く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<アカンサス(葉薊)> 圧倒的な存在感 高さ2mの直立した穂に段咲き

2012年05月31日 | 花の四季

【ギリシャの国花、巨大な葉は円柱装飾のモチーフに】

 大阪・天王寺公園内にある庭園「慶沢園」を29日久しぶりに訪ねたら、入ってすぐ右手にアカンサスが今が盛りと咲き誇っていた。直立した花穂は高さが2m前後もあり、薄紫色のガクの下に白い花を垂らす。根際から四方に伸びる葉も幅が50~60cmと巨大。圧倒的な存在感だ。

 原産地は地中海沿岸の南欧で、日本には明治末期から大正にかけて渡来した。野山に多く自生するギリシャでは国花になっている。和名は「葉薊(ハアザミ)」。葉に大きな切れ込みがありギザギザなところがアザミに似ていることから、その名が付いた。ただアザミがキク科なのに対し、アカンサスはキツネノマゴ科と全く種が異なる。

 花の基部にある苞葉に鋭いトゲがある。アカンサスの名前もギリシャ語の「トゲ」に由来し、ギリシャ神話にも登場する。太陽の神アポロンが美しい娘アカンサスに一目惚れし求婚する。だが娘に拒否されたうえ爪で引っかかれる。怒ったアポロンは娘を爪のようなトゲがあるアカンサスに変えてしまった――。

 アカンサスの葉はギリシャ建築のコリント式円柱の彫刻のモチーフとして有名。紀元前5世紀、アテネの彫刻家が柱頭彫刻に採用したのが始まりで〝アカンサス文様〟として長く建築や工芸品、絨緞(じゅうたん)などに使われてきた。日本の1万円札の唐草文様もアカンサスでは、との指摘が一部であるが、これは吉祥を表す「宝相華(ほうそうげ)」という想像上の植物らしい。宝相華は正倉院の御物の図柄としても採用されている。

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<特別展 草原の王朝「契丹」> 王女の副葬品が物語る繁栄と文化レベルの高さ

2012年05月30日 | 美術

【黄金の仮面、銀糸の葬衣、彩色木棺……】

 29日、大阪市立美術館で開かれている「契丹」展へ。契丹王朝は約1100年前、唐が滅亡した直後に遊牧民族が中国北部に樹立し、1125年に滅ぶまで約200年間続いた。日本の平安時代中期から後期に当たる。近年の王族の墓や遺跡の発掘調査で、往時の繁栄ぶりを示すものが相次いで発見された。特別展は昨年9月から福岡を皮切りに国内を巡回しているもので、それらの発掘品約120点が展示されているが、その中には日本の国宝に当たる「中国一級文物」が多く含まれる。

 

 会場を入ってまず出迎えてくれたのが黄金の仮面や銀製の冠・靴、琥珀の首飾りなど。18歳の若さで亡くなったプリンセス「陳国公主」が身に付けていたもので、亡骸を覆っていたという銀糸製の葬衣や、再生を願って両手に握らせていたという琥珀握(こはくあく)などもあった。化粧箱の中の銀製容器にはまだ頬紅やおしろいが残っていたという。王女が使っていたものをそのまま納めたのだろう。いずれも1000年前のものとは思われないほど保存状態がいいことに驚かされる。大きな木製の小屋「家形木槨」のそばには机や椅子も。これらも王女の墓の中に納められていたという。

 会場を進み目の前に現れたのは巨大な「彩色木棺」。これは別の「トルキ山古墓」という所から2003年に見つかったもので、当時「世紀の大発見」と注目された。契丹建国当初のプリンセスの棺で、朱や金箔などが色鮮やかに残っていた。回りの欄干には守護のための獅子像。ところが出土後、温度・湿度の管理がうまくいかず、色が褪せ表面にはひび割れも。そのため、日中両国のチームが3年がかりで共同作業に取り組んで、ようやく当時の色合いと輝きを取り戻すことができた。木棺とともに発見された王女の亡骸には頭に黒髪がそっくり残っていたという。そのビデオの映像にもびっくり。

 「あまり期待していなかったが、予想以上だった」。知人のこんな言葉に促されての契丹展の鑑賞だったが、その通り、一見の価値のあるものだった。中国の国土の広さは日本の25倍。中国は毎年「十大考古新発見」を発表しているが、広大で古い歴史を持つ中国にはまだまだ多くの歴史遺産が眠っているのではないだろうか。

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<ゼラニウム(天竺葵)> 原産地は南アフリカ 江戸時代末期に渡来

2012年05月29日 | 花の四季

【かつては花より葉の文様に人気 「番付表」まで登場】

 和名を「天竺葵」というが、原産地は南アフリカ。日本には江戸時代末期にオランダから長崎の出島に入ってきた。中国よりさらに遠い国からやって来たということで頭に「天竺」(今のインド)が付いたらしい。天竺を冠した植物にはこのほか天竺豆(ソラマメ)、天竺牡丹(ダリア)などがある。和名の下の「葵」は葉が徳川家の紋所にもなっているアオイに似ているから付いたそうだ。

 葉に斑(ふ)や珍しい文様が入ったものを錦葉ゼラニウムと呼ぶ。長く花より錦葉に人気が集まり、1900年代半ばごろまで「葉変葵銘鑑」という番付まで発行されていた。「○○山」「○○錦」といった名前が多く、まるで相撲の番付。かつて万年青(オモト)、春蘭、桜草、菊、変化朝顔などにも番付があったが、その多くは日本在来の〝古典園芸植物〟。外来なのに番付まであったことが、ゼラニウムの当時の人気ぶりを示す。

