く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<スキージャンプ女子W杯> 高梨沙羅、初の総合優勝へ札幌・蔵王で計4戦

2013年01月31日 | スポーツ

【8戦で4勝、ライバル・サラに水をあけて独走】

 昨年11月から世界を転戦してきたスキージャンプの女子ワールドカップ(W杯)は2月2~3日札幌・宮の森、9~10日山形・蔵王で各2戦計4戦を行う。前半戦では日本のエース、高梨沙羅(16歳)が8戦中4勝し、最大のライバルであるサラ・ヘンドリクソン(米国、18歳)をポイントで大きく上回る。残り8試合。高梨としては日本での4戦で初の総合優勝に向けて足場をさらに固めたい。ロシア・ソチ冬季五輪(来年2月7~23日)まで1年余。高梨への期待がますます高まっている。

  

 W杯初開催の昨季は米国のサラが13戦中9勝し初代女王に輝いた。中学3年生だった高梨は9戦に出場し優勝1回、2位6回。出場試合が少なかったにもかかわらず総合3位となり表彰台に上がった。今季はノルウェー・リレハンメルの開幕戦で優勝すると2戦目以降,2位、3位、優勝、優勝、4位、2位、優勝と安定した実力を発揮してきた。さらに1月24日にチェコで行われたジュニア世界選手権の個人戦でも他を寄せつけずに2連覇を飾った。

前半8戦までのW杯順位とポイント

 ①高梨沙羅(670ポイント)②サラ・ヘンドリクソン(米国、501)③コリーヌ・マッテル(フランス、448)④アネッテ・サーゲン(ノルウェー、411)⑤ダニエル・イラシュコ(オーストリア、390)⑥ザイフリードスベルガー(オーストリア、357)⑦エヴェリン・インサム(イタリア、296)⑧カリーナ・フォークト(ドイツ、265)⑨カティア・ポズン(スロベニア、216)⑩リンジー・ヴァン(米国、206)

 ポイントは1位100、2位80、3位60、4位50……などと決まっており、獲得した合計ポイントで順位が決まる。高梨が8戦のうち表彰台を逃したのは1月6日の第6戦(ドイツ・ショーナッハ)の4位だけ。この時はほとんど前が見えない濃霧という最悪の条件だった。この経験も今後に生きるに違いない。ライバルではサラが今季2勝しているが、昨季ほどの安定感が見られない。3位のコリーヌ・マッテルもまだ17歳で、16~18歳の若手が上位を独占している。4~5位は20代後半のベテラン。その一人ダニエル・イラシュコは昨季2勝し総合2位だった強豪だが、今季は5位にとどまっている。

【飛距離に加え飛型、着地のテレマークも安定】

 高梨は今季、ジャンプの精度と安定感が増したうえ、不得手といわれてきた着地でのテレマーク姿勢がきっちり決まっていることが高ポイントにつながっている。今季から助走を始めるゲートを設定より下げることが可能になった。下げるとスピードが落ち飛距離も伸びないが、その分得点が加点される。ジャンプ2回の中でのその駆け引きが勝敗を分けるが、このゲート加算をうまく活用してきた。ジャンプスーツのルール変更(体からプラス6cmが2cmに)にもうまく対応できているようだ。加えて高校卒業程度認定試験(旧大検)にいち早く合格し、競技や練習に集中できるようになったことも精神的に大きい。

 高梨にとって蔵王は1年前、第1戦が2位、第2戦でW杯初優勝(写真)と験がいい場所。W杯前半のペース通り仮に日本で4戦中2勝できれば、ライバルをさらに引き離すことができる。日本大会の後は2月16~17日にスロベニアで第13~14戦、3月15日にノルウェー・トロンヘイムで第15戦、そして同17日にノルウェー・オスロで最終戦が行われる。日本の小さな大エース、高梨が〝鳥人の女王〟として世界の頂点に立つ日が刻々と近づいている。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 あじわい生活」(31)おわり

