く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<漢国神社> 年末恒例の「大祓・獅子神楽」奉納

2023年12月30日 | 祭り

【多彩な獅子舞や曲芸などで大盛り上がり】

 近鉄奈良駅のそばにある古社、漢国(かんごう)神社の石舞台で12月29日「大祓・獅子神楽」の奉納が行われた。2008年に太神楽曲芸師・豊来家玉之助さん(51)が1年の厄払いと新年の福を願って獅子舞を奉納したのが始まり。今では歳末恒例の風物詩としてすっかり定着、この日も境内は多くの観客で埋め尽くされ、演舞が終わるたびに拍手とともにおひねりが次々に投げ込まれた。

 出演者は豊来家さんを中心に漢国神社韓園講(からそのこう)、桃俣(もものまた)獅子舞保存会(奈良県御杖村)、西宮神社獅子舞保存会(兵庫県西宮市)の面々。神楽奉納は午後1時「道中」で幕開けし、続いて道先案内の「猿田彦舞」、「宮参り」と続いた。

 4番目の演目「韓園」は1人で獅子頭を左右両手に持って舞う。豊来家さんが自ら創作したという。いわば獅子舞の“二刀流”だ。

 豊来家さんは邪気を払う「剣」に続く6番目の「大黒」でも再び登場し、軽妙なトークで会場の笑いを誘っていた。観客席から舞台へおひねりが飛び交う。

 続く「抜身荒神祓」と「抜身中村」はこの日一番の見どころ。半紙を口にくわえたまま、鈴や宝刀を手に激しく舞う。口で息を吸うことも吐くこともできない。半紙が唾で濡れても落ちやすくなってしまう。真剣な表情で舞う演者に、和紙をくわえて息や唾がかからないように刀剣を手入れする武士の姿が重なって見えた。

 2つの演舞の最中、観客席は静まり返って視線は半紙をくわえた口元に注がれた。「大丈夫かなぁ?」。次第に心配になって見つめていると、ついに若い女性の口元から半紙が落ちてしまった。それがこの演目の過酷さを端的に表していた。「練習を積んで来年は落ちないようにします」。そう話す女性の爽やかな表情が印象的だった。

 奉納芸はまだまだ続く。「荒神祓崩し」の後は「へべれけ」。千鳥足のひょっとこが瓢箪のとっくりと大きな金杯を持って登場し、観客に渡した杯に酒を注ぐ(まね)。それを一気に飲み干す観客。隣に座った女性にも杯が回ってきた。舞台後方に控えた豊来家さんから声が飛ぶ。「女性ばかりに(杯を)渡すんじゃない!」。会場はまたまた爆笑の渦に包まれた。(隣席の女性へ。ブログへの写真掲載、快諾していただきありがとうございました)

 続く「参神楽」の演舞では豊来家さんが太鼓に合わせ自ら笛を吹いていた。その演奏の見事なこと! この後の演目「太神楽」でも傘回しや籠鞠(かごまり)などの曲芸を披露した。豊来家さんの芸には失敗しても、みんなを笑わすための演技では、と思わせるところがある。

 まさに八面六臂の活躍。豊来家さんが以前、NHKの連続テレビ小説「わろてんか」で松坂桃李さんに傘回しなどを演技指導したことを自慢していたことを思い出した。

 神楽奉納もいよいよフィナーレ。「荒廻剣」に続いて、参加者全員が「伊勢音頭」を歌いながら舞台に勢揃い、一人ひとりお礼の挨拶をしたり新年の抱負を話したりしていた。最後に豊来家さんの「四方鎮(よもしずめ)」の舞で、2時間近くにわたった熱演の舞台を締めくくった。この後、観客には小豆とカボチャを煮込んだ御杖村の郷土料理「いとこ煮」がふるまわれた。

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<おん祭御渡り式> 参道で落馬事故! 先頭の「日使」奉仕者?

