時刻は18時を過ぎていた。
明日の朝は5時のスタート予定であり、できれば20時頃には就寝としたい。
「やばい、ちょっとのんびりし過ぎた。」
やや焦りもあったが、楽しみの夕食だけにできる限りは美味しく作りたい。
美味しく作ると言ってもこんな自分が作るものだけにたかが知れてはいる。
それに体力を使い疲れもあれば、どんなものでもそれなりに美味く感じてしまうものだ(笑)。
今夜のメニューは「冷凍肉飯(大盛りチャーハンの様なもの)」「レトルトビーフシチュー(2人前:コンビーフの肉増し)」「コンソメ&ブイヨンスープ」の三品。
まぁ10分もあれば出来てしまうものだが、肉飯を炒めている時の香りがたまらなかった!
換気をしているとはいえ、テント内に充満する食欲をそそる香り、そしてジュージューという音。
この時ばかりは腹の虫が鳴いていた。
はい、完成!
さっそくいただきます。 m(_ _)m
外はまだ小雨が降っていた。
雪の上で三人で食べたかったが、致し方あるまい。
今宵は独りで味わおう。
夕食と後片付けが済み、食後の珈琲を飲むために外へと出た。
日が暮れれば肌寒さはかなりのものだったが、幸い雨が上がり周囲の3000mを越える山を眺めながら飲んだ。
今のところ明日の天候はまずまずの様だが、やはりあのことだけが気がかりだった。
ザイテングラードの雪崩だ。
ここからでもデブリの跡がはっきりと目視できる。
しかもザイテングラードの両サイドにだ。
「どっちから攻めても同じかな・・・。」
一応今回はザイテンの北側(右手)から登攀をしようと決めていた。
つい先日30人を巻き込んだ大雪崩のあったコースだ。
一度大きな雪崩が起きたコースならしばらくは大人しくしてくれるだろうという推測だが果たして・・・。
20時過ぎにはシュラフに入った。
前日の睡眠不足と疲労からあっという間に眠りに入った覚えはある。
ところが、深夜に何故か目が覚めてしまった。
腕時計のライトをつけると12時24分だった。
「あと3時間は眠れるのになんでだ・・・もったいないな。」
ついでだったがフライシートを開け空を見上げた。
雲の合間から見える星が綺麗だった。
奥穂高岳の方角に月が見えた。
「ちょっと得したかも」
そう思えば目が覚めてしまったこともラッキーに感じた。
少し酒を飲んでもう一眠りしようかとも考えたが、酒だけはやめにした。
「アタック前日に酒を飲むと、翌日は雨(雪)が降る」という自分なりのジンクスがある。
「やっぱり飲むのはアタックが成功してからにするか」
ちょっと一人でにやけながらシートのジッパーを下ろした。
三年ぶりの雪の奥穂高岳。
今回は人を連れてのことだけに責任は重い。
よくよく考えてみればあれほど単独で挑んでいた数々の雪山や劔岳を、ここ数年は職場の若者を連れて登っている。
誘いもするが、連れて行って欲しいとお願いされることも多い。
快く承諾はするものの、それってある意味無責任ではないのかとも感じる。
「こんな俺に、人を連れて雪の3000mを登るだけの技術・知識・経験・体力があるのか・・・。劔岳に案内するような経験を積んでいるのか・・・。」
「おまえ、少し天狗になっていないか?」
そう自問することもある。
だぁー! 今は考えるのはやめよう。
早く寝なきゃ!
明日の朝は5時のスタート予定であり、できれば20時頃には就寝としたい。
「やばい、ちょっとのんびりし過ぎた。」
やや焦りもあったが、楽しみの夕食だけにできる限りは美味しく作りたい。
美味しく作ると言ってもこんな自分が作るものだけにたかが知れてはいる。
それに体力を使い疲れもあれば、どんなものでもそれなりに美味く感じてしまうものだ(笑)。
今夜のメニューは「冷凍肉飯(大盛りチャーハンの様なもの)」「レトルトビーフシチュー(2人前:コンビーフの肉増し)」「コンソメ&ブイヨンスープ」の三品。
まぁ10分もあれば出来てしまうものだが、肉飯を炒めている時の香りがたまらなかった!
換気をしているとはいえ、テント内に充満する食欲をそそる香り、そしてジュージューという音。
この時ばかりは腹の虫が鳴いていた。
はい、完成!
さっそくいただきます。 m(_ _)m
外はまだ小雨が降っていた。
雪の上で三人で食べたかったが、致し方あるまい。
今宵は独りで味わおう。
夕食と後片付けが済み、食後の珈琲を飲むために外へと出た。
日が暮れれば肌寒さはかなりのものだったが、幸い雨が上がり周囲の3000mを越える山を眺めながら飲んだ。
今のところ明日の天候はまずまずの様だが、やはりあのことだけが気がかりだった。
ザイテングラードの雪崩だ。
ここからでもデブリの跡がはっきりと目視できる。
しかもザイテングラードの両サイドにだ。
「どっちから攻めても同じかな・・・。」
一応今回はザイテンの北側(右手)から登攀をしようと決めていた。
つい先日30人を巻き込んだ大雪崩のあったコースだ。
一度大きな雪崩が起きたコースならしばらくは大人しくしてくれるだろうという推測だが果たして・・・。
20時過ぎにはシュラフに入った。
前日の睡眠不足と疲労からあっという間に眠りに入った覚えはある。
ところが、深夜に何故か目が覚めてしまった。
腕時計のライトをつけると12時24分だった。
「あと3時間は眠れるのになんでだ・・・もったいないな。」
ついでだったがフライシートを開け空を見上げた。
雲の合間から見える星が綺麗だった。
奥穂高岳の方角に月が見えた。
「ちょっと得したかも」
そう思えば目が覚めてしまったこともラッキーに感じた。
少し酒を飲んでもう一眠りしようかとも考えたが、酒だけはやめにした。
「アタック前日に酒を飲むと、翌日は雨(雪)が降る」という自分なりのジンクスがある。
「やっぱり飲むのはアタックが成功してからにするか」
ちょっと一人でにやけながらシートのジッパーを下ろした。
三年ぶりの雪の奥穂高岳。
今回は人を連れてのことだけに責任は重い。
よくよく考えてみればあれほど単独で挑んでいた数々の雪山や劔岳を、ここ数年は職場の若者を連れて登っている。
誘いもするが、連れて行って欲しいとお願いされることも多い。
快く承諾はするものの、それってある意味無責任ではないのかとも感じる。
「こんな俺に、人を連れて雪の3000mを登るだけの技術・知識・経験・体力があるのか・・・。劔岳に案内するような経験を積んでいるのか・・・。」
「おまえ、少し天狗になっていないか?」
そう自問することもある。
だぁー! 今は考えるのはやめよう。
早く寝なきゃ!