シックスス・コンサート フィルハーモニック -9-
フィルハーモニック・オープニング・ウィーク・コンサートはまだまだ続く。フィフス・コンサートは室内楽気味なのでスキップした。ここまで細かくなれない。
1962年9月26日(水) 5:30P.M.
NEW YORK PRO MUSICA
Noah Greenberg, director
小曲が10曲ほど。これに構うことなく、同日3時間後にはバーンスタインのハルサイがあるんだ。
1962年9月26日(水) 8:30P.M.
・シュトラウス オルガンと管弦楽の為の祝祭前奏曲
オルガン、パワー・ビッグス
・ハイドン 協奏交響曲
ジョン・コリリアーノ、
ハロルド・ゴンバーグ、
ラスロ・ヴァルガ、
マニュエル・ツェグラー
休憩
・ヴィヴァルディ 4つのヴァイオリンと弦楽合奏の為の協奏曲
・バッハ 4つのピアノと弦楽合奏の為の協奏曲(ヴィヴァルディの編曲版)
レオン・フライシャー、
ゲイリー・グラフマン
ユージン・イーストミン、
ウィリアム・マセロー
休憩
・ストラヴィンスキー 春の祭典
レナード・バーンスタイン指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
この夜のコンサートに遭遇した人たちはなんて幸せなんだろう。
すぐに目につくのが2回ある休憩。オペラでもない通常のコンサートでこのようなことはまずあり得ない。音楽に浸りきるには最高の夜となった。何と豊かな日よ。イマジン!
この素晴らしい選曲とめくるめくソリスト。そして祭典にふさわしく最後はハルサイでしめる。バーンスタインの腕もなる。全てのことを忘れさせてくれるスペシャル・ナイト。
一曲目のシュトラウスでオルガンの証明。オケを派手に鳴らし、ともども威力を示す。
一回目の休憩がありそのあとの選曲がユニークだ。ヴィヴァルディとバッハ、同じ曲だ。バッハの曲はヴィヴァルディのトランスクリプション。4つのヴァイオリンが4つのピアノに置き換わった。そしてピアニストのすごいこと。人はこれ以上ないところに集まる。
そしてもう一度休憩があり、メインイヴェントのハルサイだ。
バーンスタインはハルサイでも譜面を置くはずだが、その指揮姿は、まるで操り人形のようだ。右手が伸ばされ右斜め上に向き、左手が伸ばされ左斜め上に向き、右足が右斜め下からジャンプし、左足が左斜め下からジャンプする。それを同時にする。手足が全部伸びきった姿で蝶のように舞う。まことに派手であんなまねできない人たちにとってはその目はほとんど羨望の眼差しとなる。
演奏の中身?ニューヨーク・フィルのハルサイだぜ。最初から最後まで決まりっぱなしだ。ウルトラ・オーケストラであるシカゴ交響楽団のハルサイは、なんというか、もう少し乾いた埃のようであり、全体に重い。それに比べニューヨーク・フィルは黄色い白昼夢のような色合いで自由自在に動き回る。ベクトルを合わせて全員が一度に同時方向に向かう感じ。そしてそれが最初から最後まで続く。ジャンピング・スロー連発で振り切るバーンスタイン。同時同方向に振り向きまわる超高速キングコング・オーケストラ。あり得ない。
(続く)