2023年12月18日 | 祭り

【御旅所祭は半時間ほど遅れて開始に】

 第888回を迎えた春日大社の摂社若宮の祭礼「春日若宮おん祭」が12月17日、奈良市内の目抜き通りで華やかに繰り広げられた。御渡りの行列は予定通り正午に県庁前の登大路園地を出発した。コースは近鉄奈良駅前~JR奈良駅前~三条通り~御旅所。一之鳥居内側の「影向(ようごう)の松」の前では古典芸能を披露する“松の下式”が行われた。ただ参道で行列の騎乗者が落馬する事故があり、御旅所祭の開始が30分ほど遅れるというハプニングがあった。(写真は御渡りの最後尾を務めた大名行列の御旅所入り)

 行列の第1番は黒い束帯姿の「日使(ひのつかい)」。この大役は例年経済界の重鎮が務めており、今年の奉仕者は園潔さん(三菱UFJ銀行特別顧問)だった。市女笠(いちめがさ)・垂れ衣姿の女官や「祝御幣」などに先導されて進む。「日使」は平安時代おん祭に向かう関白藤原忠通が病気になり、急遽お供にその日の使いをさせたのが始まりとのこと。

 2番は巫女列。その後の3~5番は芸能集団の細男座(せいのおざ)、猿楽座、田楽座。さらに馬長児(ばちょうのちご)、競馬列、流鏑馬、将馬(いさせうま)、野太刀、大和士(やまとざむらい)と続き、最後尾の12番は大名行列。

 大名行列を見送って県庁前から、一之鳥居と御旅所間の参道に移動。目の前を長い稚児列(三条通りから参加)に続いて再び第1列の「日使」や巫女列などが通り過ぎていく。「影向の松」の前では様々な芸能を披露する“松の下式”も始まっていた。

 事故が起きたのは午後1時半ごろ。競馬列の周りが急に慌しくなってきた。競馬は参道の馬出橋から御旅所近くまでの間で行われるが、何かの事情でスタートが遅れている様子。先に進むと参道脇で倒れた人を囲むように人垣ができていた。「落馬した」という観客の声を耳にした。

 落馬したのは先ほど目の前を通ったばかりの「日使」の奉仕者かもしれない。取り囲む人が手にする冠は「日使」が被っていたもののように見える。救急隊が到着したのはそれから十数分たってから。急の知らせを聞いて駆け付けたのだろう、春日大社の花山院弘匡宮司が心配顔でストレッチャーで運ばれる男性に付き添っていた。

 午後2時ごろ、ようやく競馬が始まった。その後、田楽座や稚児流鏑馬、大和士などの行列が何事もなかったように御旅所に向かった。しんがりを務めた大名行列は子供列と郡山藩列、南都奉行列。それぞれ道中で奴振りの技を披露した。

 御旅所には正面に若宮様の仮御殿、左右には巨大な鼉太鼓(だだいこ)。午後3時すぎ鼉太鼓が打たれ御旅所祭がスタート。まず若宮様に神饌が供えられた。そして仮御殿前の芝生の舞台(「芝居」の語源とも)では深夜まで様々な芸能が奉納された。

 行列の御旅所入りが終わったころ、参道ではまだ稚児3人による流鏑馬が行われ、「影向の松」の前では武術の柳生新陰流兵法と宝蔵院鎌兵法が披露されていた。“松の下式”が全て終わったのは午後3時45分だった。

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<春日若宮おん祭> 開幕を告げる「御湯立神事」「大宿所祭」

2023年12月16日 | 祭り

【今年で888回目、17日には4年ぶりに「御渡り式」も】

 春日大社の摂社若宮神社の祭礼「春日若宮おん祭」が12月15日始まった。日本最古の文化芸能の祭典といわれ、国の重要無形民俗文化財に指定されている。平安時代から連綿と続いて今年で888回目。15日には奈良市餅飯殿町の大宿所(おおしゅくしょ)で「御湯立(みゆたて)神事」と「大宿所祭」が執り行われた。17日には約1000人・馬約50頭による華やかな行列「御渡り式」と「御旅所祭」が深夜まで繰り広げられる。御渡り式が通常の規模で開催されれば5年ぶりとなる。

