ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

3年ぶりの海外旅行(韓国 2022年12月~2023年1月)Day5-6(43)

2023-09-30 00:00:00 | 旅(韓国)

夜の大邱の街を歩きます。

電飾もきれいです。

ホテルへ向かいます。

東横イン大邱東城路です。ビルの上に入っています。以前は、海外で日系のホテルに泊まるというのが気が進みませんでしたが、韓国も物価高騰の折り、安い部屋を提供してくれる東横インは私のような貧乏人には貴重なオプションです。

部屋の仕様は、日本と同じです。

夕食を食べに外に繰り出します。

日本料理の店舗などもある通りです。

「中和飯店」です。ここは以前行ったことがあります。

大邱・ソウル・釜山紀行(2016-2017)(Day2)

記事では店の名前は書いていませんが、たしかここのはず。

海老チャーハンと

海老シュウマイをいただきました。うまい。まずいわけはありませんが。韓国で食い物がまずかったら私も怒ります。

ホテルへ戻ります。

ホテルの窓からです。明日で帰国です。

(つづく)

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交渉や仲介してくれる国のありがたさをあらためて認識する(北朝鮮に(理由はともかく)入国した米兵の北朝鮮出国・米国帰国について)

2023-09-29 00:00:00 | 北朝鮮・拉致問題

非常に興味深い記事が出ましたね。


北朝鮮、越境米兵を中国へ国外追放 米国が身柄保護・帰国へ
ロイター編集
2023年9月28日午前 4:01 GMT+915時間前更新

[ワシントン/ソウル 27日 ロイター] - 北朝鮮国営の朝鮮中央通信(KCNA)は27日、7月に南北軍事境界線を越え北朝鮮に渡ったトラビス・キング米軍兵士の国外追放を当局が決定したと伝えた。

その後、米政府関係者はロイターに対し、キング氏は北朝鮮から中国に追放され、同氏の身柄を米国が保護し帰国させると述べた。詳細は明らかになっていないが、関係者によると、キング氏は心身ともに良好で帰国できることを「非常に嬉しく思っている」という。また北朝鮮からの追放後、家族との会話もできたとした。

また、今回の件を巡り北朝鮮に対するいかなる譲歩もなかったとした。

米当局者によると、スウェーデン政府が北朝鮮でキング氏の身柄を引き受け、国境を越えて中国に連れて行き、米国に引き渡したという。この当局者はスウェーデンと中国の双方に感謝の意を表明した。

スウェーデン外務省は、キング氏の帰国にスウェーデンが支援できたことを「うれしく思う」とした。米国は北朝鮮に外交代表を持っておらず、スウェーデンが北朝鮮に対する米国の「利益保護国」となっている。

在ワシントン中国大使館も現時点でコメントしていない。

米国務省のマシュー・ミラー報道官は記者団に対し、キング氏は数時間以内に帰国すると発表。また、キング氏の帰国は北朝鮮との関係改善につながる兆しとはみなしていないとしたほか、中国はこの件を仲介したわけではなく、乗り継ぎ地点としての役割を果たしたとした。

KCNAはキング兵士についての最終調査結果を報道。同兵士は違法に北朝鮮に侵入したことを認めるとともに、米軍内での非人道的な扱いと人種差別に対して反感を抱いていたと述べたという。

当局が国内法にのっとり国外追放を決定したと報じたが、追放の時期や手続きなどは触れていない。

北朝鮮は中間調査結果として、キング兵士が同じ理由で北朝鮮などへの亡命を希望していると公表していた。

ついこの間の記事でも引用しました佐藤優氏の論説を。元のサイトはすでにリンク切れの模様。


ハバナ勤務の米国務省職員

 外交を断絶すると、「利益代表国」を指定する。外交がなくなった国と連絡を取る必要が生じた場合は、利益代表国を通じて行う。大東亜戦争中、米国における日本の利益代表国はスペインで、日本における米国の利益代表国はスイスだった。

 1980年代末、ソ連とイスラエルは外交関係を断絶していた。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダだった。オランダ大使館には、オランダ人外交官のパスポートを持ってイスラエルの外務省と秘密組織「ナティブ」(ヘブライ語で「道」の意味。ソ連・東欧からユダヤ人を秘密裏に出国させるための機関)の代表者が赴任していた。表面上、対立しているように見える国でも、裏では交渉のチャンネルを作っているという事例は多い。

 キューバに関しても、これがあてはまる。キューバにおける米国の利益代表国はスイスだ。ハバナのスイス大使館には100人以上の米政府職員(主に国務省)が勤務しているという。この話を筆者が初めて聞かされたのは、85年に外務省に入省し、情報調査局情報課で研修生をしていたときだ。先輩の課長補佐が、キューバ勤務から戻ったばかりで、「アメリカとキューバの関係は、外から見ているほど、悪くはないよ」と言って、スイス大使館の話を聞かせてくれた。外交の実態とはこういうことかと筆者は興奮した。

で、ロイターの記事にこうあります。


スウェーデン外務省は、キング氏の帰国にスウェーデンが支援できたことを「うれしく思う」とした。米国は北朝鮮に外交代表を持っておらず、スウェーデンが北朝鮮に対する米国の「利益保護国」となっている。

私が何回もご紹介しているように、2002年の小泉訪朝による日本人拉致被害者帰国に関しては、韓国の金大中大統領や林東源統一相(肩書はいずれも当時)らの北朝鮮への働きかけが功を奏したと思われます。そういったことは、「不都合な真実」「表立って認めたくないこと」「金大中大っ嫌い」とかで日本ではほとんど語られることはないようですが(たまに語られても、「ほれみろ、金大中なんて金正日と癒着しているとんでもないやつだ」みたいなスタンスで評される)、ともかくそういったことが日本人拉致被害者の帰国に寄与したのは疑いのないところです。というわけで、金大中氏をほかの面でどう評価するかはともかく、こと日本人拉致被害者帰国の件については、家族会も救う会(拙表記では「巣食う会」)も金大中氏に感謝をすべきだと思いますが、それが全然そうなっていないのはどういうことか。安倍晋三なんぞより、はるかに金大中氏の方がありがたい存在でしょうに。ところが家族会のメンバーは、安倍については神のごとくありがたがっていて金大中氏のことは語られないというのでは、まさに木が沈み、石が浮くのたぐいです。お話にもなりません。

米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる

それでWikipedia「利益代表国」には、現在や過去の実例・具体例も紹介されていますので、興味のある方は乞うご確認。さらに同じくWikipediaの「日本が承認していない国一覧」の、北朝鮮に関する「交渉関係と代表機関に関して」では、

双方の在中国大使館(北京)が政府間連絡窓口であり、担当官が配置されるなど事実上の兼轄大使館状態となっている。この北京ルートが確保されるまでは政府間の直接連絡すらままならず、日本側は赤十字組織ソビエト連邦政府に個別の協力を依頼する他なかった(よど号ハイジャック事件など)。

日本側は国家承認の問題に加え、現在直接交渉のルートがあるためか、米国のように利益代表国を指定していない。この関係もあって朝鮮北半部には日本の政府代表部を担う機関が置かれていない。

日本政府は「北朝鮮拉致問題の解決後」に予定される国家承認・国交正常化を目的として、2002年には臨時の連絡事務所[6]2011年[7]には政府の臨時事務所をそれぞれ平壌直轄市に開設していたが、常設化には至っていない。朝鮮半島エネルギー開発機構現地駐在も同様。

日本側には、中華民国(台湾)のように統一された窓口機関もないため、政治交渉は北京ルート、貿易関係は民間団体の東アジア貿易研究会、航空交渉は実務当局の協議と分散している上、現地で旅券などの領事業務すらできていない。

一方、北朝鮮側は、東京に所在する在日本朝鮮人総聯合会中央本部(朝鮮総聯)を「利益代表部」と扱うよう主張しており、旅券、公用査証や親善交流の窓口機能をすでに担っている状況にある。

(後略)

とあります。今回は、注釈の番号も残しておきます。

で、現況朝鮮総連(総聯)て、日本における利益代表部としての役割となっていますかね? 昨今はだいぶ落ち着いたように思いますが、ひところは、やれ総連の建物を壊して更地にするとかやたら声高に叫ばれていませんでしたっけ。ケンカを売るとかそんなレベル以前でしょ、こんなの。

さらに日本側はというと、


日本側は国家承認の問題に加え、現在直接交渉のルートがあるためか、米国のように利益代表国を指定していない。この関係もあって朝鮮北半部には日本の政府代表部を担う機関が置かれていない。

とありますが、現状とても「直接交渉のルート」なんてものに実質があるとは思えませんね。すくなくともその「直接」のルートって、キング2等兵の米国帰国に関するスウェーデン大使館ほどの機能を持っているんですかね? 持っているのかもしれませんが、少なくとも威張れるようなものとは思えませんね。上にもあるように、


