コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

近代農業の信仰

2009-02-28 | Weblog
「優良種子の普及といっても、ただ生産量の高い種子だといって提供するだけでは、農民は使わないですよ。」 山中光二さんは、そう語る。山中さんは、「優良種子普及計画」に、チーフアドバイザーとしてJICAから派遣された農学博士である。なぜ農民が使ってくれないか。それは、単に農民が頑固で、優良といっても耳を傾けないからだけではなさそうだ。 「優良種子とされる品種は、実はいろいろな条件が満たされてこそ、その優 . . . 本文を読む

頑固な農民

2009-02-27 | Weblog
農民というものは、とても頑固なのだそうだ。ブルキナファソ農業省の、コンバリ農業担当副大臣が私にこぼす。「この国でも気候変動の影響で、だんだん降雨量が少なくなっています。しかし、気象など自然条件が変わっても、彼らは頑として同じ品種を作り続ける。おじいちゃんの、そのまたおじいちゃんの頃から、この種を使って作っているのだから、これでいいのだ、と。優良品種の種子に変えるだけで、明らかに収量が格段に上がるの . . . 本文を読む

試合に負けてがっくり

2009-02-26 | Weblog
前半戦が終わったときに、既にもう、4万の観客から総ブーイングである。わがコートジボワール勢は、2点も取られてしまった。ここは、アビジャンの中央スタジアム。今日(2月22日)は「アフリカ国対抗地元選手権(Championnat d’Afrique des Nations des Locaux)」の初日である。初の対戦相手ザンビアに、すでに敗色が濃い。 サッカーの「アフリカ国対抗地元選手権」は、今年 . . . 本文を読む

国際会議に出席する(3)

2009-02-25 | Weblog
さて、この「評価支援委員会」で何を決めたのかを、対外発表文を作って公表することになっている。その文章に何をどう書き込むか、これが長時間の議論になる。どこの国際会議でもそうだ。あたかも、何を議論したかよりは、何を議論したと発表するかのほうが、大事なようである。皆、真剣になって議論する。 チョイ代表は、「本年10月を目処に、選挙日程を考えていく」と書き込むことを提案した。コートジボワールの大統領府も . . . 本文を読む

国際会議に出席する(2)

2009-02-24 | Weblog
さて、討論に移ったところで、いきなり発言したのが、チョイ国連事務総長代表である。選挙の日程が昨年11月30日と決まっていたのに、それが延期されてしまった、しかも新たな日程が示されないままになっているのは、人々に先行き不透明の不安感を与えて、大変困ったことである、と発言する。ところで、先ほどマンベ選挙管理委員長からの説明で、早ければ本年の10月にも選挙を実施することは可能である、とあった。この「評価 . . . 本文を読む

国際会議に出席する(1)

2009-02-23 | Weblog
「評価支援委員会」の第6回会合は、2月16日、ワガドゥグにある国際会議場で開かれた。大きなホールの会議室に、コの字型に机が並んでいる。コの字型の口が開いたところに、もう一つ机が置いてあって、どうも議長席らしい。さて、会議場に先に行って待っていると、アビジャンからの一行が到着した。チョイ国連事務総長代表と、コートジボワールの欧米主要国の大使連中である。彼らは、国連機でアビジャンを早朝に発ってやって来 . . . 本文を読む

運転席か客席か

2009-02-21 | Weblog
2002年にコートジボワールが南北に分裂し、危機が始まってから、国際社会は大いに心配した。仏が中心となり、リコルヌ軍を派遣するなどしつつ、コートジボワールの紛争当事者間に働きかけて、平和を回復するための合意の達成をめざした。いったんは成立した合意(リナ・マルクーシ合意:2003年1月)も、仏軍とコートジボワール軍との間で衝突(2004年9月)が起こってご破算になった。一方で、国連は、安全保障理事会 . . . 本文を読む

貧しいことが幸せ

2009-02-20 | Weblog
ブルキナファソといえば、コンパオレ大統領の国である。1987年にクーデタで政権についたコンパオレ大統領は、以来20年間にわたり大統領選挙を何度も重ねて、長期安定政権を続けている。 そして、コートジボワールから見れば、コンパオレ大統領は、2007年3月のワガドゥグ合意成立の立役者として、そしてこの合意に基く和平形成の調停役として、大変重要な存在である。今もなお頻繁に、コートジボワールの政治指導者た . . . 本文を読む

真面目な人々の国

2009-02-19 | Weblog
小学生のとき、世界地図帳にオートボルタという国を見つけた。アフリカの内陸である。不思議な響きの国名の意味を、私は先生に尋ねた。先生は、「フランス語で、ボルタ川の上流という意味だ」と教えてくれた。アフリカの奥地に、深く入り込んだ大河の、さらに上流の国。子供心に、大陸の奥の奥に広がる密林を想像し、そんなところにも独立国があるもんだ、と感心した。40年経って、私はその国の日本大使となった。国名はブルキナ . . . 本文を読む