 日本でゼラニウムというと、一般的にフウロソウ(風露草)科ペラルゴニウム属のうちゾナール種を指す。葉や茎から特有の香りを放つのが特徴で、そのにおいを嫌がる虫も多いためコンパニオンプランツ(随伴植物)の一つに挙げられる。コンパニオンプランツは一緒に植えたり、そばに置いておくと、害虫や病気を防いでくれたり、生育を促してくれたりする植物。花の色は赤、白、ピンクなど多彩で、乾燥に強く5月ごろから晩秋まで咲き続ける。

 ゼラニウムは窓辺を飾る花として西洋でも古くから人気を集めてきた。中でも英国では19世紀に大流行したという。ゼラニウムの仲間には葉に芳香を持つセンティッド・ゼラニウム(匂い天竺葵)、葉がツタに似て吊り鉢に適したアイビーゼラニウム(蔦葉天竺葵)、パンジーに似た花を付けるパンジーゼラニウムなどがある。さらにセンティッドは香りによってローズゼラニウムをはじめペパーミント、グレープフルーツなど様々な品種が作り出されている。

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<バレー女子世界最終予選> 日本4位、薄氷の五輪切符獲得

2012年05月28日 | スポーツ

【わずか1セットの差で、悪夢の予選敗退もあり得た!】

 世界ランキング3位で、ロンドン五輪世界最終予選に出場した8カ国の中で最上位。その日本女子「火の鳥NIPPON」が苦しみ抜いた末、最終日の27日ようやく五輪切符を手に入れた。目標は1位通過で五輪への弾みとするはずだった。だが4戦目の韓国戦を境に目算は大きく狂い、出場権獲得は最終日までずれ込んだ。その試合でもう1セット落としていたら、日本は予選敗退という屈辱を味わうところだった。戦前、誰がそんな展開を予想しただろうか。

                 4位となりアジア枠での五輪出場が決まった日本チーム(FIVB世界バレーボール連盟提供)

 最終予選最後の1戦、日本対セルビアは両国とともにタイも加えた3カ国のまさに命運がかかっていた。日本はこの試合で勝敗とはかかわらず2セット取ればOK。セルビアは勝つしか後がない。タイは日本が勝つか、または日本がセルビアに負けてセットカウントが0―3か1―3なら日本とのセット率の差で出場権が手に入った(この場合、日本は5位となり出場ならず)。つまりタイは日本―セルビアがフルセットで2―3にならない限り、五輪はすぐ目の前にあった。3チームにとってまさに1セットが明暗を分ける試合だった。

【タイ、セット率で夢の五輪初出場ならず】

 フルセットにもつれ込んだ1戦は2―3で日本が負けた。その結果、セルビアが3位となって1位ロシア、2位韓国とともに出場権を獲得。4位の日本はアジア枠(4位以下のアジア最上位)でどうにか切符を手に入れた。勝つしかないセルビアの気迫がセットカウント1―2からの大逆転劇につながったのだろう。試合直後、セルビア選手たちが喜びを爆発させていたのが印象的だった。

 一方、タイにとっては五輪初出場の夢がかかっていただけに、選手や関係者は固唾を飲んで試合の成り行きを見守っていたに違いない。だがタイにとってはフルセットの末の日本の逆転負けという最悪の結果。夢は最後の最後で無残にも打ち砕かれた。選手やタイ国民の落胆ぶりを思うと、気の毒でならない。

【高さへの備え、相手エースのマークが機能不全】

 今大会、日本は韓国戦で完敗したのが最後まで尾を引いた。韓国のキム・ヨンギョンはかつて日本のプレミアリーグ「JT」で活躍した大エース。最も警戒が必要な選手と分かっていながら、好き放題に強烈スパイクを次々と決められた。キムの1戦目からの得点経過を振り返ると、キューバ戦16点、ロシア戦13点、セルビア戦30点、そして日本戦34点、台湾戦10点、タイ戦23点、ペルー戦8点。五輪切符を手に入れるための最大のライバル、日本とセルビア、タイに初めから照準を合わせていたことがうかがわれる。

 日本は続くロシア戦でもエース、ガモワを中心とする2m前後の大型選手に対処できずストレートでの力負け。ガモワも相手7カ国のうち日本戦で最多の25点を挙げている。ロシアの高い打点からのスパイクとともに、ブロック陣のワナにことごとくはまった。日ロ戦では日本のブロックポイント5点に対しロシアは3倍の15点だった。日韓戦では日本7点に対し韓国12点。キューバ戦では日本のブロック4点に対し4倍の16点も取られた。日本にとって高さ対策が最大の課題であることが改めて浮き彫りになった。その備えがなければ、メダルなど到底望めそうにない。

【木村はエースの活躍。だが〝木村頼み〟で後半疲労蓄積】

 今大会の日本選手の活躍を振り返るとエース木村の活躍が光った。ベストスコアラー(総得点ランキング)で全選手中3位、ベストサーバー部門で2位、さらにベストレシーバー部門でも4位。ただ最後の2試合は序盤から随分汗をかいて見た目にも疲労がたまっているのが分かるほど。そのためかスパイク決定率も思うように上がらなかった。木村に次いで江畑も健闘した。ベストスコアラーで5位、ベストサーバーで3位。ベテラン竹下はベストセッターで2位、守りの要・佐野はベストディガー部門3位と役割を果たした。

