浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】内田樹『街場の戦争論』(ミシマ社)

2015-01-31 22:30:24 | 
 内田はたくさんの本を書いていて、多くの人に読まれている。ボクも何冊か読んでいる。しかし致命的なことは、読んでいるときにはなるほどなるほどと思いながら読んでいくのだが、読み終えた後にあまり記憶に残らないのだ。もちろんボクが年齢を重ねて記憶力を失いつつあるということもあるのだろうが、しかし他の本は少しは記憶に残るのだから、ボクだけのせいではない。

 内田は学者ではあるが、何ごとかを緻密に研究し、思考し、叙述するということをしているのではない。専門はフランス現代思想だそうだが、彼の本を読んでいるとそうした思想家の断片が記されてはいるが、その思想家のジャングルに分け入ってあれこれ論ずるというものではない。したがって、あんがい思いついたことを書き連ねていて、それぞれが緻密に展開されているわけではないので、それで記憶に残らないのだろう。

 しかし、その思いつきは独創的で面白い。今回は忘れないように筆記していった。というのも、この本は図書館から借りたもの。いつものように書き込みをするわけにはいかないので、面白い箇所を書き写した。

 42ページには、こういう記述がある。

 「戦争に負ける」こと、「戦勝国に従属する」ことを無媒介的に接合したことによって、「なぜ戦争に負けたのか」「戦争で何を失ったのか」という問いを組織的に回避した。

 また「日本の戦後の対米戦略は「対米従属を通じての対米自立」」は、その通りで、そのたとえがよかった。つまりある店の丁稚がひたすら主人のために尽くす、一生懸命尽くせばいずれはのれん分けをして、自立できるのではと、ひたすら主人に忠誠を誓う。ナルホドと思った。しかしアメリカはのれん分けなんかはしない。なぜか、国家だからで、もっとも国益に敏感な国家だからだ。日本に尽くしてもらったほうが、国益にかなうからぜったいに自立させないだろう。

 その他にも、ふむふむと思うようなところがたくさんあった。図書館で借りて読んでみればいい。この本、ボクの後に20人がついている。
 読んで損はない。
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奥平康弘さん

2015-01-30 23:11:16 | 日記
 奥平康弘さんが亡くなられた。

 学生時代、長沼ナイキ基地訴訟の問題について、講演にきていただいたことがあった。奥平さんは、『法律時報』に統治行為論を書かれていたからだった。

 奥平さんは、治安維持法や「表現の自由」について深く研究されていた。

 大学を卒業してから、浜松に講演に来ていただいたことがあった。その時、学生時代にも講演をお願いしたことがあることを伝えた。もちろん記憶はもっていなかったが、長沼ナイキ基地訴訟の意義についてそこでも教えていただいた。奥平さんの講演はいつもクリアで、スマートだった。

 東大の後は国際基督教大学(ICU)に行かれていた。同じ頃ICUにいた姜尚中さんから、奥平さんのことを聞いたことがあった。奥平さんは、大きなバイクに乗って職場に来ていたんだ、と語っていた。

 平和憲法擁護のために、最期まで尽力されていた。冥福をお祈りする。
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日本政府は、救出する気があるのだろうか?

2015-01-30 23:05:20 | 政治
 日本政府は、「イスラム国」と直接交渉する気持はないようだ。後藤さんの妻に送られてきたメールアドレスに、政府の意向などを送ることはしないと、菅官房長官は記者会見で語っていた。

 中田氏、常岡氏からのルートについても、一切無視しているようだ。「テロ組織とは交渉しない」として、ヨルダン政府などに丸投げしているのではないか。

 もし救出する気がはじめからあったのなら、昨年から政府は動いていなければならないし、安倍首相のカイロでの発言もなかっただろう。

 そして今、湯川さんのことが忘れられている。

http://lite-ra.com/
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【本】小畑峰太郎『STAP細胞に群がった悪いヤツら』(新潮社)

