野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

世界スーパーバイク選手権

2011-08-06 06:35:16 | モータースポーツ
世界スーパーバイク選手権(WSB)のレースも9戦が終了し、残り4戦になったところに、ビックリするニュースが飛び込んできた。
ヤマハは2011年末をもってスーパーバイク世界選手権からファクトリーチームが撤退するとのことだ。「ヤマハ・ワールド・スーパーバイク・チーム 2011年シーズン末で活動を休止」


ヤマハチームは第9戦英国のシルバーストーンサーキットで良い成績を挙げ、残り4戦で何処まで順位を上げ得るか興味があった。
唯一、日本メーカーで欧州メーカーのチームに対抗していたので興味があったのだ。だから、非常に残念だし、寂しい思いがする。スーパーバイク世界選手権においても、今だ収まらない経済不況が二輪レースに影響を与えたようだ。ヨーロッパ全土を襲う販売不振、それに伴うマーケティング戦略の見直しによる撤退だという。

今季、ヤマハ発動機発表の上期の営業利益は、新興国が345億(利益率9.4%)で、先進国は予想より122億好転したが49億の赤字、全体としては415億の黒字で予想より165億も好転しているのに、ファクトリー参戦を中止するという。確かに、ヤマハの欧州向け売上実績は、前回予想より4.5%程悪化しているが。

ヤマハのスーパーバイクチームは、ヤマハ発動機本社ではなくヤマハモーターヨーロッパとして、ヨーロッパ内の代理店、マーケティング部門の活動として運営されている。この地域の市場が減収減益になり、ヤマハNVはチームを存続させるに十分な資金を得るには程遠かった事なんだろう。

撤退発表は、何の前触れもなく突然だった。チーム、ライダーを始め、ロードレース界に大きな衝撃をもたらすだろう。

だけど、此処までのヤマハの戦績と実力であれば、今年のドガッティチームのようにファクトリ参戦を中止しても十分勝てる見込みがあると判断したのかもしれない。過去もそうしたように、優れたチームと優れたライダーにマシンとサポートを提供する事は続けるとある。ヤマハ本社の関与は大幅に縮小するかもしれないが、タイトル争いに絡める実力を維持する事は十分考えられる。

また、スズキもWSB撤退の噂が流れているようだ。
スズキの決算発表では、四輪と違い二輪は赤字決算を計上し、2012年3月期は黒字化したいとあるのでレースにも影響しているのかもしれない。かって、グランプリレースの常勝チームであったスズキは、競争相手垂涎の的であったマシン「RGΓ」をもって連戦連勝だった。アメリカにおけるスズキの地位は「スーパーバイクと言えばスズキ」と呼称されていたほどだ。
あのスズキは何処に行ってしまったのか。

一方、ドガッティは2012年型の新型スーパーバイクマシンを既に発表し、来季はファクトリー体制で参戦するらしいとの報道もある。ドガッティは、海外生産工場をタイ国に建設する計画が昨年末に報道されていたので、今頃は生産開始の準備段階にあるかもしれない。なんで、こうも欧州勢は勢いがいいのか。

しかし、どうなんだろう。

MotoGPが興行的要素が強くなり勝つ事だけの狭い世界に特化しつつある中、かつ頻繁なレギュレーション変更もあって、資金力の乏しいメーカが戦うには極めて不利な条件となった。資金力の差は技術力構築の差に直結するので、資金力の乏しい二輪メーカは、四輪のF1と同様に参戦したくとも避けるべき分野となっている。MotoGPの分野ではホンダ、ヤマハ、ドガッティによる実質3社の競争を呈し、ここでもスズキの低迷には目を覆うばかり。

一方、技術志向型(性能数値優先志向)の二輪を主に市場に出してきた日本の二輪メーカにとって、技術力を最も具現化できるモータースポーツは避けて通れない。スーパースポーツ車の各社コンセプトはほぼ同一でも、一般市販車である以上、具体的な設計展開となるとは各社異なっているので、性能ポテンシャルの優劣は判断しがたい。

スーパーバイクレースでの戦闘力を保有し一般ユーザーが乗りやすい市販車として設定するか、あるいはWSBとしての戦闘力よりも市販車がサーキットで最も早く走行できるように設定するかは、各メーカの設計思想次第だけに、市販車としての競争力がWSBでの戦闘力に直結しているとは限らない。従って、各市販車の秘めたる戦闘力は、WSB等のレースにて同一条件で競争し結果を出し、ユーザーに訴求し続けるしかない。唯、それはユーザーが性能優先の車を求める場合の一判断材料でしかないが、WSBで戦闘力の高いマシンと同じ車を持った優越感はあると思う。

MotoGPがF1と同じように、ある意味サーカスのようなレースとは異なり、WSBはユーザーが購入し得る市販車と同じマシンで優劣を争うのである。自分が保有する車の優秀性が立証されれば嬉しいはずだろう。

劇場型のレースより参加型のレースの方が、よりユーザに近い存在であることは間違いない。日本でのモータースポーツは流行として捉えがちだが、、欧米の定着したモータースポーツ文化をメーカーも一緒になって守っていく必要性はあると思う。

また、WSBにおいては標準タイヤが指定されており、タイヤによる操縦安定性の影響を論じても意味があるようには思えない。仮に日本車の操縦安定性がタイヤ性能に依存しているとすれば、どのタイヤ装着でも許容力が高い欧州車の方が基本ポテンシャルは高いと判断されるかもしれない。所謂、欧州車の方が懐が深い性能に仕上がった車と評価される。