 今大会を通じて拾ってつなぐ日本バレーは随所に見せた。だが後半戦では世界の壁の高さを改めて実感させられた。ミスの多さも目立った。五輪で上位を目指すためには木村、江畑の両エースを補完する強力なアタッカーがもう1~2枚欲しい。五輪本番まであと2カ月余。6月8日からは五輪前哨戦ワールドグランプリも開幕する。今大会の苦い経験をどう生かすか。2010年世界選手権銅メダル、世界ランキング3位といったレッテルを一度全て取り払って、改めて日本バレーの形を再確認しながら臨みたい。

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<藤城清治影絵展> 米寿記念展 透明感あふれる光と影の幻想世界

2012年05月27日 | ひと模様

【6会場に250点余、過去最大の展覧会】

 26日、奈良県立美術館。影絵作家の第一人者、藤城清治はこの4月17日に米寿(88歳)を迎えたばかり。これまでに童話や聖書、自然風景などを題材として描いた作品は1000点を優に超える。「影絵は自然と人間の夢と技とのコラボレーション」(藤城)。東京生まれだが、奈良は「ぼくのふるさと」という。会場にはアルバムに1枚しか残っていないという幼児期のモノクロ写真が飾られていた。奈良公園のシカを前に、両親と姉と一緒に写った80年ほど前の写真。万葉集から着想を得た大壁画や若草山の山焼きを描いた影絵の新作なども展示され、奈良への熱い思いもあふれていた。

 

「悲しくも美しい平和への遺産」と「ねずみの海賊船」

 「光彩陸離」という影絵の壁画に圧倒された。北海道・生田原の「コロポックル影絵美術館」に展示している大壁画(縦9m、横18m)の縮小レプリカだが、自然の息吹が繊細に描かれ、思わずため息が出るほど。2年がかりで精魂を傾けた作品という。描かれた木々の葉は10万枚以上、花びらは6万枚以上、それらを切り取るために使ったカミソリの刃は5万枚を超えるという。想像しただけでも気が遠くなりそうだ。

 「歌が世界を動かした ウィー・アー・ザ・ワールド」も感動的だった。1985年、大飢饉に襲われたアフリカの子供たちを救おうと、マイケル・ジャクソンがライオネル・リッチーと共に曲作り、多くの歌手仲間に呼びかけてレコーディングした。この救済活動を影絵に描き絵本にしたものだが、マイケル・ジャクソンをはじめスーパースター1人ひとりの表情が実に生き生きと描かれていた。そのコーナーには「マイケル・ジャクソン追悼」と書かれていたが、彼の急逝が実に惜しまれる。

   

1~2階の階段踊り場に展示された大壁画「萩と鹿」(藤城清治「88歳米寿を迎えるぼくが渾身の力を振り絞って描いた万葉集と奈良への愛と情熱の結晶」)

 藤城の創作意欲の源泉はどこにあるのだろうか。作品の数々を鑑賞しながら、こんな疑問がずっと頭をよぎっていた。影絵の世界に踏み込んで半世紀以上。この間、絶えず影絵の新しい可能性に挑戦してきた。その自負とともに第一人者としての責任感が創作意欲を駆り立てているのか。作品の中には郷愁を誘うものや心温まるメルヘンチックなものも多かった。見ているうちに山下清、いわさきちひろ、原田泰治らの作品がふと思い浮かぶ瞬間があった。

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<BOOK> 「奈良県 謎解き散歩」

2012年05月26日 | BOOK

【大宮守友編著、新人物文庫発行】

 都道府県別に順番に出版している「謎解き散歩シリーズ」の一つ。奈良の歴史や民俗、動植物などに詳しい9人が分担して執筆している。「奈良県ってどんなとこ?」から始まって、歴史・考古・史跡編、人物・宗教編、民俗・産業編など6章で構成。「歴史散歩」では平城京跡、飛鳥京跡、山の辺の道、南朝・後南朝の史跡などの見どころを簡潔に紹介しており、手軽なガイドブックとしても役立ちそう。

    

 約100編の中でまず目を引いたのが「郡山城が奈良県の文化財を破壊した!?」という少し衝撃的なタイトル。平城京跡からは瓦や木簡などは多く出土するが、大極殿など大型建物の柱を支える礎石は見つかっていない。編著者でもある大宮氏は「この文化財破壊の犯人はどうも郡山城を築いた筒井順慶らしい」と推測する。順慶は1583年、羽柴秀吉・柴田勝家両軍の衝突に備え、城の守りを固めるため天守閣を造営する。「この時、よほど急いだとみえて、郡山や奈良あたりの石は手当たりしだい郡山城へ運んだ。平城京が荒らされたのも、路傍の石仏まで積み込まれたのもこの時であった」。そういえば以前郡山城に行った時、石垣の少し奥に、下の写真のように斜め下を向いたままの石仏があった。これもその時の築城の人柱、いや〝仏柱〟なのだろうか。

    

 次に「川路聖謨が貧民に慕われたわけ」。川路は幕末の奈良奉行で佐保川の「川路桜」に名をとどめる(4月10日付「花の四季」で紹介)。その川路が5年間の任を終え奈良を離れる時、「困窮を救われた人々数百人が一、二里から三里ばかりも同道して見送った」。着任以来、病人や老人、貧しい人の救済に努め、自ら寄付したり市中から基金を募ったりして救済資金を積み立てていたという。奈良の恩人、川路の功績は緑化運動だけではなかった。

