コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

国の指針と発展

2010-05-21 | Weblog
アシ氏(Patrick Achi)は民主党(PDCI)所属の政治家である。2000年にバグボ大統領が当選し、最初の内閣(アフィ・ヌゲサン首相)を作ったとき、野党からの3人の入閣者の一人として選ばれ、経済・インフラ相に任命された。それ以来、先日の内閣改造まで、ほぼ10年の間、経済・インフラ相を続けてきた。といっても、まだ55歳で溌剌としている。 若くして大臣になったというには理由がある。当時のウフ . . . 本文を読む

伝統と因習と現代

2010-05-20 | Weblog
伝統社会にも、刮目に値する制度、機能、知恵がある。何も、西洋文明が良しとする方法論だけが、選択肢ではない。それどころか、欧米近代社会の政治制度や価値観を、そのままアフリカに持ち込んでも、下手な接ぎ木をするようなもので、結局歪んだかたちにしか育たないことがある。むしろ、伝統社会に根付いた政治文化や政治過程をもっと研究して、現代の社会運営に取り入れていくべきではないか。 そういう議論を、私はコートジ . . . 本文を読む

真の首長

2010-05-19 | Weblog
私が招待を受けて、「名付け親」になったドドコワ村の式典は、ナナン・ドドの首長就任21周年を記念するものである。だから、私の前に演説をした人たちは、ナナン・ドドがどれだけ賢明に、そして数々の苦難を乗り越えて、村を発展に導いてきたかを讃えた。これまでの村が、発展と人口増加で手狭になった。ところが、村を広げようとすると、コーヒーやカカオの農園を削ることになる。それはよくない、とナナン・ドドは決断をした。 . . . 本文を読む

ドド殿下の村の踊り

2010-05-18 | Weblog
一国のなかで、一番偉い人は誰だろう。もちろん大統領だ。そして、行政・立法・司法という、国を運営するための制度があって、それぞれの制度に、一番偉い人がいる。行政府には首相がいて、閣僚たちがいる。国会には、国会議長、副議長。司法権については、憲法院長が一番偉い。ところが、コートジボワールでしばらく生活しているうちに、どうも少し違うかもしれない、と思い始めてきた。違うというのは、こういうことである。大統 . . . 本文を読む

本当の対立

2010-05-17 | Weblog
土曜日(5月15日)は何事もなく、平穏に過ぎた。この日に予定されていた、野党陣営の全国決起行動は、予定日の3日前(12日)に、数週間延期されるという声明が出た。声明は、ベディエ元大統領・「民主党(PDCI)」党首とウワタラ元首相・「共和連合(RDR)」党首が、共同で発表した。あれほど断固として闘うといっていた野党側だったのに、どうしてそんな腰砕けになったのだろう。 この全国決起行動の話が盛り上が . . . 本文を読む

野党の決起行動

2010-05-15 | Weblog
昨年11月末に行われるはずであった大統領選挙が、先延ばしになってもう半年になるのに、未だにいつ行われるのかさえもはっきりしない。振り返れば、ワガドゥグ合意(2007年3月)以降もう3年以上も経って、まだこんな煮え切らない状態にいる。 人々の我慢は、いったいいつまで持つのだろう。そのうち、政治指導者に対して、政治責任を問う動きが出て来るのだろうか。あるいは誰かが、国民の心の中にある不満を代弁するよ . . . 本文を読む

テレビで文学を語る(3)

2010-05-14 | Weblog
放送予定日の10日ほど前に、仕上がった番組のDVDが手元に届いた。不適当な箇所があれば、まだ今からでも編集して修正することができる、という。私は恐る恐る、再生してみた。「本を開こう」という、番組の題名が画面に映る。そして司会者が、登場する。「今日は、あの偉大で神秘的な国、日本を取り上げます。日本大使にご登場願って、日本文学について語っていただきましょう。大使、こんにちわ。」そして、軽く会釈をする私 . . . 本文を読む

テレビで文学を語る(2)

2010-05-13 | Weblog
番組の収録は、公邸で行った。司会者がはじめに番組の紹介を行う。 「今日は、あの偉大で神秘的な国、日本を取り上げます。日本大使にご登場願って、日本文学について語っていただきましょう。大使、こんにちわ。」 はい、こんにちはと応えて、私の出番である。 「日本文学についてお話する前に、まず日本という国について、お話しましょう。日本と言うのは、太陽の本という意味です。つまり、世界で一番東、太陽が昇る場所に . . . 本文を読む

テレビで文学を語る(1)

2010-05-12 | Weblog
テレビに出ることになった。といって、そんなに構える話ではない。テレビには、私はかなり頻繁に出ているのである。要人を訪問したり、式典や各地訪問を行ったりしたら、テレビカメラが取材してくれる。マイクを向けられて、報道陣から何か一言、と言われるたびに、適宜思いついたことを話している。それが夜8時の報道番組などで放送されている。私は街で人々から声を掛けられる。テレビで私の顔を見知っているのだ。だから、テレ . . . 本文を読む

武器とハングル

2010-05-11 | Weblog
先週木曜日(5月6日)の朝、配られた新聞の各紙に、大きな記事が載った。「憲兵隊が、戦争用の武器を押収。」アビジャンから20キロほどのアニヤマ町で、憲兵隊がある空き家を手入れしたら、そういうものがぞろぞろ出てきたという。そして掲載された写真には、軍隊が使うような武器や、弾薬などの数々が、地面に並べられている様子が写っている。「携帯式対戦車擲弾砲5基、ライフル銃5基、自動式猟銃2基、カラシニコフ銃3基 . . . 本文を読む