野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

ヤマハではダメなんですか 

2011-08-12 06:55:52 | 二輪事業
たまたま見つけたブログに、マレーシア在住の日本人の方だろうと思うが、的を得た処があったので転載してみた。
以下は、ブログの管理人とバイク屋との会話であろうが、エンスーの気持ちが良く表現されている。

先日、バイク屋さんのおやじさんに言われた。

 「なぜヤマハじゃだめなんだ!?」

 英語でもマレー語でもこうした複雑な思いはうまく言うのが難しい。まあ、ヤマハがダメとは思わない。良い二輪車だとは思う。
 ほとんど壊れないし、スタートダッシュも速いのは毎日見て知っている。二人乗りしてもスズキ君より速い。
 排気量など1割ほどしか違わないにも関わらず。
 きっと燃費だってとても良いだろうし音も静かだ。それに新車でも安い。
 あれが日本円にして15万円で買えるなんて実のところちょっと信じられないほどだ。

 こうして考えるとダメな理由なんて何もない。ヤマハは良い。乗っていたことがあるから実感としてよくわかると言う事もある。
 けれど、ヤマハは単なるヤマハなのだ。それ以上でもそれ以下でも何でもない。ヤマハだ。

 それ以上は説明のしようが無い。

 昔は(実は今も)レースでよく勝っていた。
 だからそれなりの何かが無いこともなかったと思う。でも商品になって出てくる二輪車は工業製品的な臭いの方がだんだん強く
 なってきたように感じられた。
 今は売れなくなってきたからか、あまりクセの無い長く売れるモデルばかりを並べているようだ。
 破綻の無い流れるようなラインで構成されたカッコ良さ。
 どちらかと言うと無難なカッコ良さ。

 そうして眺めてみると、ヤマハとホンダとスズキなどはどれでもかまわなくなってくる。
 値段とカタログ・スペックで馬力がちょっとだけ高い方、ちょっとだけ軽い方、そうやって選べば良いわけで、
 別にヤマハである必要はない。
 だからどれも選ばないし選べない。安さでDemakでも構わないじゃないかと思えてくる。

 生活必需品ではないので、それだったらヤマハは要らないと言うところに落ち着くだけだ


マレーシアは、シンガポールと同様に東南アジアの中では平均所得が高く、先進国と同じような購買層がいるということだろう。
しかし、殆どの東南アジア諸国のモペット購入の主目的は、モペットは生活出需品で、かつ財産だから中古価格の高い方に売れ筋がある。だから、圧倒的にヤマハやホンダが主流で、二社で90%以上のシェアだ。この話を書きながら、「ドゥガッティ」が浮かんできた。

「Ducati 796」

すべてはスリルのためにアグレッシブなモタードスタイルとスポーツバイクのテクノロジーを高次元で融合。
操縦性の高いライディングポジションにより、ハイパーモタードは冷静なロードマナーから熱狂的なワイルド走行まで、さまざまな走りのシーンを縦横に駆け抜ける


ドゥガッティは世界スーパーバイク選手権(WSB)を争っていた時の競争相手だ。
だから、何度もドゥガッティの名前を聞いたし、当時イタリア人で運営されていたWSBにおけるドゥガッティマネージメント戦略の巧みさは見事だった。今、ドゥガッティは二輪レース界でホンダに比す王者に成長し、かつ魅力ある製品の販売投入でユーザーから絶対的な支持を受けている。戦略は当たった。

自動車の顧客満足度調査で有名な、「J.D.Power」がある。調査結果は広く告知され、企業側の宣伝に用いられることも多いことから、特に北米においては自動車メーカー・自動車ブランドの評価・イメージや販売実績に与える影響が大きい。消費者の製品選択においても大きな影響を与えている。米国人はこの調査者に認定されたことを自慢にするらしい。評価者への対価はたった1米ドルだ。だから、四輪の開発担当者の開発目標は、「J.D.Power」で問題を指摘された項目を次年度の大きな改良ポイントとして開発に専念すると聞いたことがある。顧客満足度調査は、単なる品質レベル調査だけではなく、サービス、車の値段、メーカの対応等々、全ての分野における顧客満足度評価なので、米国においては決して無視できない。「J.D.Power」が二輪の顧客満足度調査をした分析概要を見た事がある。日本の4メーカに加え、ハーレーダビッドソンやイタリアのドゥガッティ等も調査された。

顧客の購買理由から、各部位の満足度、そして再購入するか否か等がポイントとして評価されており、顧客の購買意識に対する感触が実にリアルに調査されてくるから、顧客がもつブランド意識を知る上で、有効な手段として認識せざるを得ない。そして、それは各メーカの同コンセプトマシングループ毎のランク付けとして表現されるので、結果的に自ずと競争相手との彼我の比較評価となっている。

「J.D.Power」の米国二輪調査で、高い評価を得ていたのがハーレーダビッドソンとドゥガッティだった。
ドゥガッティが米国のユーザーに、そのブランドを深く浸透させつつある資料を見たとき、ドゥガッティのブランド戦略の成功を感じた。米国だから、ハーレーダビッドソンは頷ける。だが、ドゥガッティがそこまでのエンスー顧客を掴んでいるとは思っていなかったので、ビックリした。もう、7、8年前の事とだ。

米国、2011上半期の二輪販売実績表が公表されたが、それによると、
「ボローニャのドゥガッティ2011年上半期」では、ドゥガッティの販売台数は5200台で、63%もの大幅な伸長を達成している。その成功の背景にはMultistrada1200、Diavelの販売好調があるという。アメリカではドゥガッティのモデルラインナップの拡充政策がうまくいっているようだ。まだまだ、台数は圧倒的に少ないが、何処を責めるかが明快なので、これからグイグイ攻めて来るだろう。
強い戦略を持ったことは次に繋がる。低迷した市場で、伸びる要素をもったブランドは勢いがあるのでドゥガッティの伸び代は期待できる。ランチェスターに言う弱者の戦略を実践している二輪メーカだ。

25年前の「トップ・ガン」で、トム・クルーズが乗っていたのはカワサキのGPZ900R。
この前見た、バットマン「ダークナイト」でブルース・ウェインの愛車はMVアグスタだったと思う、「Mi-2」ではトライアンフとドゥガッティだった。日本車でなければ成らない理由は乏しくなってきたようだ。

ドゥガッティのブランド戦略を、飛躍的に伸びている東南アジア市場に適用すれば以外と面白い展開と結果が出るかもしれない。
インドネシアやベトナム等の巨大モペット市場で弱小企業の生きる道を暗示しているようにも思えるからだ。何も、ホンダやヤマハに対抗する必要性はない。1,000万台市場で7%のシェアは70万台。ここ数年、稼げる市場は新興国のみだけど、資本主義で明るい性格の国での二輪はもっと伸びるだろう。


余談になるが、メーカが独自に実施する満足度調査がある。
メーカが実施する満足度調査結果と、「J.D.Power」の顧客満足度調査との間に大きな差異が出る場合があるかもしれない。
また、メーカが実施する調査の方が高い顧客満足度結果が出易いともいう。その理由を、大坂大学の狩野教授が「サンプルのかたより」と言ってNHKの「ためしてガッテン」の番組で上手く説明していた。どれを採用するかは、メーカの置かれた環境に依るだろう。
コメント
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