3月10日が1959年にチベットで暴動が起きて
ダライ・ラマ14世がインドへの亡命をしたきっかけとなった日のせいもあり、最近チベットで自殺者が多数出ているという報道がされています。それも焼身自殺だとか。
つい先日の
記事です。
><インド>中国抗議デモの亡命チベット人が焼身
毎日新聞 3月28日(水)19時45分配信
【ニューデリー杉尾直哉】インドのニューデリーで26日、中国の圧政に抗議するデモを行っていた亡命チベット人男性(27)が焼身を図り、28日に搬送先の病院で死亡した。男性は06年にインドに亡命し、この2年間、ニューデリーに住んでいた。中国四川省などのチベット僧らによる焼身抗議が過去1年で30件に上っているが、中国以外に住む亡命チベット人にも広がる可能性があり、チベット亡命政府(拠点・インド北部ダラムサラ)が懸念を深めている。
ニューデリーでは29日にBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会議が開かれ、胡錦濤・中国国家主席が出席することから、亡命チベット人の若者らが中国への抗議デモを行っていた。
チベット亡命政府は27日、「デモなどが許可されない(中国国内の)チベットと違い、自由世界に住むチベット人は通常の抗議に徹すべきだ」との声明を出し、焼身のような過激な行動を避けるよう改めて訴えた。
毎日新聞の
記事より。
><チベット人僧侶>焼身抗議は「焦燥感」から
毎日新聞 3月10日(土)18時38分配信
中国チベット自治区から今年1月、インドに脱出した元政治犯のチベット人僧侶(26)が9日、チベット亡命政府が拠点を置くダラムサラで毎日新聞の取材に応じた。08年に中国の圧政への抗議デモに参加して拘束され、3年半にわたって刑務所などで受けた拷問の実態を語った。四川省などで相次ぐ僧侶らの焼身抗議について「(チベット仏教最高指導者)ダライ・ラマ14世が(76歳の)高齢となり、ご生存中の帰郷を実現するには時間がない。住民の焦燥感が背景にある」と語った。【ダラムサラ杉尾直哉】
ダラムサラの非政府組織(NGO)などによると、11年3月以降の過去1年間で、焼身者は25人(未確認の3人を除く)、うち死者は19人(9日現在)。今月は3日から3日間連続で3人が焼身し、いずれも死亡した。これまでチベット僧による焼身がほとんどだったが、今回初めて、女子生徒(19)や子供のいる主婦(32)が死亡し、一般住民への広がりをみせている。
取材に応じた僧侶が脱出した1月中旬までに、焼身者は15人に上っていた。だが「口伝えに聞いた2件しか知らなかった。中国ではニュースでもまったく伝えられず、インドに来て、初めてこれほど多数に上っているのを知った」と話した。
08年からの拘束中は、刑務所の看守らから数日間にわたって直立不動でいるよう強要され、眠気で倒れると、電気ショックの棒を当てられたり、殴るけるの暴行を受けた。
昨年6月に釈放されたが、元政治犯とされたため、以前所属していた寺院に戻るのは禁じられた。仕事を見つけても、雇用主への当局側の嫌がらせで解雇されたという。「仏教や、その他の学問を身に着けるには、インドへの亡命しかない」と、脱出を決心した。
チベット自治区ラサから、複数のチベット人ガイドの案内を受けながら車や徒歩で移動。約10日間かけてネパールの首都カトマンズに脱出した。直前に30人の集団で脱出を図ろうとしたグループがいたが、ラサ郊外で当局に逮捕されたことから、単独行動を選んだ。
08年のチベット暴動以降、中国、ネパール双方で当局の監視が厳しくなったことから、ネパール到着後も、髪を染めるなど変装して移動した。ガイドへの謝礼4万5000元(約58万円)は借金で工面した。
僧侶は「今のチベットには宗教も言論も移動も自由がない。法王(ダライ・ラマ)の写真の携帯すら許されない。中国はチベット文化だけでなく、民族そのものを消そうとしている」と語った。
インド到着後はチベット亡命政府の亡命者受け入れセンターに住み、英語の研修や心理的なリハビリを受けてきた。近くインド南部のチベット仏教寺院に移り、僧侶として再出発するという。
こちらも。
>
チベット:亡命政府首相インタビュー 中国に抗議、焼身20件 「解決策、対話のみ」
