蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

深~い河は、泳いでも無理

2008-07-05 | 人生
仕事関係のお知り合い、Tさん。
お嬢さんは、高校生3年生。
うどん屋さんと、ガソリンスタンドでバイト中。
うどん屋さんから引き続き、就職のお声がかかり、
そのまま就職しようかな、とも本人は考えているとか。

高3のこの大切な時期、バイト三昧容認とは
かなり太っ腹な教育方針だと私は思った。

親御さんであるTさんは、勉強せずにバイトに明け暮れる
お嬢さんを見て、強硬路線を打ち出した。
「国公立以外の中途半端な大学なら進学させない」という。
浪人もだめ。
専門学校は、上のお嬢さんの失敗経験から、NG。
なので、就職なんだろうけれど・・・。

労働に貴賎はない。
うどん屋さんが悪いとは言わない。

「うちの娘は頭がいい」と、よくTさんは仰っていた。
英語が好きなので、英語の道に進みたい、
とお嬢さんは言っているとも。

うどん屋さんコースか、はたまた別の就職先か、
定かではないけれど、英語コースはどうなったのか?
看護師さんになりたい、とも言っていた時期があった。

あっさり、うどん屋さん・・・なんだ・・・・
別の就職先になるかも知れないけれど、
公務員とか、そういう、「じっとしている仕事は嫌い」なんだそうだ。

公務員・・・なかなかなれないのに
「じっとしている仕事」の一言で片付けられた。
だから、うどん屋さん。。。。

うどん作りに情熱を傾けているようには、決して思えない。


「国公立以外は認めないなんて、厳しいですね。
難関大学を目指させるのなら、
せめて小学校ぐらいから準備しておくべきでは?」
と、私はうかつに口を滑らせてしまった。

「そんな小さい頃から、どんな方向に進ませたらいいかなんて、
子供の適正なんか親は見当もつかない」
と逆切れされてしまった。
はい、確かに私のお節介でした。

どこの親も全く見当はつかないけれど、
いざ、本人が本格的に道を決めるときに、
せめて、選択範囲が広がるように、
ある程度の学力は、つけてあげるのが親心では?

子供は勉強が大嫌い。
ほったらかしにして、自主的に勉強する習慣がついている子供をみたことがない。

「勉強しなさい」と言っても勉強しない、とTさんは嘆く。
高校生にもなって、親に勉強しなさいと言われる子供は、気の毒だ。
なにを今更???

私は、この親子の話を聞いて・・・なんだか、表現しきれないモヤモヤを感じた。

親自体が、勉強することの大事さをわかっていないと感じた。
親の背中を見て子供は育っている。
勉強の意味がわからない親の背中を見て育った子供が、
勉強するとは思えない。
よっぽどの、大天才は別だろうけれど、
普通は親のDNAを引き継いでいる。

勉強させる気持ちがあまりないのなら、
「うちの子は、頭がいい」
「英語ができる」
なんて自慢げに言わないでほしい。

「へえ~、じゃあTOEICは何点?英検は何級?」
と思わずツッコミを入れたくなる気持ちをぐっとガマン。
TOEICや英検の存在自体をご存じないだろう。

世間と比較して卑下するのはバカバカしいことだが、
自分が行っている高校は、だいたいどのぐらいのレベルか、
ぐらいは、子供でも知っている。

そうかと思うと、「うちの娘は男の子にモテる。バスト94センチ!」と。
そ、そうですか・・・。
じゃあ、やっぱり接客業が向いているんだ。

「真面目な仕事ぶりで、信頼を得ている」とも。
(あれ? バイトばかりして勉強しない、って嘆いてましたよね?)

自慢ネタは尽きない。


人は色々な背景を持ち、それに則した価値観を持つ。
それぞれには、それぞれの価値観がある。
そして子供は、親の信念や教育方針の影響をまともに受ける。

私は、Tさんと私の会話は、表面だけ滑っているのが一番、と感じた。
口に泡を飛ばして激論する必要は全くない。
ただ、Tさんとの間には、広くて深~い河があるだけだ。