加齢と眉毛と植物

2017年1月16日
僕の寄り道――加齢と眉毛と植物

毛が薄くなったり白髪混じりになっても「ああ、歳をとっちゃったなぁ」という衝撃はないけれど、理容室に行くと眉毛をちょんちょんと切られるのは衝撃的で、ちょっとこたえる。おもわず村山富市元総理の顔が思い浮かんでしまう。どうやら左右合わせて4本ほど突出して伸びる眉毛があるので最近は鏡を見ながら自分で摘んでいる。

おじいちゃんでも長命の人は女性化するのかおばあちゃんに見える。テレビでご長寿さんが映るたびに「この人おじいさん?おばあさん?」という話になる。眉毛が長くなっておばあちゃんのような容姿になる人は長寿かもしれない。

年上の友人たちが意外に植物好きになったりしているのも、元気におばあちゃん化しているということだろうか。長寿かどうかは別にして男が植物好きになるのは微笑ましい。寺田寅彦を読んでいたらこんな文章があって笑ってしまった。

 こんな事を考えたのが動機となって、ふと大根が作ってみたくなったので、花壇の鳳仙花を引っこぬいてしまってそのあとへ大根の種を蒔いてみた。二、三日するともう双葉が出て来た。あの小さな黒の粒の中からこんな美しいエメラルドのようなものが出て来た。
 私はもう本ばかり読むのはやめてしばらく大根でも作ってみようかと考えている。

散歩で見つけた高島秋帆と斎藤緑雨の墓に頭を下げて石畳を歩いていたら、足元のかわいい水仙を踏みつぶしそうになって慌ててよけた。「ああ、こんなに可愛いらしいものを踏みつけなくてよかった」と眉毛の伸びたオヤジは胸をなでおろすのである。


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