【ニューデリー杉尾直哉】チベット亡命政府(拠点・インド北部ダラムサラ)のロブサン・センゲ首相(43)が16日、ニューデリーで毎日新聞の単独取材に応じた。中国四川省のチベット族自治州を中心に、この1年で中国支配に抗議して若いチベット僧らが焼身を図るケースが20件を超えたと明かした。今月22日のチベット正月や、「チベット動乱」から53年に当たる3月10日に向け、焼身による抗議運動と、これを弾圧する中国側の動きが強まる恐れがあり、「非常に憂慮している」と述べた。
昨年、中東に広がった民主化運動「アラブの春」は、チュニジアの若者による焼身自殺が発端だったが、センゲ氏は「アラブ世界には人々が抗議できる場所があった」と語り、抗議する場所すらないチベット族との違いを強調した。
センゲ氏は16日から米国、カナダ、イタリアなどを訪問する予定で、経由地のニューデリーにあるチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の事務所で取材に応じた。訪米は昨年8月の首相就任後2回目だが、11月の初訪米時と違って私的訪問のため、米政府側とは接触しないという。だが、各地の大学などで講演し、チベットの惨状を訴える計画だ。
中国政府は、チベット高原一帯で「高度の自治」を求めるダライ・ラマを「分離独立主義者」とみなし、自治区のチベット族たちへの同化政策として中国語教育を施したり、かつては寺院の破壊などをしたこともあった。近年はインフラ整備などを通じてチベット族たちの生活改善を図るが、抗議デモなどは事実上禁じられている。
ダラムサラの非政府組織(NGO)などによると、昨年3月から16日までに焼身を図ったのは23人で、うち14人が死亡したとみられる。1月以降の1カ月半で焼身は11人(死者は6人)とエスカレート。死者には若い尼僧も含まれ、「チベットに自由を」と「ダライ・ラマの帰郷」などと叫んで火をつけたという。
センゲ氏は「中国がチベット族自治州に大量の軍を送って事実上の戒厳令を敷いており、平和的なデモすらできない。抗議しようとすれば拘束、殺害される」と述べた。
1月26日に焼身のような過激な行動をやめるようビデオメッセージで世界のチベット人に向けて訴えた。しかし、「呼びかけとは裏腹に抗議が続いている」「今後事態がどう展開するか分からない」と危機感を示した。
センゲ氏の就任から半年が過ぎたが、最大の課題である中国との交渉については、「対話を拒否する中国の強硬政策は成功しない。平和的な対話しか解決策はない」と述べた。
◇チベット社会、悲鳴と無力感
中国のチベット族自治区で相次ぐ焼身抗議は、中国当局の弾圧を受け続けるチベット人たちの悲鳴だ。中国の次期最高指導者とされる、習近平国家副主席の米国訪問直前にも、19歳のチベット僧が焼身を図った。中国政府はインド北部ダラムサラを拠点とする亡命政府の存在を認めておらず、亡命社会には無力感が漂う。
今月に入り、衝撃的な焼身のニュースが相次いだ。3日、四川省北部の色達県で、遊牧民3人が一緒に焼身を図り、うち1人が死亡した。これまで抗議の焼身はチベット僧がほとんどだったが、一度に3人の一般住民による決死の行為は初めて。11日には、四川省のアバ・チベット族チャン族自治州で18歳の尼僧が焼身で死亡。あどけない顔でほほ笑むこの尼僧の写真がネットなどを通じて広く伝わり、人々は悲しみを深めた。
悲報が伝わるたび、世界に散らばる亡命チベット人社会に大きな動揺をもたらしている。ダラムサラでは、人々がろうそくをともし、祈りをささげている。
ダラムサラの社会活動家、ロブサン・ワンギャルさん(44)は、「センゲ首相ら亡命政府側がいくら訴えても焼身はやまない。中国の抑圧に苦しむチベットの現状は、我々のように外にいるチベット人には理解できないほど深刻なのかもしれない」と指摘した。
チベット支援の日本の非政府組織(NGO)「ルンタ・プロジェクト」代表でダラムサラに27年間居住してきた中原一博さん(59)は取材に、「チベット人の抗議が強まるほど、中国側は力による支配を正当化し、さらにその抗議で焼身が続く。悪循環だ」と話した。【ニューデリー杉尾直哉】
==============
■ことば
◇ロブサン・センゲ氏
チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世が政治活動引退を表明したのを受けた11年3月の首相選で、得票率55%で初当選。8月、首相に就任した。就任演説で、中国に対してチベット住民抑圧を批判する一方、対話も呼び掛けた。インド西ベンガル州ダージリン郊外の農村生まれの「亡命第2世代」。米ハーバード法科大学院で博士号取得。
