくて、山田先輩と、玉城(たまぐすく)先輩の二人だけやったんですけど、4年前の福田乙女先生が強引……いや、熱心な顧問で、いろんな生徒に声かけては演劇部に引っ張り込んでました。
 その中の一人が坂東はるか先輩でした。

 先輩は、ご両親の離婚で東京の乃木坂学院高校から転校してきはったばっかりです。まだ制服もできてない登校初日に目ぇつけて強引に演劇部員にされてしまいました。他にも放送部の子らが兼業部員で入ってきますけど、本格的な専業部員で残ったのは坂東先輩一人だけでした。

 放送部の子らが居てたころに『ノラ バーチャルからの旅立ち』いう7人出てくる芝居に決まります。せやけど、稽古が進むにしたがって、部活に対する気持ちの違い、家庭事情なんかで難しなってきて、テキストレジーやって5人にまで登場人物を減らしました。それが、もう6月の終わりころ。うちらの真田山はOHPには参加せんと(なんせ、お金がかかりすぎます)A市が盆ごろに開いてるピノキオ演劇祭に参加してます。その公演一か月前に、また一人辞めて『ノラ』は上演できんようになってしまいました。

 うちらはヘタな創作劇はしません。コーチの先生の勧めで『すみれの花さくころ』に急きょ台本を替えました。登場人物は3人でいけます。道具はほとんどなし。その代り歌が6曲も入る音楽劇です。

 それを奇跡的に、3週間ちょっとで仕上げてピノキオの板に乗せました。

 そんで、その『すみれ』をコンクールの予選で最優秀をとって本選の舞台に……そこで、すごい不本意な審査されて「作品に血が通っていない。思考回路、行動原理が高校生のそれではない」いうわけ分からん評でした。それからやったと思います。大阪府全体で審査の在り様を考えるようになりました。はるか先輩は審査員からはケチョンケチョンでしたけどNOZOMIプロのプロデューサーの目に留まって、プロの女優さんになるきっかけになりました。

 同じ業界のプロが観ても、小劇場の人とプロダクションの人とでは見え方が天と地ほどに違ういう見本になった話です。

 はるか先輩は、単に演劇部員として励みはっただけやないんです。

 はるか先輩は、別れたご両親を元の鞘に収めて家族の復活を果たそうと時間かけて努力しはりました。せやけど、やっとお金貯めて東京に行ってみたら、お父さんには事実上の新しい奥さんが居てました。
 パニくって、荒川の河川敷で泣くしかなかった先輩でしたけど、このことが元で、お父さんと、その奥さんとも新しい人間関係が開けていきます。

 お別れだけどサヨナラじゃない。

 そういう新境地を発見したはるか先輩でした。この人間的な成長が先輩の演技を、ほんで『すみれの花さくころ』いう芝居そのものを変えていきます。

 
 以下に概要を書いときます。

『はるか ワケあり転校生の7カ月』 税込み799円 著者:大橋むつお

 星雲書房  〒590-0053 堺市堺区文珠橋通3-22 

 送料無料 商品に同封の郵便振替で決済

 ほかにAMAZONでも手に入ります

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)
  

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・23『他校演劇部訪問・他』

2018-01-14 06:19:37 | 小説・2

小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・24
『御手毬高校演劇部訪問・他』 
 
     


☆御手毬高校演劇部訪問

 御手毬高校は、うちらβ地区の隣のθ地区の代表校です。この四半世紀、コンクール本選に必ず出てる実力校です。HPFの公演直前やのに、快くうちらゴマメの見学を許可してもらいました。
 
 御手毬高校は旧府立都島高女の同窓会「御手毬会」が戦前に作った高女が、戦後私立の女子高になったもんで、看護系などの進学に実績のある学校です。
 演劇部は7月30日・31日、シアター仰天院で 大作ミュージカル「美鈴 神様を待った女」を上演しはります。仰天院はキャパ100余りの小ホールですけど、三回の公演で観客動員300以上が見込まれてます。さすがは実力校です。

 早めに行ったんですが、部員の人が「真田山学院様」と書いたホワイトボードを持って玄関前で待っててくれはりました。ちなみに御手毬さんはクラブで揃いのジャージとTシャツを持ってはります。
「すみません。お待たせして」
「いいえ、今ここに立ったばっかりですから」
 うちらに気兼ねさせへんためいうのは額の汗を見ても分かりました。ああ、恐縮!

