経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

経済政策を見る観点

2014年03月14日 | 経済
 利益を最大化しようと思えば、木を伐るだけで、苗を植えないのが一番だ。むろん、それでは次世代の得るものがなくなるが、現世代にとっては合理的な行動だ。ならば、若者や女性を安く使い、子供を持てなくすることはどうか。極めて合理的な企業の行動であるが、移民でヒトを輸入しなければ、持続不可能になる。こうした長期的には利益を最大化しない不合理を是正することに、経済政策の意義はある。

 法人減税を叫ぶ人は、成長を高めることを根拠にするが、少しばかりなら、他にいくらも政策はある。そうした「一点突破」では話にならない。設備投資の促進であれば、それに絞った減税の方が費用対効果が高いのは論理として明らかであり、政策の比較をせずに声高に主張するのは、「他面展開」する別の意図があると考えるのが普通だろう。

 例えば、株価を短期的に上げるのには効果的だろう。市場関係者が歓迎するのも当然だ。上場企業の3割を占めるまでになった外国人株主も配当増が期待できるし、海外に投資をしたい経営者や設備投資が成長の源泉ではない金融業にとっても好都合である。彼らに設備投資減税は意味がなく、欲しいのは法人減税だろう。声高には言えないにしても。

 企業負担を軽くする政策なら、法人税ではなく、社会保険料を軽減する方法もある。法人減税派の大好きなドイツも、社会保険料を抑えるために財源を投入し、同時期に経済成長という「成果」を上げているから、一も二もなく賛成してくれるに違いない。残念なのは、外国人株主、海外投資派、金融業者には、あまりメリットがない点だ。

 具体策は、1/12の「2兆円でできる社会」で示したとおりである。パートの大半が厚年・健保に加入できるようになり、130万円の壁もなくなる。若者や女性を中心に底上げがなされることで、少子化の緩和にも効果があるだろう。この政策の最大のメリットは、設備投資の促進に「失敗」したとしても、負担軽減自体に社会的意義があることだ。そして、日本経済を持続可能にもする。政策は、本来、こういう観点で選ぶべきものである。

(今日の日経)
 原発ゼロが夏にも解消。イオンがアジア投資倍増。香川県・求人1.4倍の裏側に高齢化。起業向け融資7年ぶり高水準。戸建てに長引く反動減。大機・経常赤字削減は財政再建には的外れ・カトー。日銀貸出支援基金の効果は不確か・大村敬一。ATM売却・勝ちて和す。

※起業は好況でこそ。不況が生むわけではない。※収入見通しが住宅には大事。※カトーさんが理路整然と説いても、当局は双子の赤字の恐怖で押しまくるのだろうな。「赤字は悪」と叫ぶことほど「分かり易い」ものはないからね。下らない主張は、当局が言っても報じないようにできないものか。

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