電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
【墓参り帰省と図書館通い】
【墓参り帰省と図書館通い】
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「墓参りはついでにするもんじゃないよ」
というのが亡き母親の口癖だった。というわけで “墓参りのついで” に静岡県立中央図書館で調べ物をするのだと墓前で言い訳することにし、駒込駅午前 5 時発の山手線外回りに乗った。この時刻の山手線はすでに満席であり、東京駅に着き 5 時 20 分発普通電車沼津行きに乗る頃、これから始まる長い一日の夜が明けてきた。
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今年に入って静岡県立中央図書館に通っての調べ物を始めた。図書館に直行する日は草薙駅で下車し、駅近くのコンビニでおにぎりを買い、途中のひょうたん塚公園で朝ごはんにする。今日は先に墓参りするので清水駅下車になるわけで、どうしようかと考えていたら、改札脇の売店で江尻東にある末廣鮨の折詰が買えることを思い出した。グッドアイデアではあるけれど、ちょっと到着時刻が早すぎる気もする。
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清水駅に着いて Suica の精算を済ませ、改札を出て売店前に立ったら、店頭に置かれたワゴンに昔懐かしい富士製パンの「ようかんぱん」があった。さらに売店内に入ったら「昔ながらのしみずのパン」という手づくりポップもあってそちらにも興味をひかれたが、月・水・金限定ということで入荷がなかった。
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商売とはいえ鮨屋はそんなに早起きじゃないだろうという予感が的中してしまい、末廣鮨の折詰はまだ棚になく、仕方ないので「ようかんぱん」を一つ買うことにして、レジに持って行ったら、末廣寿司からできたての折詰を持った女性が配達に来ているところだった。やった!グッドタイミングと思い、レジの女性も清水弁でそう言っていた。
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「そのいなり寿司もらってもいいですか」
と聞いたら
「いなり寿司だけのと、いなり・玉子というのがあります」
とい言うので「いなり・玉子」にした。いなり寿司の数を減らして、かわりに厚焼き卵を入れてあるのだろうと思って買ったのだけれど、後ほど開けてみたらそうではなかった。
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駅前バスターミナルからしずてつジャストラインバス北街道線に乗るのだけれど、到着まで15分ほどあるし、日当たりのよいベンチがポカポカと春らしくて暖かいので、買ったばかりのいなり・玉子を開けて朝食にした。なんと菜の花色の玉子はにぎり寿司で、すし飯と卵焼きの間に赤い魚卵が挟んであるのが切り込みから見える。見た目もきれいだが味もすばらしく、いなり寿司も蓮根の歯ざわりと白胡麻の香りが効いていてたいへん品よく仕上がっている。これで420円というのは非常にお買い得で、買い込んで電車に乗るなら最強の駅弁かもしれない。
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バスが来たので乗り込み、清水の町並みを眺めながら富士製パンの「ようかんぱん」を食べてみた。中にあんこの入ったあんぱんの真ん中を凹ませてバタークリームをトッピングしたもので、そこまではありそうな取り合わせなのだけれど、上を覆うチョコレートのようなコーティングが、羊羹であるというのがユニークなネーミングの由来となっている。かつては静岡のパン屋でよく作られていた手間のかかるパンなのだという。
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このあと墓参りをして、静岡県立中央図書館にまわり、昼食も食べずひたすらマイクロフィルムリーダーで調べ物をした。午後三時になってそろそろ頭がしびれ集中力が切れて来たので、しずてつ電車で静岡に出て夕飯の買い物をし、鈍行列車に乗って帰ることにした。
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16 時 29 分発普通電車熱海行きが入線してきたがすでに満席で、座っているほとんどの客が降車せず、みんな静岡以西から乗車して来て、さらにその先まで行くらしい。熱海駅に着いたらみんな東京行きに乗り換えるので、この人たちは静岡以西から来て熱海以東まで普通電車を乗り継いで行く人たちなのだ。東京静岡間を普通電車で往復していると言うとよく呆れられるが、もっと遠距離を普通電車で移動する人たちもいるということだ。乗り継ぎは熱海始発なので辛うじて座ることができ、根府川あたりで長い一日が夕暮れとなった。
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春期利用期間ですものね。
いつもより混んでいた理由がわかりました。
なお、平日は静岡まで3両で、静岡から後ろよりに3両増結されますので後ろ寄りで待てば着席チャンスが増すとと思われます。(前寄りの方が車両は新しい)
また、16:05発の電車なら静岡始発で、熱海で快速アクティに乗り継げます。
16:05の電車、いいことを聞いたので覚えました。次回(今週末かも)はそれに乗ってみます。
余談ですが、国会図書館制作のマイクロフィルムをなぜ静岡まで見に行くのかと不思議がられるのですが、国会図書館は馴染みがないのと、静岡だと開架式で好きなフィルムが気軽に取り出せ、ビュアーがいつも空いているからです(笑)