浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

ロシアに関わる諸々のこと

2022-04-30 07:50:02 | 国際

 ロシアによるウクライナ侵攻、その殺戮と破壊は、いつも心のどこかにある。だから、どうしてもロシアに関わる本を手に取ってしまう。

 昨日書庫からもってきたのは、高杉一郎の『征きて還りし兵の記憶』(岩波書店、1996年)である。高杉はシベリアに抑留された人だ。戦後は静岡大学教授として静岡市に住んでいた。

 この本の中に、「アントン・チェーホフとジョージ・ケナン」という文がある。チェーホフは、あのチェーホフである。彼の著作に「サハリン島」がある。私の書棚にはチェーホフ全集が読まれる順番を待っていて、その順番がなかなかやってこないことに呆れられているのだが、なぜチェーホフがサハリン島に行ったのか、それを高杉は、チェーホフがケナンの「シベリアと流刑制度」を読み、ロシア帝国の流刑制度に人間的怒りをもったからではないかと考えた。高杉は、自分自身がスターリン体制下のシベリア抑留という流刑制度のなかに放り込まれているからでもあった。

 サハリンはロシア帝国の過酷な流刑先であった。チェーホフの妹は「サハリンーそれは、当時ロシアのほんとうのヒューマニスティックな人たちなら、誰ひとり恥辱と戦慄なしには口にできないおそろしいことばでした。」(『兄チェーホフの思い出』)と書いているが、だからこそチェーホフはサハリン島を訪れたのだ。

 チェーホフはサハリン島について、手紙で「サハリンにいたあいだは、僕の内臓は腐ったバターをなめたような苦みを味わっただけでしたが、いま思いだしてみると、サハリン島は僕には文字どおり地獄のように思えます」と書いている。

 この流刑制度は、むろん、批判され、また廃止されなければならないものであった。しかし、高杉はこう記す。

 流刑制度をつくりだしたツァーリズムそのものは崩壊したけれども、そのツァーリズムを革命によって叩きつぶした政権が、ツァーリズムよりももっと無慈悲で大がかりな「収容所群島(GURAG)」を20世紀文明の上にあたらしくつくりだしたからである。(89)

 スヴェトラーナ・アレクシェーヴィチも、流刑制度についてロシア帝国の時代の方がゆるやかであったとしるしている。

 「正義」を旗印に革命を行った者たちは、その「正義」の旗の下に、無慈悲な無数の処刑とともに、「収容所群島」をつくりだしたのだ。それらがヒューマニズムとはまったく違背することはわかっていたはずなのに、彼らは意に介すことなく推進した。

 チェーホフの時代の「ヒューマニスティックな人たち」が流刑制度にこころを痛めていたのに、革命政権下にもいたはずの「ヒューマニスティックな人たち」は何をしていたのか。

 クロポトキンの『ロシア文学の理想と現実』(岩波文庫、これは、私が若い頃、買おうと思いながら買わなかった本である)の一部を、高杉は引用している。

 ロシアのインテリゲンチャのほんとうのわざわいは、その意志の弱さであり、願望の弱さだということを彼はよく知っていた。いや、知っているどころか、彼の詩的な精神の全神経をもって感じとっていたのだ。

 ウクライナへの軍事侵攻はウクライナ、そして全世界に途轍もない衝撃を与えている。ロシアのインテリゲンチャは、これについても「弱さ」のなかに沈殿しているのか。

 高杉は、この文末にこう記している。

政治家スターリンにたいする私の憎しみと軽蔑はこのとき(シベリア抑留者の引き揚げ費用を日本政府に支払わせるというソ連の発言が対日理事会で公表されたときー引用者注)決定的なものになった。なにが偉大な政治家なものか。なにが人類の教師なものか。

 シベリアに抑留され労働を強制された高杉の「憎しみと軽蔑」は、今、世界中の人びとがプーチンに抱いているものと同じである。

 ロシア帝国、ソビエト連邦、そしてロシア。変わらないものがかわらないまま、ロシアの社会に沈殿しているように思える。変わらない、ということが、私を鬱に追い込む。

 