◎…御湯立神事は祭り奉仕者の身を清め、祭りの無事執行を祈願するもの。御渡りに参加する「大和士(やまとざむらい)」や「神子(みこ)」(写真)たちが参列した。

◎…湯立巫女を務めるのは祝詞や所作を代々受け継ぐ加奥家(大和郡山市)の加奥満紀子さん。クマザサを大釜につけ「サヨーサ(左右左)、サヨーサ」と唱えながら湯を振りまいた。この後、ササと鈴を手に参拝者もお祓い。

◎…大宿所の室内には御渡りで奉仕者が身に着ける時代装束や道具類などが所狭しと並ぶ。

◎…杉の葉造りの小屋を飾るのは寄進された供え物のキジやタイ、塩ザケ。“懸鳥(かけどり)”と呼ばれる。江戸中期1742年の寄進はキジ1268羽・ウサギ136羽・タヌキ143匹…という膨大な記録も!

◎…奉仕者や参拝者には大根や里芋、こんにゃくなどを煮込んだ“のっぺ汁”がふるまわれた。

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<写真あれこれ⑨> 「なんだか気持ち悪い」って? 貴重なお宝だよ

2023年12月14日 | メモ

【実は1300年前の「う⋅ん⋅ち」 小学生に一番人気の展示品なんだ】(2022年10月25日/平城宮跡資料館で)

【排便の後始末に使う薄い木のへらも大量に出てきた】※トイレットペーパー代わりのこのへらは「籌木(ちゅうぎ)」と呼ばれる

【木簡を再利用した木の容器】※籌木の多くも不要になった木簡を縦割りにしたもの

【平城宮で出土した遊び道具】※左側の“木とんぼ”(素材ヒノキ)の発見で、それまで江戸時代に始まったとみられた竹とんぼの歴史が一気に奈良時代まで遡った!

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<写真あれこれ⑧> ヒオウギの蜜、アリの大好物だった!

2023年12月13日 | メモ

【こっちの花にも、あっちの花にも】(2023年8月22日/春日大社万葉植物園)

【漆黒のヒオウギの実「ぬばたま」 万葉集で黒髪や夜などの枕詞に】(2018年10月19日/我が家の庭で)

【平城宮出土のヒノキの薄板を使った“桧扇”(ヒオウギの語源)】(2022年11月2日/平城宮いざない館 ※左右の色の違いは保存方法の差による)

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<写真あれこれ⑦> おじさ~ん、何拾ってるんですか?

2023年12月12日 | メモ

【海岸で何かを拾い集める男性】(2017年8月7日/山口県柳井市で)

【何これ? 小遣い稼ぎになると言ってたけど】

【(奈良で)あそこにも鹿が… あっ!剥製か】(2023年8月27日/奈良市三条通りで)

【お母さんの袋の中から「コンニチハ」】(2014年5月8日/北九州市「到津の森公園」?)

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<写真あれこれ⑥> 祭りの餅まき、ゲットした餅から

2023年12月11日 | メモ

【5円玉! 歯が欠けるところだった】(2015年11月7日/京都府南山城村の「田山花踊り」)

【ワンちゃんも着飾っておめかし】(2018年10月13日/滋賀県長浜市の「長浜きもの大園遊会」)

【瑞雲? 朝日の上に円い輪が!】(2017年8月9日/岡山県内)

【花はどこ? 周りは草茫々!】(2017年7月4日/奈良市内の幹線道路で)

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<奈良女子大学管弦楽団> シベリウス「フィンランディア」熱演

