く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<シンテッポウユリ(新鉄砲百合)> 高砂と鉄砲ユリの交配種

2020年08月17日 | 花の四季

【風媒花、野生化し道端や庭先などに〝出没〟】

 シンテッポウユリは台湾に自生するタカサゴユリと九州南部~沖縄地方原産のテッポウユリを掛け合わせて生まれた園芸品種。1951年に日本で最初の交配種が作出された。花期は7~8月頃で、ラッパ状の純白の花を横向き、または斜め上向きに付ける。花が少なくなる真夏に咲くことから切り花としての人気が高い。かつては高速道路の法面などの緑化材としても活用された。風媒花で、自家受粉で大量の種子を作って広範囲に飛ばす。このため今では全国各地で野生化し、分布域を急速に拡大している。

 学名は「Lilium ×formolongo(リリウム×フォルモロンゴ)」。種小名の前の×印は「雑種」であることを表す。種小名はタカサゴユリの学名「formosanum(フォルモサヌム)」とテッポウユリの学名「longiflorum(ロンギフロルム)」の合成語。それぞれ「台湾の」「長形花の」を意味する。タカサゴユリは大正時代末期の1924年頃、観賞用として渡来し、各地で栽培されてきた。「ホソバ(細葉)テッポウユリ」や「タイワンユリ」とも呼ばれる。

 タカサゴユリは播種後1年以内に開花するなど生長が早いのが大きな特徴。草丈はテッポウユリより高く大きなものは1.5m前後にもなる。一方、テッポウユリは開花まで3~4年かかるが、タカサゴユリより大輪の純白の花を付ける。シンテッポウユリはその両方の性質を併せ持つ。タカサゴユリも帰化植物として野生化しており、国立環境研究所の「侵入生物データベース」にも掲載されている。タカサゴユリは花被片の外側に赤紫色の筋が入ることが多く、それがシンテッポウユリと区別する際の目印の一つになっている。ただ赤紫の色模様にも濃淡があって判別が難しいことも。両者の自然交雑も進んでいるのだろう。

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<奈良市美術館> 奈良公園開園140年「ならのシカと昆虫たち」

2020年08月03日 | メモ

【白黒写真、シカのQ&A、糞虫の標本、啓発ポスター…】

 今年は1880年(明治13年)の奈良公園開園からちょうど120年目。奈良市美術館(二条大路南1「ミ・ナーラ」5階)でその記念展「奈良を観る~ならのシカと昆虫たち」が開かれている。会場は①写真からみる奈良公園の移ろい②シカのQ&A③奈良公園の糞虫(ふんちゅう)④シカの保護啓発ポスター――など6つのコーナーで構成、大人から子どもまで楽しめる多彩な内容になっている。8月10日まで。

 写真コーナーには開園まもない明治20年代から大正、昭和前期までの奈良公園一帯の風景や建物などを収めた写真70点余が並ぶ。その中に驚きのあまり「えっ!」と声を上げそうな一点があった。「興福寺五重塔より」(昭和20年代後半)。そこには塔の上層階から外の屋根瓦の上に出て、斜めに下る隅棟瓦のそばに立つ一人の男性が写っていた。遥か眼下では春日若宮おん祭のお渡り式の最中。その行列を俯瞰する構図で写真に収めようとしたのだろう。五重塔は1962年(昭和37年)まで一般開放され登ることができたという。それにしても屋根の上に登るとは!

