浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

ベートーベン 第9

2016-12-31 21:31:55 | その他
 大晦日は、ベートーベンの第9。今年は、最初から最後まで聴き続けた。89歳というヘルベルト・ブロムシュテットの指揮である。

 テンポが速いが、とても丁寧できれいな音。ストレートに第4楽章のクライマックスに突入する。

 演奏前のヘルベルト・ブロムシュテットへのインタビューで、彼はフルトヴェングラーよりも速くたって平気さ、ディテイルが大切だ、作曲者の意図を忠実に再現するなどと語っていた。その通りの演奏だった。

 いつも大晦日のN響の合唱団は、国立音大の学生だったが、今年はプロの合唱団。これがよかった。

 ベートーベンは、中学生の頃から聴いている。最初に買ったクラシックのレコードは、ベートーベンの5番。ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団だった。それから第6、第9などを買っていったことを思い出す。

 音楽ということから考えると、私はすでに隠遁生活である。



 
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宇沢弘文を読む

2016-12-31 19:36:40 | その他
 新自由主義経済政策とどう闘っていくか、そのbaseをどこに求めたらよいか、というとき、宇沢弘文の経済学は大いに参考になるだろうと思う。世界的に、新自由主義が採用されているが、数パ-セントの者どもの飽くなき利益追求を阻止し、「民営化」という私物化政策を押しとどめ、分厚い中間層をつくりだすためにどういう処方箋が求められるのかを、私たちが提示していく必要がある。

 というのも、アメリカでトランプという大富豪が大統領に選出された。トランプに投票したのは、数%の者や新自由主義で利益を拡大している上層の中間層どもでもあるし、新自由主義のもとで苦しめられた労働者たちである。労働者たちが、間違った選択をしないように、新自由主義ではないもう一つの道を、私たちは提示していかなければならない。

 2017年は宇沢の著書にも挑戦したい。

http://toyokeizai.net/articles/-/151173
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独立国?

2016-12-31 19:34:04 | その他
 すでに私は、日本は「独立国」ではない、アメリカの「属国」であることを何度も何度も書いてきた。その「属国」日本の政府が、日ロ交渉で見せただらしなさを、白井聰氏が正確に指摘している。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50617
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チャラチャラの防衛大臣

2016-12-30 09:00:50 | その他
 大臣としての見識も資格もない人物を、ただ極右的な思考を持っているというだけで防衛大臣に任命された稲田。真珠湾から帰国してすぐに靖国神社へ。

 日本以外のどこのメディアも、この靖国参拝を批判している。

 たとえばイギリス紙Guardianは、Anger as Japanese minister visits 'war crimes' shrine after Pearl Harbor trip という見出しを掲げている。靖国を「戦争犯罪神社」としていることに留意すべきである。一般的には、 war shrine 、戦争神社とされている。

 そして後段で、安倍についてはこう記している。

 Abe, who shares many of Inada’s hawkish views, sparked anger in China and South Korea when he visited Yasukuni in December 2013, a year after he became prime minister for a second time.

 稲田のタカ派的な信念の多くを共有している安倍は、2013年12月に靖国を訪れたときに中国と韓国からの憤りを招いた。

That pilgrimage prompted an unusually critical response from the US, which said it was “disappointed that Japan’s leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan’s neighbours”.

 その参拝は、アメリカからの強い批判的反応を引き起こした。それは、日本の近隣諸国との緊張を増幅させるような行動をとることに失望した、というものであった。

He has not been to Yasukuni since –


 それから安倍は、靖国に行ってはいない。

 要するに、アメリカから批判されれば靖国訪問はやめる、ということだ。宗主国の言うことはきく。その代わりに、タカ派的な思考を共有する稲田に行かせたのではないか。

 属国日本の首相が、やりそうなことではないか。
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「かの一人の人」

2016-12-29 21:29:10 | その他
 『サンデー毎日』10月から11月にかけて3回にわたって、「岸信介宛て石橋湛山の私信を発見!」が掲載された。書いたのは倉重篤郎・毎日新聞編集委員である。

 1960年安保の渦の中で、時の首相岸信介に対して、前首相石橋湛山が送った私信が発見されたのである。石橋は、岸に対して「安保条約締結を延期すべし」という私信を送ったのだが、その私信に「かの一人の人」について書かれているのだ。

