浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

映画

2012-08-29 22:45:00 | 日記
 TSUTAYAから映画を3本借りた。

 まず『冬の小鳥』。韓国映画だ。キリスト教会が運営する孤児施設の女の子の話だ。父親に棄てられた子どもの施設での生活が描かれる。そして最後はフランス人にもらわれていく。親に棄てられるということそれ自体が哀しいことだ。さらに、施設での生活も決して幸せではない。映画全般は暗い。せめて幸せになって欲しいと思っていたが、それらしき兆候もなく終わった。インターネットで調べたら、この映画の脚本を書いた人の自伝のようだ。ということは、フランスでそれなりの幸せをつかんだのだろう、ほっとした。


 そして『サンザシの樹の下で』。中国映画。監督はチャン・イーモウである。これも実話だ。ひとりの少女の悲しい恋の物語だ。この少女、長じてアメリカへ留学し、今もアメリカにいるようだ。彼女の恋人が、白血病で死んでしまうという悲劇。

 この二本、いずれもよく似ている。映画の中では、幸せは描かれない。

 もう一つは、『チェ 28歳の革命』。チェ・ゲバラ。カストロとともに、キューバ革命を達成した革命家だ。生のフィルムを織り交ぜながら、革命戦争の中のゲバラを描く。極めて魅力的な人物だ。若い頃、ゲバラの本は読んだことがある。ゲバラのいうことは、いちいちもっとものことだ。映画の中でも、例えば革命とは何か?という問いに、革命は愛だ、と応える。人間への愛、正義への愛、真実への愛、をゲバラはあげるのだ。

 キューバの国連大使であった時の当意即妙の演説は、ゲバラの人間性を如実に示す。

 この続きの映画がある。彼は、ボリビアで最期を遂げる。それを描いたものだ。それも見なくては。

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低線量被ばくや内部被曝の恐ろしさ

2012-08-29 09:30:53 | 日記
 低線量被ばくや内部被曝を、WHOや日本政府、原発推進を図る国際的な勢力が、真実から遠ざけようとしている。

 チェルノブイリは、今もって筆舌に尽くしがたい被害を生み出している。それはフクシマでも予想されることだ。

 紹介したブログの中に、「真実はどこに?」というドキュメンタリーがはめ込まれている。是非見て欲しい。

 http://ahaha.365blog.jp/e409089.html

 さらに、すでに刊行され、日本でも翻訳が進められている『チェルノブイリ~大惨事の環境と人々へのその後の影響』の本の著者のひとりの談話が、下記に掲載されている。

http://www.asyura2.com/11/genpatu9/msg/753.html

 発言は、以下。JAPANESEをクリックすると日本語の字幕がでる。

http://www.universalsubtitles.org/en/videos/zzyKyq4iiV3r/info/chernobyl-a-million-casualties/
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『朝日新聞』の社説

2012-08-18 18:01:33 | 日記
 久しぶりに『朝日新聞』のウェブ、社説にアクセスしたら、驚くべき宣伝文句があった。

 大学入試問題に非常に多くつかわれる朝日新聞の社説。読んだり書きうつしたりすることで、国語や小論文に必要な論理性を身につけることが出来ます。


 今『朝日新聞』社説には論理性などないと思っているのだが、朝日新聞論説委員は、自分たちの文章に自信を持っているようだ。

 1990年代頃から、『朝日新聞』の社説も「天声人語」も、内容的にも、文章力の点においても、往年の論説委員の足下にも及ばないと思う。

 良い文章というのは、理想や理念をもち、批判精神をもたなければ書けるものではない。『朝日新聞』や『読売新聞』のように、現実追随をだらだらと書く社説には、ただ文があるだけだ。

 かつて「天声人語」には、文章の裏に隠されている博識、格調の高さもさりげなく感じさせられ、読み終わって「うーむ」とうなるような名文があった。

 しかし今は皆無である。

 もし今の『朝日新聞』の社説を入試問題に出しているなら、その大学のレベルが知れるというものだ。

 私は全国紙よりも、『中日新聞』や、『琉球新報』など地方新聞社の社説がよいと思っている。ただしもちろん『静岡新聞』は除く。といっても『共同通信社』から配信された論説には、ときに良いものがある。

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戦争を忘れてはならない!

