彷徨さんへ
お久しぶりです。
私は高貴でもなんでもないただの一般人です、ご安心を(笑)。
ご質問の件、60歳代後半の方へのアドバイスということで、まず回答させていただきます。ご質問を引用しますと、
>今後もある程度インカムゲインを期待したいと思うと、高金利の新興国債やいわゆるデリバティブ絡み債が考えられますが、 我々夫婦にとってはリスクが大き過ぎる
そのとおりですね、新興国ものやデリバティブがらみは絶対に避けてください。その二つは本当に大きなリスクを取ることになるので、今後何らかの原因で世界が震撼すると、暴落は必至です。
しかしこうも低金利だと単なる債券では年金に若干のプラスはできても、エンジョイするためのインカムには足りないかもしれませんね。
そこで以下を提案します。
① 安全な短期運用でしばし我慢し、金利がある程度高くなれば切り替える
② ある程度のインカムゲインが欲しければ、許容範囲内としてお薦めできるのはアメリカのREITで運用する高配当投信
二つの組合せも考慮されるとよいと思います。
米国REIT投信については、私の以下の考え方を参考にしてください。
私は一般論として「高配当の投信を買うくらいなら、自分で自分に配当したほうがマシだ」と言っていますが、「米国債の代替の一つは米国REITだ」とも言っています。
その理由は、長期では米国REITのリターンはとても高く、そもそもREITとはインカムゲインの目的にもっとも叶う商品だからです。REIT発祥の原点は、賃貸収益のパススルーです。パススルーとは、REIT会社が収益のウワマエをはねずにそのまま投資家にパスすること。収益の9割以上を投資家に配当することでREIT自体は法人課税を免れ、投資家は高配当をエンジョイできる、それがREITです。
では、「高配当の投信」をどう考えるか。高配当投信をさけるべきだという一番の理由は、自分で自分に高額配当をするのに、課税されてしまうからです。課税をされながら自分に配当するのは間尺にあいません。しかし、しっかりとした運用により元本を減らさずにかなりの配当を得られれば、全くダメというわけではありません。その代表が米国REITの投信です。
ある程度の年齢の方でどうしても高いインカムゲインが欲しい方には、リスクを覚悟の上でこの商品をお薦めします。相当な数の米国REIT商品があるので、慎重に比較してみてください。投資額に対して税引き前の配当率で15‐20%の商品があります。価格変動はかなりありますが投資対象そのものの信用度が高いため、実績のよい投信を長期で保有すれば元本リスクはさほど大きくありません。
それに比べると、今一番の売れ筋であるハイイールドの高配当投信などは信用力がない債券に投資しますので、発行体が倒産すれば一巻の終わりです。いくら分散していてもだめだったサブプライム商品と本質的にかわりありません。不良品をいくら集めても不良品です。
しかし米国REITは優良不動産が投資対象なので、ハイイールド債券などと本質的に違い安全性は雲泥の差です。それでもREITは株式なので、価格変動は覚悟する必要があります。100年に一度のリーマンショック時を見ておきましょう。ダウジョーンズのREITインデックスは、サブプライム寸前のピーク時に350を付け、それが100を少し切るところまで落ちたのですが、今は300を回復しています。ここまでの激しい変動はあまりないと思いますが、バブルの頂点で買えば下落する可能性は覚悟すべきでしょう。現在のレベルは、バブルのレベルではないと思いますが、安くもありません。
彷徨さんの場合、例えばご夫婦でNISA口座を使って米国REIT投信に200万円投資すれば年率15-20%程度、つまり30万円から40万円の非課税配当がもらえます。それでだけは不足なら、課税覚悟で投資すればその8割がもらえます。
以上、①の安全な投資と②の米国REITの高配当投信を両にらみで検討されてはいかがでしょうか。
この高配当投信への投資は、ある程度の年齢の方であることと、インカムをどうしてもという条件の方にお薦めしています。米国REIT投資の一般論で言えば高配当投信ではなく、米国REITのETFなどがお薦めです。
ななしさん(53才)へ
全金融資産4千万円のうち、かなりの部分が日本の個別REIT銘柄への投資。そして500万円をなるべくリスクを取らずにどうするかを考慮中、という理解でよろしいでしょうか。