2013年01月31日 | 絵暦

 【原田勝利さん】1944年9月7日山口県萩市生まれ。アパレルメーカー、ファッション専門誌編集長などを経てフリーライターに。全国紙やスポーツ紙に旅、グルメなどをテーマに連載、同時にファッションアドバイザーや地域おこしの仕掛け人としても活躍した。武道、水彩画、篆刻(てんこく)など多彩な趣味人で、その風貌から「くまさん」と親しまれた。2012年6月17日没、享年67。(この絵暦は生前、絵の師匠・王龍荊氏に手を入れてもらって完成したものです。ご遺族の了解を頂き1~31日に連載しました)

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<杉良太郎絵画展> 桜やバラ、富士山など日本の四季を描いた油彩100点余

2013年01月30日 | 美術

【近鉄百貨店上本町店であす31日まで】

 俳優・歌手の杉良太郎の絵画展が近鉄百貨店上本町店で開かれている。隣接する新歌舞伎座で公演中の「樅ノ木は残った」(31日まで)に合わせた個展。副題に「杉良太郎が描く日本の四季」とあるように、油彩画100点余を春夏秋冬に分けて展示している。

  

 杉が独学で油絵を始めたのは今から20年余り前の1991年。これまでに「大地へ」(97年)が第54回現代美術展北國賞、「花の下にて」(2010年)が第51回大調和展奨励賞を受賞するなど着々と画歴を重ね、次第に評価が高まってきた。「大地」は大木の根元から根が四方八方に伸びて大地を這う。たくましい生命力が漲った作品だ。展示作品には桜を描いたものが多い。「花の下にて」もその1つで、どっしりした太い幹の質感が伝わってくる。(上の写真は㊧「鷲」、㊨「秋櫻」)

   

 大作の「やすらぎの吉野」(2009年)は春爛漫の吉野山を俯瞰した構図。桜の老木を描いた「咲いた咲いた」は一見日本画のような趣をたたえていた。バラやヒマワリの作品も多い。赤や黄など鮮やかなバラ十数輪を描いた「陽気なバラ」はEXILEのHIROさんに寄贈した作品を今回の個展のために借用したという。

 草木以外では富士山を描いた作品が目立つ。11点もあった。上の写真㊧は98年制作の「新生」で、翌年、御園座劇場で開かれた主演公演のパンフレットの表紙を飾った。このほかにも新歌舞伎座や明治座などでの公演パンフレットの表紙となった作品が多い。愛妻伍代夏子の和服姿を描いた作品もあった。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 あじわい生活」(30)

2013年01月30日 | 絵暦

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(29)

2013年01月29日 | 絵暦

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<バレーV・プレミアリーグ女子>前半戦終了 1位NEC 2位久光  3位岡山  4位東レ

2013年01月28日 | スポーツ

【前季最下位のNECが首位、岡山も好位置で折り返す】

 バレーボールV・プレミアリーグ女子は27日レギュラーラウンドの第2レグ最終戦が行われ、前半戦が終了した。順位は1位NEC 2位久光製薬 3位岡山シーガルズ 4位東レ。前季最下位で降格の瀬戸際に立たされていたNECが、新外国人の活躍や若手の成長で見違えるほどの試合巧者ぶり。唯一の市民クラブチームの岡山も栗原恵の加入で攻撃陣に厚みが加わり、初優勝を狙える好位置で前半を終えた。

前半戦の順位と得失セット数 

NEC12勝2敗(得38、失19)②久光製薬11勝3敗(得38、失23)③岡山10勝4敗(得37、失20)④東レ9勝5敗(得33、失24)⑤デンソー6勝8敗(得25、失33)⑥トヨタ車体5勝9敗(得24、失33)⑦JT2勝12敗(得17、失37)⑧パイオニア1勝13敗(得17、失40)

総得点ランキング

①カナニ・ダニエルソン(トヨタ車体)272点②栗原恵(岡山)257点③福田舞(岡山)251点④イエリズ・バシャ(NEC)234点⑤長岡望悠(久光製薬)230点⑥荒木絵里香(東レ)212点⑦泉岡未来(デンソー)211点⑧近江あかり(NEC)210点⑨浅津ゆうこ(パイオニア)198点⑩ヤネヴァ・エヴァ(JT)194点