毎日新聞 2012年2月17日 東京朝刊
焼身自殺なんかいくらしたってチベット人にとって事態が改善する見込みは皆無でしょうね。悪いことは言わないからそういったことはしないほうがいいんじゃないのって私は思いますが、自殺した人はそうは考えないんでしょうか。考えないんでしょうが、しかし周辺の人々はとても悲しむと思います。
前にも
引用しましたとおり、
胡錦涛いわく
>中国政府の立場は、一〇〇年、一〇〇〇年も変わらない。分離独立は認めない。認めるものは民族の罪人だ
ですからね。中国側がチベット亡命政府側に大幅な譲歩をする可能性なんて皆無でしょう。
もっともダライ・ラマの側が中国側に頭を完全に下げれば、あるいはダライ・ラマはラサに帰還できるんでしょうが、こちらのほうもたぶんあまり見込みはないと思います。ダライ・ラマはあと20年は生きられないでしょうから、十数年の間に中国とチベットにある種の和平(たぶんそれはチベット亡命政府側の全面屈服に近いものになると思います)でも成立すればということでしょうが、おそらく無理でしょう。
ダライ・ラマ本人とまでは言わずとも、最高幹部の僧あたりが公衆の面前で(北京か上海、あるいは香港あたりで、あるいはロンドンかニューヨークか)焼身自殺でもすればそれは世界的に相当な騒ぎになるでしょうが、それでもべつに中国政府の方針に変化はないでしょう。
ましてや中華人民共和国は、現在GDPで世界第2位の経済大国です。日本もふくめたどこの国も、チベットのことで中国を批判したり刺激したりするのは気がすすまないでしょうし、このことはこれからも難しくはなっても容易にはならないと思います。そしていずれ、そんなに遠くない将来、中国は世界1の経済大国になりますから、他国はますますチベットのことで口は出しにくくなるでしょうね。
はっきり書いちゃえば、中国とチベットの関係は、現段階ですでに勝負はついていると思います。中国はチベットを完全に占領している(チベットが歴史的に独立していたかどうかなんて問題は、この占領という事実の前にはなんの意味もないでしょう)。この構造は不変でしょう。そしてチベット独立の可能性は将来的に見ても非常に低い、皆無に近いでしょう。自治権の獲得だって、当分の間はまったくもって不可能じゃないんですかね。
そうすると、
以前の記事でも書いたように次なるダライ・ラマはかわいそうですね。現ダライ・ラマは、次に転生するのは中国以外だと宣言しているみたいですが、私はチベット仏教の「転生」なんて宗教上のお約束のフィクションとしか考えませんが、ともかく次なるダライ・ラマは本来だったらしなくていいとんでもない苦労をしそうで、いまから同情をせざるをえません。将来的には現ダライ・ラマは、故国を逃げ去った敗北者、というように歴史書には記されるでしょう。
そうこう考えると、ダライ・ラマの故国帰還なんていう非現実的な期待はするだけ損だと思いますが、熱心なチベット仏教徒はそういう風に解釈はしないでしょうね。それが宗教というものでしょうが、やはり自殺はしないほうがいいと思いますよ。ダライ・ラマもそのへんは今以上に自殺を戒める発言でもしたほうがいいんじゃないのかな。それは首相にまかせたのかな。そういえばまもなくチベット亡命政府の首相が日本に来ます(こちらの
記事参照)。彼はこの来日の際、この自殺の問題についてそれなりのメッセージをだすでしょうか。注目したいと思います。
ついで:こちらの
記事を。
>農奴解放記念日、チベット主席「共産党なくして発展なし」―中国
サーチナ 3月28日(水)10時2分配信
中国・チベット自治区では28日、「チベット100万農奴解放記念日」を迎えた。同自治区のパドマ・チョリン主席は27日夜、記念日に際してテレビ演説を行い、共産党の指導によるチベット発展の成果を強調した。中国人民ラジオ局が報じた。
同主席は53年前の1959年3月28日が「新旧チベットの分水嶺(れい)」とし、共産党が100万人の農奴を指導して「世界で最後の封建農奴制を打ち破」り、農奴たちを社会主義の輝かしい道へと歩ませたと語った。
そのうえで「53年間でチベットの経済、社会は全面的な発展を遂げた」とし、2011年の国内総生産(GDP)と一般財政予算がそれぞれ1959年の93.9倍、48.5倍となったことや、人口が当時の約123万人から303万人まで増加したことを「実績」として示した。さらに、教育制度の充実やチベット籍大学生の就職、社会保障制度の整備などが進み、平均寿命が当時の35.5歳から67歳にまで延びたとも語った。
