電脳六義園通信所別室
僕の寄り道――電気山羊は電子の紙を食べるか
楽しいローカルWIKI
ウェブブラウザからWebサーバ上のハイパーテキスト文書を不特定多数の人が作成・編集できるシステム(コンテンツサーバ)をWIKI(ウィキ)という。手っ取り早い話ではWikipediaがその格好の例になっている。で、Wikipediaのようなハイパーテキストリンクでできたページを、たった一人でネットではなくローカルで作る仕組みをローカルWIKIという。
Androidで使えるローカルWIKIアプリをいくつか落として使いはじめたが、Ema Personal WIKI が群を抜いて使いやすい。
マークダウン書式とかWIKI書式というものがある。たとえば自分がやりたい文中の文字列から別の書類へのリンクはWIKI書式では、ネット接続を前提にして書かれるのだけれど、このローカルWIKIではその辺は簡単になっている。文章を書いていてある言葉に関する別なノートを作りたければ、Ema Personal WIKI ではカーリング・ブラケット {} で囲んでやると囲まれた文字列がリンクになる。そのリンクをクリックすると、文字列名のノートがあればそこへジャンプし、なければ新たに作られる。そういうリンクを利用して網の目のようにリンクしながら、考えたことを書きつづっていくのがローカルWIKIだ。
最上部の[Back][Home][Edit][Sync]四つの必要最低限なボタンがとても便利で、画面デザインもシンプルにまとまっている。Dropbox との連携もよくできていて、ちょっと心配だった自動同期もオフにして手動で行える。ログインして同期を開始すると Dropbox 内に Personal WIKI というフォルダが作成され、それらはテキストファイルなのでエディタでも読み書きできる。手動同期をするために[Sync]ボタンを押すと右上にプログレスバーが表示されて同期作業がちゃんと行われているか確認できて嬉しい。
ローカルWIKIで思いついたことをメモするようになって、意外なほどに書く量が増えたのは、他人に読ませることを前提にしていないからだろう。他人に読ませようとするとどうしても主題が気になってテーマ主義になる。テーマ主義で書いているとどうしても体裁を繕うし、テーマに沿うことで小さな無理が生じて小さな嘘が生まれる。
思えば小学生の頃からよく文章を書いていて、文章を書くことが一人遊びの一つだった。小学生時代は動物を主人公にした作り話をつくり、原稿用紙を綴じ表紙をつけて本の体裁にし、それは今でも捨てずに持っている。中学生になったら詩を書くようになり主人公が動物から自分になり、色気付いて好きな人ができ、自分と読ませたい人がテーマになってからテーマ主義の陥穽に落ちた。そして高校生になったら詩も書いたけれど一番書いたのが手紙で、他県の女子高生と文通を始めたからだった。手紙で動物を主人公にした作り話とか詩とかを書いて送ったら変な人なのでテーマは自分か相手の話題になり、そこにもまたテーマ主義の陥穽があった。テーマ主義は狭いので最初から既に終わっており、テーマ主義を捨てて書くということは起こり得る予期せぬ事態も許容することなので、いくら書いても尽きることがないわけだ。
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