2015-01-30 17:24:30 | 
 「科学は、真理を客観的に追究する高尚な学問かもしれない。しかし、そこに従事する人間は、栄誉と金と欲望と狂気に翻弄されながら俗世に生きる俗物なのである」(181ページ)

 本書は、このSTAP細胞事件に関わったすべての人間が、上記のような「俗物」たちであったことを、次々と証明していく。ある者は栄誉を、ある者は出世などの欲望を求める。そして最終的には、カネを求める。理研は、湯水の如くカネが注がれるところであった。公共事業への税金の散布は、時に批判されることがあるが、科学技術への散布に対しては、あまり批判がなされない。だから、そのカネに吸い付けられるように、「俗物」たちが群がっていく。

 小保方氏が発表した論文、その通りに実験してもその細胞がつくれないことは当初から指摘されていたが、それだけではない。論文の中に2000年頃に生産中止となったライカの顕微鏡の型が示されているが、それは理研にはない、論文の一つの章が数語の単語を除き、ドイツの研究者が書いた文章(2005年発表)と一致、別の章もケンブリッジ大学とMITの共同研究論文と数語の単語を除き一致、その他使用された写真に、早稲田大学へ提出した「博士論文」で使用したまったく別の内容のものが使われていた・・・・

 以上のように、まったく杜撰きわまりないものであった。こういう内容のものが、理研から出されたということ、まさに日本の科学研究の失墜を示す。

 この本、図書館から借りたものだが、すぐに読める。読みながら、そういえば早稲田大学というのはコピペ文化がすごく発達しているところという指摘があったことを思い出した。小保方氏も早稲田大学卒業である。そのコピペ文化と、早稲田大学理工学部の教員たちは闘わなかったのだろう。

 早稲田大学は、中退者が有名となるところという評価があった。早稲田大学は、教員に教えてもらう場ではなく、みずから学ぶところなのだ。中退者も、別に大学に行かなくてもみずから学ぶことができるからということで去って行ったのだろう。早稲田大学には、みずから学ぶのではなく、他人の業績を剽窃する場として利用する者もいるということだ。小保方氏の論文が、それを示している。
 
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Do not kill Kenji. Save him.

2015-01-30 08:42:47 | 政治
日本政府は、ほんとうに後藤さんを救出する気があるのだろうか。

 というのも、もと防衛省航空幕僚長の田母神俊雄という人物が、こんなことを書いているからだ。こういう人物が、航空自衛隊の幹部であったことを憂う。

http://lite-ra.com/2015/01/post-827.html
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後藤さんらを救出すべきだ!

2015-01-30 07:03:34 | 政治
 「イスラム国」は殺すべきではないし、ヨルダン政府/日本政府は救出しなければならない。

 後藤さんの妻が、声明を発表した。

http://www.asahi.com/articles/ASH1Z04H4H1YUHBI04G.html?iref=comtop_6_02
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後藤さんは、殺されてはならない

2015-01-29 22:43:46 | 政治

https://cpj.org/blog/2015/01/kenji-gotos-reporting-is-voice-of-humanity-in-time.php

 世界には、普通の人々がふつうに生きていけないところがたくさんある。ボクたちは、人類の一員として、世界各地でどういうことが起きているのかを知らなければならない。

 しかし、そういうところには、危険なところがある。日本の新聞社やテレビ局に勤めているメディア関係者は、危険なところには行かないし、行けない。そういうところには、フリーのジャーナリストが行く。フリーなジャーナリストが撮影した写真やビデオ映像が、お茶の間のテレビに映し出されるのだ。

 今回の事件で、巷では「自己責任」ということばをことさら言挙げして、後藤さんらを非難する人びとがいるようだ。

 外務省設置法には、邦人を保護する義務があるのだということを、このブログで指摘した。危険なところにたとえ赴いても、日本国家は邦人を保護する義務がある。

 それは、たとえば危険な冬山登山に行って遭難した人びとを警察や消防が救出するのと同じである。

 今の時点で、未だ解放されていない。無事に帰国することを祈るばかりである。
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解放を待つ