2012-08-14 23:12:44 | 日記
 『東京新聞』の記事。これはしっかり記録しておかなければならない。


戦争の記憶「今残さないと」 ネット史料館 元兵士2500人 減る語り手
2012年8月14日


 第二次大戦に従軍した元兵士の体験談を映像で記録する活動を続けてきたボランティア「戦場体験放映保存の会」(東京都北区)は十五日から、集めた記録をインターネット上で「戦場体験史料館・電子版」として公開する。戦後六十七年が経過し、戦争の実際を知る人々は減っている。語る側、聞く側の双方が「今まとめなければ」との思いを抱き、準備を急いできた。 (柏崎智子)

 保存の会は、元衆院議員の故上田哲さんが発起人となり、二〇〇四年に発足した。ボランティア約三十人が家庭用ビデオカメラを携えて全国の元兵士を訪問し、話を録画。収録人数は約千三百人分に上り、寄せられた手記や絵画なども合わせると計約二千五百人の記録が集まっている。

 聞き取りを始めた当初は語り手探しに苦労したが、趣旨に賛同した元兵士らが仲間に呼び掛け、〇七、〇八年にはボランティアが訪問しきれないほどの人々が応じてくれた。各地で戦友会が消え、しがらみから自由になったことも後押しになったとみられる。

 ところが、ここ二年ほどは活動は難航。元兵士が九十歳前後となり、本人に語る意思があっても、介護施設へ入所すると施設側が独断で取材を断るケースが目立つ。田所智子事務局次長は「聞き取りは今年、来年あたりがぎりぎりではないかと感じている」と話す。

 集めた記録は、保存の会の事務所を史料館として来館者に公開してきた。より多くの人に見てもらおうと電子版を立ち上げる構想はあったが、元兵士らの状況から急いで整備する必要があると判断。急きょ四月から準備を始め、終戦記念日の十五日に間に合わせた。

 第一弾として、まずは百人分の体験談を掲載する。一人一人のページには、顔写真や経歴、体験談の要約を載せる。来年三月までにそれぞれが語る様子を映像で見られるようにする。今後も掲載数を増やしながら、各地で同様の活動をする団体に呼び掛け、体験談を寄せてもらう。

 開館に先立ち今月、都内で開かれた記念の集いには、九十人以上の元兵士らが集まった。神奈川県大磯町の横尾肇さん(89)は、車いすを妻に押してもらい来場。「二度と戦争してはいけない。記録を残すために頑張ってくれている人たちに感謝したい」と話した。

 ウェブサイトは、http://www.jvvap.jp/

(東京新聞)
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豪雨と雷鳴

2012-08-14 22:57:10 | 日記
 今日午前2時過ぎ、落雷の音で目が覚めた。我が家は、停電となった。しかしあたりをみると街灯がついている。地域全体が停電になったわけではないと思い、点検したら自動的に主電源が切れていた。主電源をつないで電気をつけた。その後、夜中から明け方にかけて、豪雨と雷鳴で眠れない時間を過ごした。

 今日は、眠気を感じながら一日を過ごした。家庭サービスの覚悟の一日であった。

 今日活字とは、新聞以外縁がなかった。明日もおそらくそうなるだろう。

 テレビなどは今だオリンピック報道に多くの時間を費やす。消費税増税やオスプレイは、考えなくても良い話題だと、メディアは考えているようだ。

 オリンピックは、問題を隠蔽する。

 http://www.asaho.com/jpn/coverright.html#chokugen
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秋の虫

2012-08-13 21:50:08 | 日記
 友人から電話があり、そのなかで『世界』9月号(岩波書店)の話が出た。買い忘れていたことに気付き、電話が終わってから買いに行くために外に出た。駐車場のところにいくと、もう秋の虫の音が聞こえてきた。生暖かい風が吹き、猛暑が続いているのに、自然界はすでに秋へと向かっている。

 買ってきた今月号の『世界』をぱらぱらとみた。今号も読み甲斐のある内容がたくさんある。次々と届く書籍に追いまくられているのに、またこれをまず読まなければならない。読んでばかりいるのではなく、話したり書いたりしないとなかなか頭の中に残らないのに、活字が私を追いかけ回している。

 ついでに『創』も購入した。私が行った書店には、『世界』が1冊、『創』が2冊あった。昔は、『世界』は『文藝春秋』とともに積まれていたものだ。しかし今は、1冊だけ棚に置かれ、寂しく私に買われるのを待っているのだ。