日本側には、中華民国(台湾)のように統一された窓口機関もないため、政治交渉は北京ルート、貿易関係は民間団体の東アジア貿易研究会、航空交渉は実務当局の協議と分散している上、現地で旅券などの領事業務すらできていない。

というのでは、不合理もはなはだしい。で、これも何回でも引用しますけど、横田拓也・家族会事務局長のこのような主張を、読者の皆さま方はどうお考えになるか。


拉致被害者達を帰国させず、双方の国に事件究明の為と称する連絡事務所の設置や調査委員会の立ち上げと言う「聞こえの良い隠蔽工作」には絶対反対する立場を私達は貫きます。

いやだからそれでええんでっかということでしょう。ぜんぜんよくないじゃないですか。これは2019年の発言ですが、それ以降でも、横田氏の父親である横田滋氏や家族会会長の飯塚繁雄氏が亡くなっているし、またこの人たちがやたら崇め奉っている安倍晋三も殺されちゃう始末です。つまり横田事務局長の言っていることは、けっきょくは何もしないということに等しいことです。たぶん彼は、いずれ米国が北朝鮮を破壊してくれればとか考えているのかもしれませんが、現段階そんなことになる見込みは高くなさそうです。今年で北朝鮮は、建国75年です。

北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が、旧ソ連より長く国家として存続していることをあらためて認識する

横田拓也氏は、日本政府が、利益代表国をどこかの国に依頼することも否定されるんですかね。たぶんそうなのでしょうが、そういう態度では私は自信をもって断言すると、拉致問題なんか解決に絶対近づきませんね。近づくわけがない。このままなにもなされなければ、関係者皆年を取って死んでいくだけでしょう。まったくいつものことながら、お寒い光景です。そして岸田政権は、「家族会の意向」というのを大義名分にして連絡事務所設置や利益代表国の依頼などをしないわけです。つまりは自分たちの不作為が免責される。こんなことで双方の利害が一致しているのだから、まったく拉致被害者たちというのも救われない人たちです。呆れ返るにもほどがあります。それでいて岸田政権は、朝鮮戦争の終戦宣言問題とかでは、無責任に偉そうなことをほざきまくるのですから、こいつらの大言壮語ぶりというのは、まさに最低のクズといっていいのではないか。ひどいものです。

そもそも日本政府がそんな意見を言える立場なのか疑問だし、日本がその件でどのような努力をしているのかきわめて疑わしい(朝鮮戦争の終戦宣言)

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1985年に平壌の金日成競技場でトレーニングするブルマ姿(?)の北朝鮮女性(追記あり)

2023-09-28 00:00:00 | 北朝鮮・拉致問題

先日下のような記事を書いたので、その関連ということで。

たしかにこれでは、女の子もいい顔はしなさそうだ

1986年のメキシコワールドカップのアジア予選(1985)は、日本が初めて本格的に出場への現実性を持った大会でした。最終予選で韓国に2連敗して夢はついえたものの、日本サッカーへの新たな希望をもたらしたことは確かです。

日本は1次予選で、北朝鮮と対戦、ホームでは、非常に厳しい戦いでしたがなんとか1-0で勝利、これでほぼ日本の1次予選突破は確定でしたが、次に平壌でのアウェーに臨まないといけません。これは、たいへんな試合になることは予想されていました。

北朝鮮が23本、日本が2本しかシュートをはなてなかったという極めて苦しい試合でしたが、なんとか0-0で終えることができました。当時は、北朝鮮の方が日本より総合力は上でしたから、これは会心の結果というものでしょう。

85年の段階でしたので、平壌からの中継も実現せず、日本のサッカーファンとしてはとてももやもやした気分でしたが、この時の試合の模様がわずかですが、NHKでは放送されました。たぶん民放では放送されなかったでしょう。これが現在YouTubeにアップされています。

W杯メキシコ大会アジア1次予選1985 日本VS北朝鮮 Japan vs Korea DPR

試合のダイジェスト以外にも、85年当時の平壌の光景や花見などをする市民、競技場の観客の姿なども映し出されていてこれまた非常に興味深いものがあります。私は、この動画自体は前にも見たことがありましたが、先日あらためて見て「おや」とおもったところを。会場となった「金日成競技場」で、地元のスポーツクラブなどに開放されている時間に、アスリートの女性たちがトラックを走っています。

彼女らがどういう立場なのかわかりませんが、軽装でランニングしている彼女らを見て、「おや」と思いました。女性たち、ブルマらしきものを着用していますね。

私が着目したのが、左の前列で走っている女性です。白いものですが、一般のショートパンツではなくブルマっぽく見えます。あくまで見えるということで、断言はしませんが。前列右側の女性は、ブルマかショートパンツか微妙です。ほかの人たちはブルマのようですから、彼女らが所属するスポーツクラブ(学生なのか社会人なのかはわかりませんが)は、ブルマの着用が一般だったのかもしれませんね。

当時の北朝鮮アスリート女性が、どういう練習着だったかなんてことは当然存じ上げませんが、北朝鮮に限らずこのような練習着は当時世界中多かったのかもしれません。なお、1985年における平壌での模様は、その時の日本代表キャプテンである加藤久が本を書いてますので、興味のある方はご参照ください。この時のことを詳述したたぶん日本(世界)で唯一の本です。

完全敵地

以下はおまけです。1992年に鹿児島で開催された女子バレーボール国際大会であるNHK杯動画を。この大会は、毎回韓国とキューバがゲストで来る変わった大会でしたが、この年が最後の開催となりました。10月ですので、バルセロナ五輪の後の新ナショナルチームの結成の意味合いがあったかと思います。この年は、全日本、韓国、キューバ、北朝鮮が参加しました。よく北朝鮮が来たなと思いますが(同様によく呼んだなと思います)、それはともかく。その時の選手の姿です。

当たり前といえば当たり前かもですが、北朝鮮の選手も、これは完全なブルマですね。ちゃんとシャツをブルマに入れていて、お行儀のいい格好です。

2024年3月21日追記:興味深い記事がありましたので抜粋した引用という形でご紹介します。

日本代表10番を襲った「最悪の思い出」 「鬼門」の平壌、悪夢の失神退場で「調子が戻らず」【コラム】


1985年4月30日、平壌の金日成スタジアムは熱気に満ちていた。日本チームが会場入りした2時間前は外に長蛇の列。「中に入ったらすでに超満員。入りきれない人が外にあふれていた」と、主将だったDF加藤久(読売クラブ)は振り返る。

 収容人員は公称10万人で当時アジア最大級。実際に、8万人以上は入っていたという。もちろん、日本人ファンの姿はない。「スタンドはカーキ色の人民服一色。暗い感じで異様だった」(加藤)。日本からの報道陣もカメラマンと記者で10人だけ。真の「完全アウェー」だった。

 日本がボールを持つとスタンドが静まり返り、北朝鮮ボールになると地鳴りのような歓声が響き渡った。勝たなければ予選敗退の北朝鮮に序盤から押し込まれた。日本の守備を崩すのではなく、クロスを長身FWに合わせて力づくでゴールを狙う戦法に防戦一方だった。

「北朝鮮はフィジカルが強かった。胸板の厚さや脚の太さは明らかに日本と違っていた」と守備的MFの西村昭宏。前半をなんとか無失点で切り抜けて迎えた後半12分に「事件」は起きた。

同僚の西村は「(木村は)泡を吹いていた」と証言
 木村が味方のクリアボールを頭でつなごうとジャンプ。そこへ、北朝鮮選手が後方から競りかけた。相手の頭が木村の側頭部にヒット。「その瞬間に意識が飛んだ」と木村。そのまま頭から落下。西村は「人工芝の上で頭がバウンドしたのが見えた」と話す。

 主審がすぐに試合を止め、担架を要求。ピクリとも動かない木村の元にチームメイトが駆け寄り、不安げに覗き込んだ。「泡を吹いていたし、大変なことになったと思った」と西村。日産と日本代表で「ホットライン」を組んだFW水沼貴史も「このまま動かないんじゃないかと、心配で仕方なかった」と振り返った。

 担架はロッカールームに直行。付き添った森本哲郎ドクターは「試合は続いていたけれど、それどころではなかった。なんとか無事に日本に帰さないといけないと思うばかりだった」と当時の気持ちを明かした。

 今でこそチームには多くのスタッフが帯同するが、当時は森本ドクターと妻木充法トレーナーの2人だけ。携帯電話もなく、連絡も取れない。意識を失ったままの木村のそばで、祈るしかなかった。


この引き分けで2次予選進出を確実にした日本だが、試合後に派手な喜びはなかった。みんな木村のことが心配だったのだ。40分後に意識を取り戻した木村は救急車で国際病院に直行。「医者も看護師も日本語ができた。それで、少し不安はやわらいだ」と森本ドクター。もっとも、脳震とうのうえに頬骨を骨折していた木村はホテルには戻れず、そのまま入院となった。