不動産と金融資産がほとんど円建てで、しかもREITでかなりのリスクを取っているので、今後は少しずつでも超安全資産で、かつ円リスクをヘッジするべきだと思います。それには米国債がぴったりです。53歳で30年債というと「償還時に83歳か」となりますが、投資してから20年以降であれば償還まで持ち切らずに必要に応じて少しずつ売却してもキャピタルロスが大きく出る可能性は小さいと思います。
現在30年物でイールドが3.5%くらいですが、ゼロクーポン債は35%程度で買えて償還時には100%になります。円安にならなくても3倍にはなる。もし円安に振れれば、大きなゲインが出ます。今の金利レベルでもななしさんの投資対象にはなると思います。ただし、今後見込まれる金利上昇には目をつぶる覚悟はしてください。
以上、お二人に対する私のアドバイスでした。
お久しぶりです。
私は高貴でもなんでもないただの一般人です、ご安心を(笑)。
ご質問の件、60歳代後半の方へのアドバイスということで、まず回答させていただきます。ご質問を引用しますと、
>今後もある程度インカムゲインを期待したいと思うと、高金利の新興国債やいわゆるデリバティブ絡み債が考えられますが、 我々夫婦にとってはリスクが大き過ぎる
そのとおりですね、新興国ものやデリバティブがらみは絶対に避けてください。その二つは本当に大きなリスクを取ることになるので、今後何らかの原因で世界が震撼すると、暴落は必至です。
しかしこうも低金利だと単なる債券では年金に若干のプラスはできても、エンジョイするためのインカムには足りないかもしれませんね。
そこで以下を提案します。
① 安全な短期運用でしばし我慢し、金利がある程度高くなれば切り替える
② ある程度のインカムゲインが欲しければ、許容範囲内としてお薦めできるのはアメリカのREITで運用する高配当投信
二つの組合せも考慮されるとよいと思います。
米国REIT投信については、私の以下の考え方を参考にしてください。
私は一般論として「高配当の投信を買うくらいなら、自分で自分に配当したほうがマシだ」と言っていますが、「米国債の代替の一つは米国REITだ」とも言っています。
その理由は、長期では米国REITのリターンはとても高く、そもそもREITとはインカムゲインの目的にもっとも叶う商品だからです。REIT発祥の原点は、賃貸収益のパススルーです。パススルーとは、REIT会社が収益のウワマエをはねずにそのまま投資家にパスすること。収益の9割以上を投資家に配当することでREIT自体は法人課税を免れ、投資家は高配当をエンジョイできる、それがREITです。
では、「高配当の投信」をどう考えるか。高配当投信をさけるべきだという一番の理由は、自分で自分に高額配当をするのに、課税されてしまうからです。課税をされながら自分に配当するのは間尺にあいません。しかし、しっかりとした運用により元本を減らさずにかなりの配当を得られれば、全くダメというわけではありません。その代表が米国REITの投信です。
ある程度の年齢の方でどうしても高いインカムゲインが欲しい方には、リスクを覚悟の上でこの商品をお薦めします。相当な数の米国REIT商品があるので、慎重に比較してみてください。投資額に対して税引き前の配当率で15‐20%の商品があります。価格変動はかなりありますが投資対象そのものの信用度が高いため、実績のよい投信を長期で保有すれば元本リスクはさほど大きくありません。
それに比べると、今一番の売れ筋であるハイイールドの高配当投信などは信用力がない債券に投資しますので、発行体が倒産すれば一巻の終わりです。いくら分散していてもだめだったサブプライム商品と本質的にかわりありません。不良品をいくら集めても不良品です。
しかし米国REITは優良不動産が投資対象なので、ハイイールド債券などと本質的に違い安全性は雲泥の差です。それでもREITは株式なので、価格変動は覚悟する必要があります。100年に一度のリーマンショック時を見ておきましょう。ダウジョーンズのREITインデックスは、サブプライム寸前のピーク時に350を付け、それが100を少し切るところまで落ちたのですが、今は300を回復しています。ここまでの激しい変動はあまりないと思いますが、バブルの頂点で買えば下落する可能性は覚悟すべきでしょう。現在のレベルは、バブルのレベルではないと思いますが、安くもありません。
彷徨さんの場合、例えばご夫婦でNISA口座を使って米国REIT投信に200万円投資すれば年率15-20%程度、つまり30万円から40万円の非課税配当がもらえます。それでだけは不足なら、課税覚悟で投資すればその8割がもらえます。
以上、①の安全な投資と②の米国REITの高配当投信を両にらみで検討されてはいかがでしょうか。