 石橋湛山が内閣を組織したとき、閣員名簿を「かの一人の人」に見せたところ、その人から「深刻な表情をして」尋ねられた内容が私信に認められていた。
  

 自分はこの名簿に対して只一つ尋ねたいことがある、それはどうして岸を外務大臣にしたかということである。彼は先般の戦争に於て責任がある。その重大さは東條以上であると自分は思う

 とにかく彼は東條以上の戦争責任者であると繰返して述べられた。


 もちろん「かの一人の人」とは、昭和天皇である。連載の中で、その私信を発見した石橋湛山の研究者・増田弘と、岸の研究者・原彬久、そして倉重の座談会の記録がある。三人とも、「かの一人の人」が昭和天皇であると認定している。私もそう思う。

 また保阪正康は、昭和天皇が嫌いなタイプとして三つをあげる、一つは「二枚舌」、二つ目は「自分の職分、職能を超えてものを言ってくる人」、三つ目に「天皇を心から尊敬するのではなく、天皇を制度として自分の権力のために使うタイプ」であり、岸はその三番目のケースではなかったか、と指摘している。

 その孫である安倍も、三番目のケースであることが、天皇の退位問題で明らかになっている。

 『サンデー毎日』の連載は、岸とつながる安倍の本質を浮き彫りにする役割を果たしているようだ。
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メディアは安倍一色

2016-12-29 09:59:14 | その他
 『情報参謀』を読んでから、安倍政権の意図的な振る舞いを注視するようになったが、とにかくメディアに出続けること、注目を集めること、世界からも注目されること、こういう作戦をとっていることがわかる。

 最近「・・・・の力」などという本がいろいろ出版されているが、安倍も「和解の力」だって。「和解」するなら、中国や韓国、北朝鮮が先だろうと思う。すでにアメリカとは「日米同盟」という主従関係に入っているのだから、日米主従関係をことさら「強固」にする必要はないだろうと思う。おそらくトランプを意識しているのだろうが、メディアも安倍政権と主従関係に入っているようだ。

 さて、今日の『中日新聞』コラムを掲げておこう。


フォークランド紛争の勝利に英国が沸いていた一九八二年の夏、カンタベリー大主教のロバート・ランシー氏が戦争終結への感謝の礼拝で語った言葉は、サッチャー首相を激怒させたと伝えられる

▼勝利を祝し、愛国心の尊さをうたい上げる。首相らは、そういう言葉を期待していた。だが、第二次大戦を将校として戦い、戦争の現実を目に焼き付けた大主教は、国民に「殺されたアルゼンチンの若い兵士のために祈ろう」と語り掛けた

▼「悲しみをともにすることが、戦い合った者を再び結び付ける力となるはずです。苦悩を分かち合うことが、和解への橋を架けてくれることでしょう」。それは「和解」のための祈りの言葉だった

▼日米開戦から七十五年。米大統領と真珠湾を訪れた安倍首相は「耳を澄まして心を研ぎ澄ますと、風と波の音とともに兵士たちの声が聞こえてきます」と語り、開戦の場となった美しい入り江を「和解の象徴」としようと語った

▼そんな言葉を、沖縄の人々はどう受け止めたろうか。辺野古の美しい入り江を埋め立てて新基地とする工事がおととい、再開された。耳を澄まして沖縄の声を聞こうとせぬ政府の姿勢に、翁長雄志知事は「沖縄県民を日本国民として見ていない」とまで言っている

▼あの戦争から今なお続く沖縄の苦悩を分かち合う。首相には、自ら架けるべき「和解への橋」がある。


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本の処分

2016-12-28 23:00:40 | その他
 今まで買いためてきた本の処分をすすめている。紙袋に入れて、廃品回収用のボックスに投げ入れているのだが、昨日は3袋、今日も3袋。

 もう読まないだろうなあと思う本を惜しげもなく捨てる。

 のこされた時間はあまり多くはないだろうから、それに新しい本も次々と届けられるから、とにかく捨てていかないと整理もできないし、置くスペースもない。

 この本欲しい?と尋ねれば、欲しいと応える人もいるだろうが、待つ時間はない。

 とりあえず、雑誌は思い切って捨てている。それと古い本で、研究史的には不要だと思われるもの。
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【本】岡田尊司『マインド・コントロール』(文春新書)