2023年12月10日 | 音楽

【第52回定演、ドヴォルザーク「新世界より」も】

 奈良女子大学管弦楽団の第52回定期演奏会が12月9日、大和郡山市の「DMG MORIやまと郡山城ホール」で開かれた。プログラムはチェコのドヴォルザークとフィンランドのシベリウスの作品3曲。「愛国心」と「祖国愛」をテーマに選曲したという。会場の大ホールはほぼ満席で、学生やOBらの熱演に温かい拍手が送られ「ブラボー」の掛け声も飛んでいた。

 指揮者は常任の木下麻由加さん。2010年神戸大学発達科学部人間表現学科を卒業後、デンマークに留学し14年王立音楽アカデミーの指揮科を卒業。この間、ウクライナ国際指揮マスタークラスも2年続けて修了している。現在、奈良女子大学のほか近畿大学、神戸学院大学でも管弦楽団・交響楽団の常任指揮者を務める。

 1曲目はドヴォルザークが渡米前の1882年に作曲した序曲「我が家」だった。さほど長い曲ではないが、現在のチェコ国歌にも使われているメロディーが含まれる。後半のその「ふるさとはいずこや」の演奏は力強く、かつ華やかさに満ち溢れて、ドヴォルザークの郷土愛の世界に引き込まれた。

 2曲目はシベリウスが34歳だった1899年に作った「フィンランディア」。当時フィンランドはロシアの圧政下にあり独立の気運が高まっていた。この曲は民族叙事詩に基づく歴史劇の付随音楽の一部として作曲された「フィンランドは目覚める」が原曲。

 演奏は圧政に苦しむ人々の苦難を表すように金管楽器の暗い重低音で始まる。これまで何十回も聴いた出だしの「苦難」のモチーフだ。しばらくして鳴り響くのは金管・打楽器による独特な力強いリズム。これは「闘争への呼び掛け」のモチーフ。歯切れのいい演奏の後に「フィンランド讃歌」と呼ばれる美しい旋律が続く。

 フィンランドが苦難の末、独立を果たすのは1917年。以来長年にわたり軍事的中立を保ってきた。だが今年の春、その国是を大転換しNATO(北大西洋条約機構)に加盟した。背景にあるのはもちろんロシアによるウクライナ侵攻。演奏を聴きながら、そんな国際情勢がちらっと頭をよぎった。(下の写真は演奏会場の「やまと郡山城ホール」)

 3曲目はドヴォルザークが渡米中の1893年、故国を思いながら作曲した交響曲第9番「新世界より」。「遠き山に日は落ちて」の歌詞で知られる哀愁を帯びた第2楽章と、対照的に力強く壮大なアレグロの第4楽章の緩急・強弱のめりはりの利いた演奏が印象的だった。ホルンなど管楽器とコントラバス6本の安定感が演奏全体をどっしり支えていた。

 指揮者の木下さんは演奏前、ドヴォルザークについて昨今の“鉄ちゃん”に劣らない鉄道おたくだったことなどを紹介していた。気難しそうな作曲家が多い中で、ドヴォルザークのそんな庶民的な側面を知って親しみが増した。アンコールはヨハン・シュトラウスの「ラデツキー行進曲」だった。(カラヤン指揮のベルリン・フィル「新世界より」を聴きながら)

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<写真あれこれ⑤> ハチに刺された! ユズの木に大きな丸い巣!

2023年12月09日 | メモ

【コガタスズメバチ? 上から投げた枝が命中、真っ二つに】(2023年8月30日/我が家の庭で)

【その後、放水を続けるとスズメバチも退散】

【夏の夜、カナブン対スズメバチ】(2010年7月5日/奈良市内の公園で)

【何のサナギ? いえ「ペリカンバナ」の蕾です】(2023年5月16日/京都府立植物園)

【室内の天井でクマゼミが羽化!】(2017年7月17日/我が家で)

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<写真あれこれ④> 今も脳裏から離れない衝撃的な光景!