 現実があまりにひどいからと、ひどい状況に身を任すのではなく、なぜひどい状況なのかをきちんと探求しなければならない。

 そのためには、「読む」という行為は不可欠である。その「読む」対象として、『世界』は最良のものである。

 自然は、我々の意思を越えて、自然の秩序に沿って動いていく。だが社会は、人間の意思が確実に動かしている。その意思を探求しなければならないのだ。ひどい社会を変えるために。



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恥知らず

2012-08-12 23:56:13 | 日記
 民主党という政党は、恥知らず、としか言いようがない。前回の衆議院議員選挙に掲げたマニフェストをほとんど手をつけずにおいて、マニフェストに掲げていなかった消費税増税に邁進した。すでに民主党のマニフェストは、まったく信用できない。

 ところが驚くことに、以下の記事が配信された。

民主、「脱原発依存」明記へ 次期衆院選マニフェスト
2012年8月12日 17時06分

 民主党は12日、次期衆院選マニフェスト(政権公約)の主要政策として「脱原発依存」を明記する方向で調整に入った。党関係者が明らかにした。野田政権がエネルギー政策の基本方針に据える脱原発依存を党公約でもアピールし、同様の政策を主張する大阪維新の会など「第三極」との争点化を避ける狙いがある。

 党内には「原発再稼働で『民主党政権は原発推進だ』との印象が強まった」(幹部)との懸念がある。保守地盤とされる山口県知事選で脱原発を掲げた新人が善戦したことも考慮し、衆院選ではあらためて「脱原発依存」を強く打ち出す必要があると判断した。


 野田政権が行っている原発政策をみると、脱原発の方向にはまったく動いていない。原発は再稼働するし、核燃料サイクルはそのまま予算をつけるし・・・

 それでいて、「脱原発依存」だって・・・・!!

 自らマニフェストの信用性をなくした民主党が、さらにマニフェストを有名無実化しようとしている。

 打倒、民主党である。もちろん消費税増税を推進した自民党も公明党も、打倒!!!するしかない。

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苦しみを苦しむ

2012-08-12 23:04:27 | 日記
 素晴らしいテレビ番組がある。毎週日曜日、NHK教育で放映されるETV特集だ。夜十時からだから、ほとんどの人は見ることはないだろう。テレビメディアのあるべき姿が、ここにはある。

 今日のテーマは、沖縄戦を体験した老人たちのPTSDについてであった。激しい地上戦の中、逃げ惑った沖縄の住民たちに精神障害者が多かったこと、そして子どもの頃に沖縄戦を体験した人々が今になって重いPTSDにおちいるひとがたくさんいるというのだ。

 子どもの頃の体験は、衝撃的なものだ。たとえば、背に負ぶっていた妹が米軍の銃弾で命を落とした、その妹を置いたまま自分は逃げていったという体験。

 戦後家庭を持って、子どもを育てる中では、あまり記憶の底から浮かび上がってくることはなかったが、老いてから、その記憶がよみがえるようになる。

 自らが体験した苦しみが、今の自分を苦しめる。

 その苦しみを倍加させるのが、米軍基地、そして沖縄の上空を我が物顔に飛行する米軍機。

 沖縄県民のPTSDは、しかし沖縄戦だけではない。戦後の米兵による強姦事件も、若い人々に苦しみを与え、その苦しみが今も続く米兵による様々な事件により、記憶からよみがえる。

 日本の中で唯一地上戦を体験した人々の頭上に、戦争のための米軍機が爆音を響かせながら、苦しみをまき散らす。

 その苦しみを軽減させるどころか、さらに苦しませたいのか、オスプレイの配備が準備されている。

 私たちも、そのような苦しみを取り除く努力もせずに、沖縄に米軍基地を押しつける。

 これは、罪である。

 

 
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官僚支配

2012-08-11 15:13:33 | 日記
 様々な政策を追求していくと、そこには必ず官僚の利害と、そこに群がる利権とが現れてくる。中日新聞社の論説委員・長谷川幸洋『官僚との死闘700日』(講談社)を読んでいるが、これには官僚の狡猾な動きが詳細に描かれている。

 長谷川は、最近の論説は十分に評価できるものだが、かつてはそうではなかった。安倍政権を裏で支えてもいたから、私にとっては気分がいいものではない。安倍政権が行った、たとえば教育基本法の改悪などは、今もって許せないものである。

