経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

危惧が的中した7-9月期GDP

2013年11月15日 | 経済
 昨日、公表になった7-9月期GDPは、筆者の予想どおり、相当に悪い内容だった。表面的には実質年率で1.9%成長だが、在庫の急増という要因を除くと、0.4%成長になる。ゼロ%台の成長もあり得るとしていたから、まあ的中と言って良かろう。在庫は、消費が悪い結果として伸びるとは思っていたが、その大きさを事前に読むのは、困難な項目であり、2次速報で大きく変わる可能性もある。

 民間消費は、実質の前期比で0.1%増であった。筆者は、これでもまだ高い方だと思っている。GDPを占う消費総合指数は感応度が低いためにプラスだが、家計調査は既にマイナスになっているからだ。消費の不振は、雇用者報酬が-0.6%と落ち込んでいることによる。賃金が上がらない中で、円安による物価高の浸透が実質値を下げている。

 前にも書いたが、今年前半の経済の好調は、外国人の旅行者増と日本人の海外旅行からの国内シフトという円安メリットであり、円安デメリットは表面化していなかった。メリットとデメリットのタイムラグが好調さを演出していたのである。賃金が上向いて消費を伸ばすとする見方が多いが、物価高がそれを殺ぐおそれがあり、楽観できない。

 今回の在庫増は、消費税の駆け込み需要の準備であり、悪いものではないとする見方もあるが、それはそれで、今後の消費増を在庫減が相殺することも意味するから、GDPが伸び悩む要因になる。加えて、住宅投資、公共投資もピークを迎えつつあり、これから更に牽引することは考えにくい。

 今回、円安にも関わらず、輸出が伸びていないことは、非常に心配である。これは新興国やASEANが停滞しているだめだ。来春の消費増税後は、輸出に頼る一本槍になるが、これが折れてしまえば、日本経済はマイナス成長に転落する。増税まで4か月半しかないのに、世界経済の回復は間に合うのであろうか。

 本コラムが危惧していたとおり、消費増税を決めたその日から、悪い景気指標が出始めることになった。円安による輸出増を安易に期待し、理由の分からない好調さに幻惑され、野心的な緊縮財政に踏み切ってしまったことになる。折りしも、補正予算で国債発行が不要なほど税収は伸びているという。つまりは、こんな危険を犯す必要さえなかったわけである。 

(今日の日経)
 医療費2011年度38.6兆円。両陛下の葬儀は火葬。5大銀は6割増益。イエレン示唆で低成長と株高共存。コメの関税280%に見解修正。補正予算案で国債追加せず。独一人勝ちに欧州で反発。ユーロ圏0.1%成長、仏伊マイナス、南欧は輸入減でGDP押し上げ。ユーチューブ限定で著名監督の映画公開・ネスレ。経済教室・消費増税の低所得対策・田中総一郎。

※ユーロ圏も悲惨なことになっているね。金融緩和と緊縮財政を組み合わせれば、輸出力のある国のみが潤うのは当然の理。南欧は飢餓輸出ならぬ「飢餓輸入減」の成長か。※公的年金控除の廃止には筆者もまったく賛成。低所得者対策には具体策がほしい。考えられるのは、医療費上限の引き下げかな。

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