2023年12月08日 | メモ

【アカミミガメが鳩を池に引きずり込んで食べた!】(2012年8月11日/奈良・猿沢池)

【ミミズをうまそうに丸呑みするトカゲ】(2016年5月31日/自宅の庭で)

【数羽のカラスの攻撃を受け放心状態で動けず】(2017年5月20日/奈良市の住宅街)

【交尾? 激しく絡み合う2匹のカタツムリ】(2017年8月16日/自宅の庭で)

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<写真あれこれ③> 超接近、でも逃げないキリギリス!

2023年12月07日 | メモ

【そうか、ウンコ中だったんだ】(2015年7月20日/奈良県営馬見丘陵公園)

【汗を吸ってるの? 足に止まり3分も!】(2016年7月31日/和歌山県紀の川市の粉河産土神社で)

【シジュウカラ、勝手に鳥かごに出入り】(2013年2月14日/我が家のベランダで)

【アマガエル、墓石でかくれんぼ?】(2014年9月13日/奈良市寺山霊苑で)

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<写真あれこれ②> 店頭にこんな貼り紙が!

2023年12月06日 | メモ

【ドキッ! で、被害は?】(2017年6月1日/奈良市のブランド品買い取り店で)

【痛快な花輪がずらりと】(2015年7月19日/北九州市のJR黒崎駅前)

【なぜ「給料日後の3日間」?】2017年8月7日/山口県柳井市の菓子店)

【なんじゃ?このド派手看板】(2017年8月8日/岡山県内の国道沿いで)

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<写真あれこれ①> 「あっ、目が合った!」鹿さんと

2023年12月05日 | メモ

【巨大切り株の空洞を覗くと!】(2019年3月15日/春日大社参道で)

【阿波踊りに飛び入り参加!】(2017年5月13日/東大寺大仏殿中門前)

【寒くない? 雪、初体験かな】(2014年2月14日/春日大社参道で)

【大丈夫? 血が出ているけど】(2023年11月16日/氷室神社前の花壇で)

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<中野美術館> 所蔵名作展「近代日本の洋画・日本画」

2023年12月03日 | 美術

【長谷川潔・駒井哲郎・村上華岳の作品など約40点】

 中野美術館(奈良市あやめ池南)で所蔵名作展「近代日本の洋画・日本画」が開かれている。美術館の創設者は林業で財を成した中野皖司氏。四半世紀にわたって収集してきた明治・大正・昭和の絵画や版画、彫刻などのコレクションを一般公開しようと約40年前の1984年に開館した。

 多く所蔵するのが洋画の須田国太郎や版画の長谷川潔、日本画の村上華岳、入江波光などの作品。入ってすぐ左手の洋画展示室には24点を展示中。今回は特に版画家の長谷川潔(1891~1980)と駒井哲郎(1920~76)に焦点を当て、それぞれの作品を5点ずつ紹介している。

 長谷川は1918年フランスに渡り、マニエール・ノワール(メゾチント)という古典的銅版画技法を復活したことで知られる。展示作品のうち特に印象に残ったのが『再生した林檎樹』。樹の上部は枯れているが、幹の下からはひこばえが元気に伸びる。力強い生命の連続性を感じさせる作品だ。満開の花を中心に蕾としおれた花を描いた『コップに挿したアンコリの花(過去・現在・未来)』も味わい深い。

 駒井は1951年、銅版画『束の間の幻影』が第1回サンパウロ・ビエンナーレでコロニー賞を受賞し一躍注目を集めた。54~55年にはパリに留学し、この間フランス在住の長谷川を訪ねている。展示作品は『消えかかる夢』『人形と小動物』『手』など。ほかに舟越保武のリトグラフ(雁皮刷り)『聖クララ』『若い女』や須田国太郎の『牛の居る風景』、鳥海青児の『大理石を運ぶ男』、三岸節子の『花』、林武の『金精山(奥日光)』、藤田嗣治の『婦人』なども展示中。