 即時帰国を求めていたチームは試合後、木村を置いて経由地の北京空港に向かったが、当地のコンディション不良で引き返して平壌に延泊。翌朝には「事件」を起こした北朝鮮の選手が木村の入院先と日本チームが宿泊しているホテルに謝罪に来たという。

 結局、木村もチームと一緒に帰国したが「最悪の思い出」が消えることはない。「脳震とうは初めてだった。後遺症というか、半年ぐらいは調子が戻らかなった」。エースの失神退場という代償を払って手にした勝ち点1。日本サッカー史に残る壮絶な試合は、ピッチ外でも想定外の出来事が次々と起きていた。(敬称略)

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入国管理って、各々の国の専権事項だからな

2023-09-27 00:00:00 | 社会時評

先日話題になったニュースかと思います。抜粋して引用します。テレビ朝日のサイトはこちら。Yahoo!ニュースはこちら。引用はYahoo!ニュースより


【独自】「犯罪者扱い」ハワイで日本人女性“入国拒否” 売春疑われる?若い女性から相談急増
9/12(火) 11:01配信

テレビ朝日系(ANN)
楽しい観光旅行が暗転

 観光目的でハワイを訪れた若い日本人女性が入国を拒否され、強制帰国させられるケースが急増しています。その背景には何があるのでしょうか。


別室で長時間の取り調べ「犯罪者みたいな扱いを…」

(中略)

 今月1日から3泊5日で、ハワイ旅行を楽しむ予定でした。しかし、ハワイに到着した際の入国審査で、まさかの事態に遭遇します。

 審査官:「宿泊先は?」
 女性:「ホテルです」
 審査官:「なぜ一人で来たのですか?」
 女性:「ハワイで友達と待ち合わせています」
 審査官:「あなたは怪しい。別の部屋で調べる」

空港で長時間の取り調べ

 入国審査官からそう告げられ、女性が連れて行かれたのは、空港内にある一室。待っていたのは、現地の警察官でした。

 警察官:「職業は?」
 女性:「インフルエンサーです」
 警察官:「ホテルはなぜ自分で取らなかった?」
 女性:「友達が取ってくれました」
 警察官:「なぜ荷物にこんな服が多いの?仕事をするのでは?」
 女性:「着替えて、何枚も写真を撮るからです。仕事はしません」

 アメリカの入国に必要な渡航認証も取得していた女性。ところが、空港で長時間にわたる取り調べを受けたといいます。

翌日の飛行機で日本にとんぼ返り

 大阪市の女性:「指紋、唾液、写真を撮られて、犯罪者みたいな扱いされてしまって。『観光で来た』と何回も言ってるのに、『仕事で来たんだろ』と捉えられてしまって。もう怖くて、もうどうしたらいいか分からずっていう感じですね」

 結局、女性は入国を拒否され、翌日の飛行機で日本にとんぼ返りすることになりました。往復の航空チケット代20万円が無駄となりました。

アメリカのビザに詳しい 佐藤智代行政書士:「アメリカに出稼ぎに行かれる、売春を目的として行かれる女性が圧倒的に増えてきてます。それはアメリカ移民局も目をつけていて、『パパ活』とか『エスコート』とかですね、そういうワードに対して警戒してます。ハワイだけではなくてロサンゼルス、ラスベガス、ニューヨークで売春を疑われて入国拒否を受けたという相談は非常に多いですね。(相談が)月に8件とかあった時があって異常事態だなって」

(中略)

 入国拒否された女性も、現地警察から売春を疑われているように感じたといいます。

 大阪市の女性:「あなたがハワイに入れなくて日本に帰ったら、怒ってくる人がいるのではと質問されたので。もう完全に売春目的としか思われてなかったので。全くそんなつもりない、知らない。そんなふうに思われるのはすごくショックです」

 専門家は、インフルエンサーなどの場所を選ばずにできる職業も、入国を拒否される可能性があると指摘します。

 佐藤行政書士:「職業も曖昧(あいまい)というか、どこに行ってもできますよね。アメリカでも拠点を移して、滞在しながら収入を得ていくこともできるでしょうし」

佐藤行政書士:「適用されたら10年間は入れない」

 一度、入国拒否となれば、その影響は長期間にわたって続くといいます。

 佐藤行政書士:「アメリカの移民国籍法は、犯罪歴や明確に売春に関わった方は(アメリカに)入ってはならないとしてます。適用されたら、10年間はもう入れないですね」

(「グッド!モーニング」2023年9月12日放送分より)

もうひとつ


売春婦と疑われ? 日本人インフルエンサーがハワイで入国拒否された体験語る「なぜひとりで来たのかと何回も聞かれた」
2023/09/11 11:12

インフルエンサーとして活動している日本人女性が1日に米ハワイ州ホノルルを訪れた際に入国を拒否されたことを自身のSNSに投稿し、話題となっている。

女性は1日から3日間ハワイに滞在する予定だったが、入国審査で止められ翌日の飛行機で日本に帰されることになったという。観光目的で渡米する場合、日本国籍保持者はESTA(電子渡航認証システム)の申請を行うことでビザなしでの入国が可能だが「あなたはESTAだけではハワイに入れません」と告げられたという。

円安もあり、いわゆる出稼ぎ風俗嬢として日本人女性がビザなしで海外で働くケースが増えており、米入管は警戒を強めている。女性はサンケイスポーツの取材に「売春とかキャバクラとかで働くと思われたんだと思います。『なぜひとりで来たのか?』と何回も聞かれたこと、『服が3日間の割に多い』と言われたことと、警察から『あなたが日本に帰ることになって怒る人とかがいるんじゃないですか?』みたいな質問をされたりしたので私の感覚ではそうだと思いました」と答えた。

米国の入国事情に詳しい人は「女性のひとり旅は目を付けられやすい。USCIS(米移民局)は入国者のSNSアカウントを審査材料として見ているので、インフルエンサー活動をしている場合はその収入源が何なのか、米国での投稿で収益を得るつもりではないかと見られる可能性がある」と指摘する。

女性は当初は「会社員」と答えていたが、別室でのやりとりの段階で「インフルエンサー活動をしていることを言わざるを得なくなかった」という。この場合、虚偽の申請で入国を試みたと判断された可能性もある。

Yahoo!ニュースにあったコメントに、


前田恒彦3時間前
元特捜部主任検事

別の報道によると、女性は当初は「会社員」と答えていたものの、別室でのやりとりの段階で「インフルエンサー活動をしていることを言わざるを得なくなかった」とのこと。

当然ながら警察官は、滞在日数に見合わない多数の洋服を所持している女性に対し、「『インフルエンサー』ってなに?」「どのような方法でいくら稼いでいるの?」「なぜ嘘をついていたの?」「ホテル代はだれがどうやって支払うの?」「ハワイ滞在中にモデルのように次々と服を着替えて動画や画像を撮影し、そのネット配信で収益を得ようと考えているんじゃないの?」などと疑念を抱き、問いただすことになります。

売春婦うんぬんの問題とは別に、例えば渡航認証(ESTA)の取得時に勤務先情報欄に虚偽の記載をして不正に入国しようとしたなどと判断され、入局拒否に至ったのかもしれませんね。

前田氏のいう「別の報道」というのが、サンケイスポーツの記事かもしれません。

私もずいぶんいろいろな国の入国審査を受けています。米国の審査は、最後に受けたのがずいぶん昔なのでなんともいえませんが、英国はくりかえし受けているのでやはり不安ですね。英国の審査を受ける場合は、かならず上着とネクタイを締めることとしています。入国目的もきかれますので、ここはきっちりと対応しないといけません。なお私は、幸い英国での入国審査はすべてスムーズです。

私の従弟は、どういう理由で行ったのかは知りませんが、カナダに入国した際、入管で思いっきり怪しまれ、帰りの航空券を買わされ(ってことは、片道の航空券で入国しようとしたんですかね? 詳細は、あとで書く事情により聴いていません。さすがにそんな過去のトラウマを蒸し返すようなことはご当人もつらいでしょう)、帰国までのすべてのホテルの予約をさせられました。そうしたら強盗にあい、全財産(といったって、学生崩れの旅行ですから、大した金額ではなかったと思いますが)をとられて、歌を歌ったり(「上を向いて歩こう」を歌ったとか)、バク転をしたりして、小銭を稼いだというようなことを話していたそうです。私が直接聞いたわけではない。あんまり頭が良かったり社会常識を知っている人間でもなかったので、死ななかっただけよかったかもしれません。いずれにせよ、入国に際しては、そういう扱いをされても文句は言えないのです。