【NEC 新外国人期待通りの活躍、ベテラン・若手の歯車も噛み合う】

 NECはトルコリーグに在籍していたイエリズ・バシャの加入に加え、23歳のサイドアタッカー近江あかりや20歳ミドルの島村春世、大野果奈ら若手の成長がチーム全体に活力を与えている。イエリズは総得点でリーグ4位、近江も8位、島村はアタック決定率で6位。ベテラン勢も杉山祥子がブロック決定本数(1セット当たり)で7位、アタック決定率で9位にランクされるなどチームを支えている。今季はフルセットとなった5試合のうち4試合をものにするなど、ここ一番での勝負強さも目立つ。

 元日本代表セッターの中田久美が新監督に就任した久光は12月の全日本選手権決勝で東レを破り、3年ぶりの優勝を果たしたばかり。前半戦ではアタック決定率、アタック決定本数(1セット当たり)、サーブ効果率がいずれもリーグ1位と、攻守のバランスの良さが光った。とりわけアタック決定率では2~4位に平井香菜子、長岡望悠、岩坂名奈の3人が並び、中でも開幕からスタメン起用された21歳のサウスポー長岡は総得点でもリーグ5位に位置するなど活躍が目を引いた。

【岡山 栗原の加入が活気を呼び込む 山口も2カ月ぶり戦列復帰】

 8チーム中唯一外国人がいない〝純和製チーム〟岡山にとっては栗原の加入が大きい。チーム一の得点源だった福田舞に栗原が加わったことで攻撃に厚みが出てきた。総得点で栗原はリーグ2位、福田が3位。栗原はブロックやサーブでも定評通りの活躍を見せ、サーブ効果率ではリーグ2位にランクされている。栗原の活躍は総得点257点の内訳(アタック223点、ブロック18点、サーブ16点)が如実に示す。

 その結果、前季7位だったチームのアタック決定率は2位に、最下位だったサーブ効果率は5位に上がっている。チームにとっては左足首故障のため2カ月間戦列を離れていた山口舞が後半戦を前に復帰してきたのも朗報。ブロード攻撃を得意とする山口の復帰で、後半戦ではさらに多彩な攻撃が可能になりそうだ。岡山の過去の最高順位は4位(2007~08年と11~12年)だが、今季は混戦の中で初優勝さえ現実味を帯びてきた。前半2戦2敗だった東レ戦が今後のカギを握りそうだ。

【東レは木村の退団、デンソーもデラクルスの退団が響く】

 東レはチームの要だった木村さおりが抜けたことによる戦力ダウンは否めない。アタック決定本数はリーグ5位、バックアタック決定率は6位にとどまる。その中で奮闘しているのがベテラン荒木絵里香。総得点ランクで6位、アタック決定率とブロック決定本数ではリーグトップになっている。デンソーも前季の得点王デラクルス(ドミニカ共和国)の退団が痛い。

 泉川正幸が新監督に就任したトヨタ車体ではハワイ大学から新加入したカナニ・ダニエルソン(米国)が総得点でトップを走る。竹下佳江が抜けたJTは新セッター山口かなめにとって試練が続く。パイオニアは開幕10連敗の後1月19日のJT戦で初勝利を上げたが、その後また3連敗。ただフルセットに持ち込んだ試合も5ゲームあり、後半戦の奮起が期待される。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 あじわい生活」(28)

2013年01月28日 | 絵暦

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<春日大社> 火災は過去に1度だけ 「御神徳と高い防火意識のおかげ」

2013年01月27日 | 考古・歴史

【文化財防火ゼミナールで花山院宮司】

 文化財防火週間中の27日、奈良市の春日大社・感謝共生の館で「文化財防火ゼミナール」(奈良市消防局主催)があった。会場となった春日大社は768年の創建から1200年以上になるが、火災に遭ったのは室町(南北朝)時代の1度だけ。「信仰における文化財の継承」のタイトルで講演した花山院弘匡宮司は「これも御神徳と先人の高い防火意識のおかげ。春日ほど多くの国宝や重文などの文化財を持つ神社は他にないだけに、これからも防火に努め文化財を守っていきたい」と話していた。