2015-01-29 22:00:20 | 政治
 後藤さんの解放を待っている。

 今日夕方、ローカル番組をみていたら、このことについての街頭インタビューを放映していた。ある男性は、アメリカの圧倒的な軍事力で「イスラム国」を制圧すればよい、と語り、またある男性は、人質交換には反対だ、かわいそうだけどね、と語っていた。女性は、何とか解放されるといいですね、だった。またもう一人の男性は、これから日本の治安が悪くなるかも知れない、それが怖い、と言っていた。

 男性の発言は、なかなか強気だ、人間的共感に欠けるように思った。

 ボクは、後藤さんとヨルダンのパイロットが一刻も早く解放されることを望みながら、落ち着かない時間を過ごしている。
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雨宮さんの文、読んで

2015-01-29 20:21:23 | 政治


http://www.magazine9.jp/article/amamiya/17472/
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解放を望む

2015-01-28 19:06:09 | 政治
 「イスラム国」の野蛮なやり方に怒りを覚える。イスラムが、欧米諸国により抑圧され、侵略されてきた歴史を考えると、ムスリムが憤怒を蓄積してきていることは理解できるが、しかし何の罪もない後藤さんにこのような蛮行を働いていることに、本当に怒りを覚える。

 もちろんこうした事態に至った理由を考えると、アメリカによるフセイン政権を倒壊させたこと、そして安倍首相がカイロで「イスラム国」を刺激するようなことを語ったこと、いずれにしても、長い長い歴史と直近の動きがあった。しかしそれでも日本人ジャーナリスト殺害を正当化するものは何もない。

 だから、もし後藤さんが殺害されたら、日本人の「イスラム国」、さらにはムスリムに対する感情が大きく悪化することは間違いはない。それに乗じて、安倍政権はアメリカやイギリスへの傾斜をもっと強めていくことだろうし、「集団的自衛権」の行使による日本の戦争への加担への速度が増していくことだろう。

 日本にとっても、イスラム諸国民衆にとっても、よいことは一つもない。
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殺すな!

2015-01-28 08:21:38 | 政治
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「ニュースは人類の私小説」

2015-01-27 22:44:38 | 
 「ニュースは人類の私小説」は、赤瀬川原平のことばだ。地球という星の中に、「高等生物」として人類という生物が生息している。今日も、明日も、人類の間をニュースが飛び交っている。そのニュースは、人類という生物から見れば、「私小説」の一部、なぜかくも世界の人類は殺しあっているのだろうか。

 さてそのことばを紡いだ赤瀬川は、「超芸術家」である。今月号の『芸術新潮』の特集は「超芸術家 赤瀬川原平の全宇宙」である。今まで、赤瀬川は、ボクの脳裏にはいり、そして出て行った。彼の作品はボクの前にあったことはあったが、今まで関心を持って赤瀬川を見つめることをしてこなかった。
 しかしこの特集を読み切ったボクは、彼をよく知るひとりになった。彼は、何という魅力的な人物であったことか。ボクは、彼についてもっともっと知ることになるだろう。
 過去形で書いたのは、もう彼はこの世にいないからだ。だからこの特集は「追悼」のために編まれた。

 彼は、まったくの自由人であった。ボクが望んでもぜったいに赤瀬川のように自由に生きていくことはできない、ボクにとってはまさにはるか高みにいる人である。

 彼は自由な個として生きながら、時に集団で行動している。ボクが驚いたのは、彼がメンバーとなった「縄文建築団」が浜松市天竜区にある「秋野不矩美術館」、掛川市にある「ねむの木こども美術館」を建造していたことだ。ボクは、前者には何度か行っているし、後者については一度だけ行っている。そういえば、似ているところがある。それに今まで気がつかなかった。