 

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「音楽座」

2022-04-29 21:30:34 | 日記

 ロシアによるウクライナ侵攻以降、鬱状態が続く。コロナが終息することなく、北海道では観光船の沈没事故、円安、物価上昇・・・・・・暗くなるようなことが次々と現れてくる。農作業をしているときだけ、それらを忘れる。しかし今日は雨。午後から雨ということだったので畑に行ったのだが、すぐに雨粒が降り注いできた。

 ふと、YouTubeで「音楽座ミュージカル」を見た。演劇は、社会や人生、歴史などを真剣に考えるきっかけとなる。したがって、重いテーマが多い。だが、それだけではだめだと思う。

 人間を信じることができるような、人間って素晴らしい、と思えるような劇が欲しい、「音楽座」のミュージカルはそういう気持ちをもたせてくれる。

 今は音楽座を見る機会は減ったが(今は、大都市に行かないと見られない!、しかしむかしはそれでも見に行った)、高校で演劇教室の担当をしていたときも(急に転勤が決まり、つまり追い出されたために、私が招聘したのに見ることができなくなった)、「とってもゴースト」を招聘したことがある。後任のUさんに引き継いだが・・・・

 今まで、「シャボン玉とんだ宇宙までとんだ」「とってもゴースト」「マドモアゼル・モーツアルト」「リトルプリンス」、それともうひとつ(記憶から消えた)は見ることができた。

 音楽座のミュージカルをみると、なぜか、人間っていいな、と思える。

 時々、Amazon musicやYouTubeで音楽座の曲を聴く。曲を聴きながらいろいろな場面を思い出す。

 現実をみるとき、人間って素晴らしいのに、なんでこんなことをするの!と思う。

 「音楽座メイト」に入るかな、そしたらもっと見ることができる。

 

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重荷を背負う?

2022-04-29 20:45:16 | 社会

 何で人間は、こんな残虐なことができるんだ!!

『レストラン「ドイツ亭」』

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行政への不信

2022-04-29 14:32:25 | 社会

 TBSテレビの「「そんな検査だから事故が起こるんだ!」国の検査“形骸化”に知床の観光船船長が怒り…知床遭難事故で新たに男性3人の死亡確認」というニュース。

 ニュース全体が表題通りではないが、行政による検査に対する不信感が、船長から表明されていた。

 何度も書くが、新自由主義的な政策により公務員が減らされ、さらに規制が緩和されたことにより、カネ儲けを求める業者が特定の職種に参入してきた。その結果、安全よりもカネ儲けに邁進する観光バスが大きな事故を起こしたことがあった。今回の知床の観光船の事故も同様だ。

 行政はきちんとした検査を行わない、人員を減らされ業務が増えた事なかれ主義の公務員がそれをするからだ。そうした緩い検査が、安全を脅かし、他方で経営者の利益を増大させている。

 労働基準監督署も、働く人たちの権利を守るためにあるのに、経営者と仲が良い。

 日本の行政は、新自由主義政策の下、麻痺してきている。

 

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経営コンサルタント?

2022-04-29 14:23:42 | 社会

「知床遊覧船」ずさん経営が招いた大惨事…桂田社長に“指南”有名コンサルタントの言い分

「知床遊覧船」社長は「右も左もわからない」…経営コンサルの記事が波紋

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呆れた運航会社

2022-04-27 08:39:19 | 社会

 『読売新聞』の記事を読んで驚いた。こんな会社が遊覧船を運航していたとは!!!

