ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

映画の出演者が「あの人だったら・・・」と想像するのは、最高の楽しみかも(4)

2015-05-20 00:00:00 | 映画

長きにわたってやっていませんでしたが、またこの企画を執筆します。

過日「ローマの休日」の話をちょっと書きましたが、もともとグレゴリー・ペックの新聞(通信社)記者役は、ケイリー・グラントを念頭に置いたものでした。しかし1904年生まれのグラントは、自分ではちょっと役には年齢差がありすぎると辞退、ペック(1916年生まれ)に役が回ってきたわけです。

それで読者の皆さまがご興味があるオードリー・ヘプバーンの王女役ですが、これはもともとエリザベス・テイラージーン・シモンズが候補でした。しかしいかんせん予算が足りず、王女役は無名の新人を抜てきすることとなり、たくさんの無名の女性の中からオードリーが選ばれたわけです。監督のウィリアム・ワイラー自身これはほかから回ってきた監督の仕事だったので、そういう意味では、この映画の主要3人は、みな役が回ってきたり、無名の立場から選ばれたわけです。

それで、上に書いたケーリー・グラントとオードリー・ヘプバーンは、「シャレード」でけっきょく共演を果たしています。グラントは、「シャレード」以外でオードリーと共演したいと言ったとか言わなかったとかですが、2人にとってこれが最初で最後の共演となりました。「マイ・フェア・レディ」でヒギンズ教授役をグラントが担当する話もあったのですが、レックス・ハリソンがその役となりました。ハリソンは、もともと舞台でこの役をやっていたわけです。

それで、当のオードリーの役は、舞台ではかのジュリー・アンドリュースが演じていたわけですが、この映画はもともとの戯曲の権利を買うのにも莫大な金がかかり、絶対ヒットさせなければいけないわけで、プロデューサーの判断でけっきょくオードリーが主人公に起用されたわけです。それでジュリーの方は同じ年の「メリー・ポピンズ」でオスカー主演女優賞を得ましたが、Wikipediaには

>舞台版のイライザ役であったジュリー・アンドリュースは、同年公開の『メリー・ポピンズ』の主役に抜擢され、アカデミー賞主演女優賞を受賞した。これには、同情票もあったとされるが、吹き替えではなく本人が歌っていたことにあると言われている。

>映画がアカデミー賞の主要部門を総なめする中、ライバル候補のジュリー・アンドリュースに奪われる形でオスカーを逃してしまったオードリーの悔しさは相当なものであったらしく、授賞式後に周囲に激しく八つ当たりする映像が残っている。

とあります。ジュリー・アンドリュースはこの直後に「サウンド・オブ・ミュージック」でまさに映画史に残る凄まじいヒットを記録したわけで、その彼女が興行的な理由で役に選ばれなかったというのも歴史の皮肉かもしれません。

ところでオードリーといえば、映画「卒業」でのロビンソン夫人役を彼女が演じる可能性があったということを、読者の皆さまはどうお考えでしょうか。

この役は、実にいろいろな役者が演じる可能性があり、ほかにドリス・デイジャンヌ・モロージョーン・クロフォードローレン・バコールパトリシア・ニールジェラルディン・ペイジクレア・ブルームアンジー・ディキンソンソフィア・ローレンジュディ・ガーランド、 リタ・ヘイワーススーザン・ヘイワードアヌーク・エメジェニファー・ジョーンズデボラ・カーエヴァ・マリー・セイントロザリンド・ラッセルシモーヌ・シニョレ、ジーン・シモンズ(「ローマの休日」でも候補でした)、ラナ・ターナーエリノア・パーカーアン・バクスターシェリー・ウィンタースアンジェラ・ランズベリーエヴァ・ガードナーらでした。またナタリー・ウッドは、ロビンソン夫人役以外にも、エレーン役も断ったとのこと。

名前だけでもなかなか壮観ですが、しかしフランス女優の名が散見されるのが興味深いですね。アヌーク・エメなどは「男と女」を意識したのかな? アルフレッド・ヒッチコックの映画に出ていた人たちが複数いるのも(ドリス・デイ、エヴァ・マリー・セイント、アン・バクスター)、やはりヒッチコックはいい女優をおさえていたのだなという気はします。

それにしても、アン・バンクロフトと同世代(ナタリー・ウッドなんかは若いけど)の女優をかたっぱしから、なんて気もしないでもありません。それはそうと、ジュディ・ガーランドがロビンソン夫人役なら、エレーンはライザ・ミネリだったら面白かったなあとか変なことを考えます。まあ無理ですけど。

エレーン役としては、パティ・デュークフェイ・ダナウェイサリー・フィールドシャーリー・マクレーンラクエル・ウェルチジョーン・コリンズキャロル・ベイカーゴールディ・ホーンジェーン・フォンダアン=マーグレットエリザベス・アシュリーキャロル・リンレイースー・リオンイヴェット・ミミュースザンヌ・プレシェットリー・レミックパメラ・ティフィンジュリー・クリスティチューズデイ・ウェルドといったところです。