 その他――。△奈良漬の記録の初出は平城京跡から発掘された長屋王木簡に記された「粕漬瓜」 △正倉院宝庫が危険にさらされた火災は計5回も、他に1254年の落雷。この時の傷は北倉内側に残る △東大寺大仏殿の大屋根を支える「虹梁」と呼ばれる棟木の赤松2本は宮崎県の霧島山中から8カ月がかりで運ばれた △奈良県北部の秋祭りには今も古風な相撲神事が残っている(奈良市の奈良豆比古神社や長尾神社など)

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<クンシラン(君子蘭)> 君子のような高貴さ、ランのような豪華さ

2012年05月25日 | 花の四季

【明治時代末に渡来、品種改良で珍品・貴品も】

 南アフリカ原産の常緑植物。日本には明治時代の終わりごろ、やって来た。今のクンシランは10個前後の花を半球状に上向きに付けるが、渡来した当初の原種は花が下を向いていた。和名は「nobilis(ノビリス)=高貴な)」という種名に基づくが、一般にクンシランと呼ばれているのは種名が別の「miniata(ミニアータ)」という「ウケザキクンシラン」を指す。

 ランというがラン科ではなくてヒガンバナ科。その証拠に、ランの花は下側にフリフリの花びら(唇弁)が付くが、クンシランにはそれがない。根もランのようなバルブ(塊茎)ではない。ちなみにランの英語名「Orchid(オーキッド)」はギリシャ語で「睾丸」を意味するという。ランのバルブが睾丸に似ているから、この名が付いたそうだ。

 花の色は橙色が多いが、薄い黄色や白、ピンク、緑などもある。日本に入ってきて葉に斑(ふ)が入ったものや、「ダルマ系」といって葉や茎が短いものなどが品種改良の中で生まれてきた。鉢物植物の中ではもともと高価なものだが、今でも珍品・貴品にはかなりの高値がつくそうだ。熱心な愛好家が多く、国内各地に愛好会や同好会ができている。

 中国東北部のまち、長春市はクンシランを市花にしている。満州国時代の1930年代に日本から持ち込まれたのが始まりで、今では市民の多くがクンシランを育て、毎年春には「中国君子蘭祭」まで開かれている。今年3月の模様がネットの「人民網日本語版」で流れていたが、それによると「愛好家が様々な種類の君子蘭数万鉢を携えて参加、価格1万元以上の君子蘭が多く展示された」。ここまではいいけど、続けて「最も高価なものは3880万元」。1元が今およそ12円だから、え~っと……。写真入りで紹介していたけど、これ、本当の話?

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<バレー世界最終予選>日本、韓国に不覚 前半戦3勝1敗・2位で折り返す

2012年05月24日 | スポーツ

【26日ロシア戦、27日セルビア戦がカギ】

 バレーボール女子のロンドン五輪世界最終予戦は23日前半戦を終了、3連勝だった日本の「火の鳥NIPPON」は韓国に思わぬ完敗を喫し、ロシアに次いで2位で折り返した。25日から始まる後半3連戦に1位での五輪出場権獲得を目指す。後半戦の相手はキューバ、ロシア、セルビアと強豪ぞろい。ロシアはまだ負けなしの4連勝、セルビアには昨年のワールドカップでストレート負けしている。日本にとってはまさに正念場を迎える。

 前半4試合を終わった時点での成績(勝ち点と勝敗)は次の通り。①ロシア12点(4勝)②日本9点(3勝1敗)③セルビア9点(同)④韓国6点(2勝2敗)⑤タイ(同)⑥キューバ3点(1勝3敗)⑦ペルー3点(同)⑧台湾0点(4敗)。2位と3位はセット率、4位と5位、6位と7位はセット率も同じため得点率による。

【前半の得点ランキングは木村が全選手中2位】

 日本の前半戦を振り返ると、ペルー、台湾、タイ戦はいずれも3―0のストレート勝ちで地力の差を見せた。木村沙織と江畑幸子のダブルエースが機能し、要所で山口舞の速攻が決まるなど、日本ペースで試合を支配した。ところが23日の韓国戦はエースのキム・ヨンギョン1人に34得点も取られ、ミスによる得点も23点と韓国(12点)のほぼ2倍。第2セットをブロックポイントなどで取り返し立ち直るかと期待されたが、その後も最後まで韓国ペースを崩せなかった。

                    23日の韓国戦。キム・ヨンギョンのスパイクを木村、荒木がブロックするが……

 前半戦を数字でみると、得点ランキングは韓国のキム・ヨンギョンが断トツの93点で1位、次いで木村が68点で2位、ロシアのガモワが63点で3位。スパイク決定率は日本選手では木村(約40%)の10位が最高。ブロックでは岩坂名奈と荒木絵里香がともに9本で5~6位につけている。ベストレシーバー部門ではサーブで徹底的に狙われている木村が3位と健闘しているのが目を引く。また守備の要、リベロの佐野優子がベストディガー(相手スパイクの好レシーブ)部門の3位となっている。