2016-12-28 12:47:03 | その他
 マインド・コントロ-ルという言葉は、オウム真理教の問題が大々的に報じられてきたとき、ある種の流行語となっていた。しかしそれ以降、あまりみかける言葉ではなくなった。

 『中日新聞』の書評欄に本書が紹介されていたことがあり購入してあったのだが、やっと読んだ次第である。マインド・コントロールは、カルト教団特有の言葉ではなく、日常生活と密接に結びついていることがよくわかった。

 マインド・コントロールされる人は依存性が強い人であるとのこと、しかしそういう人はそこいらにたくさんいる。だから、政治の世界でもその影響が露出することがある。ナチズムに熱狂したドイツ国民が、それである。本書にもしばしばそれに言及がある。

 未来に希望が見いだせないとき、「強い確信を持って希望を約束する救い主が放つ魅力に、知識人さえも容易に欺かれ、自分から進んでマインド・コントロールされてしまう」(212)である。

 「多くの人が、強い確信を持って希望を約束されると、その言葉を信じてしまう。なぜなら、多くの人は、現実の世界では満たされない願望やフラストレーションや不安を抱え、希望や救いを求めているからだ」(213)

 確かに、知性も品性もない、あたかも確信を持っているようにみえる輩が、「アベノミクスで・・・・」などと言われると、信じてしまうのだろう。その輩をみていると、「傲慢なまでの自信と揺るぎない確信」(56)をみてしまう。しかしこの説明は、オウム真理教のあのグルについての説明である。日本国民は、あたかもそのグルに付き従う信者のようだ。

 「自信たっぷりに語る人に、日本人は騙されやすいのだ」(149)。

 未来への不安を抱く人が多い日本、その時代にあの輩の支持率が高い。私は、その輩の周囲に、マーケティングの達人や、こうしたマインド・コントロールについて詳しい人がいるのではないかと疑っている。

 あの輩は、今ハワイである。メディアは大々的に、彼の姿を流す。アメリカ大統領と一緒にいるところをみせつける。日本人の支持は高まる。

 あの輩に勝手なことをさせないために、カウンター勢力は、不安を抱く一般庶民に届く声をつくらなければならないのである。

 なお本書は、いろいろな点で勉強になる。



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消えゆく東芝?

2016-12-28 09:39:12 | その他
 東芝の家電製品がわが家にもあるが、そうした分野は東芝から離れ、東芝は原子力発電を中心事業としていくとしているようだが、その原発建設がつまづいている。このままだと、東芝は遅かれ早かれ経営危機に陥るだろう。不正会計など腐敗した経営陣が間違った選択をした結果である。

 原発は、採算が合わないがゆえに、もう海外では「時代遅れ」のプラントである。東芝は、日本の財界でも大きな顔をしてきたが、終わりの始まりが来ているような気がする。


 『東京新聞』の記事(一部)

東芝、数千億円損失か 米原発事業で巨額赤字
2016年12月28日 朝刊

 経営再建中の東芝は二十七日、米国の原発事業を巡り最大で数千億円規模の損失が生じる可能性があると発表した。米原発事業で巨額損失を計上するのは二年連続。東芝は不正会計問題に伴う巨額の赤字計上で財務基盤が弱っており、資本増強を含めた経営の抜本的な見直しを迫られそうだ。


 損失が発生するのは、子会社の米原発メーカー、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が昨年十二月に買収した米原発建設会社「CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)」。米国で建設中の原発四基のコストが想定より膨らんだことが影響した。東芝は損失額の確定を急ぎ、二〇一六年四~十二月期連結決算に反映させる。


 東芝の綱川智社長は記者会見で「責任は痛感している。処理に真摯(しんし)にあたることに集中したい」と謝罪し、原発事業に関しては「将来は事業の位置付けを見直す可能性はある」と述べた。同席した経営幹部は「米国で建設を進めている原発の費用が、想定より大きい」と損失を計上する理由を説明した。


 東芝は経営再建策として原子力事業を収益の柱としているが、一六年三月期に米原発事業の資産価値の低下で二千四百七十六億円の減損処理を実施。これらを含め、連結純損益は過去最悪の四千六百億円の赤字に陥った。
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大阪で起きていること