 稽古場のホールに行くと、もう10人ばかりの部員の人らが発声やら、ストレッチをやってはりました。あんまりの集中と熱心さで声かけることもはばかられ、コクコクと首振り人形みたいに頭下げることしかできません。5分前には部員全員(数えたら24人も居てた!)が集合「お願いします!!」と全員で挨拶するとこなんかは圧巻でした。
 改めて全員が声出しとストレッチ。それから相互交流のレッスン。これをなんと部員だけでやらはります。

 すぐにスタッフとキャストに分かれてスタンバイしたとこで先生が来はります。うちらは、ただただ首振り人形。

 80分の芝居でした。本番さながらの舞台稽古。先生の横にはスクリプターが居てて、時々先生が呟かはることをメモ。タイムキーパーまで居てて、場面ごとにタイムを駅伝並にチェック。

 本番前なんで、中身に関することは書けませんけど。幕開き前の衝撃的な効果音だけでも、持ってはる傾向が分かりました。前世期の黒テントあたりに祖型が感じられる小劇場・アングラ劇の傾向です。芝居慣れしてない観客でも分かりやすいようにアングラ劇独特の饒舌、長台詞は抑制されてました。台詞も大阪弁に置き換えてはって、いかに現代性を持たせるかいうとこに苦労してはるのが、よう分かりました。

 道具は一杯飾り。多分在りものに手を加えたもんやろと拝察しましたけど、芝居の世界観とはピッタリでした。照明はサスとフロントの使い方が芸術的で、適度なSSが舞台に立体感を出してました。ここまでやれる学校は、大阪でも5校はありません。

 まいった、プロ級です。

 ここからは、趣味の問題ですけど、演技に型があります。エロキューションも統一されてて、言わば歌舞伎や狂言、フランスのファルスのような独特の御手毬型。強烈でした。

「どないやった?」

 舞台稽古が終わると、いきなりふられました。

 一言で言うたら「凄い」なんですけど、それやったら幼稚園並。そんなおためごかしでは済ませへん迫力が、先生の「どないやった?」にはありました。
「好き嫌いに分かれるでしょうね。こういう傾向が好きな人にはたまらんぐらいの完成度です。嫌いな人いうか、こういう表現を受信するアンテナ持ってない人には……分かりにくいと思いました」
 はっきり言いすぎたかなと思たけど。先生は大きく頷きはりました。
「うん。僕とこは独特やからね。せやろと思う。他には?」
「お上手なこともあるんでしょうけど……情念の表現が凄いですね。キャストもスタッフも、その情念をよう理解してて、統一したエモーションが圧として感じられました。並の高校演劇ではでけへん力です」
「遠慮気味に言うてくれてるけど、あんたのアンテナには、ちょっと夾雑音やったんちゃうか?」
「いいえ、新鮮でした。初めて歌舞伎の荒事見た時の感覚に似てます」
「ハハハ、荒事か!」
「技術的に聞きたいことは?」
「頭の掴みが見事ですね。音響と照明が演出の意図をよう理解してやってはります。SSの使い方、お上手ですね。サスもバックサスにならんように、そんで頭が切れんようにベストなシュートでした。ここから見てても分かりましたけど、一応バミってはいてはるんでしょうけど、役者は、自然と分かってるみたいですね。うちらは人がおらんいうこともありますけど、照明は基本、狂言みたいに生のツケッパですから、羨ましいかぎりです」

 そんなこんなで2時間、お世話になりました。

☆『クララ ハイジを待ちながら』での発見

 本編の『すみれの花さくころ』が一頓挫してるんで、『クララ』をやってるて、前に書きましたよね。
 その『クララ』で発見がありました。『クララ』はものごっつい明るい饒舌な引きこもりの女の子の芝居です。台詞の90%がクララの台詞。で、気が付いたんです。クララは、吸い込む息の量がすみれの倍はある。クララが元来持ってる好奇心の表れなんでしょうけど、この呼吸の違いは大発見でした。
 芝居の表現は氷山の一角です。その一角を表現するために、役者は舞台ではせえへん表現の努力が90%せなあきません。芝居の稽古に季節が一つ変わるぐらいのスパンがいることが分かってもらえたでしょうか。

 文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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高校ライトノベル・小説大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・22『スランプな今日この頃』

2018-01-13 06:21:55 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・23
『スランプな今日この頃』 
 
       


☆来るとは思てたんですけど

 台詞はとっくに入りました。ミザンセーヌ(立ち位置、動きのきっかけ) エロキューション(発声とアーチキレーション=滑舌)も文句なしです。音響やってる長曾我部さんが少林寺が休みの日に5人ほど連れてきて試演会みたいなこともやりました。

「すごい!」
「さすがに演劇部!」
 と誉めてくれるんですが、なんか物足りません。勇気を奮って聞いてみました。
「『アナ雪』と比べてどう?」
 五人とも『アナ雪』は観てます。うちらも出たばっかりのDVDで観ました。
「あれはアカデミー賞とったやつやもん。なんちゅうか次元がちゃうよって……」

