ライプツィヒの夏(別題:怠け者の美学)

映画、旅、その他について語らせていただきます。
タイトルの由来は、ライプツィヒが私の1番好きな街だからです。

個人的にはかなりの驚き(レスリングであろうと甘い認識ではだめな時代だ)(追記あり)

2013-02-14 00:00:00 | スポーツ
今日もスポーツネタの記事です。しかしほんと最近ろくなスポーツ関係の話がないな(苦笑)。

レスリングが、2020年開催のオリンピックから実施されない可能性が高まりました。

外国ではそうでもないかもしれませんが、日本ではこれは大変なニュースとして取り上げられました。なにしろ(ほかの局や、同じ番組でも別の時間でどうなのかは確認していませんが)NHK「おはよう日本」の7時からのニュースなど、北朝鮮の核実験よりこちらを先に報道したくらいですから。それが妥当かどうかはともかく、それくらいこの件は驚きをもって報じられたということです。早いか遅いかはともかく実施確実な北朝鮮の核実験よりよっぽどニュースとしての価値はあるということかな?

形式的には最終決定ではないということですが、まさか2月に決めたことを5月の理事会で反故にすることはないでしょうから、実質2020年の大会でのレスリング競技開催は絶望でしょうね。現実的には、2024年大会あるいはそれ以降の大会での復活をめざすことになるでしょう。それもかなり厳しいでしょうが、ともかく関係者はそのように努力するしかない。もちろん2020年の大会でも、なんとか決定を覆そうという努力がされるでしょうが、これはもう不可能という次元だと思います。

私はレスリングに思い入れがある人間ではありませんが(オリンピックでもレスリングはあんまり見ません)、個人的な意見では、レスリングより近代五種あたりを廃止するほうが先だろという気はします。あれは、要は兵隊としてどれだけ優秀かということを競い合う競技ですから(射撃・フェンシングはまさにそのもの、馬術は兵隊としての基本、水泳・クロスカントリーは兵隊としての身体能力と諜報活動の基本)、オリンピックが平和の祭典を自称するのなら廃止するのが妥当でしょう。

ほかにも(一部の嫌韓馬鹿と同一視されかねないのでこういうことは書きたくありませんが、常連読者の方はそのような誤解はしないと信じています)テコンドーのような種目よりはレスリングのほうが(なにしろ古代オリンピック、近代オリンピック最初の大会からの競技ですから)存続させる意義はあるんじゃないのと思いますが、テコンドーのほうは次の韓国大統領がなんとか存続させてほしいというロビー活動をおこなったという話もあります。レスリングには、テコンドーにおける韓国大統領のような立場の人はいませんから同じような活動はできませんが、やはりレスリング関係者に「レスリングがはずされるわけはない…」っていう予測があったんでしょうね、最高幹部もふくめて。下のような記事は、まさにその認識を表しているように思います。

>危機感欠いたお家芸 レスリング、五輪ロビー活動せず
朝日新聞デジタル 2月13日(水)5時48分配信

【ローザンヌ=稲垣康介、平井隆介】昨夏のロンドン五輪で、日本が獲得した金メダル7個のうち4個がレスリング。そのお家芸が、東京都が招致を目指す2020年五輪の実施競技から外れることがほぼ確実になった。国際オリンピック委員会(IOC)理事会で、どのように決められたのか。

 理事会は12日午前、ローザンヌのホテルで非公開で行われた。理事会に出席できるロゲ会長と4人の副会長、10人の理事の計15人全員が顔をそろえた。

 カルシュミット理事(グアテマラ)によると、会議ではまず、事前にプログラム委員会が各理事に配布した全26競技の報告書について検討した。報告書は、ロンドン五輪でのテレビ視聴率やチケットの売り上げ、反ドーピングへの取り組みや競技の世界的普及度など36項目について、26競技ごとに分析したものだ。

 報告書を基にした話し合いを経て、「中核競技」から外れる候補としてレスリング、近代5種、ホッケー、カヌー、テコンドーの5競技が残ったという。無記名の投票で、最後にレスリングの除外が決まった


私も、グレコローマンの存続はやばいんじゃないかという程度の情報は耳にしていましたし、また女子レスリングは日本が勝ちすぎているんじゃないのという気はしました(そのような競技は、当然世界的にあまりいい顔はされません)。だから、グレコローマン廃止とか女子レスリング廃止くらいなら「ありかな」という気もしたのですが(もっともいまの時代男子・女子の競技で女子(男子)のみ廃止というのはなしでしょうね)、けっきょくIOCの幹部委員たちにとっては、レスリングというのは廃止しても仕方ない競技という認識だったということです。また西欧があまり強くない競技なので、主流である西欧の委員たちにはあまりレスリングへの関心がなかったのではという指摘もありました。その指摘が妥当なのかどうかは私は判断できませんが、もう「伝統」「歴史」といったことにあぐらをかいていられる時代ではないということですね。けっきょく関係者が甘い認識でいたということです。

さてそうすると…やはりオリンピック種目でないということは、競技者たちのやる気は大幅に削がれますよね。

一昨日羽田空港を利用したところ、2020年の五輪東京招致をアピールする看板がたくさんあり、その中にはレスリングの選手の写真もありました。現段階では確定していないとはいえ、2020年大会での除外が決定的である競技の選手である彼女らを招致に表立って起用していいんですかね。起用を中止したらものすごく失礼かもしれませんが、招致対象の大会からはずされた競技の選手を招致活動の顔とし続けるのも無理があるかと思います。どっちにしても関係者は傷つきます。仕方ありませんが、それもどうかです。それから将来のオリンピック選手を目指して日々努力している(いた)人たちも思いっきり失望することになります。どうにもならないしどうしようもありません。

