投資マネーの大きさを推定するのは、実はとても困難です。個人や会社が投資も預金もせず現金で退蔵していたりすると把握のしようがありません。
そこで専門家は逆に、投資先の市場の大きさから推定します。株式市場や債券市場の大きさは国別に把握可能です。待機資金をべつにすれば、証券市場の大きさが、裏を返せば投資マネーの大きさにつながっています。
金融市場の大きさを推定するのに、信用のおける統計があります。
一つは米国Asset Allocation Advisor社の09年末調査で、国別の株式時価総額と債券残高総額を調査した結果です。これによると世界の有価証券の合計サイズは126兆ドル。1ドル80円換算では1京円という耳慣れない単位に上ります。地域別の債券残高と株式時価総額は以下のようになります。
債券残高総額 株式時価総額 合計 兆ドル
アメリカ 31 14 45
ユーロ諸国 24 7 31
日本 11 4 15
その他 16 19 35
世界合計 82 (65%) 44(35%) 126(100%)
(注)米国Asset Allocation Adviser社、09年末調査
注目すべきは、債券と株式の比率です。アメリカでは債券が株式の2倍、ユーロ圏は3.4倍、日本は2.8倍、そして世界全体でも約2倍となっています。債券市場の大きさは株式市場を2倍も凌駕しています。調査は09年末ですので、株式が多少時価総額を増しているのではと思われるかもしれませんが、アメリカ・日本などの債券大国がその後猛烈に国債を発行しているため、比率的には現在もさほど変わらないと思われます。
先進国はおしなべて債券が株式を圧倒していますが、「その他」と分類されている主に新興国の合計では、株式が債券より多少ですが大きくなっています。これは、資本市場はまず株式市場からスタートし、国や会社の信用力が上がると、やっと債券発行が多くなってくることを示しています。
債券市場のことを英語で「クレジット市場」と言いますが、それはまさに信用力がものをいう市場だからです。
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