で、入国に際しては、裁判所などに異議申し立てをする権利すらないのが問題ですね。行政の専権事項であり、国家機関は、任意の人物の入国を拒否する権利がある。裁判とか行政への不服申し立てなら、上訴の権利なり行政で却下されたら裁判に訴えることも可能ですが、入国ですと裁判所へも訴えられない。あるいは薬物所持などで国際的な有名人が逮捕され国外追放されることもある。ウイングスのツアーとしてのポール・マッカートニー日本入国時における大麻不法所持による逮捕・国外追放(1980年)はその例です。この時は、コンサートが予定されていましたが、もちろんすべて中止です。行政は、その場合でも(当然)損害の補償はしないわけです。

そういえば、映画でも、空港で足止めされて米国に入国できない人間の悲哀をテーマにしたものもありましたね。『ターミナル』です。これは、元ネタは、Wikipediaによれば、

主人公のモデルは、1988年からパリのシャルル・ド・ゴール空港で18年も生活したイラン人のマーハン・カリミ・ナセリと言われている。この映画の製作者は、このマーハンが書き続けた日記「ターミナルマン」の映画化権を30万ドルで買った

とのこと。つい昨年の2022年に亡くなっています。彼も、英国からも入国を拒否されていました。

政治亡命などの場合、抗告なども可能な場合もありますが、そういった政治色のない人物などではそうもいかない。そもそも海外でインフルエンサー活動をしたとして、それが経済活動や雇用に関して相手国に迷惑が掛かるということはないのではないかと思いますが、そうでもないんですかね。そのあたりもけっきょく各政府の恣意的判断となります。

なお今回米国入国を拒否された人は、岡島華連さんです。興味のある方は乞う検索。ご当人報道と実際に齟齬があるという趣旨の主張もされていますが、そのあたり確認不能ですので、いちおう報道に即した内容で記事を書かせていただきましたことをお断りしておきます。

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一人旅がだいぶ世間でも一般的になってきたらしい(新型コロナや旅行者気質の変化ばかりでなく、LCCほか交通手段やスマートフォンの発達も大きく影響しているのではないか)

2023-09-26 00:00:00 | 旅(海外旅行一般 あるいは上以外の国々 旅行全般)

朝日新聞の記事より。

人気高まる一人旅、「行き着くスタイル」 世代問わず旅は個人化傾向
大村美香2023年5月20日 12時00分

 一人旅の人気が高まっている。

 リクルート「じゃらんリサーチセンター」による2021年度の「じゃらん宿泊旅行調査」で、宿泊旅行の同行形態を尋ねると、一人旅は、トップの「夫婦2人」(27・4%)に次いで2位の20・1%。過去18回の調査で最高値だった。

 同センターの森戸香奈子・主席研究員は「長期的にみて旅行のグループサイズは縮小の傾向で、個人化が進んできた」と指摘する。この傾向は世代を問わず全世代にみられるという。

 「旅行はどこに行って何をし、何を食べるか合意形成の連続。人と合わせるのはわずらわしく自分の好きにしたい思いから、夫婦旅、さらには一人旅へと向かっている」と森戸さん。

 コロナ禍は、この個人化の流れを後押ししたという。

 「一人旅プランを積極的に組む宿泊施設も増えた。今後コロナ禍からの揺り戻しで複数での旅行がいったん盛り返すだろうが、長い目で見れば一人旅はさらに広がり定着していくだろう」

 JTBパブリッシングの「ノジュール」は50代からの旅と暮らしをテーマにした年間定期購読誌だ。廣井友一編集長によると、一人旅は最も人気のあるテーマという。

 「読者は旅への関心が特に高い方。自分の興味に合わせて、旅を最大限楽しむ旅慣れた人にとって、行き着くスタイルが一人旅なのでは」と話す。ムック「大人のひとり旅」も手がけ、3月には2冊目を出した。

 料理研究家の山脇りこさんは、この7年ほど、1人で旅を楽しむようになった。3月に旅のエッセー「50歳からのごきげんひとり旅」(だいわ文庫)を刊行すると、発売1カ月半で5万部を超えるヒットになった。

 山脇さんは「旅は夫とすることが多く、それはそれで楽しい。ですが、1人で日常から切り離されると、自分自身とじっくり向き合える。自分にとって大切な人は誰か、何が大事かを考え、見直す機会」と魅力を話している。(大村美香)

これからの時代おひりさまも増えてくるし、また、旅慣れた人間がどんどん増えてくると思われますので、そうなると「一人旅」への志向(思考、試行、指向、嗜好、いろいろな漢字を当てられそうです)はおそらくとどまるところがないのではないかと思います。

旅というのは、している人間が製作者(プロデューサー)であり、脚本家(シナリオライター)であり、監督(演出・ディレクター)であり、役者(俳優・アクター)であると何かの本で書いてありまして、確かにそれはそうなわけです。旅行に行くという計画を立てる、資金をどう調達する、金の支払い方法をどうする(クレジットカードで払うか現金で払うかとか)といったようなことはプロデューサーの役割であり、旅の細かな計画は脚本家がすることであり、実際の行動は監督のような立場で決定し、そして旅するのは、アクターであり、それらをすべてご当人がするわけです。まさにチャップリンのようなものです。やはりこういった楽しさは格別です。

そう考えてみると、やはり修学旅行はまだしも、職場旅行の衰退が、一人旅の人気上昇とパラレルのような気がしますね。修学旅行は、教育の一環ですからなかなかなくならないかもしれませんが、職場旅行はきわめて衰退している。私の勤め先も、ずいぶん以前にそういったことはやめているかと思います。典型的な団体旅行である職場旅行と対極に位置する一人旅というのがどんどん旅行の世界で大きな役割となりつつあるというのは、きわめて自然ではないかいなと個人的には思うわけです。

あと個人旅行の大きな追い風になっているのが、格安航空会社(LCC)の台頭ですね。飛行機の価格というのが非常に高く、そう容易に買えるものでもありませんでしたが、東京⇔札幌、東京⇔大阪、東京⇔福岡、東京⇔那覇(申し訳ない。拙居住地の関係で、東京中心の話になります)などは、昔はとても運賃が高く、容易に個人では買えませんでしたが、最近はかなり気楽に買えるようになっています。これもLCCのおかげです。会社の金で移動する人は、JALやANAなどのメジャーなキャリアを使えばいいですが、各社も自社傘下のLCCを持つようになっているので、共存も可能です。もちろんLCC専科の会社もある。また、これも夜行列車の廃止とパラレルですが、高速バスの発達も、安い運賃で利用できるというありがたいことではあります。もちろん過酷な労働や経営環境の問題はあることは前提です。

そしてこれはたぶんそうではないかと私が想像するところでは、やはりスマートフォンの発達が大きいのではないか。旅行のさまざまな予約や交通手段の手配、悪い状況での連絡といったものが、非常に容易になった。これもけっこう決定的な部分ではないかと思います。ほかにも、ガイドブックがなくてもこれがあればいいという側面もある。実利だけでなく、暇つぶしの手段や、LINEなどで容易に友人などと連絡がとれるようになったことも、旅のしやすさにそうとう寄与したはず。

上の記事でもあるように、旅行で、たとえば乗っていないローカル線に青春18きっぷで乗りたいとか、宮崎地鶏を徹底的に食べたいとか、そういうマニアックなことは、人に付き合ってもらうより独自でやった方がスムーズです。旅慣れてくれば、そういうことを個々の老若男女が容易にできるようになる。これはなかなかよさそうです。

ところで上の記事で紹介されている本は未読ですが、地元の図書館に入っていました。

「50歳からのごきげんひとり旅」(だいわ文庫)

面白そうですから読んでみることとしますが、ただ私に言わせれば、50歳になる前からどんどん一人旅にはチャレンジしてほしいなです。子育ての関係ほかいろいろあるのはわかりますが、そういったことも調整すれば機会をひねり出せないものでもないでしょう。こちらに上の本の著者の方へのインタビューが掲載されていますので興味のある方はお読みになってください。

というわけで、読者の皆さまも一人旅をどんどん楽しんでください。もちろん私もそうします。

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裁判員裁判というのも、重刑・厳刑のために導入されたわけではない(当たり前)(再説)

2023-09-25 00:00:00 | 社会時評

以前こんな記事を発表しました。

検察も、被告人の重罰ばかりを追求しているわけではないことを示す一例

こちらの記事も。

裁判員裁判というのも、重刑・厳刑のために導入されたわけではない(当たり前)

上の記事で紹介した被告人の女性は、介護中の3人の家族を殺害しましたが、懲役18年ですんでいます(求刑は20年)。後者では、死刑を求刑された被告人に対して、


入院患者3人が殺害された点滴中毒死事件で、横浜地裁は9日、元看護師の久保木愛弓(あゆみ)被告(34)に完全責任能力があったと認めた上で、無期懲役を言い渡した

という件を扱っています(検察が控訴して、東京高裁に上がっています)。

で、過日の刑事裁判の判決を報じた記事を引用します。


両親殺害の19歳の長男に懲役24年の判決 佐賀地裁
2023年9月15日 20時52分 

ことし3月、佐賀県鳥栖市の住宅で両親を殺害したとして殺人の罪に問われた19歳の長男に対し、佐賀地方裁判所は「父親の虐待行為によって追い詰められたことについては同情すべき部分があるが、計画的で強い殺意に基づいた犯行で、長期間の実刑をもって臨むほかない」として、懲役24年の判決を言い渡しました。

