河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

PC版に一覧等リンクあり。
OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1494- コリオラン、皇帝、ペリアネス、田園、ヒュー・ウルフ、読響2013.7.6

2013-07-12 20:30:00 | インポート

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2012-2013シーズン
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2013年7月6日(土)6:00pm サントリー
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ベートーヴェン・プロ
序曲、コリオラン
ピアノ協奏曲第5番 皇帝
 ピアノ、ハヴィエル・ペリアネス
(アンコール)ファリヤ アンダルシアのセレナータ
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交響曲第6番 田園
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ヒュー・ウルフ 指揮 読売日本交響楽団

名曲ぞろいのプログラムで、本格的で手応えありの演奏でした。
ピアノのペリアネスは、鍵盤に手が吸い付いていくように見えるスタイルで、なんだかピアノから求められている、彼の指を動かしているのはピアノではないのかと思ったくらい。弾いている最中も、休止の間も、指揮者の棒をずっと見続けている。彼のスタイルなんでしょう。また、前後の挨拶のしぐさも含めバレンボイムとよく似ている。どのくらい深い師弟関係なのか知りませんが、しぐさがよく似ている。指揮者のエッティンガーほどではありませんが。
それでまず、コリオラン。シンプルで非常に魅力的な曲。第1,2主題の極端な違いに見られるように劇的要素がもともと内包されている。なんか最初から、ピアニシモのこの終わり方しか有り得ない、そんな感じが濃厚。ウルフは曲以上にドラマティックなものは求めませんが、それでもこの重厚な雰囲気は、このあとの2曲の方針が、「軽い飛び跳ね系」ではないことを予感させます。聴きごたえのあるいい演奏でした。ウルフは非常にスキニーで余計な脂肪は無いように見えます。両腕を蝶のようにしながら縦振りする姿からあのようなヘビーなサウンドが出てくるのは一つの驚きではあります。
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皇帝は完全に伴奏の域を越えていて、特に第1楽章は聴きごたえがありました。ペリアネスは好き勝手ということが全くなく、ウルフの棒を始終、凝視。オーケストラに自然に絡み合って一緒にプレイ。ウルフのサウンドより少し重心が高いような気がしますが、かえって音の階層が埋まって全体的に隙間のない音響空間が出来ました。これもよかったと思います。
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後半の田園。これがエロイカならもっと良かったなどとは言うまい。
ウルフの棒はオケまかせに見えない。厳格に統制しているようには見えないのですが、かといって、ここは勝手、気ままに演奏して、みたいなところも皆無。きっちりちゃんと指揮している、それだけで十分という気もします。少し前方左方向に向き、蝶のように振る姿はユニークだがおそらく遠目にはまるで目立たないと思う。オーケストラに向かっているというより音楽に対面しているという感じがある。オーケストラが自らをアンサンブルさせる力がウルフの魅力。この物語風な曲をシンフォニックな度合いはそこそこに、また重厚さも感じさせながら祈りで終わる。うちに帰ったら自然にCDを取り出し田園を聴きたくなるような、これまたいい演奏だったと思います。
ありがとうございました。


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1493- ブルックナー、交響曲第7番、他、大野和士、新日フィル2013.7.6

2013-07-12 19:14:00 | インポート

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2012-2013シーズン
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2013年7月6日(土)2:00pm トリフォニー
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シャリーノ 夜の肖像 (日本初演)
ツィンマーマン 「ユビュ王の晩餐のための音楽」
ブルックナー 交響曲第7番ホ長調 (1954、ノヴァーク版)
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大野和士 指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団
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指揮ぶり、シリアス度、演奏の濃さ、プレイヤーの納得度、等々、どれをとっても他の日本人指揮者よりワンランク上だと思います。ですから総合的にみるとツーランク上になります。音楽の締まり度が明らかに違う。聴く方の姿勢にもよるのだろうが、「前向きにさせる度」が異なる。「指揮者の魅力」といった言葉とは別の次元の話で、もしかすると単に指揮技術力や音楽理解度が、数多の指揮者たちより上なだけなのかもしれないという単純な答えがまずそこにあるのかなとも思う。それがまず起点にあり、起点がしっかりとしたもので、そのすそ野が広ければ広いほど頂点はかなり上の方にあるのかな、といった感じです。
この日のブルックナーは構造を浮き彫りにするというより、すっきりとコンパクトにまとめあげたもので、力まず、サウンドは非常に引き締まったものであり、大げさを排したいい演奏であった。これから向かうブルックナー感動演奏への狼煙でしょう。
20分、22分、10分、12分。
3主題ソナタ、第1主題は大きな溜めや呼吸を生むちょっと前ぐらいのテンポ設定が自然で力まない、第2主題はさりげないアップテンポ、第3主題への経過句は濃い移り変わりの味わい直前ぐらいのこれまたさりげなさで、第3主題のブラスセクションは幅広なわりにふやけない。アダージョ楽章も主題、副主題の違いを明確にアウトラインしわかり易い、また眠気を誘わない。この2楽章、力を入れて聴けばあっという間に終わる。音響のクライマックスに向けた演奏解釈構ではない味わいがありました。
この日のブルックナー、リタルダンドとかアチェレランドなどといった言葉があんまり思い浮かばない演奏で、唯一最終楽章のコーダがやたらと快速でびっくりしたぐらいで、そのため最後に向けて速度を落とさないといけないことになってしまった、あすこは印象的。
この7番はブルックナーの形式を強調しすぎると、どうしても第4楽章の弱さが浮き彫りになる。構築物としては最終楽章が少し小さい。大野の棒はそこらへんあまりつっこまず締まったいい演奏を求めた。このスタイルを6番で踏襲すると非常にいい演奏を聴けそうな気がする。
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前半2曲目のツィンマーマンはブルックナーのアペタイザーにはひねくれ度満点で、いいかもしれない(ご本人はまじめ)。一度、生で聴いて損はない。
一曲目のシャリーノは宵ではなく真夜中みたいな感じ、よくわかりませんでした。日本初演というふれこみですが、この先流行るとは思えない。シャリーノは昨年サントリーの夏の現代音楽で聴いた。う~ん。
ブルックナーを前に、前半にこれら2曲並べた意気込みをかいたい。
おわり


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