 日本画展示室には村上華岳の『梅の図』『幽山雲烟』『踊れる少女』、入江波光の『追羽子』『墨梅図』、冨田渓仙の『広沢渓鳥図』などとともに、富岡鉄斎の『江村雨図』と『茂樹清泉図』が墨書の『題詠』とともに展示されている。展示室内の和室を飾るのは小林古径の作品『富士』。

 館内には彫刻家佐藤忠良(1912~2011)のブロンズ像2点も展示中。入り口そばに『帽子』、洋画展示室中央に『若い女・夏』。たまたま日経新聞が11月26日付日曜版で「生への賛歌 佐藤忠良(上)」と題する2ページ特集を組んでいた。それによると、佐藤はロダンとその弟子デスピオの作品から多くを学んだという。

 佐藤の代表作に女性の全身像『帽子・夏』。この作品を機に1970年代以降、帽子シリーズを相次いで発表した。館蔵の頭部像『帽子』もその一つだろう。鍔広の帽子を被って顔はうつむき気味。そのため表情はうかがえない。12月3日付「生への賛歌 佐藤忠良(下)」では絵本画家としても活躍した佐藤の素顔を、代表作「おおきなかぶ」の原画などとともに紹介。俳優佐藤オリエが忠良の愛娘だったことも初めて知った。

 中野美術館は日本最古の溜め池といわれる「蛙股池」のほとりに立つ。池を挟んで対岸の高台にあるのは東洋美術のコレクションで知られる大和文華館。林の奥にその建物の一部がちらりと見えた。名作展は1月28日まで(ただし12/4~1/9は休館)。

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<生駒・宝山寺> 「厄除け大根炊き」開催

2023年12月02日 | 祭り

【境内には大鳥居に16日掛ける大注連縄も】

 生駒聖天宝山寺(奈良県生駒市)で12月1日、恒例の「厄除け大根炊き」が行われた。新型コロナ禍で2020年から2年続けて中止だったが、昨年からまた通常開催に。熱々のふろふき大根が午前零時から参拝客に無料でふるまわれ、境内は無病息災を願う多くの人でにぎわった。

 この大根炊きは宝山寺青年会の奉仕活動の一つ。今回使った大根は約1300本。これを輪切りにし直径が1mを超える大釜で炊き上げた。1人分は2切れ。これに秘伝の甘い「宝山寺みそ」をかけて渡す。大根1本でほぼ7人分ということなので、ざっと5000人分となる。

 宝山寺は生駒山(標高642m)の中腹に位置する。生駒ケーブル宝山寺駅から参道の石段を上って境内に着いたのは午前9時すぎ。接待場所のテント前には次々に参拝客が訪れては、受け取った大根を「フーフー」言いながら口に入れていた。時々、長蛇の列もできていた。

 「1年間お参りありがとうございました」。こんな手書きの紙がテントにぶら下がっていた。罰当たりかも。今年初めてのお参り、しかもお代わりまでしてしまって。そのそばでは持ち帰り用のふろふき大根が1袋300円、宝山寺みそが540円で販売されていた。留守番の家族に食べてもらうのだろう、まさに飛ぶように売れていた。

 境内でひときわ目を引いたのが新しい大注連縄。これも青年会のメンバーによって作られた。毎年12月16日の奉納行事で大鳥居に吊り上げられる。注連縄はビニールで覆われ「大注連縄に賽銭を差し込まないで下さい」という注意書きが添えられていた。ということは、これまで賽銭を埋め込む人が結構多かったに違いない。

 大根炊きは“本場”京都で冬の風物詩になっている。京都では「大根焚き」と書くお寺が多い。千本釈迦堂(大報恩寺)は毎年12月7~8日、清滝の了徳寺は同9~10日に開催。法住寺は毎年1月(2024年は1月14日)、大原の三千院は2月の初午の時期に合わせて行っている。

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