=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

播州金物の町「三木」

2010年04月30日 | 【お店】木になる家具や、道具やさん
木工をやるようになってから、
鑿や鉋など道具の産地が、新潟、東京、そして関西では兵庫県の三木であることを知りました。

今日は道具を買いに、その「三木」に行ってきたのですが、
「三木」って、実は私初めて行くのではないのです。2回目になります。
そこは、大学時代の友達Hの実家があり、学生時代に一度遊びに行ったことがあったのです。
でも当時、Hは三木が金物で有名であることなんか一言も言ってなかったので、まったく知らず、最初は「三木ってあの三木?」って思ったくらいです。

さて、最初に訪れたのは、
「三木金物資料館」
私は、あまりにまだ道具のことを知らないので、職人さんに会う前に少しだけでも話が通じるように勉強です。


こちらでは、毎週第一日曜日に古代の製法で日本の鋼を作る実演をされているそうです。
説明によると、
鋼を作る作業はとても大変で、一度始まると休みなしに3日から4日続けることになります。
ですから、その一回の操業を「一代 ひとよ」と呼びます。

使われる砂鉄は、10~12トン、木炭は、12~14トン

最終的にそこから取り出される鋼は、800キロだそうです。
この鋼は玉鋼といって、切れ味で世界に類を見ない日本刀の原料でした。
現在、この玉鋼を使った鉋刃は大変貴重になっています。

それから何軒か、職人さんの工房を訪問させて頂きました。
どこも家内工業で手作りなので、本当に住宅地の中で看板もないですから、探すのも大変でした。
それぞれ個性があって、
真面目実直な職人さんから、好奇心旺盛でいろんなことに対応してくれそうな発明家のような職人さんなど様々です。
実際に工房の中を拝見させて頂けたところもあり、
真っ黒な工房内はまさしく鉄の道具を生み出している雰囲気が漂っています。
焼きいれ、焼き戻しの段階がやはり重要で、
本日は操業していなかったので焼きいれに使われる鉛が固まっていましたが、普段は800度くらいで、この鉛がサラーとした液体になっているそうです。
焼き戻しの水の温度も重要で、冬など冷たければ冷たいほど刃が締まりそうな印象ですが、そういうわけでもなく、やはり一定の温度が大切で、冬は逆にヒーターで温めることもあるそうです。
(↓訪問先で見せていただいた鉋くず。まるで薄いスカーフのようです)



そして本日の収穫が、写真の小鉋です。
親方から、これが一本あると何かと重宝すると聞いたので買ってしまいました。
正直、結構奮発しました。
人間やっぱり、何種類かモノを並べられたら、いいモノのほうに目がいってしまいます。
いいほうを選択してしまいました。

しっかり仕込んで、さあ、切れ味が楽しみです。



【追伸】
大学時代の友人は、昨年電話したとき番号が変わっていてつながらなかったのですが、
なんと三木から帰ってきた晩に、電話がありました。
「おお、今日三木行ってきたでぇ」と報告。
なんともいいタイミングですね。
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道具とシンクロするとき

2010年04月29日 | 【仕事】岡山の工房での日々
さて、GWが始まっていらっしゃる方も多いでしょう。
工房きとびとも明日からGWで、キッチンもぞくぞくとできてきました。

しかし、私の天板だけがまだ完成していません。
これは私の休み中の宿題です。

ほぼ10日間くらい削りっぱなしですが、
これだけやっていると(もちろんまだまだこれからなんですが)、
「この道具の状態だったら削れる!」と
思うときがたまにあります。
刃が研げて、鉋の下端の状態がよかったり、その他いろいろな鉋のポイントがいいときです。だいたい調整にかなりの時間がかかって少し疲れたりもしているときです。

ですが、
そういうときって、見事に削りやすくなっているのです。
さっきまで表面をこすっているだけで、「これ、ぜんぜん削れん」と思っていたのに、
さっきは重い板が動いてしまうくらい堅かったのに、
「すーっと、軽く滑らかな削り」になるときが、「たまに」あります。
調整の苦労に見事に道具が応えてくれるときです。
こういうときは、嬉しいです!
「道具は決して裏切らない」なんて思ってしまいます。


