コートジボワール日誌

在コートジボワール大使・岡村善文・のブログです。
西アフリカの社会や文化を、外交官の生活の中から実況中継します。

福が転じて災いとなる

2008-12-31 | Weblog
さて、ネリカ米の話に興味があったから、ベナンを出張で訪れたときに、真っ先に「アフリカ稲センター」の本部の視察に出かけた。本部がコートジボワールのブアケから、ベナンのコトヌに移転して4年になる。ここには日本人研究者たちも来ているので、彼らに会って話を聞きたいという目的もある。 コトヌのセンター本部は、他の研究所も集まる研究地区の一画を間借りしていた。「アフリカ稲センター」に勤務する専門家の二口浩一さ . . . 本文を読む

本物の稲作を見た

2008-12-30 | Weblog
アフリカの稲とアジアの稲をかけあわせて、アフリカの土地にあった収量の多い稲を作る。それによって、アフリカの食糧問題に立ち向かう。ネリカ米の話だ。「アジアの良さとアフリカの良さを融合する」などと、私のコートジボワールでの仕事の標語になりそうな、いい話である。このネリカ米を開発してきたのが「アフリカ稲センター」。紛争が始まったため、2004年にベナンに本部を移してしまったが、まだコートジボワールの中部 . . . 本文を読む

学校給食は明朗会計

2008-12-29 | Weblog
平屋建ての簡単な教室が、広場に10部屋ばかり並んでいる。アンデ村の小学校である。小学校の裏側に、学校給食の食堂がある。この建物は、給食事業の援助金で建てられたものだ。といっても、これもコンクリートの土台に屋根が付けられただけ、壁のない簡単なつくりである。隣接して、台所と倉庫が建てられている。 最初に、台所を見学した。この学校給食をとりまとめている女性組合長が、私を案内してくれる。裏手に5つほど、土 . . . 本文を読む

村の婦人の起業家精神

2008-12-27 | Weblog
学校給食が、村の婦人たちによって、自給自足の原則で農業生産活動に裏付けられつつ、運営されている。村の子供たちは、一日一食はしっかり食事が食べられて、だから小学校の勉強もしっかり出来るようになるという。日本が協力して動き出した事業が、幾年も経て確かな実を結んでいる、という話を、現地に確かめに行った。アビジャンから車で1時間ほど。幹線道路から外れて、緑の中ののんびりした道を15分ばかり進むと、アンデ( . . . 本文を読む

クリスマスが過ぎた

2008-12-26 | Weblog
クリスマスが無事に終わった。無事に終わったというのは、なにか特別の行事があってそれを終えた、という意味ではない。何事も起こらず、ということである。ここでは、クリスマスに至る日々に何も面倒なことが起こらず、クリスマスも普段の日と変わりなく過ごせれば、ひとまず安堵である。クリスマスの時期というのは、社会の不満が表面に出やすく、騒動が起こりかねないからだ。 男たちは、クリスマスを祝うために、家庭にお金 . . . 本文を読む

長距離輸送の足かせ

2008-12-25 | Weblog
トーゴでの仕事を終えたあと、次の訪問国ベナンに移動することとなった。ベナンは、トーゴの東隣の国。トーゴのロメから、ベナンのコトヌまで、大西洋岸を150キロの距離であるから、車で移動することにした。そうしてみると、ロメ港のアデニョン所長が指摘した問題は、私の目にもたちまち明らかになった。 車にトランクを積み込んで、ロメの街を出発するやいなや大渋滞だ。走るにつれ、ロメ港の周辺で何か混雑が生じているの . . . 本文を読む

ロメ港を視察する(2)

2008-12-24 | Weblog
ロメ港は、突堤に囲まれた湾のなかに、二つ突き出た大きな埠頭を中心に、広大な貨物仕分けヤードを備えている。各埠頭はそれぞれ5隻ほどの貨物船を接岸でき、商業貨物はこの二つの埠頭から荷揚げされる。湾の東岸にも貨物船が横付けできるようになっており、こちらは鉱業産品とセメントを積み出す専用埠頭となっている。湾の西岸は、はるか遠くに見える砂浜まで広大な草原が広がっている。アデニョン所長が、指差しながら説明する . . . 本文を読む

ロメ港を視察する(1)

2008-12-23 | Weblog
トーゴ政府のバワラ開発相は、この間まで国連官僚をしていた。ジュネーブで国連人権高等弁務官事務所、次いでニューヨークの国連本部で政務局・平和維持活動局で勤務している。ニヤシンベ大統領に引き抜かれて、若くしてトーゴ政府の閣僚になった彼は、意気軒昂にトーゴの開発絵図を語る。まだ40歳、閣僚というより、青年実業家といった風体である。 バワラ開発相は、トーゴの未来と可能性を、物流を軸として描く。まず、トー . . . 本文を読む

債務救済の署名式

2008-12-22 | Weblog
トーゴに出張、債務救済の交換公文の署名式典を行ってきた。債務救済とは、借金返済に苦しむ国の、元本や利子の返済を待ってやる、というものである。貧困国が人々の生活向上に取り組もうとしても、そのための予算が組めない。乏しい国庫収入を、過去何十年も前の借款の、元本や利子を返済するために、充てなければならないからだ。社会経済インフラの整備などに回す資金が無ければ、貧困からますます脱却できなくなる。いわば自転 . . . 本文を読む