2016-12-27 23:54:07 | その他
 同じことを報じている。ひとつは美談として報じているもの、もう一つはその裏に何があるかを分析したもの。さてどちらが本当か。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/26/shimizu-ana-to-retire_n_13855012.html?utm_hp_ref=japan


http://lite-ra.com/2016/12/post-2805.html
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【本】小口日出彦『情報参謀』(講談社現代新書)

2016-12-27 08:36:47 | その他
 政党は、みずからの支持勢力を拡大していく使命を帯びている。政党が行う様々な広報宣伝には、そうした意思が正確にこめられていなければならない。

 しかし、弱小となった政党には、その気概がみられないようだ。というのも、わが家の塀には、社会民主党のポスターが貼り出されているが、これがアピール力のない、まちの美観にもそぐわない代物なのだ。ただつくればよい、という気持ちで制作したのではないかと疑いたくなる。通る人々の目をとらえることできるようなデザインのものはできないのだろうか。

 さて、現在は自民党が大きな勢力を保持している。専制的な政治をすることが可能な政治勢力であり、事実そうした行動をとっている。このような政治勢力をつくるうえで、情報戦略が大きな役割を果たしたことは知られているが、本書はそのときのまさに「情報参謀」として経験したことを記したものだ。

 支持政党がないという人が多数をしめる現代、そういう人々がどういう政治的志向をもっているかをテレビやネットで調べ、それに対応してどういう情報を流していくのか、それがうまくいけば選挙時に票が集まる。それを実践する自民党は、だから強いのである。その他の政党も本書を読んで勉強するとよい。

 政権復帰した自民党は、「露出は大胆かつ上品に」安倍首相をかつぎだす。とはいっても、安倍首相に上品さはない。露出度をあげることに、現在の自民党は、税金をつかって精力的に動いている。「外遊」なんぞは、その最たるものだ。

 本書には、情報社会のなかで、ネットなどに記された国民の思考を取り込み、その中で自政党への政治的関心をどう高めるかの実例が示されている。たいへん参考になった。人々が「強いリーダー」を求めているという風潮に、自民党は乗っているようだ。

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沖縄の怒りを聞け!

2016-12-26 23:02:25 | その他
 『琉球新報』社説。きわめてまっとうな意見である。沖縄の怒りを知らなければならない。


オスプレイ空中給油 虚偽説明の責任誰が 米軍に抗せぬ「属国」際立つ

2016年12月26日 06:02

 欠陥機の墜落を引き起こした危険な訓練さえ、米軍の意のままに再開されるのか。安倍政権は一体、何をしているのか。


 13日に名護市安部の海岸に墜落した垂直離着陸輸送機MV22オスプレイを巡り、在沖海兵隊が県民の強い反対を押し切って訓練飛行を再開した19日時点で、墜落原因と説明する空中給油訓練の実施を政府が許容していたことになる。
 まず、危険極まりない空中給油の再開は県民を一層危険にさらす。断じて認められない。オスプレイの飛行停止、空中給油訓練の永続的廃止を強く求める。

 二枚舌そのもの

 今、起きていることの構図は、沖縄から見れば、しまくとぅば「ちらたーちゃー(二枚舌、二つの顔の使い分け)」そのものだ。
 琉球新報に対し、在沖海兵隊は「空中給油を含めたMV22オスプレイの飛行訓練は19日に再開した」と明言した。「空中給油は一時停止」と強調する日米両政府のこれまでの説明とは全く逆だ。
 19日の訓練飛行再開に対し、沖縄社会が猛反発したことを受け、「基地負担軽減」を担う菅義偉官房長官や稲田朋美防衛相らは「空中給油以外の飛行再開は理解できる」と述べ、空中給油訓練だけは停止されたと言いはやしていた。
 さらに防衛省は「空中給油の再開に当たり、慎重かつ段階的なアプローチが取られる」とまで強調し、米政府もそう説明していた。
 日本政府は空中給油再開だけは何とか遅らせ、一矢報いたという空気を醸し出す印象操作を図った。それさえも達成できず、北部訓練場の返還式典を強行し、菅氏らが一方的に「沖縄の負担軽減」を喧伝(けんでん)する神経が分からない。
 空中給油の再開許容は、紛れもない約束違反である。そもそも政府への信頼などないに等しいが、閣僚まで虚偽の事実を公然と発表した責任は誰がどう取るのか。
 県幹部が「話にならない」と反発を強めるのは当然である。
 現場部隊である海兵隊が独走し、軍の論理で危険な空中給油再開が決められたならば、米軍内、米政府の統制が利かない危険な構図が浮かぶ。沖縄社会の不安などお構いなしに海兵隊の運用が最優先されることになる。
 米軍基地の存在、訓練によって命を脅かされている県民は一体、どの国の、どの機関のどんな説明を信じればいいのか。
 沖縄は軍事植民地そのものではないか。日本の対米従属という言葉では生ぬるい。主権国家に程遠い属国性が極まる罪深さが際立っている。