 うちらも、あれとは勝負にならんと思います。せやけど、あえて聞いてみたんです。
 やっぱりなあ……いうのんが、うちら役者の感想です。

「そら、本も、かけてるお金もグレードちゃうねんさかい、あんまり考えんでもええんちゃう?」
 長曾我部さんは、少林寺の元部長らしくフォーローしてくれます。
「先輩の気持ちは嬉しいんですけど。この『すみれの花さくころ』は完全やと思てるんです。初版が15年前、上演回数は20回ほど。その都度改訂されて、これで五訂版です。やってみて分かるんです。無駄なもんはありません。足らんもんもありません。試しに初版でもやってみましたけど、無駄と無理のある本でした。でけへんとしたら、うちらの力の足らんせいです」
「そう……で、なにが足らんか分かってるのん?」
「……それが分かりません。坂東先輩にも通しのDVD送ったんですけど『自分らで考えなさい』でした」

 しばらく四人、稽古場のプレゼンテーション教室で落ち込み。

「あたし、芝居のことは分からへんけど、少林寺で技に行き詰ったら、しばらく他の技の稽古に切り替えてみたりするよ。ほんなら、躓いてたとこが霧が晴れたみたいに見えてくる」

「……それや!」

 直観でした。同じ作者の違う本をやったら、その本では書ききってなかったものが見えてくるような気がしました。
 例えて言うなら、AKB48のことを知ろうと思たら『フォーチュンクッキー』だけやってても分かりません。『ビギナー』『桜の栞』『前しか向かねえ』『上からマリコ』『下からさしこ』いろいろやって、AKBの、それでも半分ぐらいしか分からへんと思うんです。
 そこでうちらは、作者の他の作品も稽古してみることにしました。

 スランプ克服大作戦です!

☆『クララ ハイジを待ちながら』

 この作品を選んでみました。作者の直近の戯曲です。

 ほとんどクララの一人芝居なんですけど、舞台には登場せえへん「アナタ」とのチャットの会話で話が進んでいきます。女の子二人の葛藤いう点では同じ構造してます。
『すみれ』の場合は、対立軸が、すみれとかおるの中にしかありません。対立は対立だけとちゃいます。互いに全体を通して関係を持ち、影響しあい、相手も自分も変わっていく存在のことです。『すみれ』の中では、それはコミカルに、そして遠慮気味に表現してあります。
『クララ』は、クララがアナタに話しかけることで、自分の隠れた心の中が出てきます。その表現は多弁で、スラプスチックでさえあります。この二つの作品はネガとポジやと言うてもええと思うんです。ネガとしての『クララ』を演ることで、ポジとしての『すみれ』の理解と表現が深まると思たんです。

 で、ほとんどクララの一人芝居なんで、あやめちゃんといっしょにやって、演出しあうことにしました。

☆余計なことかも

 芝居作りは建築物に例えられます。うちらは建物の基礎が弱いんで、地盤の改良からやってます。何回も言うてますけど、役の肉体化いうのは、これほどまでに難しいんです。9月10月になってコンクールの準備に入るクラブは分かりません。
 せやけど批判することは簡単やけど、現実は見てみなら分かりません。夏休みの間に、よその演劇部の訪問もしたいと思います。

文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ) 

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大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・21『坂東先輩からのダメ』 

2018-01-12 06:12:37 | 小説・2

大阪府立真田山学院高校演劇部公式ブログ・Vol・21
『坂東先輩からのダメ』 
 
         


☆音響係が決まりました

 放送部3年生の長曾我部さんが兼業部員でやってくれはることになりました。

 実は、先月の半ばからやってもろてたんですけど、放送部の実務を2年生に引き継げたいうので、稽古にべた付きできるいうのんで入ってもらいました。
 原曲は、N音大さんがやらはったのをお借りしました。著作権についてはエーベックスに確認しました。
 高校生が既成の曲をコンクールで使う場合、著作権には触れません。ただし原曲に改編(編曲したり、歌詞をかえる)せえへんことが条件です。以前近畿大会でアニソンを替え歌にして、著作権に抵触するということで審査対象はら外された学校がありました。その審査員の先生は「ここまで来るのに二回コンクール通ってるんでしょ。地区と県大会。そこの審査員は何をしてたんだろうね?」と、言わはったそうです。
 うちらは編曲も、替え歌もしませんけど、一応ご挨拶の手紙は書いておきました。
 音響が決まったんで、我が真田山は万全の体制になりました。ちなみに照明は淀先生がやらはります。近畿大会まで行ったら、これも生徒がやらならあきません。ああ、どないしょ(´;ω;`)ウッ…今から考えて、まあオメデタイうちらです。

☆道は遠いです

 昨日テストが終わったんで、さっそく一本通して前1/3を動画でとって先輩の坂東はるかさんに送りました。

 すみれの花さくころ(宝塚に入りたい物語)
          