本来は、こんな状態を常にいかなるときも準備しておかなければいけないのでしょう。
でも逆に、いつでもそんな状態になれたら、どんなにか楽しいしかっこいいと思います。
早く目指しましょう!
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ゼロの無力感

2010年04月22日 | 【仕事】岡山の工房での日々
3日間、この板と格闘しておりました。

180センチのテーブルになる板ですが、
全体を約1ミリ削ったのですが、これには膨大な時間がかかります。(技術によりますが・・・)

最初の1日は鉋がかからず、かかったらかかったで逆目といって傷がつき、その傷を消すためにまた削らなければいけません。
まさしく自分で墓穴を掘っているような気分になります。

日中の生産性はゼロですから、
「徹夜してでも仕上げたい」
という気持ちはあるのですが、
いくらがんばっても、いくら気合を入れても、いくら時間があっても
どうしようもないことが世の中あるんですよ。
しかも逆に板は削れば削るほどなくなっていくというもので、
その下手な頑張り自体が害になるのです。

何枚仕上げるとか、効率よくやるとか、超綺麗に仕上げるとか、
そういうことは、
ひとつの仕事が完遂できる次元の話で、
そのひとつができない状態では、何をしようがゼロなんです。
自分の無力感を改めて感じます。




3日目にはどうにか、本当にどうにかですが板の表面が及第レベルの状況になりました。

訓練校だったら、
ひとつの作品を終えて、なんとなく感触がつかめたところで終わりなのですが、
安心ください。
同じようなテーブルがあと3枚ありますから。


このような持ち場と時間を与えてくれる工房に感謝です。
コメント (3)
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技術革新?

2010年04月20日 | 【書籍】
手づくりおしゃれなフォト雑貨 ―J\'adore!photoZAKKA ~大好きな写真でかわいいをつくるレシピ~ (美術のじかんシリーズ)
mica
技術評論社

このアイテムの詳細を見る



先日、本屋で手にとってみた書籍です。

お気に入りの写真を、
自宅のプリンターで
布にプリントしたり、透明なシールなどの特殊な紙にプリントして、
いろんなものに貼れるそうです。
すごいですね。技術革新って。

木にも貼れるようなので、私の好きな写真と組み合わせができるかな?と。

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あの竹の・・・なんて言うのでしたっけ?

2010年04月19日 | 【仕事】岡山の工房での日々
(草刈をした庭とクスクス)


今日は、仕事前に庭の草刈りをしました。

天候不順で寒いとはいえ、
雑草はしっかりと生えてきています。

刈った雑草を集めてみると、その量と体積にびっくりします。
「雑草ってよくこんなに生えるな」と。
まさしく雑草魂恐るべしです。

それから関心したことが、
雑草を集めるための道具。

竹でできた熊手の大きいようなものと、竹の箒。
竹の箒になっている竹の枝なんか、「あの適度な硬さ最高!」

先人はよく自然の中からこんな最適なものを見つけ出して、道具にしたなあ。
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鑿の扱い

2010年04月17日 | 【仕事】岡山の工房での日々
「俺の持ち場」って言葉が勝手に気に入りました。

「持ち場」って、作業というよりはその場での役割って響きがしませんか。
何事も、その時や場所、その組織で自分の役割を認識することは大切です。

って言ってもそんなにかっこよく解釈するつもりはないのですが、
「今日の作業は・・・・」って書き始めるよりは、
「今日の俺の持ち場は・・・・」って感じで書き始めるほうがなんだかいい感じがして。


さて、
今日の「俺の持ち場」は、
「はいだ板からはみ出たボンドとり」
です。

昨日、ババババッとキッチンに使用する板を10枚以上はぎました。
中には2メートル近い天板が4枚あります。
ほんとう、ババババッって感じです。(やっぱりプロは違います)