  

 春日大社の日々の出来事を記した「社務日誌」によると、火災が起きたのは永徳2年(1382年)1月23日深夜。ご神饌を作る竃殿(へついどの)の残り火から出火、東側の清浄門に燃え移り、さらに本殿や宝蔵なども全焼した。類焼を免れたのは着到殿だけ。本殿内にあったものは東の山中に運び出したが、宝蔵内の収蔵品は焼失し金銀が無残に積み重なっていたという。

 春日大社の建築物の多くは桧皮(ひわだ)葺きだが、この火災後、竃殿とその周辺の建物は万一に備え瓦葺きにした。回廊内には御手洗川が流れる。手を入れて身を清めると同時に防火の役割も担う。「こうしたところに先人の知恵が生かされている。神様の下ではいつも清浄でなければならないため、整理整頓も常に心がけてきた」(花山院宮司)。

 春日大社には石燈籠が2000基、釣り燈籠が1000基、合わせて約3000基もの燈籠がある。そのうち9割は先祖の冥福や無病息災、家内安全などを願って庶民から寄進された。昔は寄進時に油料も納められ、その油がある限り毎夜ともされたという。これだけ多くの燈籠がありながら、燈籠が原因で大きな火災を一度も起こさなかったのはまさに奇跡ともいえるだろう。

 「最初は燈籠の近くに〝寝ずの番〟を置き、燈籠が増えてくると〝火の番の禰宜(ねぎ)〟、さらに〝6人の火の番役〟を置いた。火を出さなかったのは防火への徹底した高い意識があってこそ。文化財は一度燃えたら終わり。これからも1000年、1500年と高い防火意識で守っていかなければならない」(花山院宮司)。春日大社の宝物殿には国宝重文520点を含む3000点を収蔵、その中には蒔絵筝、金地螺鈿毛抜形太刀など優美な国宝も多く〝平安の正倉院〟とまで形容されている。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(27)

2013年01月27日 | 絵暦

 【原田勝利さん】1944年9月7日山口県萩市生まれ。アパレルメーカー、ファッション専門誌編集長などを経てフリーライターに。全国紙やスポーツ紙に旅、グルメなどをテーマに連載、同時にファッションアドバイザーや地域おこしの仕掛け人としても活躍した。武道、水彩画、篆刻(てんこく)など多彩な趣味人で、その風貌から「くまさん」と親しまれた。2012年6月17日没、享年67。(この絵暦は生前、絵の師匠・王龍荊氏に手を入れてもらって完成したものです。ご遺族の了解を頂き1~31日に連載します)

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<マンサク(万作・満作・金縷梅)> 他の花に先駆けて「先んず咲く」可憐な黄花

2013年01月26日 | 花の四季

【日本固有種、〝豊年満作〟由来説も】

 けいはんな記念公園(京都府精華町)でマンサクの花が咲き始めたと聞いて早速行ってみた。まだ冬姿の「紅葉谷」。その一角に小枝に枯れ葉を付けたまま、黄色い可憐な小花がちらほら綻び始めたマンサクがあった。冬の日差しを浴びようと紐のような細い花弁を懸命に伸ばすさまは、まるでイソギンチャクのようにも、笛を吹くと紙が伸びるおもちゃの「吹き戻し」のようにも見えた。

 日本原産の落葉小高木で、早春他の花木に先駆けて「先(ま)んず咲く」ため転じてこの名が付いたといわれる。いやいや、名前は枝の節々に花をたくさん付けるため「豊年満作」に由来する、との説もある。縁起がいいため農家の庭先に好んで植えられる。ただ地域によっては花がまばらにしか咲かないと、その年は不作になるという言い伝えもあるそうだ。

