く~にゃん雑記帳

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<テイカカズラ(定家葛)> その名は歌人の藤原定家に由来!

2014年06月10日 | 花の四季

【芳香を放つ風車状の白花、「ツルクチナシ」とも】

 キョウチクトウ科の常緑つる性植物で、本州から九州にかけて広く山野に自生する。花期は5~6月ごろ。風車状に花びらが5つに裂けた直径2~3cmの小花を多数付ける。咲き始めは真っ白だが、やがて淡い黄色に変化し、ジャスミンに似た芳香を放つ。

 名前の由来には諸説あるが、広く流布しているのは鎌倉時代の歌人藤原定家にちなむという説。謡曲「定家」によると、雨宿りしていた旅の僧の前に1人の女性が現れ、定家が愛していた式子(しょくし)内親王(後白河上皇の皇女)の墓前に案内される。そこで女性は内親王の没後も忘れられない定家の情念がツタとなって墓に絡みつき成仏できないので読経してほしいとお願いする。その女性は実は内親王の亡霊だった――。以来、そのツタは「定家葛」と呼ばれるようになった。

 テイカカズラは付着根を出して周りの木や石垣などによじ登る。江戸中期に編纂された百科事典「和漢三才図会」(寺島良安著)には「絡石」として登場し、「黄門定家卿の古墳の石に生ず」ことから「定家葛」の名前が付いたと記されている。古くは「イワツタ(石綱)」や「イワツナ(石綱)」「マサキカズラ(真折葛)」などと呼ばれた。万葉集にも「イワツナ」を詠み込んだ歌が1首。「石綱のまたをちかへりあおによし 奈良の都をまた見むかも」(作者不詳)。恭仁京への遷都で荒廃していく平城京を偲んで、イワツナのようにまた若返って栄える奈良の都の姿を見たいものだと詠んだ。

 テイカカズラは香りがいいことから「ツルクチナシ」とも呼ばれる。蕾の形から「チョウジカズラ」という異名も持つ。数日前「爆報!THEフライデー」というテレビ番組で、女優茅島成美が自営アパートの庭の垣根に咲き誇るつる性の花を「これ、においがいいのよ」と自慢していた。花の名は言わなかったが、テイカカズラのように見えた。「虚空より定家葛の花かをる」(長谷川櫂)。


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1 コメント

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ヒフミヨ(数え歌) (√6意味知ってると舌安泰)
2022-11-06 18:01:20
 虚空より÷と√の縁起観る

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