浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】岩鼻通明『出羽三山 山岳信仰の歴史を歩く』(岩波新書)

2017-11-19 21:19:23 | その他
 月山をはじめとする出羽三山には、昔から興味があった。若い頃、森敦の『月山』を読んだからだ。それ以来、いつかは行きたいと思いながら、その願いは願いに留まっている。

 本書は、宗教民俗学、文化地理学専攻の岩鼻氏が、出羽三山について秀逸な概説書を書かれた。岩鼻氏自身が何度も出羽三山に登られ、その歴史や民俗を調査されているがゆえに、とても興味深い内容である。

 私は明治初期の神仏分離についていろいろ勉強しているので、読みながらそれさえなければもっと出羽三山の宗教形態が残されたのにと思わずにはいられない。神仏分離政策は、ほんとに日本にとって大きなマイナスの政策であった。日本人の宗教意識を、断絶させてしまったのだ。山岳信仰や修験にとって、その打撃はもっとも大きい。

 出羽三山については、佐賀県出身の西川須賀雄という人物が、宗教的伝統を破壊したそうだ(49ページ)。

 近いうちに、出羽三山を訪れたい。


 eco音威子府というNPO法人から「行者にんにく」を購入した。どういうものかは知らなかったが、本書に記載があった。修験者が「活力源」としていたそうだ。それならもっと買えばよかった。

 東京の往復の新幹線で読み終えた。米騒動に関連した議論とともに、今回の上京の中で獲得した知識である。


 
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