この高配当投信への投資は、ある程度の年齢の方であることと、インカムをどうしてもという条件の方にお薦めしています。米国REIT投資の一般論で言えば高配当投信ではなく、米国REITのETFなどがお薦めです。
ななしさん(53才)へ
全金融資産4千万円のうち、かなりの部分が日本の個別REIT銘柄への投資。そして500万円をなるべくリスクを取らずにどうするかを考慮中、という理解でよろしいでしょうか。
不動産と金融資産がほとんど円建てで、しかもREITでかなりのリスクを取っているので、今後は少しずつでも超安全資産で、かつ円リスクをヘッジするべきだと思います。それには米国債がぴったりです。53歳で30年債というと「償還時に83歳か」となりますが、投資してから20年以降であれば償還まで持ち切らずに必要に応じて少しずつ売却してもキャピタルロスが大きく出る可能性は小さいと思います。
現在30年物でイールドが3.5%くらいですが、ゼロクーポン債は35%程度で買えて償還時には100%になります。円安にならなくても3倍にはなる。もし円安に振れれば、大きなゲインが出ます。今の金利レベルでもななしさんの投資対象にはなると思います。ただし、今後見込まれる金利上昇には目をつぶる覚悟はしてください。
以上、お二人に対する私のアドバイスでした。
資産運用の勉強中、林先生のブログに出会いました。著書も拝読させていただきました。
プロフィール紹介は締め切られましたが、勝手に自己紹介させていただくことをお許しください。
夫婦ともに53歳、共働き、年収夫600万妻400万の中小企業のサラリーマンです。
資産額は5000万(一生懸命節約して貯めました)+築10年の自宅(ローン残500万)。
資産内容は米国REITファンド70%、日本株10%、米ドルFX15%、円預金5%です。
一応、リーマンショックと昨年5月のプチ暴落を耐えしのいできました。
子供は大学を卒業して独立。妻は今年中に退職予定です。私もあと4年での退職を考えております。
私の退職までに、たこ足配当米国REITファンドの再投資と退職金で資産額を8000万まで増やし、
退職後の原資と考えております。年金は当てにしておりません(年金定期便によると65歳から
夫婦合計で月20万くらいとありますが…)
退職後の生活費(月50万目標)は、米国REITファンドのたこ足配当金を中心にして、
日本株をいじりながらの生活かな?と考えております。ちょっと考えが甘いでしょうか?
本当は米国債に投資しストレスフリーが一番と思いますが、利回りを考えると原資がもう少しほしい所です。
その他、バークシャーハサウェイ株、豪ドル債も検討中です。
米国REITファンドのプチ暴落はこれからも2~3年に一度はあると思いますが、リーマンショックのような事は
20~30年に一度かなと考えております。
林先生よりアドバイスをいただけたら光栄です。
最近、米国の原油輸出解禁のニュースを目にしました。
これにより、米国経済は磐石になりそうですね。しかし日本経済にとっては焼け石に水くらいでしょうか?
林先生のお考えをお聞きしたいです。
投資してみます。寿命を考えると、30年よりは少しだけ短い方がいいかもしれませんね。
話の流れには直接関係無いとは思いますが、サーフやインベストプラスは、不動産特定共同事業商品で利回りが1~2%、販売業者によると所謂REITよりは元本保証されているという話です。(かなり微妙とは思いますが・・)
実は米国REITで運用する高配当投信についてはすでに今年2月に動機は不純ですが、100万円を某銀行から複利運用する形で購入しておりまして現在、たまたま相当な含み益が生じております。不純な動機というのは某銀行では証券口座を開設すると他行への振込手数料がただになるというものでして、その特典欲しさに購入した次第です。ただ、そのとき迷ったのが当時売れ筋であったハイイールドの高配当投信にするか、米国REITで運用する高配当投信にするか、またその運用形態を為替ヘッジ付にするかしないかでしたが、できるだけ安全確実を確保するため米国REITで運用する高配当投信を為替ヘッジ付で購入しました。
とりあえず直近の結果をみるとハイイールドの高配当投信に軍配があがるようですが、恐らくもう少し長い目で考えるとその選択に間違いはないものと考えております。今後は保有債券の満期償還に合わせ、米国REITで運用するETFを移動平均法的にNISAの非課税枠も活用しながら、ある程度インカムゲインを確保しつつ運用して行こうと思っています。また分からにことがありましたらその節はよろしくお願いします。
自宅に加えて不動産ファンドにウン千万というのは、国内不動産の比重が高すぎるかも・・・