 マンサクは主に太平洋側に分布する。同じ仲間に日本海側に多いマルバマンサクや中国地方の山地に自生するアテツマンサク(岡山・阿哲地方に由来)がある。この他の品種に花弁全体が赤色を帯びるアカバナマンサク、中心部が赤くなるニシキマンサクなど。外国産には中国原産のシナマンサク、北米原産で秋咲きのアメリカマンサクがある。このうちシナマンサクは花期にも枯れ葉が落ちずに残るのが特徴。けいはんな記念公園で撮ったこの写真もシナマンサクだった。

 マンサクは枝がしなやかで弾力性に富むことや花の少ない時期に咲くことから、生け花や茶花として人気が高い。北陸や飛騨地方では「ネソ」とも呼ばれ、白川郷の合掌造りなどでは柱をしばる結束素材として古くから大切な役割を果たしてきた。かつては筏(いかだ)や背負い籠などの結束にも使われたという。マンサクは欧米で「Witch hazel(魔女の榛=はしばみ)」と呼ばれる。

 静岡県浜松市の「乎那(おな)の峯」の群生地は県の天然記念物に指定され、毎年見頃となる2月中旬には「マンサクまつり」が開かれる。今年は17日(日曜)に開催される予定という。岡山県奈義町皆木や大分県久住高原、秋田県鳥海山などの群生地も有名。俳句の季語では早春。「まんさくや小雪となりし朝の雨」(水原秋桜子)。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(26)

2013年01月26日 | 絵暦

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<歌川国芳展>破天荒の浮世絵師―大胆な発想で夢や笑いを作品に託す!

2013年01月25日 | 美術

【初公開作含め120点、神戸・大丸ミュージアムで公開中】

 江戸時代後期を代表する希代の浮世絵師、歌川国芳(1797~1861年)。従来の枠にとらわれない豊かな画想や斬新なデザインで、武者絵から役者絵、美人画、風景画、戯画(狂画)まで幅広い作品を描き続けた。その国芳の代表作や初公開作合わせて120点を展示した「歌川国芳展~奇想の浮世絵師による江戸案内」(28日まで)が神戸市の大丸ミュージアムで開かれている。

 歌川国芳は15歳のとき初代歌川豊国に入門した。兄弟子に国貞がいる(豊国、国貞の作品は現在、奈良市の帝塚山大学付属博物館で展示中)。国芳が生きた幕末は天保の飢饉や安政の大地震、開国を迫る黒船の来航などで、まさに内憂外患の時代。天保の改革に伴う「奢侈(ぜいたく)禁止令」で、浮世絵も華美な役者絵や遊女・芸者の絵は禁止された。それがかえって国芳の自由奔放な発想を刺激、夢やユーモア、幕府への風刺などを込めた作品は庶民の喝采を集めた。

    

 「国芳もやう正札附現金男 野晒悟助」(写真㊧)は山東京伝の読本「本朝酔菩提」に登場する侠客を描いたもの。のざらし(ドクロ、しゃれこうべ)の名にちなんで着物はドクロ柄で、そのドクロも猫が集まってできている。無類の猫好きだった国芳らしいユーモアに富んだ作品だ。

 「奢侈禁止令」で当時の庶民の着物は縞や小紋が流行し、染め色も茶やねずみ系統が中心だったが、〝四十八茶百鼠〟といわれるほど多様化した。そんな中で国芳が浮世絵で表現した粋な着物柄は〝国芳もやう〟と呼ばれた。もし国芳が今を生きていたら、世界的な超一流ファッションデザイナーになっていたに違いない。

 「人をばかにした人だ」(写真㊨)は額に紙片を貼り付け、下から「フーッ」と息で吹き飛ばす「紙吹き」という遊びに興じる男を描いた。顔をよく見ると、裸の男たちが集まって作られている。鼻の下でひげのように見えるのは男の右肩の彫り物。格子柄の着物も数人の男たちでできている。

 国芳は大判3枚続きのワイド画面で多くの物語絵を描いた。そのうちの1つ「大物之浦海底之図」は大碇を担いで入水した平知盛が源義経への復讐のため待ち構える場面で、平家ガニが列を成しているのがおもしろい。〝武者絵の国芳〟と呼ばれるようになった出世作の「水滸伝シリーズ」や往時の江戸の風景や風俗を楽しめる「東都名所シリーズ」なども見ごたえ十分だ。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(25)