【ロシア、セルビアの高さとパワー攻撃をどう防ぐ?】

 後半戦最初の相手キューバは平均年齢が21歳台と若いチームだが、韓国、ロシア、セルビアにストレート負けするなど元気がない。その中で目立つのが得点源のヒエルの活躍。前半戦のスパイク決定率は約60%と高く全選手中トップだ。またベストサーバー部門の10位以内にキューバ選手が3人も入っている。日本としてはサーブレシーブの精度を高めたい。キューバは五輪6大会連続出場を後半の戦いにかけているだけに日本も油断はできない。

 前半戦の戦いぶりから最大のライバルとして浮上してきたのがロシアだ。エステス、ゴンチャロワ、ガモワら190cm台から2m超の大型選手をそろえており、強烈なスパイクとともに、そびえ立つブロックも日本にとって大きな脅威。ブロックによる得点は4試合合計で42点に上る。日本もタイ戦で17本のブロックを決めたが、高い打点のロシアを止めるのはなかなか容易ではない。拾ってつなぎ、速攻や変則攻撃でその高さをどうかわすかがカギを握る。昨年8月のワールドグランプリではサーブで崩し、粘って日本ペースに持ち込む試合運びでロシアを3―0のストレートで下しており、その経験を生かしたい。

 最終戦のセルビアは昨年のヨーロッパ選手権の覇者で、ロシア同様、高さを武器とする。ミレーナ・ラシッチら190cm台をそろえ、台湾戦ではブロックだけで18点、タイ戦でも13点を稼いでいる。日本は昨年8月のワールドグランプリで2回戦って3―1、0―3と1勝1敗、五輪出場権がかかった同12月のワールドカップでは0―3と完敗している。ただセルビアも2戦目に当たったタイにストレート負けするなどもろさもある。

【韓国とタイの出場権争いの行方は?】

 この世界最終予選はアジア大陸予選も兼ねており、出場8カ国のうち上位3チームと、残り5チームのうちアジア最上位チームが五輪出場権を獲得する。その枠を巡って韓国とタイが激しく争っている。日本が韓国に負け、前半を終わって韓国とタイが勝ち点(ともに6点)で並んだことで、後半の3戦の行方に五輪切符がかかってきた。両国とも前半で世界ランキング10位以内の強豪4カ国との試合を終わっている。残る試合は韓国が台湾、タイ、ペルー、一方のタイはペルー、韓国、キューバ。26日の直接対決がまさに雌雄を決する大一番になりそうだ。

 韓国またはタイがその試合を含め後半の3戦を全勝した場合、勝ち点9を上積みし最終的に最大15点まで伸ばすことができる。その場合、現在9点の日本が後半の3試合のうち1つでも落とした場合、勝ち点が並ぶ可能性も出てきた。韓国戦での敗戦がせめて2―3なら勝ち点1を上乗せできたが、1―3で勝ち点がつかなかったのが痛い。日本にとっても後半戦は息の抜けない厳しい戦いが続く。

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<シャクヤク(芍薬)> 茎の先に豪華な大輪の花 風にゆらゆら

2012年05月23日 | 花の四季

【古名「えびすぐすり」(異国から来た薬草)】

 中国北東部原産。漢名「芍薬」の音読みでシャクヤクとなった。以前はキンポウゲ科に分類されていたが、今ではボタン科に属す。美人の形容として「立てば芍薬、座れば牡丹」といわれるように、まっすぐ伸びた茎の先に気品のある大輪の花を付ける。夕方になって少し冷え込んでくると、花びらを少し閉じる。その姿からか、「恥じらい、はにかみ」といった花言葉が当てられている。

 

 花も葉もボタンに似るが、ボタンが木なのに対しシャクヤクは多年生の草花。初春に顔を出す赤い新芽の力強さが印象的だ。根が太く、ボタンはシャクヤクの根に接いで増やす。その根は漢方の原料として古くから活用され、紀元前から栽培されていたという。乾燥した根そのものを元々芍薬と呼び、これを煎じて服用する。婦人病や腹痛、めまい、筋肉の痙攣などに効くという。日本に渡来したのは室町時代といわれるが、根はそれよりずっと早く5世紀ごろには薬用として渡ってきていたとの説もある。

 原種の花の色は白と赤の2種だったが、改良によって多くの品種が生まれた。特に江戸時代後期には品種改良が盛んに行われ、武家庭園に愛用され茶花としても人気を集めた。一重や八重のほか花の色も多彩。花芯(雄しべ)の形や大きさによって金しべ咲き、冠咲き、翁咲き、手毬咲きなどがある。とりわけ栽培に熱心だったのが肥後熊本藩で、「肥後シャクヤク」と呼ばれる。黄金色の花芯の盛り上がりが特徴で、戦前には200種ほどあったが、戦争や水害で多くを失い今残っているのは50種前後という。

 18世紀ごろには日本のシャクヤクが西洋に渡って、フランスを中心に品種改良され「西洋シャクヤク」が生まれた。日本には自生の山野草として「ヤマシャクヤク」がある。花は白い一重で、直径が4~5cmとシャクヤクに比べると小さく清楚な感じ。こちらは環境省のレッドリストの準絶滅危惧に指定されている。

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<女子ハンドボール>世界最終予選25日開幕 めざせ36年ぶり五輪出場!

