三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

三重県木本で虐殺された朝鮮人労働者の追悼碑を建立する会と紀州鉱山の真実を明らかにする会

アジア太平洋における日本の国家犯罪・アジア太平洋民衆の抗日反日闘争

2020年02月09日 | 海南島近現代史研究会
 以下は、きのう(2020年2月8日)開催した海南島近現代史研究会第25回定例研究会(主題:歴史認識と社会変革)での佐藤正人の報告(アジア太平洋における日本の国家犯罪・アジア太平洋民衆の抗日反日闘争)の要旨です。
 次回の海南島近現代史研究会第14回総会・第26回定例研究会は、9月5日に開催します。

                       海南島近現代史研究会

■アジア太平洋における日本の国家犯罪・アジア太平洋民衆の抗日反日闘争■
                           佐藤正人
☸Ⅰ 民衆の歴史研究、民衆の歴史認識、民衆の歴史思想
■歴史認識の手段としての歴史研究
  民衆の歴史研究の方法。
  事実を知ること。事実について考えること。
  歴史学・考古学(考現学)・経済学・法律学、哲学、認識学、宗教学、自然科学(数学、天文学、生物学、物理学、化学……)。
  社会科学としての歴史学・考古学。実証を基礎とする歴史認識。
  
  海南島近現代史研究会の歴史研究の方法。
  民衆史=民衆の歴史・民衆の歴史研究。
  日本の国家犯罪を総体として認識し伝達する方法。
  国民国家日本の海南島における侵略犯罪を総体として認識する方法。
  「現地調査」(侵略と植民地支配の事実究明、抗日反日闘争史探求の調査)。必然的な偶然の出会い。

  被害者・目撃者からの聞きとり(死者からは、聞きとりできない)。証言を聞く者のありかた。
  加害者からの聞きとり。犯罪の「記憶」。犯罪者の沈黙・証言(告白)拒否。沈黙のままの自然死。
  聞きとって、どうするのか 。
      侵略犯罪の解明 → 責任追及(犯罪の責任・犯罪を隠しつづけてきた責任)→ 国家
     謝罪・国家賠償、責任者(最悪の犯罪者ヒロヒトら)処罰。アジア太平洋に侵入し
     た日本企業の過去と現在の侵略犯罪解明・責任追及。

■歴史認識の主体  歴史の主体
  歴史認識は認識者の道徳・価値観、想像力、生き方(生活)に規定される。
  認識者の道徳・価値観、想像力、生き方(生活)は、認識者の歴史認識に規定される。
  歴史意識。歴史思想。歴史観。

■歴史認識における遠近法
  核心的な事実はなにか。事実の核心はなにか。
  一つの歴史事実に世界史が内包されている。細部が全体を構成している。
  諸事実の諸関係のなかで、個々の事実を解明できる。
  認識主体のありかたと思想によって事実の内容が規定される。
  事実の内容は、その事実を示すコトバに表現されている(同じコトバが対立する思想を示している場合もある)。
    ※壬辰丁酉戦争、壬辰戦争、「文禄・慶長の役」、「朝鮮征伐」(『広辞苑』1973年
     8月15日第2叛第7版)。
    ※三・一独立運動、「万歳事件」。
    ※アジア太平洋戦争、太平洋戦争、Pacific War、「大東亜戦争」(1941年12月12日、
     東條内閣「閣議決定」。「大東亞新秩序建設を目的とする戰爭」)、「太平洋・大
     東亜戦争」。
    ※「平和」をかかげる戦争法(「平和安全法制整備法」+「国際平和支援法」)公布
     (2015年9月30日)・施行(2016年3月29日)。
    ※地名。 オキナワ。ウルマネシア。琉球弧。琉球。琉球・八重山。ウチナァ。ウチ
     ナーチン。沖縄県。
    ※強制連行。強制労働。   被強虜赴日。 「特殊工人」。
    ※「従軍慰安婦」。「慰安婦」。「日本軍性奴隷」。「日本軍隊性奴隷」。
      韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協 한국정신대문제대책협의회)。
      日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯(正義連。일본군성노예제문제
      해결을위한정의기억연대)。
    ※アイヌ。「旧土人」。
     イヌイット。イヌビアック。ユッピック。カラーリット。イト。「エスキモー」。
 
  普遍的な道徳・価値観はあるのか。被侵略者の道徳・価値観と侵略者の道徳・価値は同じではない。

■社会変革の実践としての客観的な歴史認識
  客観的な歴史認識とは?
  客観的な歴史認識=主体的歴史認識。
  主体形成の過程での客観的な歴史認識。
  史実は証拠に基づいて解明される。
  証拠:文書(記録、)、もの(遺物、遺構、遺跡、遺骨……、碑)、伝承、証言、絵画・映像・音・声。
      ※碑 アイヌモシリ江別市対雁に、「樺太移住旧土人先祖之墓」建立(1931年
       8月、津山仁蔵建之)。
       海南島楽会県(瓊海市)に、「互助郷坡村長仙三古南橋雅昌佳文風嶺吉嶺官園
       等村抗戦死難民難民衆公墓」建設(1947年7月)。
       シンガポールに、「日本佔领时期死难人民纪念碑(The Memorial to the Civilian
       Victims of the Japanese Occupation。日本占領時期死難人民記念碑)」建立(1967年2月15日)。
       海南島万寧市月塘村で、犠牲者すべての名を刻んだ「月塘三・廿一惨案紀念
       碑」除幕(2008年4月26日、農暦3月21日)。
       日本三重県熊野市紀和町で、紀州鉱山で亡くなった朝鮮人を追悼する碑除幕
       (2010年3月28日)。
       海南島東方市四更鎮旦場村で、「旦場抗日遇難同胞紀念碑」除幕(2015年3月
       19日)。