 佐賀との二重基準

 もう一つ、見逃せない県民軽視がある。陸上自衛隊が導入を予定するオスプレイを佐賀に配備する計画を巡り、防衛省は墜落事故後、「佐賀では空中給油を予定していない」と説明し、佐賀で広がる不安払拭(ふっしょく)に躍起になっている。
 沖縄ではなぜ米軍に認められ、佐賀では実施しないのか。沖縄県民の命を軽んじる二重基準がまたも露骨に繰り出されたが、その根拠は誰も説明できまい。沖縄に米軍基地を集中させる「差別」を公然と認めることになるからだ。
 オスプレイは離着陸時はヘリコプターモード、水平飛行時は固定翼モードで飛ぶ。二つの飛行特性を併せ持つ複雑な機体構造は、安定性を欠く要因だ。
 空中給油訓練はさらに不具合が起きやすい。プロペラと給油口が近いため、乱気流や操縦ミスなどで給油機側との位置がずれれば、たちどころに給油管がプロペラに巻き込まれ損傷する危険性が高い。
 世界で最もオスプレイの機体構造に詳しい専門家が「ヘリモードで給油できないのは機体の欠陥だ」と明言している。
 こんな代物が沖縄の空を飛び、空中給油を繰り返せば、いつかまた確実に落ちる。いとも簡単に事故原因となった空中給油まで再開する軍隊組織の安全管理は到底信頼できない。海兵隊は米本国に撤収し、存分に訓練すればいい。
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【本】三島憲一『ニーチェ かく語りき』(岩波現代文庫)

2016-12-26 20:58:43 | その他
 現代思想に大きな影響を与えた思想家としてニーチェの名が、まっさきにあげられる。

 西欧思想の本を読んでいると、ほとんどすべての思想家が、ギリシャ思想をはじめヨーロッパの思想史をきちんと自らのものにしていることに感心する。近年の思想だけではなく、思想史の流れを掌握した上で自らの思考を提示しているのだ。そのなかで、ニーチェが記したことは、とくに現代思想に大きな影響を与えていることが、すでに指摘されていた。

 すべてではないが、重要な点で、フーコーが言っていることは、ニーチェが指摘したことを敷衍していると想像できる箇所がいくつもある。フーコーは、ニーチェを前提にみずからの思考を展開していったことが、この本(第三章)でわかる。

 先日も指摘したが、三島由紀夫もニーチェの思考を背景にして小説を書いていることを、はじめて知った。

 そしてフランクフルト学派はニーチェをナチス思想の軛から解放しようとしたということもわかった。フランクフルト学派は、ナチスに追われて、第二次大戦中はアメリカにいて思想活動を展開していた。

 ニーチェの思想の可能性が、なかなか大きなものだということがわかっただけでも、この本を読む価値があるというものだ。

 本書は、それぞれの思想家の思考が、ニーチェのどういうところとつながっているか、ニーチェの著書からいろいろな部分を引用して示してくれる。その点でとても便利である。

 本書を読んで、リチャード・ローティという思想家をはじめて知った。フーコーやフランクフルト学派は既知の人物であるが、ローティについても読んでみたいと思った。

 さて、引用されているニーチェのことばでもっとも印象に残っているのは、次のことばである(『ツァラトゥストラ』第一部)。

 国家は、善と悪についてあらゆることばを駆使して、嘘をつく。ー国家が何を語っても、それは嘘であり、ー国家が何を持っていようと、それは盗んできたものだ

 なるほど鋭いアフォリズムである。
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ねつ造する安倍政権

2016-12-25 09:47:06 | その他
 安倍の功績を高めるために、安倍政権はウソまでつく。しかしウソはいつかはバレる。だが、新聞やテレビが政府発表を鵜呑みにして報じれば、その一報は国民の記憶にすり込まれるのだ。政府発表をきちんと吟味することが求められるのだが、メディアにその習慣はない。