2013年01月25日 | 絵暦

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<BOOK> 「相手が悪いと思う中国人 相手に悪いと思う日本人」

2013年01月24日 | BOOK

【加瀬英明・石平著、ワック株式会社】

 「中華人民共和国は同じ穴の狢(むじな)である太子党と、共産青年同盟団の赤い貴族たちの、およそ三百ファミリーの盗賊集団によって支配されている」「中国共産党が2021年に、創立百周年を祝うことはできないと信じている」――。ユニークなタイトルに加え、まえがきの歯に衣着せぬ物言いに引かれた。「『公』のある日本と『私』しかない中国」「すべて自分のものとする中華の幻想」など8章の構成で、加瀬・石平(せき・へい)両氏の対談を通じて中国の独特な文化と行動様式がどのように形成されてきたかを掘り下げる。

   

 加瀬は1936年生まれの外交評論家。福田・中曽根内閣で首相特別顧問として対米折衝に貢献、伊能忠敬の玄孫でもある。一方の石平は1962年中国・成都生まれで北京大学哲学部卒。88年に来日し神戸大学大学院文化学研究科博士課程を修了、2007年日本に帰化。中国や日中関係問題を中心に精力的に執筆、講演活動を展開している。

 加瀬は中国を中国人たらしめているのは儒教と漢字であるとし、漢字は「悪魔の字」とまでいう。「楔形文字や漢字のような難解な表意文字を持った文明は、支配階級だけが読み書きできて文字を独り占めし、蒙昧な人民に対して圧制を行った。それに対し、アルファベットや日本のかな文字のような表音文字を持った文化は、文字が容易に普及し識字率が高かったから健全に発展した」。石平も「漢字は結局、コミュニケーションの手段であるよりも、最初から命令の手段だった」とする。

 加瀬は「科挙」が中国の発展を阻んできたとみる。「人材登用のため清朝が滅びる寸前まで1300年も続けた。科挙は全国を激しい受験戦争に捲き込んで創意を奪った」。中国で汚職の多発が問題になっているが、中国では古くから「升官発財(しょうかんほつざい)」(官になれば財がいっぱいたまる)といわれてきたそうだ。中国語には日本語にない「清官」「官禍」といった言葉もあるという。賄賂を取らない清潔な役人は極めて珍しいということの裏返しだろう。

 石平は「中国には家族があって公がない。その根底には儒教がある」という。日本も儒教を取り入れたが、「本質が全然違う。日本の儒教は中国の儒教の言葉を借りて、日本人の価値観を語ったもの」。そして「何か事が起きると、相手〝に〟悪いと思うのが日本人、相手〝が〟悪いと思うのが中国人」と指摘する。加瀬も中国の儒教について「私欲を偽装するために用いられてきた」とみる。

 加瀬は孫文が中国人を「一盤散砂」(大きな皿に盛った砂のようにすぐバラバラになる)と嘆いたことと、日本の「君が代」の中の「さざれ石の巌となりて」を取り上げながら「全く正反対の国柄である」と指摘。加瀬が「国名に『人民』とか『民主』が入っている国にろくな国がない」と言うと、石平も「徳がないからこそ、わざわざ徳の精神を唱える。人民不在だから、わざわざ人民をつける」と呼応する。

 加瀬によると中国には「抜きがたい優越感と癒しがたい劣等感」が共存する。世界で最も優れた中華文明の継承者なのに、いつの間にか日本のほうがずっと先行していた。石平は日本側にも「昔は中国から教えてもらったという劣等感を払拭できずに、日中間には二重の錯覚がある」と指摘する。加瀬によると20世紀は「大帝国の解体の歴史」。石平は「いずれ中華帝国が解体し、中華連邦的な小国寡民になれば、民にとっても世界にとっても周辺国にとっても一番幸せ」と結んだ。

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原田勝利さん「絵暦・野菜 味わい生活」(24)

2013年01月24日 | 絵暦

  

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