 本書は、安倍政権との関わりが中心に描かれてるのであるが、そこには自らの利害に敏い官僚の底知れない動きが記されている。

 その結果、長谷川はこう断じる。

 「政権が霞ヶ関を使いこなしてきたのではなく、逆に、霞ヶ関が政権を操縦してきたのである。ずばりいえば、権力は永田町ではなく、霞ヶ関にあった。この国では、霞ヶ関が舞台裏で政権を操縦する「闇の権力構造」が、しっかりと形成されていたのである。」(206頁)

 野田政権の消費税増税も、財務省をはじめとした官僚たちの指示の下に動いているに過ぎない。財務省は、増税によって増えるカネを、各所にばらまくことによってさらに自らの省益を拡大できるだろう。そしてこれは、利益誘導によりみずからの選挙基盤を強化したい自民党や公明党などの政治家たちの利益とも合致する。

 今回の「社会保障と税の一体改革」のなかの消費税増税を、社会保障につかうならなどと、お人好しの国民は容認する姿勢を示しているが、それはありえない。今日の『中日新聞』の記事にも説明があるように、法案では増税による13兆5000億円を全額、年金や医療に回すと明記しているが、官僚はきちんと落とし穴をつくっている。消費税増税による経済悪化に備え、「成長戦略や防災および減災に資する分野に資金を配分する」が、附則につけられている。おそらくこの附則が大いに活躍することだろう。

 私たちが政治に関心を持つと言うことは、政治家の動きだけに目をとめていてはわからないことが多いのだ。官僚の動き、それはあまり表に出てこないが、それをも注視しなければならない。

 官僚の、反国民的な動きを封じることができるようにしなければならない。

 国民の敵は、官僚でもある。

 なお最近の長谷川の論評は、良いものが多い。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/33234

 なお、今日の『中日新聞』(『東京新聞』)の社説を掲載させていただく。


 消費税増税法が成立 「代議」機能せぬ危機 2012年8月11日

 消費税増税のための「一体」改革法が成立した。民主党マニフェストを逸脱し、半数を超える国民が依然、反対だ。代議制は果たして機能したのか。

 「民主党政権は、マニフェスト違反の消費税率引き上げを行う権限を主権者からは与えられていないんです。議会制民主主義の歴史への冒涜(ぼうとく)であり、国権の最高機関の成り立ちを否定するものです」

 今年一月、野田佳彦首相の施政方針演説に対する各党代表質問で、こう指摘した議員がいた。自民党総裁、谷垣禎一氏である。

◆マニフェスト違反
 政権選択選挙とされる衆院選で多数の議席を得た政権与党が内閣を組織し、選挙公約に基づいて法律をつくり、政策を実行する。

 それは谷垣氏が指摘するまでもなく、議会制民主主義(代議制)の「大義」であり、衆院議員が国民の代表として議論する「代議士」と呼ばれる所以(ゆえん)だ。

 もちろん、激しく変化する現代社会では、政治的、経済的、社会的な情勢変化に応じ、柔軟に政策変更をすることは必要である。

 東京電力福島第一原子力発電所の事故後に、それまでの原発推進路線から脱原発路線に転換するのは当然であり、代議制の大義を損なうものではない。

 しかし、消費税増税はどうだろう。民主党は二〇〇九年衆院選マニフェストに消費税増税ではなく行政の無駄削減による財源捻出を盛り込み、当時の鳩山由紀夫代表ら各候補が「消費税は増税しない」と公約して政権に就いた。

 野田氏は選挙戦で「書いてあることは命懸けで実行する。書いていないことはやらない。それがマニフェストのルール」とまで言い切っていたではないか。

 それが一転、消費税増税に政治生命を懸ける姿勢に変節した。これを、民主党の「マニフェスト違反」と呼ばずして何と呼ぼう。

◆政治を国民の手に
 本格的な少子高齢化を迎え、社会保障を持続可能な制度に抜本改革する必要はある。国の借金が一千兆円に上る財政事情への危機感は国民も共有しているだろう。いずれ増税が避けられないとの覚悟も多くの国民にあるに違いない。

 とはいえ、誰がどうやって税金を負担するのかというルールづくりは、議会制度の成り立ちをひもとくまでもなく、民主主義の存立にかかわる重大な問題だ。公約違反の一方的な課税は国民の納税者意識を蝕(むしば)みかねない。