19歳の被告は、九州大学の学生だったことし3月、佐賀県鳥栖市の実家で、50代の父親と40代の母親をナイフで刺すなどして殺害したとして殺人の罪に問われました。

これまでの裁判員裁判で、検察は「2人の命を奪った反社会性は著しい」と懲役28年を求刑した一方、弁護側は「事件は成績をめぐって父親から継続的に教育虐待と身体的・心理的虐待を受けた結果だった」として、保護処分か懲役5年が相当だと主張していました。

15日の判決で、佐賀地方裁判所の岡崎忠之裁判長はまず、争点となった母親に対する殺意について、「ナイフで4か所もの致命傷を負わせているうえ、その後も救命措置を行っておらず、殺意があったことは十分認定できる」としました。

そのうえで「少年院に収容した場合、その期間は長くて3年で、肉親を手にかけた罪の重さに向き合う期間として不十分であり、保護処分による更生の可能性は乏しい」と述べました。

そして「幼少期から父親の心理的・身体的な虐待を受けたことが殺害の決意に影響していて、殺害しようと考えるまで追い詰められたことについては同情すべき部分があるが、計画的で強い殺意に基づいた犯行だ。母親を巻き添えにした動機や経緯も身勝手で自己中心的であり、相当、長期間の実刑をもって臨むほかない」として、懲役24年を言い渡しました。

裁判長 “罪の重さに改めて向き合い 深く考えるための期間に”
判決を言い渡したあと、岡崎裁判長は「懲役24年は決して短い期間ではないと思いますが、両親を手にかけた罪の重さに改めて向き合い、深く考えるための期間にしてもらいたい」と述べました。

そのうえで、裁判の中で長男が、この先の人生について「消化試合」と述べたことに言及し「あなたがそのような気持ちで生きていくことは、あなたのことを思ってくれる妹や親族だけでなく、亡くなったお父さんやお母さんも望まれていないはずです。いつかあなたが人生の目標を持って生きられるようになってもらいたい。それが事件を担当した裁判員と裁判官の心からの願いです」と諭しました。

検事 “おおむね適切な判決”
判決について、佐賀地方検察庁の千代延博晃次席検事は「おおむね適切な判決であると受け止めている」としています。

弁護士 “本人や親族の意向踏まえ 控訴するか決めたい”
判決について、松田直弁護士は「こちらの主張が受け入れられず厳しい判決だったと思う。判決内容をよく検討し、本人や親族の意向を踏まえたうえで控訴するかどうか決めたい」と話しています。

両親の親族 “重い刑科す必要あるのか”
殺害された両親の親族は、長男の早期の社会復帰を望んでいました。

判決について、親族は弁護士を通じてコメントを発表し、この中で「到底受け入れられるような内容ではありません。長年、父親からの虐待に苦しんだ末の思い詰めた結果だということを、もっと重視してほしかったです。家族間の殺人は同じような事件の再犯率が極めて低いと聞いているので、ここまで重い刑を科す必要があるのか疑問です」とつづっています。

この裁判での「懲役24年」という判決が妥当なのかどうかは当方が判断できるものでもありませんが、そして弁護士や取材に応じた親族は、厳しい判決であるという評価ですが、私の個人的な意見を申し上げますと、両親を殺して24年というのは、ものすごく厳しくはない、という感があります。実際には、教育虐待など似た性質である1980年の「神奈川金属バット両親殺害事件」では懲役18年の求刑に対し13年の懲役(確定)の判決がでるなど、時代の変化もあり、この事件ももちろん軽い判決ではないのはもちろんですが、ただ死刑とは言わずとも、無期懲役の求刑などもありえたわけで、求刑懲役28年→判決懲役24年というのは、総合的に考えれば、ものすごい重罰ということでもないでしょう。

ここで言えるのが、「検察も、被告人の重罰ばかりを追求しているわけではないことを示す一例」「裁判員裁判というのも、重刑・厳刑のために導入されたわけではない(当たり前)」ということだと思います。以前こんな記事を書きました。

精神に重大な問題があったのだから、減刑になるのは仕方ないと思う

熊谷連続殺人事件の被告人のペルー人が、1審死刑だったのが2審で無期懲役に減刑され、検察が上告を見送り、被告人側の上告が棄却され、無期懲役が確定した際に発表した記事です。で、そこで紹介したように、奥さんと子どもさん2人(娘さん2人)を殺害された男性(加藤裕希氏)が、


判決への怒りや悲しみをどこにぶつけていいのか分からない

と言い、加藤氏の代理人弁護士である高橋正人弁護士は、


「検察の不戦敗であり、職務放棄。司法に裏切られた被害者は誰にすがればいいのか」と批判。その上で、控訴審の裁判員裁判制度導入や被害者への上訴権付与を主張している。

と発言しているとのこと。

正直高橋弁護士に関しては、「無茶苦茶なことを言う野郎だ」という印象しかないのですが、加藤氏に関しては、さすがに私も彼がそう言いたくなる気持ちを理解しますが、ただこのペルー人の被告人が重度の精神障害者であることは確かだし、またこの事件のWikipediaから引用すれば


東京高検の久木元伸次席検事は上告断念の経緯について「事案の重要性や遺族の心情などを踏まえたうえで、さまざまな角度から判決内容を慎重に検討したが、適法な上告理由が見いだせず遺憾だが上告を断念せざるをえない」とするコメントを出した

というのは仕方ないと思うわけです。うれしくはないが、いかんともしがたいことは、世の中たくさんある。刑事裁判の判決なんてのは、その最たるものです。これは闇サイト殺人事件などもご同様。自分の家族ならそのような判決を出すのかなんて話は、言ったってしょうがないことの典型です。だから、裁判では、身内とか友人・知人とかが裁判官や検察官を務めたりはしない。

それはそうと、加藤氏は、埼玉県警の対応について国家賠償請求の裁判を起こしましたが、さいたま地裁と東京高裁で請求を棄却され、現在上告中です。高橋正人弁護士が代理人ですが、この人行政訴訟でしかも国家賠償請求訴訟なんかの代理人になれる能力なんかなさそうだと思いますが、こんな人しか代理人になってくれなかったんですかね。私が加藤氏なら、すくなくとも代理人は違う人になってもらいますがね。どうなのか。

いずれにせよ、久保木被告への横浜地裁における裁判員裁判の結果について考えてみれば、高橋弁護士の言う


控訴審の裁判員裁判制度導入や被害者への上訴権付与を主張している。

なんてのが、いかに愚にもつかない愚論なのかよくわかるというものです。裁判員裁判での結果なのだから、裁判員裁判だから被告人に厳しい判決が常に出るというものでは(当然)ない。当たり前でしょう。あんたこの判決に関しては、そんなこと言わないだろ? どんだけデタラメな人間なんだか。いずれにせよこんな人物を代理人にして国賠訴訟なんぞ起こしたところで見通しは暗い。

ともかく検察もいたずらに重刑・厳刑を求めているわけではないし、裁判員裁判も重刑・厳刑を課すために導入されたわけではない。それは常に頭に入れておかないといけないと思います。

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3年ぶりの海外旅行(韓国 2022年12月~2023年1月)Day5-5(42)

2023-09-24 00:00:00 | 旅(韓国)

バスターミナルです。大邱行きのバスに乗り、大邱で泊まり、翌日は釜山から帰国する予定です。

こういった売店も、韓国のバスターミナルならでは。

お尋ね者ですかね。「112」とは、日本の「110」と同様の警察への番号です。

大邱行きです。実は、窓口で「大邱へ」とわめきちらしたのですが、先方が何かを言っていてよくわからず大いに困惑したのですが、近くにいる韓国人女性も何かを言っていて、つまりは窓口が違うということでした。無事に切符が買えた時はほんとしましたが、バスまで結構時間があり、近隣大都市だろと思わず考えてしまいました。

そろそろバスが出発します。

このバスだったかな。

内装は、韓国のバスによくある雰囲気。

スクリーンショットを記録します。

途中いくつか停まります。

夜も更けてきます。

こんな感じです。

ようやく到着します。

地下鉄に乗ります。

西部停留場駅です。「大邱西部市外バスターミナル」に隣接する駅です。実は私、切符を買った時点では、どこのターミナルかよくわからず、ガイドブックやネットの情報を参照して、ここではないかとは思ったのですが、着いてみないと確信は持てませんでした。