 絵葉書「真榊奉納御渡式」(1929年)は猿沢池で撮った花街元林院の芸妓衆の集合写真。その人数の多さに圧倒された。今はわずか数人だけだが、最盛期の昭和初期には十数軒の置屋があり約200人の芸妓や舞子さんがいたそうだ。真榊奉納は節分の日に芸妓衆が春日大社に参詣し芸事の上達を祈って行われていた。ほかには野生の猿を撮らえた「春日大社飛火野 猿」(1927年頃)、元メジャーリーガー、ジョー・ディマジオ(1914~1999)が中日ドラゴンズのキャンプ地春日野グラウンドを訪れたときの記念写真(1954年)なども。野生の猿の群れは昭和30年代頃まで公園内によく現れていたそうだ。

 奈良公園一帯には現在千数百頭のニホンジカが生息する。それらの鹿が排出するフンは毎日1トンほどに上る。そのフンを食べて処理してくれるのがコガネムシの仲間の糞虫。これまでに63種が確認されており、奈良公園は昆虫マニアの間で「糞虫の聖地」といわれているとのこと。糞虫を代表するセンチコガネのセンチは「雪隠(せっちん)」に由来するそうだ。もし糞虫がいなかったら? ある試算ではシカのフンを人の手で回収したら年間数十億円の処理費用がかかるという。糞虫はまさに〝縁の下の力持ち〟なのだ。会場にはシカをモチーフにしたパンフレットや絵葉書袋の表紙類、第1~15回の「奈良のシカ」保護啓発ポスター上位作品なども展示されている。

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<ダンゴムシ> 全員集合! すし詰め状態

2020年08月01日 | アンビリバボー

【庭に埋め込んだプラスチック製小鉢に】

 体に触れるとまん丸く変身するダンゴムシ。子どものとき虫籠などで飼っていたという人も多いにちがいない。今も昔もちびっ子たちにとっては格好の遊び相手だ。その人気ぶりはバンダイが2年前発売したカプセル玩具「だんごむし」の大ヒットにも表れている。手のひらサイズで、自販機から直径7cmほどの丸まった状態で飛び出し、広げると長さが14cmになる。主に15歳以上を販売対象としていたが、発売と同時に全国で品切れ店舗が続出した。

 手元の携帯用昆虫図鑑をめくると、末尾に「あしの多いなかま(昆虫によく似た虫)」としてムカデなどとともに取り上げられていた。だが、もう1冊の図鑑には全く載っていなかった。それもそのはず、ダンゴムシは名前にムシと付くけど虫ではなく、エビやカニの仲間の甲殻類の節足動物(オカダンゴムシ科オカダンゴムシ属)だから。学名は「Armadillidium vulgare(アルマディリディウム・ヴルガレ)」という。属名は「アルマジロの小さなもの」を意味する。アルマジロは「武装した」を意味するスペイン語に由来するそうだ。

 そうした謂れはともかく、今回紹介するのはダンゴムシの〝落とし穴〟について。何年も前、庭にゴルフのパター遊び用として直径10cmほどのプラスチック製植木鉢を2カ所埋め込んだ。それからしばらく経って見下ろすと……。アンビリバボー! 鉢の中はなぜか、無数のダンゴムシに占領されていた。重なり合って、まさにすし詰め状態。一度穴に落ちると、つるつるのプラスチックの壁を登れないようだ。それから毎年、春から秋にかけて同じ光景が見られた。そして今年も。ダンゴムシの寿命は2~4年で、その間脱皮を数回繰り返すという。穴の中でもしばしば白い抜け殻を目にした。ダンゴムシはカルシウムが豊富なその抜け殻も食べるそうだ。

 家庭菜園などを趣味とする人にとってダンゴムシは大敵の害虫。野菜や草花の新芽、葉、花びらなどを食べてしまうためだ。一方で落ち葉などを食べてくれ土壌を豊かにするという働きもある。穴の中に集まるのは餌となる落ち葉がたまって環境が快適だからだろうか? ダンゴムシのフンには仲間を誘引する〝集合フェロモン〟が含まれるという説もあるそうだ。観察していて、穴の中に一目散に走り込むダンゴムシを見たこともある。今年は水菜やインゲンの苗を植えたそばにも数カ所小鉢を埋めてみた。その鉢にもしばらくすると、やはりダンゴムシが次々に集まっていた。(ダンゴムシが苦手な方は写真をズームしないでください)

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