いままでにこのブログで、何人かの女子レスリング選手についての記事を書きました。浜口京子はさすがに2020年は直接関係ないでしょうが、

>まだ次がある。いつか家族から五輪選手を出したい。それまで指導者はやめられない

とまで語っていた(一応私なりの考えを書きますと、子どもその他を追いつめかねないこのような発言は、人間として妥当ではないと私は思います)山本郁榮は、いまかなり深い失望感に沈んでいるかと思います。テレビなどで紹介されたこともある彼の孫(山本美憂の息子)も、2016年の大会は代表に間に合いません。どうやら次はなさそうです。

私はアスリートでもない単なる凡人ですので、「オリンピックだけが人生じゃないだろ」と思いますが、一部のアスリートにとってはオリンピックこそが人生です。誰も何もどうしようもない話ですが、彼(女)は本当に文字通り人生の目標がなくなったということです。それは気の毒です。

でもレスリングがオリンピック種目からはずされるんですから、ほかも陸上とかはともかく、そうでない競技はオリンピック種目であり続けるために、最大限の努力をし続ける必要がありますね。今後レスリングがオリンピック種目に復活するか、するとしていつなのかは見通しが立ちませんが、復活する日まではレスリング人口は低迷するのは避けられません。この件も、私なりに今後を注視したいと思います。

なお、私は東京へのオリンピック招致は反対の意見ですが、この記事はそれとは無関係ですのでご理解を願います。

2月17日追記:bogus-simotukareさんからコメント欄より、興味深い記事のご紹介がありました。コメント返しにも書いたように、20年イスタンブール開催が決まった場合をIOCがかなり心配した可能性は高そうですね。それから日本でもそうであるように、レスリングというのがなかなか特殊なスポーツで、テコンドーほども気楽に始められないという事情も問題があるかと思います。引用はこちら

レスリング除外危機の真相、根は深く以前から潜行 五輪開催地の問題も事態を複雑化2013.02.16

 2020年の夏季五輪でレスリングを除外候補としたIOC(国際オリンピック委員会)の決定に対し、日本や米国、ロシア、イランなど各国から一斉に批判が噴出。IOCの幹部からは“復活”を示唆する声も出始めており、光明は見えてきた。だが、除外の動きは以前から進行しており、その根は深い。格闘技に詳しいスポーツジャーナリスト・片岡亮氏がレスリング除外の全真相に迫った。

 今回のIOC決定に関係者は真っ青だ。レスリング関係者はもちろん、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長でさえ寝耳に水だったからだ。

 「日本人はアピールが下手だ」「ロビー活動不足ではないか」

 関係者からはそんな声も出ているが、今回の件は日本に落ち度があったというレベルの話ではない。確かに、日本の情報不足はお粗末だったが、除外候補決定は唐突なことではなかった。国内の関係者は「レスリングは以前からIOCの要請に応じず、委員たちの印象は悪くなっていた」という。

 「レスリングには上半身のグレコローマン、全身のフリースタイルの2種類があり、それが男女で18階級もある。競技の肥大化を嫌うIOCは、15年も前から変革を求めていたんです。しかし、レスリング側は逆に女子の階級を増やして合計21とすることを求めていた」

 皮肉にも、古代ギリシャから続く伝統競技というプライドがネックとなったのだ。同じ伝統格闘技である柔道は近年、青い道着を導入し、ルールまでも変更。ヨーロッパ型の「JUDO」に変化して生き残りを図ったが、レスリングはそれができなかった。

 また今回、同じ格闘技であるテコンドーが残ることに対し、「なぜ?」という意見も出ている。だが、実は競技人口はテコンドーの方が多いのだ。競技人口が153カ国100万人とされるレスリングに対し、テコンドーは近年の発展がめざましく、国際連盟の自称ながら204カ国5000万人とされる。これは空手やヨガなどエクササイズも併用した道場の会員数で一概に競技人口とまでは言いにくいが、海外の辺境地でもテコンドーの町道場を見かけるほど広がっているのは確かだ。

 さらに、日本のお家芸である女子レスリングが“除外”の一因になった面もあるという。

 「女子は04年のアテネ五輪で種目となってからも競技人口が増えず、その対策も見えていませんでした。各階級の平均参加国は30カ国で、これはテコンドーの47と比べても少ないのです」(同)

 参加国の伸び悩みには、女性が肌をさらして組み合うことに抵抗が強いイスラム圏の不参加が大きく影響している。しかも、20年の開催地としてイスラム圏のトルコ・イスタンブールが決まった場合、「トルコに女子選手はいるものの『厄介なことになる』というIOC側の意見は根強かった」(関係者)。

 「過去の世界選手権では、イスラム圏の男子選手が『女子と同じマットで試合はできない』と棄権したこともありました。強く反発する宗教指導者もいて、かりにイスタンブール開催なら過激な抗議デモなどに発展する恐れもあった」

 一部には「女子は種目化させるべきではなかった」という声もあるほどだという。

 日本はレスリング大国の米国やロシア、それにイランとまで共闘して“復活”を目指そうとしているが、除外理由は単純ではないため、見通しは厳しい。
コメント (18)
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