10/15(土) 17:00夕刊フジ
東京都健康長寿医療センター研究所
老化制御研究チーム分子老化制御の石神昭人研究部長
【健康寿命 75歳の壁を乗り越えよう】
健康長寿や病気予防に役立つビタミンCの上手な摂り方について、東京都健康長寿医療センター研究所の石神昭人研究部長に聞いた。
■ポテトチップス&フライドポテト
筋肉量・もち肌維持などの老化防止や、病気予防などによる健康寿命の延伸に大いに役立つビタミンCは、体内で消耗しやすいため、毎日とることを意識しなければならない。ビタミンCを多く含む食材といえば、野菜や果物。旬を迎えた柿などにも、ビタミンCが多く含まれる。
「手頃にとれる食品としては、ポテトチップスがお勧めです。ビタミンCは加熱で減少しますが、ジャガイモのビタミンCは、加熱後も比較的多く含まれるのです。ポテトチップスは、おやつにも、お酒のおつまみにもなるので、お子さんから大人まで活用しやすいでしょう」
フライドポテトにも、ビタミンCは多く含まれている。とはいえ、ポテトチップスもフライドポテトも食べ過ぎは塩分やカロリー取り過ぎにつながるので注意が必要だ。
■レモンサワーやオレンジサワー
ポテトチップスをつまみに飲むと、アルコール代謝でもビタミンCは使われる。飲んだ後のシメのラーメンも、麺類の糖代謝でビタミンCは消費される。なので、酒のサカナのポテトチップスだけでは、ビタミンCの補充は十分といえない。
「レモンやオレンジなど柑橘類を絞って、サワーなどに加えるとビタミンCを補いやすいと思います。ビタミンCは、代謝や活性酸の除去、コラーゲンの産生など、いろいろなところで使用されるので、食材だけでなくサプリメントも活用するとよいでしょう」
石神博士お勧めの摂取量は1日1000ミリグラム。生のレモン100グラム中におよそ100ミリグラムのビタミンCが含まれるが、1日10個レモンを食べるのは無理だろう。ビタミンCのことだけ考えて野菜や果物に偏れば、タンパク質や脂質が不足して逆効果になりかねない。そこで活用したいのがサプリメントだ。
■1日3回が目安 飲料も活用を
「サプリメントは、価格に関わらず活用してみてください。ビタミンCは消費されやすいので、1日3回程度、こまめにとるようにしましょう」
石神博士も、朝晩はサプリメントのビタミンCをとり、昼間の外出中は、ビタミンCの飲料を飲んでいるという。
「もちろん、ビタミンCを含有した食材を意識することは大切ですが、健康寿命を延ばすためには、サプリメントも役立ちます。また、皮膚の健康を維持するために、化粧水も活用していただきたいと思います」
肌のハリなどを維持するコラーゲンは、ビタミンCがないと産生されず、紫外線で発生する活性酸素の抑制にも、ビタミンCが欠かせない。だが、サプリメントなどでビタミンCをとっても、皮膚の表面には届きにくいという。
「皮膚のビタミンC補給には、ビタミンC10%含有の化粧水を活用しましょう。価格に関わらず、ビタミンCの含有量をチェックして選んでみてください。外出前に顔や腕など、紫外線にあたりやすい部分に塗るのがお勧めです」
食材、サプリ、化粧水。男女問わず、老化を退けるため、毎日、ビタミンCを意識しよう。 (取材・安達純子)
■石神昭人(いしがみ・あきひと)
東京都健康長寿医療センター研究所老化制御研究チーム分子老化制御研究部長。1990年東邦大学薬学部大学院卒(薬学博士)。米国国立衛生研究所、米国国立老化研究所客員研究員などを経て、2011年東京都健康長寿医療センター研究所分子老化制御研究副部長、12年東京都立大学教授(兼任)。14年から現職。