毎週火曜日、歴史講座の講師をつとめている。今夜は南京事件について話した。見せようと思ったDVDは持って行ったのだが、肝心のプロジェクターを持って行かなかったので、DVDの鑑賞は空振りになった。
しかし、いつものように、話した後の質疑応答は白熱したものになった。それにこたえていくわけだが、途中声が出なくなったりもして、なかなかきついものとなった。
さて帰途、車ではちょうどジャクリーヌ・デュ・プレ演奏の、ドヴォルザークのチェロ協奏曲がかかっていた。
デュ・プレが演奏するCDの多くを持っているにもかかわらず、最近CD17枚セットの全集を購入した。
彼女の演奏はすべてが一期一会の演奏であるが、なかでもこのドヴォルザークの協奏曲は、彼女の全身全霊をかけて演奏しているような気がして、とても好きである。
彼女の「今生でこの一回だけ」という演奏は、ボクの生き方にも大きな影響を与えている。
帰宅してもう一度聴き直した。そしたら、演奏には、その力強さだけではなく、そこに悲しみがあることに気づいた。悲しみ、いや寂しさといってよいのかもしれない。
今生でただ一回の演奏に全力を尽くす、というのも、考えてみればさびしい話しだ。それぞれの一回が、孤立しているわけだから。
ボクも、依頼されたことなどには全力を尽くす。しかし全力を尽くしても、その結果がまずいこともあるし、何らかの事件が起こって不満足のままになってしまうことがある。人生とはなかなか難しいものだ。
第1楽章。オーケストラの前奏が徐々に静かとなり、チェロの登場を促す。さあ出番だというオーケストラの演奏のあとに、チェロは力強く一期一会の演奏を始める。自由に飛び跳ねながら自己を主張するのだ。そしてチェロは静かに自分を語り始める。オーケストラは、その語りをやさしく受けとめる。
さらにチェロは自分語りをすすめる。しかしそこには、悲しみとさびしさ、そしてそれから逃れようとする意思が混在する。逃れようとする意思を支えるオーケストラの演奏が続く。
第2楽章はオーケストラがやさしくチェロを迎える。チェロも静かに登場する。しかしここには全力を尽くしながらも、どうにもやるせない感情がこめられている箇所がある。チェロが泣いているようなところだ。全力を出しながらも、それが通じないという悲哀。
そしてその後に、安らかな慰めを感じるところもある。その慰めをあらわす音色は、しかしボクの部屋に漂ったあと、静かに窓の外へと出て行く。
第3楽章。もう一度力づよいリズムが刻まれる。しかしその後に悲痛な叫びが聞こえ、それを打ち消そうというリズムが続く。孤独なチェロの音色が、様々な感情の起伏を帯びながら進んでいく。
オーケストラの演奏がチェロを引き立てようとするが、孤独なチェロの音色はそれを拒否するようにひとり佇む。
今度はオーケストラが慰めの声をかける、するとチェロはそれにこたえるかのように前進しようとする。オーケストラと呼応しながら、チェロはオーケストラとともに歩みはじめる。
チェロは、しかしもう一度回想しながら、悲しみのメロディを奏でる。そして何事かをふっきるように、曲は終わる。
今晩ボクは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲が、目を閉じながら、悲しみにたえようとする音楽でもあることを発見した。
しかし、いつものように、話した後の質疑応答は白熱したものになった。それにこたえていくわけだが、途中声が出なくなったりもして、なかなかきついものとなった。
さて帰途、車ではちょうどジャクリーヌ・デュ・プレ演奏の、ドヴォルザークのチェロ協奏曲がかかっていた。
デュ・プレが演奏するCDの多くを持っているにもかかわらず、最近CD17枚セットの全集を購入した。
彼女の演奏はすべてが一期一会の演奏であるが、なかでもこのドヴォルザークの協奏曲は、彼女の全身全霊をかけて演奏しているような気がして、とても好きである。
彼女の「今生でこの一回だけ」という演奏は、ボクの生き方にも大きな影響を与えている。
帰宅してもう一度聴き直した。そしたら、演奏には、その力強さだけではなく、そこに悲しみがあることに気づいた。悲しみ、いや寂しさといってよいのかもしれない。
今生でただ一回の演奏に全力を尽くす、というのも、考えてみればさびしい話しだ。それぞれの一回が、孤立しているわけだから。
ボクも、依頼されたことなどには全力を尽くす。しかし全力を尽くしても、その結果がまずいこともあるし、何らかの事件が起こって不満足のままになってしまうことがある。人生とはなかなか難しいものだ。
第1楽章。オーケストラの前奏が徐々に静かとなり、チェロの登場を促す。さあ出番だというオーケストラの演奏のあとに、チェロは力強く一期一会の演奏を始める。自由に飛び跳ねながら自己を主張するのだ。そしてチェロは静かに自分を語り始める。オーケストラは、その語りをやさしく受けとめる。
さらにチェロは自分語りをすすめる。しかしそこには、悲しみとさびしさ、そしてそれから逃れようとする意思が混在する。逃れようとする意思を支えるオーケストラの演奏が続く。
第2楽章はオーケストラがやさしくチェロを迎える。チェロも静かに登場する。しかしここには全力を尽くしながらも、どうにもやるせない感情がこめられている箇所がある。チェロが泣いているようなところだ。全力を出しながらも、それが通じないという悲哀。
そしてその後に、安らかな慰めを感じるところもある。その慰めをあらわす音色は、しかしボクの部屋に漂ったあと、静かに窓の外へと出て行く。
第3楽章。もう一度力づよいリズムが刻まれる。しかしその後に悲痛な叫びが聞こえ、それを打ち消そうというリズムが続く。孤独なチェロの音色が、様々な感情の起伏を帯びながら進んでいく。
オーケストラの演奏がチェロを引き立てようとするが、孤独なチェロの音色はそれを拒否するようにひとり佇む。
今度はオーケストラが慰めの声をかける、するとチェロはそれにこたえるかのように前進しようとする。オーケストラと呼応しながら、チェロはオーケストラとともに歩みはじめる。
チェロは、しかしもう一度回想しながら、悲しみのメロディを奏でる。そして何事かをふっきるように、曲は終わる。
今晩ボクは、ドヴォルザークのチェロ協奏曲が、目を閉じながら、悲しみにたえようとする音楽でもあることを発見した。