経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

2/24の日経

2016年02月24日 | 今日の日経
 設備投資を機械受注で見ると、下図のようになる。非製造業(除く船電)と製造業を別にするのがポイントだ。すると、非製造業は消費に連れ、製造業は輸出に従っていることが分かろう。要は、設備投資は需要に沿って動くということで、金融政策で増やせるわけではない。これは、経済学の教科書的説明には反するが、昔からよく知られていたことである。

 筆者は古いので、日銀が異次元緩和をしようと、それ自体で景気を回復させられるとは、まったく思っていなかった。実体経済に影響が及ぶとしたら、円安が輸出を増やすというルートであり、やはり、今回も、そうだ。金融緩和をしても、海外の事情によって、円安にならなかったり、輸出が増えなければ、設備投資は増えず、景気も回復しない。

 また、非製造業が消費に連動していると分かっていれば、いかに異様な金融緩和をしようと、増税で消費を削減していたら、景気回復に、まるで意味がないのは、明らかだろう。財政再建も大切だが、日本の場合、ちょっと景気がよくなると、過激に緊縮をしてしまう。その匙加減をどうするかは、とても難しいことである。

 若い方には、データに親しむことを勧めたい。例えば、2013年に非製造業がいち早く立ち上がっているが、この時は、景気の転換点で、急速な消費回復があった局面だ。2015年5月頃は、製造業と輸出が食い違う動きを見せたが、これは鉄鋼業で、たまたま巨大投資があったせいだ。こうして、設備投資と消費や輸出との関係を突き合わせつつ理解していく。

 こうして見ると、この先の景気も読めてくると思う。輸出は、海外経済の状況から、あまり期待できず、消費も、財政が昨年度以上の緊縮を進めているのだから、なかなか厳しい。本コラムで示していたように、5兆円規模の補正予算を組んでいれば、ここまで困ることはなかったはずだ。金融も、財政も、状況に則して行わねばなるまい。

(図)



(今日の日経)
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4 コメント

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Unknown (asd)
2016-02-24 11:39:28
輸出ルートだけでなく、輸入インフレにより国産品の国内消費が伸びたり、労働力の価格競争力向上→雇用流入もあるはずですよね。
悪いのは円安ではなく、それらを台無しにする緊縮財政ですが、緊縮財政をしているという認識が国民の中に無いため、国民の中ではかなりの割合で円安が悪者になってしまっているようです。
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日銀ポイント ()
2016-02-24 21:50:04
日銀が消費行為に対してポイントを付ける形の金融緩和策とういうのも今の時代ならありうると思う。
円安にしつつポイントで物価を下げるということも可能だ。
消費税を相殺できたりもする。
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決定ラグについて (実川将太)
2016-02-24 22:16:51
教科書も読まないよりは読んだほうがよい。

〈財政政策の決定ラグは金融政策の決定ラグよりもはるかに長くなる傾向があります.財政政策の発動―たとえば,通常国会の会期外で,補正予算の編成によって景気対策を実施するためには,臨時国会を召集し,補正予算案を審議しなければなりません.また増・減税については,政治的な係争の焦点になりやすく,政策の実施自体が困難であることも多いため,決定ラグはとくに長期化すると考えられます.〉(『ゼミナール 経済政策入門』 岩田規久男 飯田泰之 日本経済新聞出版社 2006年 320-1ページ)

金融政策が財政政策より先行するのは決定ラグの差によるものであり、財政政策で景気対策をしたければ決定ラグを短くする仕掛けも考える必要がある。

こんなものは教科書に出てくる話であり、本ブログの先生も国民経済が大事なら、まず、教科書を読んでみてはどうだろう。
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補正予算について (実川将太)
2016-02-25 08:20:19
財政政策はおくれてやってくる。

〈自民党の二階総務会長は党のインターネット番組で、経済の先行きに懸念が出ていることに関連して、「積極財政に転換していくべきときだ」と述べ、新年度予算案を速やかに成立させたうえで、補正予算案の編成を念頭に景気対策を検討すべきだという考えを示しました。
この中で、二階総務会長は、株価や為替の急激な変動が続き経済の先行きに懸念が出ていることに関連して、「今こそ多くの国民が安心してついて行けるような経済政策を実施し、積極財政に転換していくべきときだ」と指摘しました。
そのうえで、二階氏は「財政出動を含めた積極的な経済対策をとることを政権に期待している。いろいろ意見はあっても、安倍総理大臣の決断によって思い切った政策を積極的に展開していくべきではないか」と述べ、新年度・平成28年度予算案を速やかに成立させたうえで、補正予算案の編成を念頭に、景気対策を検討すべきだという考えを示しました。〉(『NHK』「自民 二階氏「積極財政に転換していくべき」2月24日 21時27分」)

補正予算で景気対策はやるようだ。
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