1号線に乗ります。

半月堂駅で下車します。

ホテルへ向かいます。

(つづく)

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3年ぶりの海外旅行(韓国 2022年12月~2023年1月)Day5-4(41)

2023-09-23 00:00:00 | 旅(韓国)

この街(晋州市)に来たのは、この食堂で食事をしたかったからです。ユッケビビンバの店です。

韓国の食堂にありがちな内装です。

メニュー表です。

こういう時計、韓国の地方の食堂ではよく見かけるような気がします。

ユッケビビンバです。

ユッケを食べたのもずいぶんしばらくぶりですが、味は「うまいにもほどがある」というものです。これは病みつきになります。

このような給水器も韓国らしいところです。

店をお暇します。

また来ることになろうかと思います。

バスターミナルに戻ります。

こういうところももう少しゆっくりと賞味したいところです。

また衣服の店が固まるエリアを歩きます。

外に出ます。

バスターミナルまでもうすぐです。

(つづく)

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貯金をして金をためられる人は、他人におごったりしないらしい(その反対が、佐藤忠志氏や青木勝利氏ほか)

2023-09-22 00:00:00 | 社会時評

そういっちゃうと身もふたもありませんが、世の中貯金をして金をためられる人は、あまり他人におごったりしないようですね。

どうも「おごる」という行為自体が、「浪費癖」「金銭にだらしない」ということと不可分のような気がします。世の中生きていくうえで非常識に「ケチ」ということはまずい部分もあるでしょうが、そうはいっても不必要な出費は控えるというのは、人間として当然のことです。

で、以下いく人か実例を見てみましょう。まずは、このブログでのおなじみの人物佐藤忠志氏です。佐藤氏は、報じられるところによれば、


先生はおカネの管理がまったくできない人なので、カネ回りの世話は奥さんがぜんぶやってあげていました。誰かとご飯を食べるときはいつも先生の奢りなので、奥さんの鞄には100万円の束が入っていた。

だったとのこと。で、彼が経済的に困窮するようになって他人におごることができなくなるにつれて、彼は他人との付き合いを避けるようになってきました。おごってくれないのなら、佐藤氏と付き合う価値がないというので佐藤氏との関係を断った人もいるでしょうが、おそらく佐藤氏の零落ぶりにさすがに顔を合わせる気になれなくなったという人もいるはず。佐藤氏は、他人に自分が貧乏している姿を見せたくなかったようですが、そしてそういう気持ちを私も理解しないではないですが、彼はおごったりしていないと他人と付き合うのが難しい気質だったのかもしれませんね。よくわかりませんが。彼が、奥さんから逃げられた後(家をリバースモーゲージのような形で売却した金で1億円と称する高級車を購入してしまい、奥さんが激怒したのです。当たり前)、完全に人生のやる気を失ったあたりも、彼が根本的にはそんなに強い性格ではなかったという部分もあったのかもしれません。佐藤氏についてふれた拙ブログ記事はこちら

さらに、一説によると「あしたのジョー」の主人公矢吹丈のモデルだとされる元プロボクサーの青木勝利氏はというと、


ジョフレ戦の報酬は手取り2百万円、現役時代の総額は3千万円(いずれも当時の金額)だったが、放蕩の末に一銭も残らなかった。


引退後は、日雇い業務や飲食店の手伝いなどで暮らしていた。その一方、頻繁に刑事事件を起こして報道された。一時期は稲城長沼でトンカツ屋を経営していたが、そこでも傷害事件を起こして続けられなくなった。1973年1月13日、小平市にある実家で包丁で首を切って自殺を図ったが、未遂に終わった。1981年の時点で、暴行・窃盗・器物損壊・詐欺(無銭飲食や無賃乗車)・覚醒剤所持で前科7犯、逮捕歴20回に及び、一時期は府中刑務所で服役していた。

といったところです。彼は、金銭に関してさんざんいろいろなところで不義理をしていたらしいし、そのせいかどうかは不明ですが、指を3本も切り落とすという事態にいたったわけですが、どういうわけか、


対戦経験のあった桜井孝雄は、青木の人柄について「あの人は気前が良すぎるからいけない」と語っていた

というところはあったらしい。それもどうかです。青木氏についても複数記事を書いていますので、興味のある方はお読みになってください。

この本はなかなか面白そうだ(「あしたのジョー」の主人公のモデルとなったと推定される人物についての本)

元プロボクサーの青木勝利氏と元予備校講師である佐藤忠志氏は、人間性などパーソナリティが似ていたと思う(どちらも相当ひどい晩年を過ごしたらしい)

あまりの事態の悪さのために完全に精神疾患になったと思われる佐藤氏(なおこの事態になったのはすべて彼に責任がありますので、私はこの件で彼に同情する気はありません)と、不義理がひどく身体障害者になった青木氏というのは、やや極端な事例かもですが、ただ「おごる」という行為は、狭義では食事をこちらが金を払って一緒に食うくらいの意味ですが、より広く「他人に援助する」とかいうところまで話を広げると、確かに世の中「横領」などで他人に金を流すとか、犯罪ではなくても、これも理由はともかく、他人に収入不相応に金をつぎ込んで、全財産を失うということもあります。英国のこちらの男性はどうか。前にもご紹介したことがあります。

このような話はくりかえし読む価値がある

【海外発!Breaking News】宝くじで1,200万円当選した障がい者男性、散財し手当も打ち切られ極貧生活に(スコットランド)

私がこの男性の金の使い道で興味ぶかく感じるのは、彼が


近所の人たちや友人らにも金銭的援助をしたんだ。

と語っているという点です。あるいは借金を返したのかもですが、それならまだ仕方ないとして(だとしても、後先のことを考えて金を返せです)、そうでないとしたら


金銭的援助

って、そんなことに金なんか使う余裕なんかないだろです。が、この人は、理由はともかく、他人に援助という形で金を使ってしまったわけです。この人が困窮した原因の1つも、昔からそういうことで金を使っていたこともあるのではないか。

ほかにも、拙ブログで繰り返しご紹介するキャバクラ嬢の「病気」という与太のために、会社の金を横領したゴム会社社員(そしてその金を、キャバクラの女は、ホストかなにかに貢いだらしい)、歌手崩れの男に全財産を貢いで生活保護受給者として死んだ某女性などもいるわけです。他人に「おごる」とか「援助する」ってのは、なにか麻薬的な喜びや楽しみがあるんですかね。あるのかもしれません。

「勧進帳」「大本営発表」「キャバクラの女への横領した金のつぎ込み」みたいなものだ

金をためられる人、財産を残せる人は、けっきょく金にシビアなのだと思う(追記あり)

私は、読者の皆さまもだいたいご想像がつくように、基本他人におごったりはしない人間ですが、ただ「おごる」「おごられる」という行為が、人間関係を円滑にするという効用があるということ自体は否定しません。しませんが、やはり


対戦経験のあった桜井孝雄は、青木の人柄について「あの人は気前が良すぎるからいけない」と語っていた

とかいわれるのはまずいでしょう(当たり前)。おそらく佐藤氏も青木氏も、スコットランドの男性などもそうなのかもですが、この人たちは、「精神障害」とまではいわずとも「発達障害」ではあることは確かかと思われます。そういったことが、このようなきわめてよろしくない行動の要因となったことは否めません。そして、お三方みな、「予備校講師」「プロボクサー」「宝くじに当たった」と、職業やきっかけは違いますが、おもわぬ大金を稼ぐあるいはもらえることになった。そうしたら精神的に際限がきかなくなったわけです。キャバクラ嬢に貢いだゴム会社社員は、会社の経理を任されていたので大金を着服できた、歌手崩れに貢いだ女性は、夫が死んで子どもがいなかったので、思わぬ大金が自由にできたのが悲劇でした。これがもっと極端になると、これはもう「おごる」とかそういう次元ではなくほとんど自家消費でしょうが、6人も放火で死なせて(あと消防隊員の殉職もあり)1億円以上の生命保険と火災保険を得たにもかかわらず、1か月で使い尽くしたと報じられている暴力団組長夫婦もいるわけです。めでたく2人そろって死刑となり同日に執行されています(夕張保険金殺人事件)。

だんだん話が変わってきましたが、「おごる」と「援助する」が複合して大金を溶かしてしまった事例もあります。有料老人ホームで女にえんえんおごって(食事代はすべて負担したとのこと)一緒に馬券を買って1,000万円以上を使ってしまった男性など、やはりその時は気が狂っていたのでしょうね。異性(同性でもあり)に莫大な金をつぎ込むというのは昔からよく聞く話だし、またつぎ込まれる人間というのは、だいたいにおいてろくな人間ではありません。人間生きていくうえでそんなに金なんか必要なわけではない。

佐藤忠志氏らのような全財産を使いつくした人たちとの対比が興味深い(子どもの有無は決定的だったのだろう)