 国民は選択していない消費税増税を、民主党政権が政府や国会の無駄を削ることなく、社会保障改革の全体像を示すことなく強行したことに怒りを感じているのだ。

 当初は公約違反を批判しながら公共事業費増額との引き換えなのか、消費税増税に加担した自民、公明両党も同じ穴の狢(むじな)である。

 自分たちの思いが政府や国会に届いていない、代議制が機能していない危うさを感じているからこそ、消費税増税に国民の多くが反対し、脱原発、原発再稼働反対を訴える人たちが週末ごとに国会周辺を埋めているのだろう。

 政府も国会も、マニフェスト違反の消費税増税や首相の再稼働容認を機に代議制が危機的状況に陥りつつあると気付くべきである。

 この状況を、国民が政治の「劣化」と切り捨てるのは簡単だが、それだけで政治は変わらない。街角で声を上げることは重要でも、その声が為政者や議員に届かなければ政治を動かせない。

 代議制を鍛え直し、政治を国民の手に取り戻すには、選挙で意思を示し、議員や政権を厳選するしかない。

 消費税は一四年四月に8%、一五年十月には10%に引き上げられる。それ以前、現衆院議員の任期満了の一三年八月までに必ず衆院選は行われる。消費税増税の是非を国民が選択する最後の機会だ。

 消費税増税に納得できれば、賛成の政党、候補を、できなければ反対の政党、候補を選べばいい。

 もちろん、選択すべき政策は消費税だけではない。政府や行政の無駄にどこまで切り込むのか、どんな社会をつくるのか、社会保障制度改革の具体的な設計図や、安全保障・外交政策も判断基準だ。

 マニフェストに嘘(うそ)はないか、官僚の言いなりになりそうか否か、政党や候補の力量も見極めたい。

 投票先を決めるのは有権者だが判断材料を提供するのはわれわれ新聞の仕事だと肝に銘じたい。

◆速やかに解散せよ
 首相は衆院解散の時期を「近いうち」と述べたが、消費税増税の是非を国民に問うためには速やかに解散する必要がある。

 そのためにも、違憲状態にありながら各党間の意見の違いから進んでいない衆院「一票の格差」の早期是正に、首相は指導力を発揮すべきだ。民主党に有利な時期を探ろうと是正を怠り、解散を先送りすることがあってはならない。

 

 
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『けーし風』

2012-08-11 11:49:11 | 日記
 『けーし風』という雑誌がある。発行元は、新沖縄フォーラム刊行会議である。沖縄で発行されている、沖縄に関わることが記されている雑誌だ。季刊で、もう75号になる。

 それが今日届いた。特集は、「歴史の書き換えに抗する」である。

 日本の支配層は、米軍と一体となって、世界各地で軍事行動を展開する方向に舵を切っている。「動的防衛力」という語が、その作戦を表している。

 また自衛隊は、対中国に焦点をしぼり、沖縄への自衛隊配備を強化しようとしてる。
 ところで1945年に展開された沖縄戦では、本土防備の遅れを挽回すべく沖縄を「捨て石」にしようと、沖縄の住民を巻き込んで、米軍と激しい戦闘を繰り広げた。その際、日本軍は住民を守らず、各所で住民を殺害するという挙に及んだ。自国の軍隊が、自国の民を殺すという地獄絵があった。その記憶は、当然、忘れられてはいない。

 そして今、かつての日本軍は、自衛隊となっている。

 日本の支配層は、沖縄に自衛隊を派遣増強したい、しかし住民は沖縄戦で何があったのかを知っている。そしてそれを伝えてきた。

 日本の支配層は、そこで、歴史認識を断絶させようという作戦に出てきた。「歴史の書き換え」である。

 それに抗して、沖縄の人々が反撃に出ている。その動きが、作家目取真俊氏により活写されている。



 沖縄で何が起きているか、それは本土の私たちにとっても重要関心事でなければならない。『けーし風』は、そうした沖縄の動向を伝えてくれる。本土の何れの新聞も、沖縄のことはほとんど報道しないから、自覚的に情報を得る必要がある。