2012年05月22日 | スポーツ

【参加12カ国、3組4チーム総当たり上位2チームが五輪切符】

 女子バレーボール「火の鳥NIPPON」がロンドン五輪世界最終予選で2連勝と順調な立ち上がりを見せる中、女子ハンドボールの「レインボージャパン」も25日から始まる世界最終予選に挑む。五輪に最後に出場したのが1976年のモントリオール五輪。この最終予選に36年ぶりの五輪出場をかける。

 女子ハンドボールのロンドン五輪出場枠は全部で12。そのうち半数の6つが確定ずみ。英国(開催国)、ノルウェー(世界選手権優勝)、韓国(アジア予選優勝)、ブラジル(米大陸予選優勝)、アンゴラ(アフリカ予選優勝)、スウェーデン(欧州予選2位。欧州予選1位のノルウェーが世界選手権でも優勝したため繰り上げ出場)の6カ国だ。残りの枠は6つ。最終予選には12カ国が参加、4カ国ずつ3グループに分かれ、グループごとに1回戦総当たりで上位2カ国が出場権を得る。

【世界選手権2大会連続2位のフランスは別格】

 日本は昨年10月のアジア予選(参加6カ国)で韓国に22―27で敗れ4勝1敗の2位に終わって最終予選に回った。第1グループに入った日本(世界選手権14位)は25日モンテネグロ(10位)、26日フランス(2位)、27日ルーマニア(13位)と戦う。グループごとにヨーロッパ各地で行うが、第1グループの開催地はフランスのリヨン。フランスチームにとっては地の利もある。

 日本の対戦相手は世界選手権の順位でみるといずれも上位に位置し手ごわいが、中でもフランスは別格。昨年12月の世界選手権の予選ラウンドでも日本はフランスに22―41と大敗を喫した。ルーマニアもフランスに20―39で敗れている。ハンドボールは日本ではまだマイナー競技だが、フランスでは非常に人気が高い。世界選手権(2年に1回)2大会連続準優勝という最近の実績からみても、フランスが3位以下になることはまず考えにくい。このためフランスを除く3カ国が残りの出場切符1枚をかけて争うことになりそうだ。

【実力は接近 日本、モンテネグロ、ルーマニア】

 日本は世界選手権予選ラウンドでルーマニアとは28―28で引き分けている。モンテネグロとは対戦したことがないが、世界選手権で優勝したノルウェーを相手に27―28と善戦しておりレベルはかなり高い。日本は世界選手権の決勝トーナメント1回戦で準決勝に進出したデンマークに22―23と善戦したものの敗れた。ただ決勝トーナメントに進出したモンテネグロ、ルーマニアの2カ国も同じく1回戦で敗退しており、実力的にはかなり接近しているだけに日本にもチャンスはある。

 順位は勝ち点(勝利2点、引き分け1点)で決まる。勝敗数が同じで勝ち点が並ぶと得失点差の勝負になる。それだけに初戦のモンテネグロ戦が五輪出場を大きく左右しそうだ。勝つか、悪くてもせめて引き分けて勝ち点を獲得できれば先が見えてくる。2戦目のフランス戦は世界選手権での大敗を教訓に失点をできるだけ抑えたい。そのうえで3戦目のルーマニア戦に全力を投入し勝つと2位の可能性も出て「36年ぶり」に大きく近づく。欧州勢に比べると体格的に劣るだけに、どれだけ攻守切り替えの機動力を発揮できるか、イージーミスを少なくして最後まで粘れるかがカギを握りそうだ。

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<カルミア(アメリカシャクナゲ)> 蕾は「金平糖」、花はかわいい「パラソル」

2012年05月21日 | 花の四季

【米国への桜プレゼントの返礼 100年前ハナミズキと共に日本へ】

 100年前の1915年(大正4年)、日本が贈った桜のお返しとして米国からハナミズキなどと共に日本にやって来た。北米東部原産のツツジ科の常緑低木で、コネチカット州やペンシルベニア州では「州花」にもなっている。原産地では8mにも達する大木もあるそうだが、日本ではせいぜい2mが限界という。我が家のカルミアも地植えして10年以上たつが、生育環境が合わないのか、ようやく80cmに届いた程度。

 「アメリカシャクナゲ」の別名を持つが、花の形は日本のシャクナゲとは全く違って幾何学的なユニークな形。星形の蕾はまるで金平糖。それが開くと今度はおしゃれなパラソルがパッと開いた感じ。そのため「ハナガサシャクナゲ」という呼び名も。花はかわいいが、長い楕円形の葉にはアンドロメドトキシンという有毒成分が含まれているそうだ。

 米国ではカルミアのことを「スプーンの木」とも呼ぶ。アメリカ先住民がカルミアの根をスプーンの材料に使っていたためという。日本に入って100年になるが、本格的に輸入され始めたのは終戦後。今では「ラティフォリア」「オスボレッド」「レッドクラウン」などさまざまな園芸品種が出回っており、花の色もピンクのほか白や濃紅色などもある。

 「カルミア」の名前はフィンランド生まれの植物学者ペール・カルム(1715~79年)にちなむ。カルムはリンネの弟子で、北米を探検した時に収集しヨーロッパに持ち帰った大量の植物標本や種子の中にカルミアも含まれていた。母国フィンランドは昨年、カルムの功績をたたえ10ユーロの記念銀貨を発行した。コインの表には「カルミア・ラティフォリア」の花が刻まれている。

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<国指定の天然記念物> 奈良は19件 大阪、滋賀に次いで全国で3番目に少ない!