というわけで、私とこのブログをお読みなっているあなたは、やはりケイリー・グラント先生を見習い、佐藤氏や青木氏ほかのような人生は送らないようにしましょう。後で後悔するのは他人でなく私とあなたです。グラント先生の話は、下の記事をご参照ください。

「自分は例外だ」なんて考えないほうがいいのかもしれない(米国スポーツ選手の浪費と困窮について)

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ほれみろ、米国とイランだって、けっきょく対価じゃねえかよ(こういうことを拒否しまくっているから、9月17日に拉致問題がろくに話題にならないという事態になるのだ)

2023-09-21 00:00:00 | 北朝鮮・拉致問題

過日の記事を。


米国、イランと囚人交換 8800億円の資産凍結を解除

2023年9月19日 2:27

【ドバイ=福冨隼太郎、ニューヨーク=中村亮】米国とイランは18日、囚人交換を実行した。米国は交換の条件になっていた約60億ドル(約8800億円)にのぼるイラン資産の凍結を解除し、イラン中央銀行が確認した。関係悪化を食い止めて核協議の再開を模索する。

バイデン米大統領は18日の声明で、イランが米国人5人を解放したと発表した。カタールを経由して米国に戻る予定だ。解放交渉を仲介したカタールとオマーンに謝意を示した。

声明で不当に拘束された米国人の解放に関し「政権発足1日目からの優先課題だ」と強調した。ロシアやシリア、ベネズエラをあげて「まだあまりにも多くの米国人が違法に拘束されたままだ」と言及し、解放へ取り組むと訴えた。

イラン国営テレビは18日、米国内で収監されるなどしていたイラン人5人が解放され、このうち2人がカタールに到着したと伝えた。イラン外務省報道官は5人のうち2人は米国にとどまり、1人は家族のいる第三国に向かうと明らかにした。

イラン中央銀行のファルジン総裁は同日、韓国で凍結されていた約60億ドルの資産がカタールの銀行口座に振り込まれたと発表した。カタールで資産を管理し、米国は用途を食糧や医薬品に限定する。

資産は韓国が原油購入のためにイランへ支払う予定だった。米国による対イラン制裁で凍結になっていた。イランは違法に差し押さえられたとして支払いを繰り返し求めてきた。

バイデン米政権は囚人交換に合わせ、イランへの追加制裁も発表した。イランのアハマディネジャド元大統領と情報省を制裁対象に指定した。米国人の拘束に関与したためだと説明した。

米野党・共和党ではバイデン政権がイランに弱腰だとの批判が根強い。追加制裁を通じ、人権問題で譲らない姿勢を印象づけて批判をかわす狙いがある。

バイデン米政権は囚人交換をきっかけにイラン核合意再建に向けた協議再開を探る。

米政府高官は記者団に「イランが米国民の拘束を続けるほど外交の土台をつくれないと明確にしてきた」と述べた。核協議再開の可能性にコメントを控えつつ、囚人解放に関し「外交の障害を取り除く」と言明した。

米国と英国、フランス、ドイツ、ロシア、中国は2015年、イランの核開発を制限し、経済制裁を解除する国際合意をまとめた。米国のトランプ前政権が18年に合意から離脱して経済制裁を再開。イランは核合意の義務履行を相次いで停止した。

その前の記事


米とイラン、核協議再開探る 制裁緩和・囚人交換で調整

2023年8月14日 11:30 (2023年8月14日 18:42更新)

【ワシントン=中村亮】米国とイランは関係修復を探る。両国は囚人交換とイラン保有資産の一部凍結解除で最終調整に入った。バイデン米政権はイランの核開発を制限する多国間協議の再開に向けて布石を打つ。中東で一定の影響力を維持する狙いだ。

米国家安全保障会議(NSC)は10日の声明で、イランの刑務所で拘束されてきた米国籍の5人が自宅軟禁に移ったと明らかにした。解放に向けた前進を示し「最終的な解放に向けて交渉は続いており機微に触れるものだ」と言及した。

イランのバゲリ外務次官は囚人交換に加え、米国はイラン資産の凍結解除に応じると説明した。米紙ニューヨーク・タイムズによると、イランは韓国にある約60億ドル(8700億円)の資金を使えるようになる。

NSCのカービー戦略広報調整官は11日、イランとの協議は続いているとしたうえで「資金は軍事転用ができない食料や薬、医療物資の調達にだけ使える」と記者団に話した。カタールで資金を管理し、米国が使途を厳しく監視すると強調した。

60億ドルは韓国政府が原油購入のために支払う予定だったもので、米国の制裁により凍結されていた。イランは違法に差し押さえられた資金だとして支払いを繰り返し求めてきた。

イランの外務省報道官は14日の記者会見で「囚人交換や資産凍結の解除は核合意と直接関係ないが、互いに影響する可能性はある」と指摘した。

米国とイランは数週間をかけて囚人の交換や資産凍結の解除を進める見通しだ。両国は国交を持たず、オマーンやカタールなどを介して交渉を重ねてきた。

米国とイランの間接交渉では、イランがウラン濃縮度を60%以下に下げる方針で一致したとされる。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルはイランが保有する濃縮ウランの一部で合意を履行したと報じた。

イランは米制裁の長期化で国内経済が疲弊しており、さらなる関係悪化を食い止めたい考えだ。拘束者の解放や核開発で一部譲歩する姿勢を見せ、米国側の出方を見極めるとみられる。

米英とフランス、ドイツ、ロシア、中国の6カ国は2015年にイランと核開発制限を定めた核合意をまとめた。だがトランプ前政権は18年に一方的に合意から離脱。イランへの経済制裁を再開した。イランの資金源である原油輸出を断ち切るため、同国と取引した外国の金融機関にも米金融機関との取引を禁じた。

21年に発足したバイデン政権は核合意の再建を目指した。再建交渉は一時妥結に近づいたが、イランが米国の再離脱を警戒して暗礁に乗り上げた。22年には核合意に加わったロシアがウクライナ侵攻を開始。ロシアと米欧との亀裂は決定的となり、従来の枠組みでの再建はさらに遠のいた。

米国の離脱に反発したイランは核合意で制限されたウラン濃縮活動を加速した。米国家情報長官室は3月公表の年次報告書でイランが最大90%までウラン濃縮を進めるシナリオに言及した。濃縮度90%は核爆弾の製造が可能な水準と位置づけられる。

22年12月にはイスラエルでネタニヤフ氏が首相に返り咲いた。ネタニヤフ氏はイランに対して武力行使を排除しない構えだ。イランは核爆弾を保有する方針はないと公言するが、イスラエルの懸念は根強く、米国が対応を迫られている。

対立が続いていたイランとサウジアラビアは3月、中国の仲介により外交正常化に合意した。バイデン政権はイランとの核協議再開を通じて中東の安定に関与し、同地域で存在感を増す中国に対抗する狙いがある。

とはいえ、バイデン政権がイランとの歩み寄りに使える手段は少ない。イスラエルメディアによると、同国首相府は「イランの核関連インフラを解体しない取り決めは核開発計画を止めず、イランが支援するテロ集団に資金提供するものでしかない」と言明した。

60億ドルの利用をイランに認めるバイデン政権を非難するものだ。バイデン米大統領は秋に米国でネタニヤフ氏と会談する計画だが、イラン問題で協調を打ち出せるかどうかは見通せない。

米国内では野党・共和党もバイデン政権を批判する。マイケル・マコール下院外交委員長は13日、FOXニュースのインタビューで資産凍結解除に関してイランのテロ行為や核開発を後押しすると主張し「過去の誤りに回帰する」と唱えた。

24年11月の米大統領選に向け、共和党はバイデン政権がイランに弱腰だとの批判を強めていく公算が大きい。

米国はイランがウクライナ侵攻を続けるロシアを軍事支援していると非難してきた。バイデン政権はイランに弱腰と受け取られるとウクライナや欧州から批判を浴びるリスクをはらむ。

挟まっている図表は、元記事からです。挿入されている場所も同じ。引用記事にもありますように、


とはいえ、バイデン政権がイランとの歩み寄りに使える手段は少ない。イスラエルメディアによると、同国首相府は「イランの核関連インフラを解体しない取り決めは核開発計画を止めず、イランが支援するテロ集団に資金提供するものでしかない」と言明した。

60億ドルの利用をイランに認めるバイデン政権を非難するものだ。バイデン米大統領は秋に米国でネタニヤフ氏と会談する計画だが、イラン問題で協調を打ち出せるかどうかは見通せない。

米国内では野党・共和党もバイデン政権を批判する。マイケル・マコール下院外交委員長は13日、FOXニュースのインタビューで資産凍結解除に関してイランのテロ行為や核開発を後押しすると主張し「過去の誤りに回帰する」と唱えた。