 『けーし風』、一冊500円。年間2000円である。オンラインショップ「BOOKS Mangroove」から注文できる。このショップ、他の沖縄の雑誌も買うことができる。

 http://mangroove.shop-pro.jp


 
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MY HOUSE

2012-08-10 20:59:54 | 日記
 対照的な世界では、ことばはあまりいらない。

 今日、シネマイーラに映画を見に行った。「MY HOUSE」という映画だ。

 名古屋を舞台にした映画。ホームレスは公園に家を建てる。そして男はほぼ一日中自転車に乗り空き缶などを集める。その生活には、ことばはほとんどいらない。空き缶などを「いただく」ために、誰に対しても、姿勢を低くする。自由ではあるが、生きていくためには、廃品を集め続けなければならない。寡黙が続く。
 
 それとはまったく対照的な一家。母親は「清潔」を維持するため、病的なまでに一日中掃除や洗濯をしている。母親はほとんどしゃべらない。子どもは勉強に励み、遅くまで塾に通う。そのような日常生活の世界にもことばはいらない。日常生活のパターンは、毎日ほとんど変わらない。

 この二つの世界が交錯することがあった。子どもによるホームレスへの襲撃である。ことばはなく、そこには暴力しかなかった。

 全体を通して、ことばはほとんどなかった。ことばがないということは、異なった世界間の交流がないということだ。

 見終わって、車で街中を走った。今日は街中にたくさんの人がいた。浜松の中心部にこんなに多くの人が歩いているのは珍しい。明日からの夏休みを前にして、酒を飲みに来た人々なのだろう。この人たちをみて、彼らはどちらの世界の人間なのだろうと思った。翻って、ボクはどちらの世界に近いのか。おそらく「清潔」なあの一家に近いのだろう。

 異なった日常を生きる人々が、あまりに近くに生きているのに、交錯しない。

 「清潔」は、差別を生み出す。「清潔」な日常生活の中からはき出されるゴミ、そのゴミを拾い集めるホームレスは、ホームレスを襲った子どもには「ゴミ」に見えたに違いない。

 異なった生活世界が並立する日本。政治は、その並立をなくそうとするつもりはない。もっと激化させようとしている。

 全編、モノクロの映画であった。




 
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主権者

2012-08-10 11:14:23 | 日記
 『国民が本当の主権者になるための5つの方法』(現代書館)が先ほど届いた。著者は、日隅一雄さん。弁護士である。といっても、弁護士と言うより、最近はジャーナリストと言った方がよいのかもしれない。

 この日隅さんとは面識はない、しかし私にはとても近しい存在でもあった。日隅さんが編集長を務めるNPJというニュースサイトの立ち上げの頃、なぜか私のところにも案内が来た。それ以降、NPJから多くの貴重な情報を得ることができた。今も毎日何度もそこにアクセスする。

 http://www.news-pj.net/

 日隅さんは、福島原発事故後、東電や保安院の記者会見に出席し、隠蔽体質をさらけだし責任回避を狙うかれらに厳しい質問を繰り返し、マスメディアの凡庸な記者たちの妨害をはねのけて、彼らの犯罪的な姿勢を暴いた。私は、日隅さんの一挙一動に喝采をしていた。

 そのなかで刊行されたのが、『検証 福島原発事故・記者会見ー東電・政府は何を隠したのか』(岩波書店)である。

 しかし、残念ながら日隅さんは、末期胆嚢癌を指摘され余命半年という診断を下された。しかし日隅さんは、癌の治療を続けながら、また激痛に耐えながら、記者会見に通い、講演活動を続け、また原稿を書き、獅子奮迅の働きを続けた。私は、その動きをNPJで追い続けた。

 だが、今年6月12日、ついに還らぬ人となった。49歳だった。惜しい、まことに惜しい人だった。

 本書は、日隅さんの絶筆である。日隅さんは、国民に「本当の主権者」になることを訴えて亡くなった。

 有益な情報を得るために、日隅さんにはお世話になった。会ったこともない人ではあるが、しかし近親者が亡くなったような寂しさを覚える。

 そういえば、尊敬する無教会派のクリスチャンであり平和運動家であった故溝口正氏も、よく「主権者」ということばを口にしていた。

 国民が、本当に「主権者」となるために、何をしたらよいか。とりあえず、日隅さんの絶筆に接していただきたい。

 私も、今から読み始めよう。日隅さんは、何を私たちに引き継がせようとしたのか、それを知ること、そして動くこと、それが私たちの責任である。
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忍従を断ち切る

2012-08-10 07:32:11 | 日記
 民主党と自民党、そして公明党が野合して、消費税を10%にする。「税と社会保障の一体改革」という名目で、社会保障につかうと言っているが、それは嘘だ。未だ明確になっていない社会保障改革の一端が明らかになっているが、その内容は社会保障の一層の後退策が目白押しだ。

