ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

「感動」とは安全に優先するものではないと思う(そもそも「組み体操」で「感動」なんか私はしない)(1)

2015-10-15 00:00:00 | 社会時評

前にこのブログで、いわゆる組み体操についての問題点を指摘する記事を書いたことがあります。

そんなに危険なら、組み体操なんかやめてしまえばいいと思う
 
その記事で私は、組み体操の問題点についていくつか指摘して次のように書きました。
 
>それにしても、学校というのも生徒の自殺とかでいろいろ学校のほか教育委員会が批判、非難されたりしますけど、柔道事故といいこの組み体操といい、こういった、やろうと思えばすぐに対策が取れてしかも効果が大きいものに対する取り組みが非常にのろいですよね。いじめの問題などは、言うまでもなく根絶とかは難しいし、もぐら叩きのようにどんどん出てきますが、柔道やこの件のような部活動、体育授業、学校行事に関することなどは基本的に学校側が主体的に行うものですから、基本的に生徒が行ういじめなどより学校なり教育委員会、あるいは文部科学省その他による対応はずっとしやすいし効果も直接役立ちます。そういったことがなかなか進まないのは「大人の事情」かなにか知りませんが、態度が非常に他人事というかやる気がないんですかね。
 
なにしろ私が紹介した記事によれば、
 
>それによりますと、平成24年度の1年間に全国の小学校でけが人が出た組み体操の事故は6533件に上り、とび箱とバスケットボールに次いで3番目に多くなっていました。
さらに平成24年度までの10年間に組み体操で後遺症が残った事故を調べたところ、20件に上りました。
 
 というのですから、その危険さたるや半端なものではありません。
 
それで、読者の皆さまご存知かと思いますが、「やっぱり」「予想通り」「当然こうなる」「懲りねえ連中だ」とかいろいろな言葉をぶつけたくなる事態が起きました。先月(9月)27日、大阪市八尾市の大正中学校(公式サイト)で、組み体操における事故が起きてしまいました。
 
大阪中学校「10段ピラミッド崩壊」の衝撃動画 専門家は「リスク大きく、やめるべきだ」と厳しく批判
J-CASTニュース 10月1日(木)19時1分配信

大阪府八尾市の市立中学校で行われた体育祭で組体操の「人間ピラミッド」が崩れる事故が発生し、その様子を映した動画が話題となっている。男子生徒がよろめきながら最上段向けてよじ登る場面から、ピラミッドが一気に崩れる場面まで、事故の一部始終が収められている。

 動画を見たネットユーザーは「狂気の沙汰」などと怒りの声を上げた。組体操問題に詳しい専門家も「巨大なリスクを抱えた人間ピラミッドはやるべきでない」と警告する。
 
(後略)
 
削除された時のため、魚拓も一応とっておきます。(魚拓1魚拓2
 
それで下にその際の動画をはっておきます。写真は、YouTubeからいただいた画面。つぶれた際のものです。

大中ピラミッド(大阪府八尾市立の中学校における組体操事故)

で、これ見て私が思うに、太鼓とかをどんどん叩いてそれで歓声も上がっているじゃないですか。それで崩れた後でも見物人から拍手が上がっている。ケガ人がでてそういう反応っておかしいんじゃないのと思います。なんとも違和感を感じます。これも「感動」の一環でしょうか。そうだとしたら狂っています。あのようなことが起きたらどうなるか、想像力が足りません。

だいたいこれはinti-solさんもご指摘のように、

>何とか雑技団とか、お金を取るプロがやるならばともかく、中学生に全員参加でこんなことをやらせるなんて、私には異常としか思えません。

だと思います。

それで上に引用した記事は、つぎのようにあります。

> では、これだけリスクの高い人間ピラミッドをなぜ学校側はやり続けるのか。内田さんは「体育祭で大きなピラミッドを披露すると、見にきた保護者は拍手喝采、賞賛しますよね。そうなると、教員もやめられなくなるんです。ピラミッドが作り出す『感動』が負の面を見えなくしているんです。保護者と教員がピラミッドの巨大化を推進してきたと言っても過言ではありません」と話し、この状況を「感動の呪縛」と呼んだ。

