大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・連載戯曲『たぬきつね物語・9』

2019-08-20 06:03:11 | 戯曲
連載戯曲 たぬきつね物語・9
 大橋むつお
 
 
 
時   ある日ある時
所   動物の国の森のなか
人物
  たぬき  外見は十六才くらいの少年  
  きつね  外見は十六才くらいの少女 
  ライオン 中年の高校の先生
 
 
 
ねこまた: ライオン丸くん……
ライオン: ねこまた女史……
ねこまた: にくい男よね(ライオンと同時)
ライオン: にくい女だぜ(ねこまたと同時)
 
いつしか寄りそい、見つめあう二人。トレンディードラマの最終回のような曲がたかまる(にくい男と女の歌とダンスになってもいい)
 
二人: なーんてね。
 
明転のまま、ライオンは去り、ねこまたはセンターに。コンパクトで化粧をととのえながら、ライオンがあらわれる。
 
ライオン: この森を出たことが、あの子たちにはプラスになったようです。人間も動物も、甘えを捨てて、一人で生きてみることが大切なようです。これも、わたしの医者としての判断が正しかったと……
ねこまた: ちょっと……
ライオン: 今日は、ひさかたぶりに医師会に……そいで慣れない化粧が……のらないわね……
ねこまた: あんた、今ライオン丸なのよ、ちょっと!
ライオン: え……!?
ねこまた: コンパクト見てて、わからないの!
ライオン: やだ、ほんと!? て、ことは、あんたライオン丸?
ねこまた: わたしは、わたしよ、ねこまたの……
ライオン: ねこまたは、あたし……
ねこまた: じゃ、わたし、おれ、ライオン?
ライオン: ……おれ、あたしたち……やばい?
ねこまた: 互いの立場が、ちょっぴりうらやましく……
ライオン: あの子たちの残していった化け葉っぱで、ほんのできごころで化けてみたんです。
ねこまた: 化けてみると、そっちもなかなか大変で……
ライオン: こっちもなかなか大変で、化け直して、化け直して、何度も化け直しているうちに……おれ、いえ、あたし、いえ……
ねこまた: あたし、いえ、おれ……
二人: わからなくなってしまった!
ねこまた: かくなるうえは、ライオン丸を刺して、けだものに(ナイフを出す)
ライオン: ちょっと待った。ライオン丸は、あんたかも(ナイフを出す)
ねこまた: じゃ、自分で自分を……
ライオン: それは痛いから、やっぱり……
ねこまた: あんたを……
ライオン: いや、あんたを……
二人: いくぞ! 待てエ!
ライオン: 待てエ、ねこまたの、ライオン丸のねこまたの……
ねこまた: ライオン丸のねこまたのライオン丸の……
舞台上、二人追っかけあい。たぬきときつねが現れ、四人で歌とダンスになる。
 
全員: たぬき、きつね、ねこまた、ライオン。たぬき、きつね、ねこまた、ライオン。
どっちがどっちか分からない。分かっているのか、いないのか。分からない、分からない。分からない。
たぬき、きつね、ねこまた、ライオン。たぬき、きつね、ねこまた、ライオン。どうして、なぜだか分からない。
だれのせいなのか、そうじゃないか。分からない、分からない、分からない。
 
 
 
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 高校ライトノベル・魔法少女... | トップ | 高校ライトノベル・小悪魔マ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

戯曲」カテゴリの最新記事