2012年05月20日 | メモ

【奈良大学公開講座「奈良の自然と天然記念物」】

 19日。講師は教養部の岩崎敬二教授。1957年愛知県生まれで、動物生態学専攻。緑色の明石縮の和服姿で講義。まずセミを例に挙げ「日本人が虫の鳴き声を聞き分けることができることに、欧米人は『アンビリーバブル!』と驚く。日本と英国は同じ島国でも日本には英国の4倍もの種類の生物がいる。日本独自の文化は日本固有の豊かな自然があってこそ生まれた」との前置きで講義はスタート。以下その概要。

 国指定の天然記念物は現在994件。その50%以上を植物が占める。都道府県別にみると、奈良県は19件(植物16件、動物2件、地質鉱物1件)で、大阪府、滋賀県に次いで少ない。県指定の天然記念物は全国で2905件あるが、そのうち奈良県は60件で、これも大阪府、滋賀県に次いで3番目に少ない。奈良の天然記念物の特徴は①古くから保護されていた原生的な社寺林や林床植物が多い②大和の歴史・文化と関わりのあるものが多い③植物では北方植物分布の南限、または南方植物分布の北限に当たるものが多い――など。

 国指定天然記念物〔春日山原始林〕春日大社の創建(746年)以来ほとんど人の手が加わっていない。高木はツブラジイ、低木はヒサカキが多いが、最近は外来樹のナンキンハゼの侵入、シカの食害で林床植物の減少が懸念されている〔知足院ナラヤエザクラ〕県花。「いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重に匂いぬるかな」(伊勢大輔)を基に植物学者三好学が探し求め東大寺の塔頭知足院で発見〔奈良のシカ〕春日大社創建の由来にちなみ藤原氏が手厚く保護〔ルーミスシジミ生息地〕春日山原始林内に指定地があるが、1976年以降発見されていない〔宇陀市向淵(むこうじ)と奈良市吐山(はやま)のスズラン群落〕国内のスズラン分布の南限〔上北山村のシシンラン群落〕イワタバコ科の暖地性着生植物。盗採で絶滅状態だが地元の熱心な保護でかろうじて存続〔吉野町の妹山樹叢〕大名持神社創建(859年)以来、樹木の伐採を禁止。山頂付近で新種のツルマンリョウ発見。人形浄瑠璃「妹背山婦女庭訓」の妹山背山の段の舞台として有名

 そのほかの国指定は春日神社境内のナギ樹林/三ノ公川トガサワラ原始林/二見の大ムク/仏経岳原始林/八ツ房スギ/与喜山暖帯林/丹生川上中社のツルマンリョウ自生地/宇陀市のカザグルマ自生地/天川村・大塔村のオオヤマレンゲ自生地/室生山暖地性シダ群落/屏風岩・兜岩および鎧岩

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<ミカン(蜜柑)> 清楚な純白の5弁花 芳香に誘われミツバチも大忙し

2012年05月19日 | 花の四季

【温州ミカンの原産地は中国・温州ではなく鹿児島説が有力とか】

 無数に付けた蕾が開き始めると、その周辺は芳香に包まれる。実に甘くて上品な香り。それに誘われて何匹ものミツバチがやって来ては蜜集めに大忙し。この時期、ミカンの花はミツバチにとって大切な蜜源なのだ。その蜜がレンゲやラベンダーなどと並ぶ良質な蜂蜜になる。

 漢名の「蜜柑」をそのまま音読みしてミカンとなった。その代表格は温州ミカン。中国・浙江省の地名、温州にちなむ。だが温州は茶やミカンの産地だが、温州ミカンに類似したものはないらしい。今では中国から持ち帰ったミカンの種子から〝枝変わり〟によって偶然生まれたと推定され、原産地は鹿児島の西に浮かぶ長島という説が有力になっている。長島では約80年前、樹齢300年という古木も見つかった。温州ミカンの英名も「Satsuma Mandarin(サツマ・マンダリン)」だ。

 ミカンの花で思い出すのが懐かしい童謡。「♪みかんの花が 咲いている 思い出の道 丘の道~」。この「みかんの花咲く丘」は終戦直後の1946年に発表された。歌ったのは川田正子。作曲家の海沼実から急遽頼まれた加藤省吾が、故郷静岡のミカン畑を思い浮かべながら一気に書き上げた。伊東市には今その歌碑が立つ。この歌を応援歌にしているのがミカン産地・愛媛に拠点を置くJリーグ「愛媛FC」。選手入場に合わせ、そのメロディーを「オーオオーオ オーオオー」と声高らかに響かせて選手を鼓舞する。

 紀伊国屋文左衛門は江戸時代の元禄期にミカン船を仕立て江戸に送って巨万の富を築いた。そのミカンは「紀州ミカン」。小粒で種があった。種がない温州ミカンは長く「タネ無し」として忌み嫌われていたという。だが、その紀州ミカンも今では和歌山でもほとんど作られていない。ミカンにまつわるエピソードをもう一つ。新幹線の車中でのこと、「経営の神様」松下幸之助が乗っているのに気づいた人がミカンを差し上げた。松下さんは快く受け取ってくれ、京都で降りる際にはわざわざ席まで来て改めてお礼を述べた。さらにホームで深々とお辞儀をして見送ってくれたそうだ。その人はその姿に感銘、涙したという。そう言えば松下さんの出身地も文左衛門と同じ紀州和歌山だった。

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<く~にゃん物語⑬>1年半前「回転・斜頸」の大病、初めて病院でレントゲン

