風の数え方

私の身の回りのちょっとした出来事

ローズマリーの不思議

2004年09月27日 | 清水ともゑ帳
先日、ローズマリーを使った料理を紹介している番組があった。
それを観ていて2年前のことを思い出した。

ちょうど2年前の今ごろは、引越しの準備に追われていた。
そのとき住んでいた賃貸アパートのベランダには、ところ狭しとばかりに、たくさんのプランターと鉢植えがあった。
終の棲家へ移るにあたっては、植物など生き物を育てることは最小限にとどめ、その分違うものに時間や手間をかけていこうというのが私たち夫婦の一致した考えだった。
新しい住まいというだけで、部屋の数もベランダの広さも、アパートとそれほど変わらない。
この際、荷物も身軽にしたかった。
植物のほとんどはバジルのような一年草のハーブ類だったので、それらは時期が終われば自然に終わりにできたから良かった。
が、ローズマリーをどうしようかと私たち夫婦は思案にくれた。
これを分けてもらったときは柔らかい茎に葉が数枚ほどだったのに、何年もの間、順調に育ち、太い幹となりたくさん枝分かれしていた。
台風が来ようと、静岡では珍しい雪が降ろうと、へこたれることなく元気だった。
10年間ためこんでしまった家財道具の処分は迷いつつも決断を下せたのに、このよく育ったローズマリーだけは考えてしまった。
いよいよ明日が引越しという最後の晩、「やっぱり持っていくのはやめよう」ということにした。
翌朝、ベランダに出た私たちは驚いた。
ローズマリーが一本残らず、すべてが一夜にして茶色になり、ぐにゃりと枯れてしまったのだ。
天候や環境の変化などなかったはずなのに。
まるで、二人の会話を聞いていたかのようなその姿に心が痛んだ。
鉢植えの一つぐらい引越し荷物に加えることなど、どうってことなかったのに。
なぜ、あんなふうに考えてしまったんだろう。

植物を育てるときは話しかけるといい…というのを、私は気持ちのどこかでばかにしながら、話半分に聞いていた。
けれど、今では、動物でも植物でも、生き物には心が通じると思っている。
現在、私たちは住まいの屋内外で何本かの緑を育て、その上、植物より手間がかかる犬も一緒に生活している。


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