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経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

1-3月期の実態はゼロ成長の日本

2014年05月04日 | 経済
 金曜日に公表された3月の家計調査の結果は、実質の前年同月比が39年ぶり伸びという記録的な増加となった。むろん、消費増税の駆け込み需要という特殊要因によるもので、これにより、1-3月期のGDPは4.6%にもなるという民間調査機関の予測も出ているところだ。しかし、特殊要因を除いた実態は、ゼロ成長であることを見逃してはなるまい。そこに消費税3%がのしかかることになる。

………
 勤労者世帯の実質消費の季節調整済指数は、前月の99.7から111.8に跳ね上がり、消費性向も、高めだった前月の75.9から85.1へと異常な上昇を示した。当然、こうした消費性向が持続することはないから、今後の消費を占うには、裏づけとなる収入を見る必要がある。その実質実収入は、3月は前月より低下するありさまで、1-3月期の平均99.0を前期と比較すると、-0.0である。

 基本的に、収入と消費はパラレルに動くものなので、駆け込み需要がなければ、消費増はなかっただろうと考えられる。GDP予測における1-3月期の高い伸びは、ほとんどが消費増によるものである。1-3月期は、設備投資と住宅は堅調であるものの、公共事業のピークが過ぎた公需、輸出が伸び悩む外需がマイナス寄与になるため、打ち消されることになる。したがって、実態はゼロ成長なのだ。 

 言うまでもなく、GDPは、7-9月期が年率0.9%、10-12月が年率0.7%と、1%を切る低調ぶりであったから、1-3月期の実態がゼロ成長だからと言っても、驚くにはあたらない。円安の浸透によって物価が上昇し、実質賃金が低下していることは、先日の毎勤でも確かめられている。駆け込み需要を除いてみれば、これまでのトレンドが続いているというだけのことなのである。

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 販売側の統計は家計調査ほどではないが、「山高ければ、谷深かし」で、駆け込みの反動減の大きさが心配される。足元は、まだ反動減のマイナスが縮小しているだけなので、「想定内」などと言って、楽観するのは禁物だ。マイナスからプラスに転じるところが関門であり、ここを越えられなければ意味がない。

 生産面では、足元は、駆け込み需要で在庫が払底したので、それを徐々に戻しているところである。したがって、停滞感は、駆け込みの余韻で、実態より薄く感じられるはずだ。問題は、その後である。前回の消費増税の際には、在庫管理に失敗があったとする人もいるが、徐々に「平常」に戻したつもりだったのに、需要の方が「平常」に復しなかったという見込み違いである。

 いずれにせよ、実態は意外に深刻である。ゼロ成長の経済に消費増税8.1兆円を負荷する意味を想像してほしい。次の統計指標の発表は1か月後になるが、反動減の下でのパートの雇用量、そして、春闘後の賃金水準が注目点になる。まあ、賃上げも、過去1年間の物価上昇を相殺する程度で、消費増税の負担増は、そのまま掛かるようなレベルだとは思うがね。

※追加・5/2の内閣府「消費税率引上げ後の消費動向等について」における週次データだと、4週目に入って、家電、飲食料品とも前年比のマイナス幅が縮まらなくなった。これも「想定内」かな。

(今日の日経)
 人口50年後に1億人維持、経済制約に危機感。介護施設に持ち株型。読書・人口の世界史。

※50年後に出生率を2.07にするなんて、ノンビリし過ぎではないか。フランスは、1.73の底から15年もかからずに2.00に戻しているよ。消費増税や法人減税を優先しているようでは、そうなるかもね。危機感と言っても、その程度だ。

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