経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

政策需要を扱う際の留意点

2012年07月11日 | 経済
 日経の社説もピリッとしないね。「余った予算を安易にばらまいていいのか」としながら、「住宅やエコカーの導入支援に余地」などと、物欲しそうにしている。足元で景気対策の追加は不要だし、エコカー補助金が撹乱要因になっていることを、若手が一面特集で書いているではないか。論説が方向性を鋭くしないと、良い記事が上がって来なくなる。

 筆者は、四次補正でエコカー補助金が決まったときから批判的であった。復興予算を組むにあたり、公務員は身を削れなどと言って、救難でお世話になった自衛隊員の給料までカットして3000億円を捻出したのに、同じ額をクルマを安く買えるようにバラ撒くというのは、正直、忸怩たるものがあった。

 しかも、2010年のエコカー補助金で駆け込みと反動の苦い経験をしたのに、まったく運用に工夫がないどころか、軽自動車の補助額を厚くして反動を作るようなことをしている。こうした反省のなさは、どうしたことか。そうしておいて、更に次の補正予算でテコ入れを欲しがっているのである。努力と誠実の日本人には、似つかわしくない。

 成長を第一に考えるのが筆者の流儀だが、手段は選ぶべきである。本当の景気対策は、設備投資の増加に結びつくことが鍵になる。負担増でむやみに所得を抜いたりせず、全般的な消費の増加が必要だ。特定品目で政策需要を増やしても、反動が目に見えているのだから、設備投資を増やそうとはならない。リーマンショックの時のような異常な生産減を補う場合は別として、良い手段とは言えないのである。

 営業マンにとって一番つらいのは、お客様に届けるタマが足りないことだ。商品がないと、みすみすライバルの参入を許してしまう。家電エコポイント際、液晶テレビでは、こうしたことが起こった。特に、外国企業に橋頭堡を築かれると、あとあと苦しむことになる。自動車にそうした心配は少ないが、それでも外国車で過去最高の販売台数を記録しているところがある。

 もともと日本市場は中堅所得層が厚く、安いだけでは売れないという、日本企業の金城湯池として有利な状況があった。国内で力をつけ、海外に打って出るのが勝パターンだった。ところが、1997年のハシモトデフレ以来、低所得層が増えて、そうもいかなくなった。今後、太陽光パネルもあるし、政策需要の出し方には注意がいる。内外の差別はいけないが、税金でこしらえる政策需要を徒に海外に流出させないことも、大切な要素になる。「戦略」作りに熱を上げるのも結構だが、基本を忠実にである。


(今日の日経)
 就活に薄日で内定率上昇。エコカー補助金追い風も反動に不安、東海求人1倍超。社説・余った予算を安易にばらまいていいのか。インド経済なぜ急ブレーキ。社会保険料で最賃の逆転拡大。金利不正は複数行で。熱波で穀物高騰。デフレ対策はインフラ軸。中国製50型テレビ10万円切る。セブン1万店で割安電力。6月コンビニ減収。経済教室・再生エネ・植田和弘。

※景気は少しずつ。※中国もインドのようになると思っていたが、こちらの物価は低下。穀物高騰の影響はどうなる。※バブル崩壊後に銀行不正が出るのは恒例。※セブンがこうするのは電力会社の受電設備に贅肉があるのだろう。※態度も落ちたし、消費が気がかり。


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