そのはぎ口からはみ出たボンドを鑿や鉋でとって、
仕上げ削りの工程へと進んでいくのです。

いわば仕上げ削りの前座みたいなもので、
それこそババババッと終わらせなければいけないのですが、
これが結構大変なのです。

まずは平らに板を傷めないようにやらなければいけないのですが、
硬くなっているボンドや逆にやわらかい部分もあったりします。

今日は親方に、
これを鑿で効率的に正確にとるやり方というより、鑿の扱いを教えて頂きました。
ずばり「左の親指で動かせ」です。

一年間学校で鑿を使ってきましたが、
まさしく目からうろこです。


来週からは、たくさんの削りが待っています。
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俺の持ち場

2010年04月15日 | 【仕事】岡山の工房での日々
今週は、
椅子作りがメインで、ホゾを加工した部材を曲面に仕上げています。

したがって、
ほぼ一日中、帯ノコ機かベルトサンダーの前に立っています。

この曲面加工は、
学校では私の作品では行うことはなかったので、
ほぼ初めての作業です。

直線と曲線の面をうまく使い任意のカーブを描いていくのですが、
なかなか難しいです。
いつか、腕を磨いてえも言えぬ見事な曲線を削りだしてみたいと思います。
まずは墨に忠実に。

ベルトサンダーは刃物ではありませんが、
油断をすると
はっきり言って危険です。
あやまって指を触れようものなら、ズルムケでしょう。
「鈍い刃物が回転している」
と自分に言い聞かせて作業をしています。

↓椅子8脚分の背板部材
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彼女なしでは考えられない!

2010年04月14日 | 【仕事】岡山の工房での日々
引越しに伴い、
ブログのタイトルについていた地名の「伊那」を「津山」に変更しました。
正確に言うと、
私の働いている工房は、
岡山の津山市ではなく、その南にある美咲町という場所になりますが、
とりあえず「長いものに巻かれておきました」(笑)


工房の前には、
岡山の3大河川のひとつ、「吉井川」が流れ、
ショールームからも工房の窓からも見晴らしがいいですよ。

そこで、
親方のヨネトさん、奥さんのミチコさん、
そして、
ラブラドルレトリバー(♀)のクスクスと一緒に働いています。

工房で一人で作業をしている時など、
よくクスクスに話しかけますが、
首をかしげた仕草に癒されっぱなしです。

まだ一緒に仕事を始めてわずかですが、もう彼女なしではやっていけない状況です(笑)

(写真はお昼寝中のクスクス)

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新しい生活が始まりました!

2010年04月11日 | 【仕事】岡山の工房での日々
(工房裏の桜の木)


みなさん、ご無沙汰です。

桜咲くこの季節、みなさんも新たな気持ちでお過ごしになっているかと思います。

私も岡山で新しい仕事、新しい生活が始まりました。

少し前にインターネットにつながるようになったのですが、
人間怖いものです。
3週間以上もブログを書いていないと、
なかなか再開するのが億劫になり、しばらく「もう少し後で」という考えに支配され、
今日ようやく更新できました。

新しい環境に変ると、
新しいことも始めることもできますが、
逆に、
今までの習慣を捨ててしまうことも実はあるのではないでしょうか。
「引越しで忙しい」とか「落ち着いてから」とかを言い訳にして。

私事でいいますと、
昔、減量のためにスポーツジムに週3度ほど通っていたのですが、
引越しを機に一気に行かなくなってしまった経験があります。

まあ、ようするに自分の意志次第の話ではあるのですが・・・



さて、
新しい職場の話ですが、
「とにかく、素晴らしい環境です」

親方、工房の環境、作っていく製品、仕事の進め方他多数。

本当にこんな素敵なところで働けることに感謝です。

この恵まれた環境に甘んじることなく頑張っていきたいと思います。

これからゆっくりご紹介していこうと思いますので、
今後ともよろしくお願いいたします。


コメント (4)
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