■客観的な歴史認識は社会変革の過程で形成され、社会変革の力は客観的な歴史認識によって強化される

☸2 民衆史、地域史、世界史
■民衆史とは
  民衆の歴史。  民衆の認識する歴史。  民衆が追求する歴史。
  歴史認識深化の過程は、絶えざる歴史意識変革の過程。

■地域史と世界史
  地域(日常の生活空間……国家……アジア太平洋……世界)
  諸地域・諸国家の近現代史は、世界近現代史に規定され、世界近現代史を規定してきた。
  侵略諸国家・諸民族の侵略の世界史は、被侵略諸国家・諸民族の抵抗の世界史。

☸3 アジア太平洋における国民国家日本の国家犯罪
  1869年9月 アイヌモシリ領土化(アイヌモシリの一部を「北海道」と名づける)。
  1872年10月 琉球王国植民地化(琉球王国併合、「琉球処分」、琉球王国→琉球藩)。
  1874年5月 日本陸海軍台湾侵入(「台湾蕃地処分」)。         「雲揚」使用
  1875年9月 日本小型砲艦「雲揚」、朝鮮の首都に近い江華島海域に侵入。
  1876年2月 朝日修好条規(조일수호 조약。江華島条約)調印・発効。
  1877年3月「竹島外一島之義本邦関係無之義ト可相心得事」とする太政官指令。
  1879年4月 琉球王国を日本領土とし「琉球藩」を「沖縄県」と名づける(第2次「琉球処分」)。
  1895年? 八重山地域領土化。
  1895年 台湾、澎湖列島、遼東半島植民地化。
  1905年 独島領土化・大韓帝国植民地化。
  1905年 遼東半島(「関東州」)植民地化。
  1910年8月 「韓国併合」。   1910年5月~ 幸徳秋水ら逮捕(1911年1月処刑)。
  1914年 「南洋群島」領土化。
  1931年9月 日本軍(「関東軍」)中国東北部・モンゴル東南部侵略開始。
  1932年3月 日本政府、「満州国」作成。  1933年2月29日 小林多喜二虐殺。
  1939年~41年 蒙古聯合自治政府。→ 1941年~45年 蒙古自治邦政府。
  1939年~45年 海南島植民地化。

☸4 アジア太平洋民衆の抗日反日闘争
■前史
  アイヌモシリで(1457年~58年:コシャマインらの闘い。1669年~72年:シャクシャインらの闘い)。
  朝鮮で(1592年~1593年 壬辰戦争。1597年~1598年、丁酉戦争)。
■国民国家日本形成後
  台湾、朝鮮、シベリア、中国東北部、モンゴル、中国、ホンコン、シンガポール、フィリピン、インドネシア(オランダ領東インド。Dutch East Indies。蘭領東印度。蘭印)、タイ、ベトナム・カンボジア・ラオス(フランス領インドシナ。仏印)、マレーシア、ビルマ、海南島、ウルマネシア。

  1900年~1901年 義和団戦争。1906年~1914年 朝鮮独立戦争。1918年~1922年 シベリア戦争。1919年 3・1独立運動。1919年 5・4運動。1920年 青山里戦闘。1940年8月~12月 百団大戦。1942年2月~1945年8月 フクバラハップ抗日戦争。1944年6月~9月 拉孟・騰越戦闘。

☸5 民族・国家
■民族と国家
  中華民族、中華民国五族(漢・満・蒙・回・蔵。五族共和)、満州五族(和・韓・満・蒙・漢。語族協和)。
  国民、「臣民」、「皇民」、人民。  
  庶民、民衆、大衆、ピープル、マルチチュード、市民(シティズン、シトワイヤン)。
  民族。先住民族。少数民族。多数民族。国民。    国民国家。単一民族国家は実在しない。
  侵略国家、国民国家、民族国家。
  国家。国民。社会。   日本社会。
  国家。大地・海。

  アイヌ。ウチナンチュー。朝鮮人。韓国人。韓国・朝鮮人。中国人。チベット人。インド人。ネパール人。ブータン人。日本人。インドネシア人。アラブ人。シンガポール人。ノルウェー人。デンマーク人、イギリス人。イスラエル人。ユダヤ人。アメリカ人。メキシコ人。ブラジル人。

  侵略思想としてのナショナリズム・反侵略思想としてのナショナリズム。

☸6 歴史認識は、現在を認識すること
  過去を知り、いまを生き、未来を思う

☸補 
  15世紀末いらい、スペイン、ポルトガル、オランダ、イングランド、フランス、ベルギ―、ドイツ、アメリカ合州国、ロシア……は、世界各地で文化財を含む大量の財(資源、労働力)を強奪した。 
  19世紀後半から国民国家日本もその強奪をくりかえしてきた。

■文化財返還問題 ⊂ 略奪物返還問題
  文化財返還問題は侵略国家が他地域他国から略奪した財の返還問題の一環。
  遺骨の「返還問題」は、極度に重大な「返還問題」である。
  アイヌ、奄美人、沖縄人の遺骨を「研究」のために盗み、奪い続けてきたのは、児玉作左衛門、山崎春雄、金関丈生、小金井良精……ら日本の「アカデミズム」の者たち。⇔東大、京大、北大、サッポロ医科大、大阪大……。
  小金井良精らがオタルで奪ったアイヌの遺骨20体は、1888年以後、東大、北大、新潟大、サッポロ医大が奪い続けている。この遺骨は、2020年4月24日に白老に開設される「ウポポイ(民族共生象徴空間)」に移されようとしている。

■2018年10月30日~   韓国大法院判決
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「米コネチカット州に「平和... | トップ | 五十嵐彰「文化財返還問題に... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

海南島近現代史研究会」カテゴリの最新記事