記事中の「内田さん」とは、名古屋大学大学院教育発達科学研究科・准教授である内田良氏のことです。前の記事でも氏のご指摘を引用しましたし、拙記事でも氏の著作を書評させていただきました。氏の主宰するサイト「リスク・リポート」では、組み体操の問題点がいろいろ指摘されています。

それで私が呆れるのは、この中学校では昨年以前から事故が繰り返されているということです。記事を。

>2015.10.5 12:37更新
組み体操「ピラミッド」など、3年間で8人骨折 大阪・八尾市立中

 9月の体育大会で組み体操の「10段ピラミッド」が崩れて中学1年の男子生徒が骨折、生徒5人が軽傷を負う事故があった大阪府八尾市の市立大正中で、9月の大会前の練習や、平成26年と25年の大会本番や直前の練習でも、ピラミッドや別の組み体操が崩れるなどして、生徒7人が骨折していたことが5日、同校への取材で分かった。

 同校によると26年9月、四つんばいの姿勢で積み重なってつくる10段ピラミッドと、演技者が肩の上に立って4段の塔をつくる「4段タワー」の演目中、当時3年の生徒2人が右足首や足の指の骨を折った。大会前の練習中にも生徒2人が足や手の指を骨折する事故があった。25年は大会前の組み体操の練習中に2人が骨折。今年9月の体育大会前の練習では組み体操の練習中にバック転をした生徒が指の骨を折った。

(後略)

いまの時代にこのように同じことで骨折事故を繰り返し起こしてそれでもまたやるというのは、正直きわめて理解に苦しみますね。保護者は学校に怒鳴り込まなかったのか、学校側はこの件でどういう対応をしたのか疑問は深まるばかりです。

こちらの記事によると

>毎年続く事故に、校長は「補助員をつけるなどして安全を確保したつもりだった。認識が甘かった」と話している。

だそうですが、補助員なんかつけたって、内側に倒れたら意味ないでしょうに。で、だいたいこういうのって内側に倒れるものじゃないんですかね。それで下の動画で、

 

去年も「組み体操事故」が起きていた、八尾市立大正中学校

校長は、「昨年度もケガあったにもかかわらず、事故に対する認識の甘さがあった」としたうえで、「今後の実施について検討する」としています。おいおいです。

そんなん即刻中止でしょう。何を寝ぼけたことを言っているんでしょうか。

 (16日の記事につづきます)


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2 コメント

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Unknown (bogus-simotukare)
2024-04-24 04:45:46
産経<正論>特攻への理解深める特別の日を 
ノンフィクション作家・早坂隆
https://www.sankei.com/article/20240423-2DDVRU52TZMDBHT2RQBRIWVWJ4/
 勿論産経なので「国のために命を捨てた行為に感動した!」と言う特攻美化ですが、貴記事のタイトルをもじれば
「「感動」とは「人命」に優先するものではないと思う(そもそも「特攻」で「感動」なんか私はしない)」
ですね。
 そもそも組み体操なら「事故の危険性が高い」とはいえ「事故の発生を当然の前提としてない(それなりの安全対策を取ってきた)」し、成功すれば確かに「感動的ではある」でしょう(とはいえあまりに事故が多すぎるので現在廃止傾向ですが)。
 特攻など「死亡が当然の前提」「戦果はほとんどない(戦果があればやっていいわけではないが)」のだから組み体操以上に「邪悪で醜悪」です。
 大体、産経や早坂だって「ならば、今後、自衛隊が特攻作戦しても認めるのか?(その可能性はさすがにないでしょうが)」「ロシアがウクライナ戦争で特攻作戦しても、アンチロシアのあなた方はロシアを非難しないのか?」と聞かれて「その通りだ」とは答えないでしょうに。
 旧日本軍だって特攻開始は「まともなパイロットがいなくなった戦争末期(力量が劣るから簡単に撃墜されることが多い。それならいっそ最初から特攻させよう)」であって、戦争初期からやっていたわけではないこと一つとっても美化は非常識です。
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>bogus-simotukareさん (Bill McCreary)
2024-04-24 22:03:04
組体操に関しては、コロナはけっこう致命傷になったような気がしますね。この動画しばらくぶりに見ましたが、まさに正気の沙汰じゃありませんね。何考えているんだのレベルです。

だいたい飛行機で突っ込むより爆弾を投下したほうが、慣性の法則でスピードが上がって効果があるのに、相当狂っていたとしかいいようがない。
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