同主席は「中国共産党の指導により社会主義の道を歩んだことで初めて、チベットに明るい未来が開けた」と共産党の功績を強調するとともに、「国家統一を断固守ってこそ、チベットは飛躍的発展と長期的な治安の安定を実現することができる。ダライ・ラマやそのグループがどんな手を繰り出そうとも、チベット人民の分裂反対、国家統一の強い意志は変わらない」とした。
「チベット100万農奴解放記念日」は08年の大規模暴動後、09年1月に同自治区人民代表大会が議決、制定したもので、今年で4回目。28日には首府・ラサ市を中心に座談会や演芸など記念イベントが催される。(編集担当:柳川俊之)
もういいかげんにしろって!? 最後にもう
一つ。
>中国サイト「7つの質問」でダライ・ラマを批判・非難
2012/03/23(金) 20:02
中国政府系のウェブサイト「中国西藏網」は22日「ダライ・ラマへの7つの質問」と題した文章を掲載した。質問の形式で、亡命中のダライ・ラマ14世を厳しく批判・非難した。
「文章」は第1の質問として、「どんな目的で、チベット人が焼身自殺することを鼓舞するのか」と問うた。ダライ・ラマは2012年2月12日にインドのダラムサラで、「チベット人に対して、焼身自殺した英雄らを祭り、チベット暦の新年を祝わないよう呼びかけた」と主張したという。
「文章」は、焼身自殺もテロリズムの1種との考えを示し、ダライ・ラマは仏教の教えに反して「自らの権威を利用して、多くの生命を早く断ち切らせている」、「何度にもわたり、殺生という悪行をそそのかしている」と非難した。
第2の質問は「チベット文化をほろぼすのはだれか」とした。
「文章」は、ダライ・ラマが2011年11月に、「僧侶の焼身自殺の背後には、中国による文化消滅政策がある」と発言したことに触れた。
「文章」は、「ダライ・ラマのロジックによると、チベット文化はチベット仏教文化」と主張。「チベット仏教文化はすなわち(最大宗派である)ゲルク派の文化であり、ゲルク派の文化は(同派のトップである)ダライ・ラマの言いなりのダライ文化だ」、「言い換えるなら、ダライの考えに合致しなければ、すべて“チベット文化を滅亡させる”ということになる」と主張した。
さらに、「天下の大ジョーク。ダライ・ラマの考えでは、自分は農奴の主人であり、チベットは自分の個人財産であり、チベット人民は自分の奴隷だ」と論じた。
第3の質問は「中国とチベットの歴史的関係は、宗教者と施主の関係化」とした。
ダライ・ラマやチベット亡命政府は、「清(しん)朝はチベット仏教の信者として、ダライ・ラマや当時のチベット政府にさまざまな支援を行った。したがって、チベットが中国に隷属していたわけではない」と主張している。
「文章」は、チベット政府は清朝が派遣した「駐藏大臣」に「さまざまな報告を行い、清朝政府の支持を得ていたのではないか?」と指摘。ダライ・ラマ13世が、駐藏大臣を介さず、清朝皇帝の了解を直接取ろうとして拒否されたことがあるとして、「おまえの前世が行ったことだ。直前の(13世時代)の前世のことを忘れてはいないだろう」などと皮肉った。
「文章」はさらに、ダライ・ラマが、チベット自治区以外の中国人がチベット自治区に移り住むことへの制限を呼びかけていることなどについて「民族対立の“ベルリンの壁”を作ろうとしている」と非難。ダライ・ラマが掲げる「中庸の道」や「高度の自治」の背景には赤裸々な民族排除があり、往年の「ヒトラーが行ったユダヤ民族に対する浄化」に似ていると主張した。
「文章」は続けて、「おまえは、だれの代弁者なのか」、「だれのために祈念するのか」、「おまえはなぜ、ネットユーザーに軽蔑(けいべつ)されるか」と、質問を続けた。
「文章」は、ダライ・ラマは米国など西側国家のために発言する元大農奴主と主張。国外に逃亡する前には「民主」や「選挙」など考えたこともなく、今になって民主制度に“熱意”を示すのは「単なる病気。病気でなければ悪魔」ときめつけた。
「文章」は最後の部分で、中国のインターネットでみられるダライ・ラマ非難や、「チベット独立など、金輪際ありえない」とする書き込みを紹介した。(編集担当:如月隼人)
こういった記事をどう解釈するかは個人の勝手ですが(中国側の主張を支持する人もしない人もいるわけですけど)、このよう記事を読んでいるとなーんかね、当分の間は、チベット問題がチベット側に有利に展開するという見込みはひくそうですね。