ロビンソン夫人役は知らない女優はいませんが、エレーンについては、日本ではほとんど無名の人たちもいます。まあこれは仕方ないところでしょう。いくらなんでもキャロル・ベイカー(1931年生まれ)は、エレーンとしては年増すぎねえかい、って気はします。事実そのために役をつかむに至りませんでした。シャーリー・マクレーン、ジョーン・コリンズも30超えているしね。あとラクエル・ウェルチはやっぱりイメージが違いすぎるかな。

ちなみに上にあげた人たちで、エリザベス・アシュリーとパメラ・ティフィンのみ日本語版Wikipediaの記事がありませんでした。お二人はつぎのようなお顔です。上からエリザベスとパメラです。エリザベスのほうは、ジョージ・ペパードの元奥さんです。

写真の大きさは、英語版Wikipediaの写真の都合ですのであしからず。エリザベス・アシュリーのほうは、わりとエレーンの繊細な雰囲気があったかもです。でもやっぱりキャサリン・ロスのあの雰囲気には誰もかなわないかもです。

たぶんアン・バンクロフトのロビンソン夫人のほうが、オードリーのロビンソン夫人より向いていたと思いますが、しかしここでオードリーがうまくやっていれば、あるいはオードリーもイメージチェンジ、演技開眼した可能性があります。しかしそれは実現しませんでした。たぶんこのあたりが、彼女の女優としての限界だったのでしょう。

続きはありますが、今日は情報をつめこみ過ぎないよう、明日以降の記事にします。なお上の情報は、もっぱら英語版Wikipedia、あるいはIMDbの「ローマの休日」「卒業」の記事よりいただきました。

(つづく)

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« それは話がおかしいんじゃないの | トップ | スコットランド独立の下地が... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Rawan)
2015-05-20 05:38:58
>ジュリー・アンドリュースはこの直後に「サウンド・オブ・ミュージック」でまさに映画史に残る凄まじいヒットを記録したわけで、

ところが、この素晴らしすぎた「マリア」が、以後のジュリーのイメージから抜けることがなく苦労したというのもまた皮肉なんですよね。

>ところでオードリーといえば、映画「卒業」でのロビンソン夫人役を彼女が演じる可能性があったということを

エレーンとロビンソン夫人には絶対的な対比が必要だという側面からいえば、オードリーには難しいでしょうね。母子で似た雰囲気を持たせるか違いを際立たせるかという選択は、この作品全体のイメージにかなり影響してくるでしょうから、悩ましいところではあります(笑

で、オードリーは出産直後の復帰作に回ってきた「ティファニーで朝食を」の主演でも、イメージを尊重した脚本に直されて(M・モンロー主演で映画化を了承したカポーティはそれゆえ不満だった)しまっていますから、彼女の演技派開眼を抑えたのは彼女だけのせいではなく、やはり周囲の影響が強かったようにも思います。

ロビンソン夫人役としては、ジャンヌ・モローやシモーヌ・シニョレなどは、アン・バンクロフトと入れ替わってもガラリと雰囲気が変わることはないでしょうね。

エレーンはやっぱり断トツでキャサリン・ロスがいいですね。
幼さと頑なさ、それゆえのプライドや清廉さを併せ持った特異な雰囲気は他の候補にはちょっと見られません(といっても知らない人が多いですが)。
サリー・フィールドとかジュリー・クリスティのクセのある部分は良いですけどね。
>Rawanさん (Bill McCreary)
2015-05-20 22:46:31
>以後のジュリーのイメージから抜けることがなく苦労したというのもまた皮肉なんですよね。

前に書きましたように、ピーター・オートゥールもけっきょくロレンス以上の役は出来ませんでしたしそれは仕方ありませんが、若き日の栄光を追い続ける人生、というのもきついものはありますね。

>エレーンとロビンソン夫人には絶対的な対比が必要だという側面からいえば、オードリーには難しいでしょうね。母子で似た雰囲気を持たせるか違いを際立たせるかという選択は、この作品全体のイメージにかなり影響してくるでしょうから、悩ましいところではあります(笑

そうですよね。エレーンと母親が全然違うのがこの映画の面白いところで、オードリーだとどうしても清純なイメージが付きまといますから、そこをどこまではぎとれるかという問題があったわけですね。

>彼女の演技派開眼を抑えたのは彼女だけのせいではなく、やはり周囲の影響が強かったようにも思います。

オードリーに限りませんが、やはりイメージの問題は難しいですよね。

>ジャンヌ・モロー

けっこうこれ面白そうな気はしました。

>エレーンはやっぱり断トツでキャサリン・ロスがいいですね。

ですよねえ。あれは、たぶんマイク・二コルズも予想しなかった絶品さでしたよね。これも、人生であれ以上の演技はできない、というくらいものもかもしれません。

>といっても知らない人が多いですが

私もそうです。私生活はともかく、スー・リオンなんか、容姿だけならよさそうですが。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。