ようやくヘッデンが不要になりホッとした。
それにしても事前にヘッデンのチェックをしておきながらも結局「まだいいか」と買い換えをしておかなかったこと。
予備のヘッデンはテントに置いてきたままだったこと。
全く持ってド素人じゃあるまいに、なんて様だとあきれかえる程の情けなさだ。
二度と犯してはならない大いに反省すべきことである。
気を取り直していざ前剱への登攀を開始した。
気をつけることはたくさんあるが、これは自分自身のためだけではない。
例えば、浮き石などに乗ってしまい落石を起こしてしまうと、後から登ってくる登山者へどれだけ危険な思いをさせてしまうかだ。
危険な思いだけならまだましな方で、怪我でもさせてしまったらとんでもないことになる。
焦らず慎重に、基本を大切にして慎重に登攀を始めた。
程なくして「大岩」のポイントが見えてきた。
今にも崩れ落ちそうで落ちない「大岩」
このポイントを通過することで現在地が容易に分かる。
大岩のすぐ横を登る。
クサリはあるがそれほど必要性はない。
(本当は利用した方が安全確実なのだが・・・)
N君が大岩の真横にいる。
本当に今にも転げ落ちてきそうな感じだ。
大岩を通過し終え、大岩の上に立つN君。
「両足でピシッとたってごらん」というと、「いやぁちょっと無理です。ここかなり恐いです。」
そりゃぁそうだろう。俺も恐かったしね(笑)。
ここからしばらくはガレ場の登攀となる。
前剱山頂まではそうは時間はかからないのでゆっくりと確実な足取りで挑む。
「もうここから先は100%近く岩場だからね。土は殆ど拝めないと思っていいよ。」
「いよいよ迫ってきたって感じですね。」
N君にも緊張が走ってきているのが分かった。
ひたすらガレ場を登る。
顔を上げ頻繁にルートの確認をする。
ペンキマークを見落としてはいないか。
浮き石に乗ってはいないか。
とにかくルートを間違えやすい区間であることは、自分の体と記憶が嫌と言う程覚えている。
ふと見れば、足元には「イワツメグサ」が咲いていた。
ごく僅かだが、まだ夏の高山植物にお目にかかれたことが嬉しかった。
「緊張の中にも心が和む」
これってすごく大切なことだと思う。
かなり標高を稼いできた。
あと20~30分もあれば前剱山頂だろう。
慎重に頑張れN君!
ここまでくればもうすぐだ。
「もうちょっとで本峰が見えるよ。お楽しみに~♪」
「いよいよですね。楽しみです。」
N君にとっては期待に胸が膨らむ思いだろう。
2813m、前剱山頂。
ドド~ンと迫る劔岳本峰・・・というよりは、眼下一面に広がる雲海に目が行った。
N君曰く。
「本物の劔岳とこれだけの雲海だなんて・・・。今ものすごく贅沢な風景を見ているんですね。雲海は偶然かも知れませんけど、すごく贅沢ですごくラッキーだと思います。」
自分にとっても劔岳でこれだけの雲海は初めてだろう。記憶にない。
晴れていれば本来なら日本海(富山湾)が見えているはずだが、この広大な雲の絨毯は実に見応えのある大自然の風景だった。
スタートからここまで休憩を入れて2時間10分。
実にいいペースで登ってきている。
このままなら剱のてっぺんまであと一時間程で着くはずだ。
だが、N君にとっての本当の試練はここから始まる。
この先には「前剱の門」「平蔵の頭」「カニのタテバイ」「カニのヨコバイ」そして再び「平蔵の頭」と、たて続きに屈指の難所が待っている。
試練と言うには少々大袈裟かも知れないが、その先には乗り越えた者しか味わうことの出来ないサプライズがある。
だから登る!
それにしても事前にヘッデンのチェックをしておきながらも結局「まだいいか」と買い換えをしておかなかったこと。
予備のヘッデンはテントに置いてきたままだったこと。
全く持ってド素人じゃあるまいに、なんて様だとあきれかえる程の情けなさだ。
二度と犯してはならない大いに反省すべきことである。
気を取り直していざ前剱への登攀を開始した。
気をつけることはたくさんあるが、これは自分自身のためだけではない。
例えば、浮き石などに乗ってしまい落石を起こしてしまうと、後から登ってくる登山者へどれだけ危険な思いをさせてしまうかだ。
危険な思いだけならまだましな方で、怪我でもさせてしまったらとんでもないことになる。
焦らず慎重に、基本を大切にして慎重に登攀を始めた。
程なくして「大岩」のポイントが見えてきた。
今にも崩れ落ちそうで落ちない「大岩」
このポイントを通過することで現在地が容易に分かる。
大岩のすぐ横を登る。
クサリはあるがそれほど必要性はない。
(本当は利用した方が安全確実なのだが・・・)
N君が大岩の真横にいる。
本当に今にも転げ落ちてきそうな感じだ。
大岩を通過し終え、大岩の上に立つN君。
「両足でピシッとたってごらん」というと、「いやぁちょっと無理です。ここかなり恐いです。」
そりゃぁそうだろう。俺も恐かったしね(笑)。
ここからしばらくはガレ場の登攀となる。
前剱山頂まではそうは時間はかからないのでゆっくりと確実な足取りで挑む。
「もうここから先は100%近く岩場だからね。土は殆ど拝めないと思っていいよ。」
「いよいよ迫ってきたって感じですね。」
N君にも緊張が走ってきているのが分かった。
ひたすらガレ場を登る。
顔を上げ頻繁にルートの確認をする。
ペンキマークを見落としてはいないか。
浮き石に乗ってはいないか。
とにかくルートを間違えやすい区間であることは、自分の体と記憶が嫌と言う程覚えている。
ふと見れば、足元には「イワツメグサ」が咲いていた。
ごく僅かだが、まだ夏の高山植物にお目にかかれたことが嬉しかった。
「緊張の中にも心が和む」
これってすごく大切なことだと思う。
かなり標高を稼いできた。
あと20~30分もあれば前剱山頂だろう。
慎重に頑張れN君!
ここまでくればもうすぐだ。
「もうちょっとで本峰が見えるよ。お楽しみに~♪」
「いよいよですね。楽しみです。」
N君にとっては期待に胸が膨らむ思いだろう。
2813m、前剱山頂。
ドド~ンと迫る劔岳本峰・・・というよりは、眼下一面に広がる雲海に目が行った。
N君曰く。
「本物の劔岳とこれだけの雲海だなんて・・・。今ものすごく贅沢な風景を見ているんですね。雲海は偶然かも知れませんけど、すごく贅沢ですごくラッキーだと思います。」
自分にとっても劔岳でこれだけの雲海は初めてだろう。記憶にない。
晴れていれば本来なら日本海(富山湾)が見えているはずだが、この広大な雲の絨毯は実に見応えのある大自然の風景だった。
スタートからここまで休憩を入れて2時間10分。
実にいいペースで登ってきている。
このままなら剱のてっぺんまであと一時間程で着くはずだ。
だが、N君にとっての本当の試練はここから始まる。
この先には「前剱の門」「平蔵の頭」「カニのタテバイ」「カニのヨコバイ」そして再び「平蔵の頭」と、たて続きに屈指の難所が待っている。
試練と言うには少々大袈裟かも知れないが、その先には乗り越えた者しか味わうことの出来ないサプライズがある。
だから登る!