24年11月の米大統領選に向け、共和党はバイデン政権がイランに弱腰だとの批判を強めていく公算が大きい。

米国はイランがウクライナ侵攻を続けるロシアを軍事支援していると非難してきた。バイデン政権はイランに弱腰と受け取られるとウクライナや欧州から批判を浴びるリスクをはらむ。

とありますし、確かにそれはそうなのかもしれませんが、でもしょうがありませんね。そうしなければ米国人が解放されないし、交渉の糸口もつかめない。政権批判のための批判という側面もあるし、またバイデン氏の前任者であるドナルド・トランプ氏は、イランに対してはイスラム革命防衛隊ガーセム・ソレイマーニー(ほかに複数の表記あり。この記事では、Wikipediaにのっとります)氏を暗殺するなど過激なことをしましたが、北朝鮮に関しては、金正恩氏と会談するなど、そんなに強硬な態度を取っていたわけではない。

さてさてここで、私が思い出すのが、かの高世仁の記事です。こちらで論評しました。

そういう例を出すのなら、拉致問題だってやっぱり金(対価)次第じゃないか

高世は、フィリピンで反政府武装勢力に身柄拘束された日本人カメラマンが、右翼他の仲介で金の支払いで解放されたという話を記事にしています。

拘束されたカメラマンを右翼が救出

しかし高世は、そのような記事を発表しておいて、

形を変えた拉致=「帰国運動」

という記事では、

>(前略)

きょう午後、ロシアのジャーナリストに拉致問題についてレクチャーすることを頼まれた。

(中略)

「ただ、いつになるか分らない全面解決までの間、並行して、可能なかぎり身柄を取り返す努力もすべきだと思う」

と私がいうと、彼は、「かつて西ドイツが東ドイツに対してやったような、お金による身柄引き渡しはできないのですか」と聞いてきた。

これは、いわゆる「政治犯の買い取り」と言われるもので、63年から東欧体制が崩壊した89年までの間に、西ドイツは、3万3755人の政治犯や離散家族など合わせて25万人を35億マルクを支払って東から引き取った。

(後略)

という話を紹介しておきながら、

>私は拉致被害者の「買い取り」が可能なら試みるべきだと思う。しかし、北朝鮮が日本から拉致してきた人のリストを出してきて、一人10万ドルなどと取り引きを持ちかけてくるならともかく、「拉致問題は解決済みで、生存している被害者は一人もいない」と言い張るのだから、「買い取り」たくともできない。

という結論なわけです。ただそれって、つまりは当時の西ドイツ政府が、現在の日本政府よりもはるかに現実的かつ効果的な対応をしたということであって、西ドイツ政府のやり方を支持するのなら、「なら日本もそうするべきだ」という結論になるかと思いますが、高世の頭脳では、そうはならないというのがなんともはやです。ていうか、日本政府もそれしたんですけどね。

米国のキューバへの対応から、日本の北朝鮮への対応を考えてみる

その記事の中で私は、


反北朝鮮を訴える組織、あるいは個人が、北朝鮮へ経済制裁ほかの圧力をかけることにより(屈服させることで)、北朝鮮から譲歩を勝ち取り、拉致被害者帰国を実現したしこれからも実現することを可能とする、みたいな主張をしています。しかし私は、そのような主張を立証する第三者の発言その他を読んだり見たりした記憶がないですね。

私はいままで、拉致問題に関してさまざまな本を読みましたし、新聞、雑誌、ネットなどのさまざまな記事を読みました。また拉致について特集したテレビ番組などもたくさん見ています。それで、それらの中で、上に書いたように、圧力によって北朝鮮側の譲歩を勝ち取れたということを具体的な証拠をもって説明した記述や報道は、私は知らないですね。巣食う会や家族会、その関係者や支持者(櫻井よしことか)がそのような主張をしているのは数限りなく読んだり見たりしていますが、その主張を立証するものは知りません。

と指摘しました。つまりは、日本が北朝鮮に大規模な経済支援のオファーをしたことが、北朝鮮が拉致被害者を返す最大のポイントだったということです。現在では、そういう話は「なかったこと」「不都合な真実」で語らませんが、だからといってそういうことがなかったわけではない。そのオファーがなければ、たぶんいまでも蓮池さんや地村さん、曽我さんらは北朝鮮にいるのではないか。ジェンキンス氏は、北朝鮮で亡くなったのでしょう。で、高世がそんなことを認識していないわけがない。何をいまさらながら、呆れた野郎です。

そうなるとこんどは、「泥棒に追い銭だ」とかいう手合いがいますが、つまりは、どちらが大事かということです。こういうことを主張する人間は、拉致被害者(人質)が解放されるより、北朝鮮への強硬措置(といえばかっこいいが、要は単なる不作為)を続ける方が(たぶんずっと)大事だと考えているということでしょう。もっとも共和党だって、政権を握れば、時と場合によっては、今回のバイデン政権のような対応を取る可能性は十分にあり得ます。それでですよ、そういう追い銭主張をしている人物の一人が、「巣食う会」副会長の島田洋一です。こんなことでは、拉致問題なんか解決するわけがない。

さて、9月17日は、2002年に小泉首相(当時)が、北朝鮮に行って拉致を認めさせた日です。これは、日本外交の偉大な勝利と私は思いますが、

「9月17日は小泉訪朝の日」ほか

でbogus-simotukareさんがご指摘のように、日本のマスコミなどもこの件をろくに報道しないわけです。私も、bogus-simotukareさん同様この日のことを忘却しました。私たちでそうなのだから、他の人はなおさらでしょう。それも当然であって、家族会の連中がやれ平壌に連絡事務所を置くなとかめちゃくちゃなことを要求するわけです。その家族会の態度では、そうなるのが当たり前でしょう。いったいぜんたい、連絡事務所すら設置しなくて、どうやって北朝鮮と交渉しようというのか。

まあつまりは、与党(自民党・公明党)の政治家も、(まともな人は)対北朝鮮対応に限界を感じているのだろう

上の記事でご紹介した佐藤優氏の記事を。


ハバナ勤務の米国務省職員

 外交を断絶すると、「利益代表国」を指定する。外交がなくなった国と連絡を取る必要が生じた場合は、利益代表国を通じて行う。大東亜戦争中、米国における日本の利益代表国はスペインで、日本における米国の利益代表国はスイスだった。

 1980年代末、ソ連とイスラエルは外交関係を断絶していた。ソ連におけるイスラエルの利益代表国はオランダだった。オランダ大使館には、オランダ人外交官のパスポートを持ってイスラエルの外務省と秘密組織「ナティブ」(ヘブライ語で「道」の意味。ソ連・東欧からユダヤ人を秘密裏に出国させるための機関)の代表者が赴任していた。表面上、対立しているように見える国でも、裏では交渉のチャンネルを作っているという事例は多い。

 キューバに関しても、これがあてはまる。キューバにおける米国の利益代表国はスイスだ。ハバナのスイス大使館には100人以上の米政府職員(主に国務省)が勤務しているという。この話を筆者が初めて聞かされたのは、85年に外務省に入省し、情報調査局情報課で研修生をしていたときだ。先輩の課長補佐が、キューバ勤務から戻ったばかりで、「アメリカとキューバの関係は、外から見ているほど、悪くはないよ」と言って、スイス大使館の話を聞かせてくれた。外交の実態とはこういうことかと筆者は興奮した。

その引用に続けて私は、


ちなみに上の記事での85年というのは、レーガン政権の時代であり、社会主義陣営に対して米国が強硬な立場だった時代であることも留意すべきです。またこの記事は、産経系のメディアでの発表です(笑)。

と指摘しています。そういうものです。つまりは、合理性や現実性を追求すれば、そういうことになるわけです。当たり前でしょう。で、安倍晋三をはじめとするポスト小泉の日本の歴代の首相たちは、みなそれを逃げましたからね。これではどうしようもない。そしてそれが、巣食う会はもちろん家族会の希望と利益(?)に合致するというのだから、世の中こんな倒錯した話聞いたこともない。それで拉致被害者が帰国すればいいですが、日本側が対価を出したときは帰ってきてそうでないときはぜんぜんそうでないのだから、馬鹿もここに極まったりです。そしてそういう態度が、小泉訪朝の日すら、ろくにその関係の記事が発表されないというなんとも無様で無残な結果になるのです。それはそうですよね、けっきょく何もしないで20年以上も経ったのだから、そんなものに世の中の人たちだって、いつまでも関心をもってもらえるわけがない。いつも私が主張しているように、反北朝鮮の道具になっているだけじゃないですか。それが、家族会の人たちの総意なのかもですが、それらはしだいしだいに世間から相手にされなくなっていくでしょうね。今そうなっているし、このままではますますそうなります。なんとも寒々とした光景です。

なおこの記事は、bogus-simotukareさんの記事からヒントを受けました。感謝を申し上げます。

コメント (2)
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