 新自由主義の時代、民間企業の経営を礼賛し、自治体、学校なども民間企業の経営を見ならえ、民間企業のように公務員も減らして非正規を雇って歳出を再編成する(住民への支出を減らし民間企業などへの補助金を増やす)動きが加速してきた。

 その結果、監督官庁の監督機能が劣化し、民間企業が利潤追求を最優先する結果、起きてはならない事故が多出するようになった。

 新自由主義に基づく政治を政府も自治体も推進し、中堅のサラリーマンなども支持する現在の日本、国民の安全は吹き飛ばされる。

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連合の本質

2022-04-27 08:20:20 | 政治

労働組合の全国組織である連合。連合は、旧民社党系の同盟が、総評系の労働組合を撃破しつつ解体にもちこんで結成されたものだ。そして同盟は、会社側の尖兵となって、闘う労働組合を少数組合に追い込むことによって拡大してきた。それを助けてきたのが旧民社党である。旧民社党は一面では自民党よりも「右」であった。その旧民社党の流れが、国民民主党に集まっている。

ということは、自民党、公明党、国民民主党、そして連合がタッグを組むのは当然予想されることで、今後はこれに維新をも巻き込んで、日本を、ロシアにも負けない暴力的な専制的な国家にしていくのであろう。

新潟県知事選では、その構図が明確になったようだ

しかし野党第一党の立憲民主党は右往左往。もうこれで立憲民主党は終わりだ。自民党・公明党・国民民主党・連合に対抗する姿勢をもてない、つまり自らの旗幟を鮮明にできない政党は、いずれ分裂するか保守に呑み込まれていくことだろう。グッドバイ、立憲民主党!

低投票率と、中堅の労働者が新自由主義に呑み込まれている現段階では、日本の民主主義、格差の是正などは遠い夢と化していくことだろう。人びとは自己責任で生きていくことになろう。国民が納めた税金は企業や政治家が食い荒らし、保護も援助もない人びとはゼイゼイとみずからの生を運んでいくしかない。国家予算の多くは軍事費に投入され、軍事大国化が進む。まさに日本のロシア化である。

 

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核兵器の使用を明言するリーダーはダメ!

2022-04-26 17:20:55 | 社会

金正恩氏、朝鮮半島有事での核兵器使用の可能性に言及 25日夜に「朝鮮人民革命軍」創建90年の軍事パレード

 核兵器の使用を明言する指導者はダメだ!しかし、ロシア、北朝鮮両方とも社会主義国(だった?)。20世紀の社会主義に問題があるように思えてきた。

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核脅迫のロシア

2022-04-26 14:25:50 | 国際

 ロシアのいかなる主張も、この「言及」で吹っ飛んでいる。核兵器の使用を示唆することでみずからの野望を実現しようとするロシアには、いっさいの正当性を認めるべきではない。

 ヒロシマ、ナガサキへの原爆投下以後においては、核兵器の使用は禁止されているというのが、国際的な理解である。しかしロシアは、ウクライナ侵攻で、核脅迫を行った。そしてまた、それに「言及」した。

 ロシアはひょっとしたら、みずからの衰退にあわせて、人類をも衰退させる(滅亡)させようとしているのではないか。

 

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ブラックの入管

2022-04-26 09:09:41 | 政治

元入管職員の弁護士が語る「入管職員の人権意識」、なぜ消えて失せてしまうのか

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侵略への抵抗

2022-04-26 09:09:41 | 国際

 ロシア軍によるウクライナ侵攻が起きてから、アンナ・ポリトコフスカヤの本などを読んできたが、プーチン政権は国内においても、様々な手段を使って(たとえば集合住宅を爆破、それを他者のせいにして)、政権を維持してきた。ロシア国民がどれほど犠牲になろうと、旧ソ連支配下だった、独立を志向する諸地域の住民がどれほど残虐に殺されようと、いっさいそれらを顧慮することなく突き進んできた。プーチンに群がるもとKGBの利益を保証し、ロシア国民の生活に思いを馳せることはしてきなかった。

 プーチン政権は、ロシア国民によって倒されるほうがよいと判断しているが、しかしそれはロシア国民が決めることだ。アンナ・ポリトコフスカヤの著書がロシア国内では販売されていないというから、ロシア国民が真実を知る機会はあまりないだろう。しかし、真実を知ったとき、ロシア国民は愕然とするだろう。

 今回のウクライナ侵攻について、ロシアの公式発表では、軍事施設だけを攻撃しているということだ。しかし、実際は住民の居住施設、病院、学校などが攻撃され、軍事施設だけでなく全面的な攻撃がなされている。まさに殺戮と破壊が行われているのだ。