でも、MotoGPにおける最近のホンダマシンをみる限り、RC212Vのコーナリングスピードは驚嘆する程に優れているので、日本車も技術的には完成しているのだろう。WSBにおいても、早晩日本車がトップになるための時間はそんなに掛らないと思っている。

しかし、折角多くの二輪メーカが参加し活況を呈してきたWSBから、二輪の大メーカーであるヤマハが撤退する事は低迷している欧州の二輪需要に水を掛け兼ねない。「ヤマハは二輪モータースポーツへの観客動員数推移」から、二輪ユーザーの潜在性を判断してきたメーカーだ。

一方、低迷しているチームにとっては、上位に登る絶好のチャンスが訪れたことになる。
一部のメーカが撤退してもWSBのレースが無くなるわけではないので、自チームの優位性を証明する絶好の機会が増えたのだから、利用しない手はない。

危惧すべきは、ヤマハに続いてスズキもWSBから撤退すれば、それを理由に、同様に欧州販売に苦慮しているメーカが撤退理由を作ってしまう可能性を否定できない事である。そうならない事を願うばかりだ。





■開催日:2011年7月31日(日) 決勝
■開催地:イギリス/シルバーストーン
■天候:曇り時々晴れ
■観客数:64,000人

SUPERBIKE - Race 1結果

1. Carlos Checa (Althea Racing) Ducati 1098R 38'06.477
2. Eugene Laverty (Yamaha World Superbike Team) Yamaha YZF R1  38'09.781
3. Marco Melandri (Yamaha World Superbike Team) Yamaha YZF R1  38'11.259
4. Leon Haslam (BMW Motorrad Motorsport) BMW S1000 RR 38'13.593
5. John Hopkins (Samsung Crescent Racing) Suzuki GSX-R1000 38'17.534
6. Sylvain Guintoli (Team Effenbert-Liberty Racing) Ducati 1098R 38'28.376
7. Joan Lascorz (Kawasaki Racing Team) Kawasaki ZX-10R 38'28.785
8. Maxime Berger (Supersonic Racing Team) Ducati 1098R 38'29.211
9. Troy Corser (BMW Motorrad Motorsport) BMW S1000 RR 38'31.968
10. Ayrton Badovini (BMW Motorrad Italia SBK Team) BMW S1000 RR 38'32.202
11. Max Biaggi (Aprilia Alitalia Racing Team) Aprilia RSV4 Factory 38'32.321
12. James Toseland (BMW Motorrad Italia SBK Team) BMW S1000 RR 38'52.055
13. Roberto Rolfo (Team Pedercini) Kawasaki ZX-10R 38'58.127
14. Jon Kirkham (Samsung Crescent Racing) Suzuki GSX-R1000 39'03.787
15. Leon Camier (Aprilia Alitalia Racing Team) Aprilia RSV4 Factory 39'42.934

RT. Fabrizio Lai (Castrol Honda) Honda CBR1000RR 25'55.384
RT. Mark Aitchison (Team Pedercini) Kawasaki ZX-10R 21'23.662
RT. Noriyuki Haga (PATA Racing Team Aprilia) Aprilia RSV4 Factory 19'05.488
RT. Jakub Smrz (Team Effenbert-Liberty Racing) Ducati 1098R 13'49.436
RT. Alexander Lowes (Castrol Honda) Honda CBR1000RR 10'46.507
RT. Michel Fabrizio (Team Suzuki Alstare) Suzuki GSX-R1000 2'06.045

SUPERBIKE - Race 2結果

1. Carlos Checa (Althea Racing) Ducati 1098R 38'03.361
2. Eugene Laverty (Yamaha World Superbike Team) Yamaha YZF R1 38'05.635
3. Marco Melandri (Yamaha World Superbike Team) Yamaha YZF R1 38'07.036
4. Max Biaggi (Aprilia Alitalia Racing Team) Aprilia RSV4 Factory 38'07.321
5. Leon Camier (Aprilia Alitalia Racing Team) Aprilia RSV4 Factory 38'07.766
6. Sylvain Guintoli (Team Effenbert-Liberty Racing) Ducati 1098R 38'14.319
7. John Hopkins (Samsung Crescent Racing) Suzuki GSX-R1000 38'14.748
8. Leon Haslam (BMW Motorrad Motorsport) BMW S1000 RR 38'14.857
9. Michel Fabrizio (Team Suzuki Alstare) Suzuki GSX-R1000 38'15.608
10. Ayrton Badovini (BMW Motorrad Italia SBK Team) BMW S1000 RR 38'23.066
11. Jakub Smrz (Team Effenbert-Liberty Racing) Ducati 1098R 38'23.114
12. Maxime Berger (Supersonic Racing Team) Ducati 1098R 38'24.943
13. James Toseland (BMW Motorrad Italia SBK Team) BMW S1000 RR 38'30.596
14. Mark Aitchison (Team Pedercini) Kawasaki ZX-10R 38'34.063
15. Jon Kirkham (Samsung Crescent Racing) Suzuki GSX-R1000 38'45.940
16. Fabrizio Lai (Castrol Honda) Honda CBR1000RR 38'46.781

RT. Roberto Rolfo (Team Pedercini) Kawasaki ZX-10R 36'54.601
RT. Troy Corser (BMW Motorrad Motorsport) BMW S1000 RR 26'05.082
RT. Alexander Lowes (Castrol Honda) Honda CBR1000RR 15'16.934
RT. Joan Lascorz  (Kawasaki Racing Team) Kawasaki ZX-10R 12'48.104
RT. Noriyuki Haga (PATA Racing Team Aprilia) Aprilia RSV4 Factory 15'28.127



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