私も不動産偏重気味なので、あまり人のことを言えないのですが(笑)
iシェアーズ iBoxx 米ドル建て投資適格社債 ETF (LQD)・・・毎月分配
iシェアーズ・コア 米国高配当株 ETF (HDV)・・・年4回分配
LQDはハイイールド債ファンドよりも信用リスクが低く、米国REITよりボラティリティが小さいです。
http://finance.yahoo.com/q/bc?t=my&s=RWR&l=on&z=l&q=l&c=LQD&ql=1
HDVは米国REITよりボラティリティが大きいですが、非成長セクターの大型株がメインなためS&P500よりベータ値が低いです。
まぁ、LQD は金利上昇が確実にマイナスに作用しますし、HDVも
金利上昇がマイナスになる可能性が高いので、買い時とは思いませんが、元本の減少に目をつぶるならコレもありかなと。
ちなみに、東証に上場する米国不動産・REITや米国高配当株式のETFは、JDRの二重課税問題があるので要注意みたいですね。買うなら米国市場がベターかも。
ご質問の回答は、他の方への参考になると思いますので、本文にてさせてください。
プロフィール登録の際にUS-REITのコメントをしたところ、雪風ファンドさんから
タコ足配当REITは運用コストが高いため、米国市場で直接SPDRダウ・ジョーンズ
REIT ETF(RWR)やVanguard REIT ETF (VNQ)を買い付けた方が良いとのアドバイス
をいただきました。
林様が本文でご推薦されている米国REIT投信は、タコ足配当REIT(フィデリティ
USリート ファンド Bとか、新光US-REITオープンとか)でしょうか。その場合は、
将来自分の足が無くなってしまうのを事前に見切るコツなどがあるのでしょうか。
また、タコ足配当ほどの高配当ではありませんが、雪風ファンドさんが推薦される
ようなRWRやVNQはどのようにお考えでしょうか。
林さんの本文に「米国REIT投資の一般論で言えば高配当投信ではなく、米国REITのETFなどがお薦めです。」とありますので、普通に考えればREIT ETF(RWR)やVanguard REIT ETF (VNQ)を買い付けた方が良いと考えておられると判断できます。普通の人に高配当投信を薦めるのは、手数料の高い投信を売りたくて仕方がない人たちぐらいのものでしょう。
そして、将来自分の足(元本)が無くなってしまうのが嫌であれば、最初から元本払戻金(特別分配金)を出しているファンドに近づかないことです。林さんも本文でこのように言われています。
「この高配当投信への投資は、ある程度の年齢の方であることと、インカムをどうしてもという条件の方にお薦めしています。」
つまり、積極的に薦めているわけでは断じてありません。(←ココ強調)
なお、普通分配金と元本払戻金(特別分配金)の違いについては、以下の説明がわかりやすいです。(特に、課税の部分がよく誤解されます)
http://www.nam.co.jp/seminar/rescue/operation/dividends/b10.html
運用実態を超える高い分配金を引き下げるファンドが相次いでいる件に関しては以下。
http://blogs.yahoo.co.jp/zei_esaki/11661963.html
私の素人質問へのご回答と解説ありがとうございました。同じ本文を読んでいる
はずですが、こうも読解力というか理解力が違ってくるとは。まずは基礎を身に
付けないと、せっかくの林さんのブログを読んでもためになりませんよね…。
教えていただいたリンク先をさっそく読み、一つ知識を吸収しました。
別のポストのコメントでも色々議論されていましたが、今現在は(米国REITの環境
と、私自身も後10年以上サラリーマンを続けるという意味で)米国REITは買い時
ではないことがよく分かりました。元本を減らしたくない場合は、安易にインカム
ゲイン狙いの商品に手を出さない方が賢明ですね。
実は親から築うん十年の古~い貸家を相続したのですが、幸いにも借りてくれる
人がいて、毎月数万円のインカムゲインを得ています。もちろん税金や修繕費
などで何割かは消えますが、不動産収入を生活の足しにするのもいいかも、なんて
安直に考えてしまい、サラリーマン大家の類の本を少々読みました。その後林さん
の著書を読み、やっぱり実不動産よりはREITかな~と思い直し、林さんや雪風
ファンドさんにREIT関連の質問をさせてもらいました。というのが、私がREITに
少しこだわった理由でした。蛇足スミマセン。。。