 私たちはロシアの公式発表が真っ赤な嘘偽りであることを知っている。そういう虚偽を公然と発するロシア・プーチン政権を支持することはありえない。

 ロシア・プーチン政権は、領土的野心を持ってウクライナに侵攻した。ロシア兵は、プーチン政権と足並みを揃えて残虐非道を働いている。しかしこれは、かつてのロシア帝国、あるいは旧ソ連の復活(再生?)を実現しようとしているプーチンが、チェチェンその他旧ソ連の各地で行ってきたことだ。

 さてロシアによるウクライナ侵攻が、日本の論壇でひとつの試金石となっている。まず1つ。どっちもどっち論である。もちろん、ロシアがウクライナに軍事侵攻するに至る経緯には、NATOの問題、ウクライナの政治状況その他があっただろう。だが、国際法を無視しして他国の領土に軍事侵攻したことにより、それまでの経緯は問題にすべきではなくなったのだ。今それを論じても始まらない。ロシアは軍隊をウクライナ領内から撤兵して、復興がなされた後に、それについて論じられるべきであり、現時点では、ロシア軍の撤退こそ求められなければならない。

 また停戦のために外交的努力をするべきだという主張もある。それはすべきだ。しかし、それはロシア軍の侵攻前の状態に戻すことが条件でなければならない。東部地域の「自治」を認め・・・という主張は、ロシアの不当な要求であり、それを認めればロシアの領土的野心を公認することになる。

 また犠牲をなくすために、ウクライナは武力による抵抗をやめ、米英などはウクライナに軍事支援をするな、という主張もある。これについては、もしロシア軍の攻撃が、軍事施設だけに行われていたのなら成立する議論ではないかと思う。しかしロシア軍は、ウクライナ民衆そのもの、ウクライナ民衆の生活そのものを殺戮・破壊するような軍事行動を行っている。

 かつての日本軍の中国侵略、アメリカのベトナム侵略と同じである。そうした侵略に対して、中国の民衆はどうしたか、ベトナムの民衆はどうしたか。武器を持って戦った。

 ウクライナの民衆が武器を持って戦うという判断について、私たちがとやかく言うことではない。ウクライナの政府や民衆がもし抵抗をやめる、すなわち「降伏」するということは、国際法を蹂躙したロシア、無法者のロシアの要求を呑むことであり、これは国際秩序の大きな改変となる。つまり武力侵攻による国境線の改変を認めることに直結する。

 私にとって認められない主張をする人たちは、まず今までロシアに可愛がられてきた人びと、このロシアによるウクライナ侵攻を「殺される側」の視点からではなく、「上から目線」で「眺めている」人びと、である。

 事態は、「される側」から見ていかなければならない。それが私の立場である。

 

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知床の観光船事故

2022-04-25 22:21:41 | 社会

 こういう事故が起きると、「やっぱり・・・」という声が上がる。杜撰な経営をしていることがわかっていたなら、なぜ行政はきちんと監督していなかったのかと思ってしまう。

 公務員が減らされ、民間企業の利潤追求の経営が美化されている新自由主義が席捲する時代、長野県でのバス事故など、こうした事故が頻発している。

 事故を起こした観光船には亀裂があった。しかしその後国交省の検査があったそうだ。ふつうは検査の前に修理をしていただろうと思うが、国交省はきちんと検査をしていなかった可能性はないのか、と思う。

知床 観光船事故 最新情報 「やっぱりやったか」KAZU I 元船長

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ワクチンで副反応が出たときには国が補償すると言っていたのに・・

2022-04-25 21:59:50 | 政治

 私はコロナワクチンを受けたくはなかったが、感染者が急増するなど諸般の情勢から2回のワクチン接種を受けた。しかし、3回目はやめた。3回目の副反応により苦しむ知人がいたので、これはやらないほうがよいと判断した。

 ワクチン接種による副反応が出た場合は、国はきちんと補償すると言っていたはずなのに、政府や自治体は逃げまわっている。無責任きわまりない!