 中日の【私説・論説室から】の記事。

事実を記録する大切さ

2016年12月21日

 新聞が事実を記録することの大切さは分かっていたつもりだったが、あらためて痛感した。年末に予定されている安倍晋三首相の米ハワイ真珠湾訪問が、現職首相として初めてかどうかについて、である。


 結論から言えば、一九五一年に吉田茂首相の訪問例があり、安倍首相が初めてではないのだが、当初は本紙を含めて、政府の説明に沿って「現職首相が真珠湾を訪問するのは安倍首相が初めて」と報じていた。


 廃棄したのか、外務省にも詳細な記録が残っていないようで、菅義偉官房長官が吉田首相の訪問を確認したのは「当時の報道などの資料」。当時の報道がなければ、安倍首相こそ初めて真珠湾を訪問した現職首相かのように、歴史が「改変」されていたに違いない。


 本社はどう報じていたのか。同年九月十三日発行の「夕刊中部日本新聞」は、吉田首相が十二日午前「全権団および随員一行とともに約二十分にわたって真珠湾一帯を視察、十年前日本海空軍の奇襲攻撃の犠牲となった米陸海軍将兵の霊に心からの祈りをささげた」と報じていた。真珠湾を見下ろす米海軍司令部を非公式に訪問したのはその後だ。


 ほかの全国紙と比べても、最も詳細に報じている。新聞報道が第一級の歴史的史料となる好例だ。吉田首相ら一行の行動記録を克明に本社に送り続けたのは、ホノルル通信員の泉さん。ただ感謝、である。 (豊田洋一)
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「属国」日本の矛盾が沖縄に

2016-12-25 09:37:38 | その他
 オスプレイの飛行再開が強行されたが、さらに空中給油も再開されていたようだ。何ということだ。日本政府は、結局アメリカ軍の言うことを、ただ「わかりました」というだけ。日本政府に、日本の主権を保持しようという気がないのがまるわかり。まさに「属国」。日本人だけではなく、外国だって、日本の「属国」ぶりをみているはずだ。

 琉球新報記事。


オスプレイ「空中給油も再開」 海兵隊認識、政府と食い違い

2016年12月25日 08:30
 【宜野湾】垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが墜落事故後の19日に飛行再開したことを巡り、在沖米海兵隊は24日までに、空中給油訓練も含めた再開だったという認識を明らかにした。県民への説明と矛盾しており、県内で反発が強まりそうだ。名護市安部海岸での墜落事故の後、飛行再開に当たり、菅義偉官房長官や稲田朋美防衛相らは「空中給油以外の飛行を再開するとしたことは理解できる」と述べ、空中給油訓練は一時停止されたとの認識を示していた。

 在沖米海兵隊は琉球新報社の質問に対し、電子メールで「空中給油を含めたMV22オスプレイの飛行訓練は19日に再開した」と回答した上で「全ての飛行訓練は(日米)双方で合意した訓練域内で実施される。運用上の安全保障の観点から時間や日付など詳細は明かさない」と説明した。
 海兵隊はこれまで空中給油訓練中に切れたホースがプロペラを損傷したことが事故原因で、機体に問題はないとしている。日本政府もこれら米軍の説明を踏まえ、自治体への説明や米側との協議を進めてきた。
 米軍がオスプレイの飛行を再開した19日、防衛省は「昼夜ともに空中給油の再開に当たり慎重かつ段階的なアプローチが取られる」と発表した。その上で集合訓練や手順の確認、地上でのシミュレーションなどの手順が完了した後に実施されると説明していた。県や宜野湾市、名護市など関係自治体も沖縄防衛局から同様の通知を受けた。
 名護市議会が21日に在沖米海兵隊に抗議した際、政務外交部長のスコット・コンウェイ大佐は「当面停止するが、空中給油は必要な訓練なので実施する」と訓練継続を明言していた。
 空中給油訓練について稲田防衛相は23日「再開までに情報収集や安全対策などについてしっかり(米側に)情報の提供を求めていく」と述べている。
 飛行再開後、空中給油訓練の実施は24日現在で確認されていない。(明真南斗)
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