 大橋むつお

 時  ある年のすみれの花のさくころ
 所  春川町のあたり
  
 人物 
 すみれ  高校生                        
 かおる  すみれと同年輩の幽霊
 ユカ   高校生、すみれの友人
 看護師  ユカと二役でもよい
 赤ちゃん かおると二役


 人との出会いを思わせるようなテーマ曲が、うららかに聞こえる。すみれが一冊の本をかかえて、光の中にうかびあがる。

すみれ: こんちは。あたし畑中すみれです。
 これから始まるお話は、去年の春、あたしが体験した不思議な……ちょっとせつなく、ちょっとおかしな物語です。
 少しうつむいて歩くくせのあるあたしは、目の高さより上で咲く梅とか桜より。
 地面にちょこんと小さく咲いている、すみれとかれんげの花に目がいってしまいます。
 その日、あたしは春休みの宿題をやるぞ! というあっぱれな意気込みで図書館に行き、
 結局宿題なんかちっともやらないで、こんな本を一冊借りて帰っていくところでした。
 あーあ、机の前に座ってすぐに宿題はじめりゃよかったのに。
 つい、なにげに本たちの背中を見てしまったのが運のつき。
 だから、この日、うつむいて歩いていたのは、いつものくせというよりは、自己嫌悪。
 だから、いつもの大通りを避けて、久しぶりで図書館裏。
 春川の土手道をトボトボうつむいて歩いていたのです……ところが、
 そこは春! 泣く子も黙って笑っちゃう春! そのうららかな春の日ざしを浴び、
 土手のあちこちに咲きはじめた自分と同じ名前の花をながめていると、
 ふいに母親譲りの鼻歌などが口をついて出てくるのです。
 春川橋の手前三百メートルくらいに差しかかった時、保育所脇の道から土手道に上がってくる、
 あたしと同い年くらいの女の子が目に入りました。
 セーラー服に、だぶっとしたズボン……モンペとかいうのかな。
 胸には、なんだか大きな名札が縫い付けて、肩から斜めのズタブクロ。
 平和学習で見た映画の人物みたい、一見して変! 
 近づいてくると、もっと変!……あたしと同じ鼻歌を口ずさんでいる! 
 まるで学校の廊下でスケバンのキシモトに出くわした時みたいな気になり。
 目線をあわさぬよう、また、不自然にそらせすぎぬよう、なにげに通りすぎようとした、その時……。

舞台全体が明るくなり、ちょうど通りすぎようとしている少女、かおるも現れる。すれ違った瞬間かおるが知り合いのように声をかける。

かおる: こんにちは……。
すみれ: え……。
かおる: こんにちは……!
すみれ: こ、こんちは……
かおる: 通じた!……あたしのことが分かるんだ!
すみれ: あ、あの……
かおる: ア、アハハ、ごめんなさいね。多分通じないだろうと思ったから。
 いつもそうなの……だから、いつもの調子でひょいと声をかけちゃって。ごめんなさい、驚かしちゃったわね。
すみれ: あ、あの……。
かおる: あたし、咲花かおると申します。よろしく。
 あたし、ずっとあなたみたいな人が現れるのを待っていたの。
 急にこんなこと言われたって信じられないかもしれないけど。あたし幽霊なんです。
すみれ: ゆ、ゆうれい!?

 

 https://youtu.be/g41BYxG69ZE?t=321 (参考:この部分の名古屋音大の作品)

 



 で、冒頭の五分にもならんとこで大きな指摘をされました。

 台詞と動きに動機が無い……です。すみれの最初の長台詞は、いわば導入でナレーターでもあります。せやから半分はすみれやないんです。この長台詞でお客さんを引付ならあきません。
 そのためには、お気楽さ、自己嫌悪、かおるがやってきたときの興味半分の不気味さが出てんとあかんいうことです。
 うちらは、これを演るについては、You TubeでN音大やら、真田山、天王寺商業(なんでか見られます)の芝居を何べんも観ました。で、いっちゃんええ出来になったと自負してました。
 そやけど、プロの目から見たらまだまだなんですね……。

 あたしの「かおる」ものっけから言われました。「通じた!……あたしのことが分かるんだ!」が偽物やと言わはります。
「三好さん、通じることを分かってて言ってるでしょ?」

 う~ん、そんなつもりはないんですけどね。
 坂東先輩の指摘は鋭いです。
「いつものように通じないと思って声をかけたのなら、言い終わった後は、もう別な何かを見て聞いてるはずです。そこで手を抜いてはいけません」でした。
 何気ない演技と言うのが一番むつかしいです。蒼井優という女優さんが言うてます。
「一番難しいのは、人に呼ばれて振り返るシーン。だって、役者としては声を掛けられるの分かってるんですから」
 ムムム……まあ、蒼井優さんと同じことで悩んでるんやと、自分を慰めるあたしでした。


文責 大阪府立真田山学院高校演劇部部長 三好清海(みよしはるみ)  

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