2012年05月18日 | ウサギ「く~にゃん物語」

【抗生物質と粉末フードのおかげ? 少しずつ元気に】

 私、1度だけ病院に行ったことがあるの。1年半前の2010年12月19日の朝のこと。突然目がクラクラ、体がフラフラして、床の上をローリングして止まらなくなったの。何がどうなっているのか全く分からない。その様子にご主人様もびっくり。ケージに入れられ車で近くの動物病院へ。その時にはローリングは収まっていたけど首は左の方に傾いたまま。

    

 バスタオルのようなものにくるまれて、若いお医者さんに顔をじっと見られたり、おなかを触られたり。そしてレントゲン室へ。私、そんなことに慣れていないから、かなり抵抗したのね。だからレントゲンを2枚撮られたけど、1枚しかよく写っていなかったみたい。お医者さんはそれをご主人様に見せながら「おなかに随分たまっていますねぇ」。食べたものがうまく消化されず排出されていなかったらしい。

 受付で黄色と白の水薬、それに「強制給餌用粉末フード」と書かれたものをもらって帰宅。診療費は初診料1000円、レントゲン検査費4000円に薬代などを加えて合計9400円。それから毎日、ご主人様からスポイトで水薬を、大きな注射容器のようなシリンジで水に溶かした粉末フードを口に注入してもらったの。それが効いたのか、1週間ぐらいしたらだんだん元気に。首は相変わらず左に10度ぐらい傾いたままだったけど、それもいつの間にか元通りになったの。よかった~。

 耳の感染症で斜頸や回転を起こすことがあるそうだけど、原因は今でも不明。ウサギの病気には内耳炎や耳カイセンのほか、毛づくろいしていて飲み込んだ毛が胃の中で固まる毛球症、カビによって起こる皮膚糸状菌症などいろいろあるんだって。怖い!怖い! もう病院のおやっかいにはなりたくないなあ。健康保険を使えず、余分な負担をかけるのも悪いし……。

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<BOOK> 「バイオエネルギー大国 ブラジルの挑戦」

2012年05月17日 | BOOK

【小泉達治著、日本経済新聞出版社発行】

 東日本大震災に伴う東電福島原発事故で原発の安全神話が崩れる中、ついに国内の原発50基が全て運転停止になった。今年の夏は無事に乗り切れるのだろうか。輸入依存の石油と原子力に頼った電力政策は今後どうなるのだろうか。国はいまだに中長期的な方向性さえ打ち出せていない。それだけに国を挙げて再生可能エネルギーの導入に取り組んできたブラジルの挑戦は、今後の日本のエネルギー安全保障問題を考えるうえで示唆に富む。

    

 著者は1969年石川県生まれ。筑波大卒業と同時に農林水産省に入り、米農務省経済研究所客員研究員、農水省農林水産政策研究所主任研究官などを経て現在、国連食糧農業機関(FAO)天然資源・環境局の事業調整官(ローマ在住)。ブラジルのバイオエネルギーについて研究を始めたのはFAO経済社会局に所属していた2002年というから、ほぼ10年になる。

 ブラジルでは現在、一次エネルギー供給のほぼ半分の約47%(2009年)を再生可能エネルギーが占める。その中心がサトウキビを原料とするバイオエタノール。需要増加の背景には価格に応じてガソリンとエタノールの混合割合を任意に設定できるフレックス車(03年発売)の普及がある。ブラジルは今や砂糖とともにバイオエタノールでも世界最大の生産・輸出国。大豆や落花生、ヒマワリなどの植物油脂を原料とするバイオディーゼルも、軽油の代替燃料として増加。さらにサトウキビ圧搾後の搾りかす(バガス)を使ったバイオ電力のウエートも徐々に高まっている。2011年10月現在、ブラジルの電力総生産量の割合は水力66%、ガス11%、石油6%、バガスを含むバイオマス由来が7%などとなっている。

 ブラジルのバイオエネルギーが優れている点として①生産コストが低い②エネルギー効率が高い③化石燃料に比べ温室効果ガスの削減率が高い④主原料のサトウキビの増産可能性が高い――などを挙げる。問題は主原料が農産物のために生じる食糧との競合。ブラジル政府は自動車用ディーゼルに対しバイオディーゼルの混合割合を徐々に高めているが、需給予測モデルによる分析ではバイオディーゼル需要の拡大で国際大豆価格は上昇するものの国際大豆ミール価格は逆に下落するとし、必ずしも農産物価格の上昇を引き起こすものではないとしている。

 筆者はブラジルの現状を踏まえ日本はリスク分散のうえからもエネルギー源の多様化が重要とし、「再生可能エネルギーを普及させていく際には小規模のエネルギー供給施設を日本各地に建設するという分散型エネルギーシステムを構築し、地域で生産したエネルギーを地域で消費するというエネルギーの『地産地消』を進めていくべきだ」と主張。ブラジルから学ぶ点としてコジェネレーションシステムの導入、バイオエネルギー関連インフラの整備、バイオエネルギーの普及と雇用の創出などを挙げる。ブラジルではエタノール産業の創出で砂糖産業と合わせ100万人近い直接雇用を生み出したそうだ。

 これまで国内で再生可能エネルギー問題が論じられるとき、モデルとして取り上げられてきたのは主にドイツやデンマークなどヨーロッパの国々だった。ブラジルについては世界最大のバイオ大国にもかかわらず、サトウキビによるバイオエタノール精製などが、砂糖や農産物の国際価格高騰などに絡めて断片的に報じられる程度だった。だが、本書はブラジルが再生可能エネルギーの先進国として世界のモデルになり得ることを示している。

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