 おそらく今度も国民はだまされるだろう。消費税の増税による財政収入は、おそらく財界と官僚と政治家を潤す「公共事業」に投入される。

 衆議院で増税法案が通過した時、即座に整備新幹線の建設が決定した。そして自民党は「国土強靭化法」なるものを提案し、莫大な金額の公共事業を行おうとしている。

 日本国民はとてもお人好しなので、官僚や財界、政治家などは、国民はだませるものだという確信をもっているのだろう。

 現在の民主党政権は、福島原発事故の処理に見られるように、福島県などの住民に忍従を強いて、抜本的な対策をとるつもりはない。沖縄の基地問題でもそうだ。

 国民に忍従を強いる民主党政権。それは自民党も公明党も同じだ。今度は消費税でさらに忍従を強いるつもりだ。

 良い本が出た。会計学の学者、東大名誉教授の醍醐聡氏による『消費増税の大罪』(柏書房)、1800円である。このまま10%増税案が成立してしまうかもしれないが、それでもこの増税の「大罪」ぶりをしっかりと認識しておく必要がある。

 日本国民が忍従から脱する時が、いずれは来るだろう。すでに反原発の運動では、生活を破壊された福島県民や、これ以上の放射能被ばくを許さないという決意をもった人々が、忍従の鎖を断ち切ろうとしている。

 この動きは、止められないし、また止めてはならない。忍従を強いる者どもへの反撃の準備をしなければならない。
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市民科学研究室

2012-08-08 19:49:04 | 日記
 ボクが昨年から入会した市民科学研究室。おそらく福島原発事故が起きなければ知ることもなかった研究室だ。
 
 研究室は、あまり科学に縁のない人々にも、その研究成果を公表している。

 今日、原発に一貫して反対の姿勢を示してきた今中哲二氏の講演内容がPDFファイルで公表された。わかりやすく書かれているので是非読んでいただきたい。

市民権のHPは下記。

http://www.shiminkagaku.org/

今中氏の講演内容は、下記から。ただしプリントアウトすると43頁です。

http://archives.shiminkagaku.org/archives/2012/08/3-6.html
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許せない政府の原発対応

2012-08-08 19:23:46 | 日記
 民主党政権は、かくもひどい福島原発事故に対する反省をせず、また責任を果たすつもりもない。そういう民主党政権の無法無策に対して、私も国会議事堂周辺で抗議の声をあげてきた。

 そのなかで、新たにできる原子力規制委員会の委員には、「原子力ムラ」の住人はやめよ!!を強く、強く叫んできた。

 この抗議は、良識あるマスコミ人も行っている。今もっとも良識をもった報道をしている『東京新聞』(『中日新聞』)だ。その一部を掲載させていただく。


【私説・論説室から】 原子力ムラ復活は論外だ   2012年8月8日

 これで原子力規制の独立性が図れるだろうか。懸念は強まる一方だ。

 政府が新たに発足させる原子力規制委員会の委員長候補になった田中俊一氏は前原子力委員会委員長代理で、元日本原子力研究開発機構の特別顧問である。

 原子力委員会は原発推進派だけで核燃料サイクルを推進する秘密会合を恒常的に開き、政府の政策決定に影響を及ぼしていた問題があかるみに出た。後者の機構は高速増殖炉もんじゅを設置し、使用済み核燃料を再処理している。

 委員候補の更田豊志氏は同じ機構の副部門長、もう一人の中村佳代子氏は日本アイソトープ協会主査。二人とも現役バリバリの原子力ムラ住人である。

 原子力規制委員会設置法によれば、そもそも原子力の精錬、加工、貯蔵、再処理に係る個人や法人の従業者は委員になれない。現役の両氏が不適格なのは明々白々ではないか。

 社民党の福島瑞穂党首によれば、政府は「委員就任前に辞任していれば問題ない、との理屈で人事を強行するつもり」なのだそうだ。それなら福島事故を起こした東京電力の前会長だって委員長になれてしまう。デタラメが過ぎる。

 少なくとも三人の人事案は白紙に戻す。そのうえで国会の事故調査委員会が提言したように、透明な第三者機関が委員候補を選んで、国会が最終的に承認する。そんな手続きが不可欠である。 (長谷川幸洋)


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