 ワクチン接種により、健康な息子さんをなくされた方へのインタビューである。 

コロナワクチン接種後の突然死 遺族が問う なぜ息子は死んだのか

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【本】松尾貴史『違和感ワンダーランド』(毎日新聞出版)

2022-04-24 09:03:02 | 

 新聞の書評を読んで購入した。新聞に連載した文を一冊にまとめたものだ。内容は政治批評が主になっている。

 一日一日があっという間に過ぎていく。その一日一日に、いろいろなことが起こり、それについて考え、怒り、哀しむ、そして笑う。だがそれらは、時の経過に伴って記憶の彼方に消えていく。

 政治に関わることども、ほとんどが理不尽で許せないことだが、それすらも忘れていく。

 この本を読みながら、こういうこもあった、そういうこともあったと思い出しながら、そのことが起きたときの怒りを思い出す。

 本書は、ある意味で備忘録のようなものだ。

 しかしよくままあ、こんな悪いことばかりが政治の世界にはびこっているなあと、あらためて思う。

 政治も社会もよくはならない、という気持ちが今は強い。こんなはずではなかった、もっと良い未来があると思っていた。しかし・・・・

 私は、一昨日、ある人に、期待するからがっかりするんだ、だから期待しないことが大切だ。期待していなければ、ちょっと良いことが起きたらそれだけで嬉しくなるから、と。

 農作業をしているときがいちばんよい。なぜなら考えないから。考えるのは、どこに何を植えようか、ここは耕さなければならないとか、そういうことだけだ。ある意味で、その時間は、"空"になる。

 本書は、だから、政界の悪事を思い出すためにある。捨てないでもっていようと思う。

 

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「獣に失礼」

2022-04-24 09:03:02 | 国際

 昨日の『東京新聞』の「こちら特報部」のコラムに師岡カリーマさんが、「人のすること」を書いていた。

 ロシア軍の軍事侵攻は、ウクライナに多大な被害を与えている。プーチン政権の蛮行には心から怒りを覚える。

 そうしたロシアに対してウクライナの人びとが怒りや憎しみを持つのは当然である。ウクライナ人が「ロシアは人間じゃない」、「奴らは獣だ」というそうした気持ちは理解できるとして、師岡さんは「でも毎日のようにそれをそのまま放送する各国メディアには、やや異和感を覚える」と書く。

 プーチン政権、ロシア軍はロシアそのものではない。師岡さんは、ホロコーストを行ったナチスドイツにはベートーヴェンやゲーテがいた、として、パレスチナ人を迫害しているユダヤ人、原爆を投下したアメリカ、日本もアジアで「非道を働いた」と指摘する。

 要するに、プーチン政権やロシア軍、ロシア国家とロシアのふつうの人々ときちんと区別しようと言っているのだ。

 そして「人じゃない」ということばに、「こういうことは人しかしない。獣と言っては獣に失礼だ」と書く。その通りである。人間だけがこうした殺戮と破壊を行う。人間も動物であるから、人間はもっとも下等な動物なのである。

 そして師岡さんは、こう記す。

 戦争やそれに準ずる憎しみは、人間から信じがたい狂気と暴力性を引き出す。だから戦争はもう絶対に起こしてはならないのだ。

 ほんとうにその通りである。ロシアによるウクライナ侵攻に、日本の政治家は小躍りして叫びまわっている。「核共有論」、「敵基地攻撃論」・・・・・・すべて戦争をあおり立てる言説である。これらを唱える者どもは戦争には行かない。戦争に行くのは、いつでも「下々の者」なのだ。彼らはみずからが安全地帯にあるからこそ、こうした勇ましい発言をするのだ。

 こうした人間が責任をとったことはあるか。ない!

 無責任な発言に同調するのではなく、しっかりと平和な世界をつくるためにどうすべきかを考えるべきだ。絶対に、絶対に戦争をしてはならない。たとえウクライナのように軍備を持っていても、殺戮と破壊は避けることができないのだ。だから、絶対に、絶対に戦争は起こしてはならない。起こらないように、徹底的に外交で平和を追求すべきである。

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