 この特集を読みながら、赤瀬川の人生を考える時、ボクは自分に与えられた狭い時空を絶えず何かで埋めていないといけないと思いながら生きてきたようだと思い当たり、何となく観察したり、何となく考えたりしてこなかったことに気づいた。無駄だと思えるようなことこそが芸術である、とするなら、ボクは芸術とは縁遠い存在なのではないかと考え込んでしまった。

 ボクに対する要請に、誠実に応えようとして、みずからの生を狭いものにしているのではないか。

 赤瀬川の作品に、尋ねてみたいと思う。これからは、彼の本の作品の紹介が、このブログに書かれることだろう。
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とにかく救出を!

2015-01-27 09:44:23 | その他
 『毎日新聞』記事。「イスラム国」側が、交換条件をだしているが、ヨルダンの人々にすれば「なぜ日本人か!」という気持ちがでるのは当然だろう。下記の記事のように、後藤さんも含めて野蛮な「イスラム国」から救出できるなら、2対2による救出もあり得るだろう。ボクたちはヨルダンの対応を祈るしかない。

 それ以外に、ボクらができることはないのか、と思う。署名もしたし・・・・


別の死刑囚釈放要求、2対2交換可能性も

 ヨルダンの地元英字紙ヨルダン・タイムズ(電子版)は26日、イスラム過激派組織「イスラム国」が昨年12月に身柄を拘束したヨルダン軍パイロットの解放条件として、24日に公開された映像でフリージャーナリストの後藤健二さん(47)の解放条件としても名前を挙げたヨルダンで収監されている女性死刑囚の他に、テロ容疑で同国に収監されている男性死刑囚の釈放も求めていると報じた。
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あきれるばかり!

2015-01-27 09:28:57 | 政治
 驚くべき志位委員長の認識。与党にでもなろうというのか。  小沢一郎氏の発言は正しいし、安倍政権が「全力を挙げて取り組んでいる」というのは、正しい認識なのか。  湯川さんや後藤さんが拉致監禁されているという事実を知りながらのカイロでの発言。安倍政権は批判されても当然である、にもかかわらず共産党はそれをさせないのか。党内の自由な発言を封じるということなのか。池内議員と同じような思いをもっている人はたくさんいるはずだ。

共産党:政権批判に委員長叱責、池内議員「不適切で削除」

毎日新聞 2015年01月26日 19時34分

 ◇イスラム国拘束で政権対応をツイッターで批判…

 共産党の志位和夫委員長は26日の記者会見で、同党議員が「イスラム国」によるとみられる日本人人質事件の政権対応をツイッターで批判したことについて「政府が全力を挙げて取り組んでいる最中にああいう発信をするのは不適切だ」との見解を示した。

 同党の池内沙織衆院議員(比例東京ブロック)がツイッター上で25日に「国の内外で命を軽んじ続ける安倍政権」などとつぶやいたが、志位氏の発言を受けて削除し「不適切と考え削除した。お詫(わ)びします」と謝罪した。

野党各党は政府の対応を見守る姿勢だが、生活の党の小沢一郎代表が25日放送のNHK番組で「安倍さんがあっち(中東)まで行き宣戦布告とも言えるような話をした。日本も敵と捉えられてもしょうがない」と批判している。

これについては、下記に詳しい説明がある。

http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/1b7d3c4498ab44140dc73ba2e2f68700


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なぜか、安倍政権の対応

2015-01-26 22:41:29 | 政治

 今日の新聞に、人質事件に対する安倍政権の対応を「評価」するが60%だという世論調査の結果がでていた。なぜかと疑問に思ってしまうが、その原因は、このブログでも指摘してきたが、安倍のカイロでの発言などがきちんと、批判的に取り上げられていないからだし、そもそもその発言や、「イスラム国」のビデオの出だしが安倍の演説であることすらほとんど報道されていない。

 日本のメディアの傾向がわかるというものだが、その点を衝いた記事が下記にある。

http://lite-ra.com/2015/01/post-819.html

 

 

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